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承認欲求を力に変える「昇華」とは④

承認欲求を力に変える「昇華」とは④

コラム①では、承認欲求について解説していきました。具体的な対処法としては、「①肯定的ストローク」「②自分の意見を大切」「③昇華で力に変える」「④コミュニティに所属」にする4つでしたね。

今回は、「③昇華で力に変える」について解説していきます。

*監修の川島(精神保健福祉士)が動画でも解説しています。
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昇華は高度な防衛機制

防衛機制とは現実から目をそむけたくなるような経験や状況に遭遇したときに、不安を和らげようとする無意識の心理的なメカニズムのことを言います。防衛機制には多くの種類がありますが、その一つに「昇華」という防衛機制があります。 

・劣等感は努力の源泉
承認欲求と関わりが深い感情が「劣等感」です。この劣等感を最初に発見したアドラーは、劣等感をプラスに捉えていたようでした。なぜなら劣等感は、向上するためのモチベーションに繋がるからです。例えば、身長が低いとしても、別の分野で成功して自分なりに社会的に成功しようと言う原動力になるからです。

昇華とは、このように承認欲求をポジティブに活用し、社会のためになるような自己実現のパワーに変えてしまうことを意味します。

例えば以下のような事例が挙げられます。
・自分だけ上司に叱られた⇒劣等感を糧にミスしない努力をする
・元いじめられっ子     ⇒その経験を生かして支援活動
・30代で彼女いない    ⇒女の子と話す機会を増やす

こうした昇華は防衛機制の中でも高次な防衛機制とされています。防衛機制には、Vaillantの分類によると、レベル1からレベル4まであるとされています。下記の図のように「昇華」はレベル4の「成熟した防衛」に分類されます。こうした高度な防衛機制である昇華に活用していくと、視点が前向きになり、承認欲求をポジティブなものに変えることができるのです。劣等感は昇華して将来のエネルギーに変換すると効果的です。

劣等感

一方で、劣等感を認めないことは、低次な防衛機制のレベルにあり、ものごとを良い/悪いの2つに分裂させて考えてしまいます。そして、良いことだけに焦点を向けるようにし、悪いことはできるだけ排除しようとします。しかし、悪いことは全て無くなるわけではなく、無意識の中にくすぶりつづけます。一時的には気分がよくなっても、雪だるま式に心の深い部分に溜まっていき、いずれ健康に害が出るなどの形で表出されるのです。

*大事な点なので動画でも解説します。詳しく知りたい方はご覧ください。

*監修の川島(精神保健福祉士)が動画でも解説しています。
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いじめを糧にした事例

ここでヨシオさんの事例をご紹介しましょう。

ヨシオさんは、幼少期の頃にいじめに遭っており、それがトラウマになって「自分はダメな人間なんだ…」という気持ちを常に抱いていました。その結果、対人関係にも積極的になれず、周囲から孤立することも多くありました。ヨシオさんは人に認められたい!という気持ちが強くありましたが、一方で誰も自分なんて認めてくれない…と口癖のように話しておりました。

まず
「突然ですが、その承認欲求を糧にした場合
 今から1年後はどうなっていそうですか?」
と質問しました。

すると、ヨシオさんは
「えっ、もっと積極的に人と関わろうとする」
と答えました。

次に
「じゃあ、その
 5年後はどうなっていますか?」

と質問したところ、

「いじめを防止する活動をしているかも」

とポジティブに答えました。ヨシオさんのように、劣等感が強い状態であっても、昇華を用いることで未来志向の考え方に変換することができます。では、実際にどのような手順で未来イメージ技法を行うのかを見ていきましょう!

後悔しない・しにくくなる方法の練習問題

承認欲求を力に変える方法

ここで嫌な体験を力に変える昇華の手順をご紹介します。ひとりで実践する場合には、自分の考えを紙に書きます。どんなものでも構いませんので、書くものを用意しましょう。

①承認欲求の内容を書き出す
どんなことで認めてもらいたいか短い文章でメモに書きます。

例:
⇒「仕事のスピードをもっと評価してもらいたい」

②前向きな行動に変えるには
1年後の自分は何をしていそうか想像してみましょう。それを、単語でも文章でもOKなので、紙に書いていきましょう。

例:
⇒「まずは丁寧にこなしていこう。スピードは後からついてくる」

③社会的に正しいことか
最後に、5年後の自分は何に取り組んでいるかイメージしてみましょう。先のことすぎてハッキリと浮かばない場合には無理をしなくても構いません。

例:
⇒「ミスの数が減り、同僚や上司、取引先からの信頼が増えて、社会貢献につながる」

満たしてほしい承認欲求があったとしても、「原動力にする」という心構えを持っていただければ、1年後、5年後は全く別の未来がイメージできることが分かります。現在、重く捉えている悩みでも将来的には、それほど大きな問題にはなっていないことが多いのです。

昇華を実践しよう

ご紹介したステップを踏まえながら、「昇華」にトライしてみましょう。紙とペンを準備して、以下の質問に解答してみてください。

①承認欲求の内容を書き出す

②前向きな行動に変えるには

③社会的に正しいことか

昇華で承認欲求をプラスに

「昇華」のテクニックはいかがでしたか。この技法では、いま承認欲求を抱いていることに注目しすぎないで、未来にフォーカスことが大切です。すると、満たされない気持ちをバネにして、より前向きな行動につながるでしょう。劣等感は「努力の原動力」という解釈をして、前向きな力に変えていきましょう。

次回は、「複数のコミュニティに所属する」についてご紹介します。

★劣等感を素直に受け入れて昇華しよう!大切な努力の原動力です。

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目次

①承認欲求なくす方法-概観
②「肯定的ストローク」とは
③「自分の本音を確認する」
④承認欲求を力に変える「昇華」
⑤複数のコミュニティに所属

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コラム監修

名前

川島達史


経歴

  • 精神保健福祉士
  • 目白大学大学院心理学研究科修士
  • 社会心理学会会員

取材執筆活動など

  • AERA 「飲み会での会話術」
  • マイナビ出版 「嫌われる覚悟」岡山理科大 入試問題採用
  • サンマーク出版「結局どうすればいい感じに雑談できる?」
  • TOKYOガルリ テレビ東京出演


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*出典・参考文献
伊藤拓. (2009). ソリューション・フォーカスト・アプローチの 4 つの質問がクライエントへ与える効果–セラピストへの面接調査による検討. ブリーフサイコセラピー研究, 18(1), 13-28.
Deci, E. L., & Ryan, R. M. (2002). Overview of self-determination theory: An organismic dialectical perspective. Handbook of self-determination research, 3-33.