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あがり症の克服方法-森田療法を活用しよう⑧

あがり症の克服方法-森田療法を活用しよう⑧

あがり症はあがらないようにしようと思うと、余計にあがってしまうものです。こうした原理を森田療法の考え方を使って改善していくことができます。

今回は、森田療法の理論からあがり症の改善方法を紹介していきたいと思います。

森田療法は神経症に対する心理療法

森田療法とは、森田正馬という日本人が開発した心理療法です。森田療法は主に神経症に対する治療法として広められてきました。森田正馬自身も幼少の頃から神経症症状に苦しみ、大学生の時には神経衰弱と診断されて服薬もしていました。そんな中で効果的な治療がないかと開発されたのが、森田療法です。

森田療法には神経症のメカニズムについても、明快に示されています。その中であがり症にも共通するメカニズムについて紹介していきたいと思います。

精神交互作用とは?

ここで、森田療法でいう神経症のメカニズムについて解説をします。森田療法では、不快な症状に注意を向ければ向けるほど、症状が強くなるという考えがあります。

例えば、
・心臓がドキドキする
・失敗したくない
・手足が震える

など不快な症状に注意を向けてそれを避けようとすれば、より症状が強くなるとしています。この考え方を“精神交互作用”と言います。精神交互作用は

「注意の集中」「感覚の鋭敏化」「意識の狭窄」「注意の集中」

といった悪循環をたどるとしています。

心身の不快な症状にばかり注意を向けると、自分で自分の悩みを大きくしてしまうのです。

これをあがり症で心臓がバクバクしている場合で考えると、以下のような悪循環に陥っていることがわかります。

このように、あがり症でも精神交互作用が働いて、悪循環に陥っている可能性が高いです。

悪循環から脱出するための“あるがまま”

では、精神交互作用による悪循環を抜け出すためにはどうしたらよいでしょうか?

森田療法では“あるがまま”の態度と、目的本位の行動を目指します。今回はこの2つの考え方について紹介したいと思います。

あるがままの態度

森田療法では、基本的には気分や症状は自分でコントロールできるものではないと考えます。心は絶えず変化して、アテにならないものです。そのアテにならない気分にとらわれず、できる行動をすることが、「あるがままの態度」です。

気分のままに行動するということではなく、気分に関係なく行動するというのが、森田療法でいう“あるがまま”です。

目的本位の行動

目的本位とは気分にとらわれないで、やるべきことをやることを言います。例えば、テスト前に勉強がしたくないと思っているとします。

「勉強したくないから勉強は後回し」 ⇒ 気分本位
「勉強したくないけど、とりあえず教科書を開く」 ⇒ 目的本位

これをあがり症で考えると…

「人前であがってしまい、逃げ出したい気持ち」 ⇒ 気分本位
「逃げ出したい気持ちであるが、発表することに集中」 ⇒ 目的本位

といった感じで、気分をコントロールするのではなく、気分はそのままに目の前のことにとにかく集中するということが目的本位です。

目的本位であがり症に対処

では、人前であがってしまったときに、気分にとらわれることなく、目的本位に行動してあがり症に対処する方法を紹介していきたいと思います。

問題

以下の気分本位にとらわれている状況を、目的本位に変えてみましょう。

Aさんは会社の会議で役員を前にプレゼンをします。本番前に資料を持つ手が震えて、うまくプレゼンができない気がしてきました…

この状況で気分本位の考え方に対して、目的本位に考えるとどのようになるでしょうか?

気分本位の考え

⇒「 手が震えないよう震えを抑えて発表をしなければ 」

 

目的本位に考えると…

⇒「                        」

 

解答例

目的本位に考えると

⇒「 手が震えても役員の人にうまく伝わるようプレゼンに集中 」

このように、震えてしまう症状を押さえつけようとすることは、気分本位の考えにとらわれていると言えます。

一方、目的本位に考えるのであれば、震えてしまう手はそのままに、しっかりとプレゼンをすることに意識を向けることを重視します。あれこれと考えを操作するのではなく、目の前のしなければならないことに意識を向けることが大事です。

 

あるがままにあがり症を受け入れる

今回は森田療法の考え方を活かしたあがり症の対処法について解説をしてきました。どうしてもあがってしまう状況を、否定したり回避することは逆効果です。あがり症をあるがままに受け入れて、現実的な行動に目を向けることが森田療法のコツです。つい、あがってしまう状況を回避してしまいがちな人は、森田療法の考え方を活かしてみてください。

次回は行動療法使ったあがり症の対処法について解説をしていきます!

赤面症と漢方

 

★あるがままの態度はあがり症にも応用できる!

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目次

①あがり症とは? ​
②あがり症になりやすい傾向とは?
③あがり症の生理的なメカニズム
④あがり症の心理学的な研究
⑤あがり症の無料診断
⑥克服方法「認知の歪み」を改善
⑦克服方法「自己意識」を改善
⑧克服方法「森田療法」を活用
⑨克服方法「段階的に不安を解消」
⑩克服方法リラックス上手であがりを改善
⑪あがり症の治療ー薬物療法
⑫あがり症の治療ー漢方

 

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コラム監修

名前

川島達史


経歴

  • 精神保健福祉士
  • 目白大学大学院心理学研究科修士
  • 社会心理学会会員

取材執筆活動など

  • AERA 「飲み会での会話術」
  • マイナビ出版 「嫌われる覚悟」岡山理科大 入試問題採用
  • サンマーク出版「結局どうすればいい感じに雑談できる?」
  • TOKYOガルリ テレビ東京出演


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