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コミュニケーション能力UPで不安を軽減

コミュニケーション能力‐心理③対人不安の軽減

コミュニケーション能力-心理②では、適切な自己表現のコミュニケーション能力伸ばす「アサーティブトレーニング」について紹介しました。3つの方法を参考に、アサーティブなコミュニケーション能力を伸ばしていきましょう。

今回は「対人不安の軽減」を解説します。対人関係に不安があるとコミュニケーションが消極的になり、コミュニケーション能力を伸ばす機会も逃してしまいがちです。不安な気持ちと上手に付き合って、コミュニケーション能力を向上させるチャンスをしっかり活かしていきましょう。

不安な気持ちに適切な対処を

日常生活で、対人関係に不安をいただくことは誰でも少なからずあると思います。例えば、人と話をする時に

・異常に緊張する
・必要以上に疲れる
・手が震える
・大量の汗をかく

このような症状で不安を抱く場合、症状が悪化し病的なレベルにつながるケースもあるため十分な注意が必要です。

日本人は対人不安を抱きやすい

心理学の世界では、日常生活に支障がでるほどコミュニケーション能力に対人不安がある場合「社交不安症」に分類されます。

社交不安症の原因はさまざまですが、いじめや喧嘩など人の輪にうまく入れなかった子供のころの経験が影響していることが多くあります。

下記図は、社交不安障害の発症年齢です。社交不安症の発症の約75%が15歳以下というのがわかりますね。

社交不安障害からコミュニケーション能力を解説しています精神保健免疫学調査(1993)やこころの健康についての免疫調査(2006)でも同じことが指摘されています。

社交不安症など対人不安によるコミュニケーション能力の悩みは、発症年齢と専門機関に相談する時期が異なる点が特徴です。

ある研究では、発症年齢から10年以上たって心理相談や医療機関を受診する傾向があると報告されています。相談の遅れがコミュニケーション能力の悩みを深いものにさせ症状を悪化させる要因にもなります。

音羽・森田(2015)の研究では、個人の性格や日本特有の文化などによって社交不安症が見逃されることが多くあると述べられており、うつ病や自殺、他の精神的な問題と関連することもわかっています。

コミュニケーション能力の悩みが深くなる前に専門機関に相談をすることも大切です。

対人不安と様々な症状

ここで、対人への不安とさまざまな恐怖感情とのかかわりについての調査データを見ていきましょう。堀井(2014)は大学生4461人を対象に対人恐怖心性を調査しました。結果は下記の図の通りです。

対人恐怖心性の調査からコミュニケーション能力を解説この調査で対人恐怖心性は、孤立恐怖や自己視線恐怖、加害恐怖、登校回避に影響することがわかります。

ちなみに、図の中にある「親密恐怖」は、親密になることを恐れるという恐怖症で「仲良くなると逆に見捨てられるのではないか?」という気持ちが高まっていきます。心理学の世界では見捨てられ不安とも言います。

3つの対処法!コミュニケーション能力を伸ばそう

対人への不安を改善する方法は複数ありますが、今回は以下の3つを紹介します。

1:消極的    ⇒ 積極的完璧主義へ
2:ネガティブ  ⇒ ポジティブへ注目
3:公的自己意識 ⇒ 私的自己意識への転換

それぞれに適切な対処をすることで、不安な気持ちが改善できます。自分にあった方法で不安な気持ちを軽減させて、コミュニケーション能力を伸ばす機会を増やしていきましょう。

1:消極的⇒積極的完璧主義

まずは1つ目の解決策をお伝えします。対人関係で「失敗をしてはいけない…」と思うことはだれしもあります。しかし、完璧を求めるレベルまで強い場合、対人不安を引き起こす原因となることがわかっています。

完璧主義は大きく分けて2種類あります。

消極的完璧主義
「恥をかいてはいけない」「失敗をしてはいけない」など失敗を恐れる完璧主義です。

積極的完璧主義
「絶対笑顔で話をする」「必ず会話を盛り上げる」など高い目標をもつ完璧主義です。

どちらもコミュニケーション能力で極端な考え方をしていますが、消極的な完璧主義が対人不安になる傾向があります。

ここで、齋藤(2009)が行った調査をご紹介しましょう。齋藤は、東京都の大学生474名に、完璧主義と心理的な影響について調査を行いました。

2つの完璧主義からコミュニケーション能力を解説しています失敗過敏完璧主義(消極的な完璧主義)の場合、「集団に溶け込めない」「人間関係で当惑」する傾向があることがわかります。そして、高目標完璧主義(積極的な完璧主義)の場合、これらの傾向はみられず幸福感が高くなっているのがわかります。

このように、消極的な完璧主義は、マイナスの感情が過度なプレシャーになり、さらに不安を強めてしまうのです。

また、失敗など消極的なイメージは実際の結果にもマイナスを与えてしまいます。これは「ゴーレム効果」と言われ、ありもしない予言を信じることで、本当に実現しやすくなるのです。

