コミュニケーション能力-印象形成①印象形成の概論と笑顔
今回は、コミュニケーション能力を印象形成の視点から解説していきます。
当コラムでは「印象形成の概要と笑顔」についてお伝えしていきます。具体的なトレーニングもご紹介していきますので、繰り返し練習を行って、コミュニケーション能力を高めていきましょう。
コミュニケーション能力に欠かせない印象形成
最初に、1つ質問です。
「第一印象は出会った瞬間から
どれ位の時間で決まると思いますか?」
一般的には、8~12秒程度で形成され、外見や服装、態度、会話以外のコミュニケーション能力から構成されるといわれています。
初対面での印象はわずか10秒程度という、とても短い時間で形成されます。そして、この時の印象が、相手との関係性を左右してしまうことから、印象形成は、コミュニケーション能力を伸ばすうえで欠かせない要素と言えます。
印象形成とコミュニケーション能力
初対面での印象形成は、さまざまな場面でのコミュニケーションに影響を与えます。
就職活動
就活では、好印象を得たいですよね。就活の面接では、きわめて短時間で人間性を把握し採用・不採用が決まります。そのため、どんなに素晴らしい人間性を持っていても、面接官は深く理解する事が困難です。第一印象が採用・不採用の、大きな決め手になります。
恋愛
お見合いや婚活パーティでは、初対面での印象がとても重要なのがイメージできると思います。数分の自己紹介タイムがフリートークなど、次のステップに発展するかの大きなカギとなります。
ここで、松井・山本(1985)が男子学生を対象に恋愛と外見の魅力の関係性を分析した研究を紹介しましょう。研究では、男子学生に複数の女性の写真を見てもらい第一印象について調査しました。
初対面の女性について第一印象で重視している点は
美しさ>活発さ>しっかり>家庭的
という順序になることがわかりました。
心理学的には、相関係数が0.7以上は影響が大きく、0.7~0.4はある程度影響があると判断できので、美しさと活発さはコミュニケーション能力に大きな影響力があるのがわかりますね。
ビジネス
ビジネス場面のコミュニケーション能力にも第一印象は大きな影響力があります。特に、接客業をしている場合は初対面での印象が悪いと致命的になるかもしれません。
お客様が第一印象で「良さそうなお店」と思うか「なんだか印象が良くないお店…」と思うかで、お店を利用してくれるか決まってしまいます。お店の良さは、まずは使ってもわらないとわかりません。最初の利用において、第一印象が大きなポイントとなります。
印象形成で最も重要な事とは?
特に初対面でのコミュニケーション能力において重要な印象形成ですが、好印象を得るには何が重要なんでしょうか。ここで、梅野(2015)が行った非言語コミュニケーションと好感の関係についての研究を見ていきましょう。
研究では、大学生230名を対象に調査を行いました。
調査は「好感をもたれる・やや好感につながる・あまり好感につながらない・好感につながらない」の4段階で行い、笑顔が最も重要なことがわかりました。
笑顔(平均3.7)>目の表情(平均3.1)>髪色(平均2.8)>ボディタッチ(平均2.4)
自分の印象をよくするために、服装や髪を整える方も多いと思います。しかし、好印象を得るには「笑顔」が欠かせません。まずは、「笑顔」をトレーニングすることが、コミュニケーショ能力を伸ばすポイントといえます。
笑顔トレーニング!コミュニケーション能力を伸ばす
「笑顔」づくりに効果的な「表情筋トレーニング」をご紹介します。
印象の良い笑顔をつくるには、顔にある約20種類の表情筋を鍛えることが効果的です。しっかり鍛えることで、柔らかで豊かな笑顔を作ることができます。
今回は次の5つのトレーニングでコミュニケーション能力UPを目指しましょう。
①口輪筋(こうりんきん)
表情全体に影響を与える筋肉です。表情筋の約7割とつながっており、口周りの複雑な動きに必要な筋肉です。
②小頬骨筋(しょうきょうこつきん)
頬(ほお)を上げる時に使われる筋肉です。口元を斜めに引き上げてくれるため、笑顔づくりに欠かせません。また、衰えるとほうれい線ができやすく、疲れた印象の表情になる要の筋肉です。
③大頬骨筋(だいきょうこつきん)
口角を上げる時に使っている筋肉です。表情を活き活きをさせ、笑顔をダイナミックにもしてくれます。
④頬筋(きょうきん)
口角を外側に動かす役割の筋肉です。フェイスラインをシャープにしてくれます。
⑤笑筋(しょうきん)
口元を横にひっぱる筋肉です。あごや口角の皮膚ともつながっていて、笑顔づくりに欠かせない筋肉の1つです。
①口輪筋(こうりんきん)
1:前歯を8本見せながら「いぃー」と発声する
2:唇をすぼめて「うぅー」と発声する
②小頬骨筋(しょうきょうこつきん)
1:右半分の口角だけ引き上げ右目を閉じて5~10秒止める
2:自然な表情に戻す
3:1・2を左右交互に行う
③大頬骨筋(だいきょうこつきん)
1:口を大きく開けて、そのまま口角を上にする
2:前歯がみえないように上唇をかぶせたままで5秒程止める
3:その後自然な表情に戻す
④頬筋(きょうきん)
1:頬の高い部分を意識しながら笑顔をつくる
2:口角を思い切り横にひく
3:1・2の動作を繰り返す
⑤笑筋(しょうきん)
1:上下の前歯を軽くかみ合わせ、自然な形で口を閉じ5秒程止める
2:両方の口角をゆっくりと外側にひき5秒程止める
3:ゆっくりと元の表情に戻す
5つの表情筋トレーニングはいがでしたか。いずれのトレーニングも筋肉を意識して、ゆっくりと数回、繰り返して行ってください。慣れるまでは大変かもしれませんが、筋肉は裏切りません!素敵な笑顔が自然とできるようになります。
豊かな笑顔がコミュニケーション能力を高める
今回は、印象形成の中でも初対面で好印象を作ることからコミュニケーション能力を考えました。笑顔トレーニングいかがでしたか。長時間の人間性を保つには、さまざまなコミュニケーション能力が必要となります。
「初対面の印象形成=短時間勝負」とだけ覚えて、様々なスキルを身につけながら、コミュニケーション能力を高めてくださいね。
次回のコミュニケーション能力-印象形成では「視線の配り方」を解説します。お楽しみ!
コラム監修
名前
川島達史
経歴
- 精神保健福祉士
- 目白大学大学院心理学研究科修士
- 社会心理学会会員
取材執筆活動など
- AERA 「飲み会での会話術」
- マイナビ出版 「嫌われる覚悟」岡山理科大 入試問題採用
- サンマーク出版「結局どうすればいい感じに雑談できる?」
- TOKYOガルリ テレビ東京出演
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出典・参考文献
・梅野(2015)好感をもたらす非言語コミュニケーションに関する研究 目白大学大学院 修了論文概要