「プラスの完璧主義」は不安を軽減する

マイナスに働く完璧主義も積極的に変えることで、対人不安を軽減する対処法になります。

例えば、「自己紹介は失敗すると印象が悪い」という消極的な完璧主義の考え方を積極的に変えると「自己紹介で笑いをとって目立ってみよう」「自己紹介で流ちょうに話すぞ」などが考えられます。

ポイントは「より良くなりたい」と考えることです。

前向きな考え方に変えて、コミュニケーション能力に自信をつけていきましょう。

2:ネガティブ⇒ポジティブへの注目

次に2つ目の解決策をお伝えします。対人に不安を抱く傾向のある人は、人間関係のコミュニケーション能力にネガティブに捉えがちです。そのため、苦手意識が強くなり対人不安をさらに強めてしまいます。

ネガティブ思考が強い場合、心理療法の1つ「認知療法」が症状の緩和に効果的です。

認知療法は「心のクセ=認知の歪み」を修正する療法で「事実と認知を分ける」「思考の歪みを修正する」という手順で、心の安定を図りコミュニケーション能力を伸ばすことができます。

例えば、
「部活の先輩は、私が話しかけてもいつもそっけない返事しか返してくれない。私は嫌われているに違いない」

という考え方も、捉え方(認知)によっては、不安が大幅に軽減できます。

①事実と認知を分ける
②思考の歪みを修正する

の手順で捉え直してみましょう。

事実→そっけない返事
認知→嫌われているに違いない

例えば
嫌われている可能性は確かにあるけど、もしかしたらプライベートで嫌なことがあったのかもしれない

いつも挨拶が伝わっていないかも…、繰り返し笑顔で話しかければいつかいい返事がもらえるかも

認知のポイントは、1つの捉え方にとらわれないことです。さまざまな考え方をすることで、コミュニケーション能力への不安を軽減することができます。

可能性を広げた考え方を日々の生活で意識してみてくださいね。少しづつ、対人不安や障害が軽減されるのが実感できると思います。

捉え方を広げてコミュニケーション能力を伸ばす

3:公的⇒私的自己意識への転換

最後に3つ目の解決策をお伝えします。対人への不安は、周囲の視線が気になっている状況です。このような状況で失敗した自分に対して「自分はダメな人間だ…」と考えてしまうことで対人不安を強めてしまうことがあります。

これは、周囲が自分をどう評価しているか?という思いが、引き金となっているため、自己評価を適切に行うことが不安を軽減する対処法となります。

自己評価には2種類あります。

公的自己評価
周囲から自分がどう見られているか評価の中心となる自己評価です。公的自己評価が高いと、対人への不安が強くなります。

他人からの評価、関係や状況によってコロコロ変わります。個々の評価に対応していては、不安が付きまとってしまいます。

私的自己評価
自分自身がどう感じるか、何を大事にするか、によって評価する自己評価です。自分自身の評価なので、周囲からの評価より安定しやすく、アイデンティティを確立することができるためコミュニケーション能力でのさまざまな不安を軽減することもできます。

いずれの自己評価も、ほどほどのさじ加減は必要ですが、対人不安を軽減するには「私的自己評価」の比重を高くすると良いでしょう。

お見合い相談に行ったヨシダさん例でみていきましょう。ヨシダさんは、真面目でおとなしい性格の男性です。結婚相談所に行ったときに相談員の方から

「表情が暗い印象なので、もう少し笑顔で話すとよい」と言われたため、表情の改善をするために練習を重ねました。

その甲斐もあってか、婚活イベントではカップㇽになることができましたが、1回目のデートで「笑顔が嘘っぽい」という理由から破断になってしまいました。

ヨシダさんは自分のコミュニケーション能力に自信がなくなり、表情がさらにぎこちなくなってしまいました。また、「人からいろいろ言われて…」という公的自己意識も過剰になり不安が強くなるばかりでした。

タナカさんは、「自分自身がどうしたいか?」を探っていき、最終的には

「嘘っぽいといわれても、笑顔を大事にして婚活を続ける」

と自分の考え方を大切にし、婚活を続けたことで彼女を作ることができました。ヨシダさんは、私的自己意識を大事にすることで「周囲から色々な意見があっても、ダメなわけじゃない」と思えるようになりました。

周囲の目が気になることは社会で生きていくうえでは必要なことも多くあります、しかし過剰になりすぎると不安を強めてしまいます。自分の価値観を大切に捉えていきましょう。

対人不安を軽減!コミュニケーション能力を伸ばそう

コミュニケーション能力を伸ばすうえで大切な「対人不安の軽減」について、ご紹介しました。いかがでしたか。

1:消極的    ⇒ 積極的完璧主義へ
2:ネガティブ  ⇒ ポジティブへ注目
3:公的自己意識 ⇒ 私的自己意識への転換

でしたね。3つの原因と解決策を参考に、対人への不安を軽減させてコミュニケーション能力を磨く機会を増やしていきましょう。

次回は、コミュニケーション能力コラムは「自己肯定感の持ち方」について解説します。次回もお楽しみ!



対人不安を軽減して対人機会を増やしていきましょう