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あがり症と漢方!メンタルを強くする漢方薬⑧

あがり症と漢方!メンタルを強くする漢方薬⑧

精神疾患には、考え方を修正したり、薬物による治療が必要なのですが、場合によっては体に合わないという方もいらっしゃるかもしれません。ここで「漢方」について紹介させて頂きます。

メンタルへルスを改善する漢方薬も多く存在し、あがり症を治療にも漢方が用いられることがあります。そこで、今回はどんな漢方が赤あがり症を和らげるのかについて解説してきます。

赤面症と漢方

薬物療法での「漢方」の役割

日本の医療は明治以降まで、主に漢方医学によって支えられていました。明治以降になると、日本に本格的に西洋医学が持ち込まれます。

漢方医学では、精神と体の症状は「つながっている」と考えています。体に不調が出たり、身体機能のバランスが崩れていれば、様々な精神症状も出てくると考えられています。あがり症もそのうちの1つです。

そのため、昔の漢方の本には、発熱や便秘、下痢、動悸、呼吸が浅い、発汗などの体の症状とともに、緊張している、元気がない、驚きやすい、睡眠不足、うわごと話す、などといった精神症状が書かれています。

こうした心と体の症状の組み合わせに対して、どのような処方が効果的なのかを見ていきます。

また、心身の症状の他にも、脈の緊張、舌の付着物をみる、腹部の緊張をみるといった漢方特有の診察方法があり、適切な処方を行います。あがり症の影響で体に何らかの異常が起きてないか診るわけです。

それでは、どのような漢方が精神疾患に有効なのでしょうか。あがり症は心理学では、社会不安障害と呼ばれることがあるため、ここから社会不安障害に効果的な漢方薬を見ていきましょう。

赤面症と漢方①:「甘麦大棗湯」

甘麦大棗湯(かんばくたいそうとう)は心の興奮や体の緊張を和らげ、不安を解消させる効果があります。漢方では、心(しん)・肝・脾・肺・腎という5つの臓器を「五臓(ごぞう)」と呼びます。

そのなかで心に意識を向け続けると、メンタルへルスを安定させると言われています。この働きが衰えると、イライラや不安、不眠などが症状が表れるとされています。甘麦大棗湯はそうした「心」の失調状態のときに用いられる処方です。そのため、あがり症にも有効であると考えられます。

奥平ら(2013)では、あがり症に近い社交不安障害の20歳代前半の女性に「甘麦大棗湯」を処方した症例が報告されています。対象女性は、大学入学後より、授業中の「不安や緊張、恐怖感、頭痛、不眠」を抱えていました。翌年の春からこれらの症状が増大し、登校することも難しい状況に。そこで、甘麦大棗湯エキスを1日 7.5g処方し経過を見たのです。

結果、服用開始から2か月後には精神が安定する様子が見られました。恐怖感が少なくなり、登校して授業に出席できるようになり、頭痛や不眠も目立たなくなりました。3か月後には、授業に休まずに出席し行事にも参加できるまでに回復したのです。

これは、あくまでの1例ですが、3か月間の服用で社会不安障害の1つであるあがり症の改善も期待できるかもしれません。

どんな副作用がある?
偽アルドステロン症:低カリウム血症、血圧上昇、ナトリウム・体液の貯留、浮腫、体重増加などの偽アルドステロン症があらわれることがあります。また、体からカリウムが不足することで、脱力感、四肢痙攣・麻痺などの副作用が起こる可能性があります。異変を感じたら、担当の医師または薬剤師に相談するようにしましょう。

漢方の効果

赤面症と漢方②:「六味丸」

六味丸(ろくみがん)は疲れやすくて、尿の量の減少または多尿で、ときに口渇があるものの排尿困難、頻尿、むくみ、かゆみなどに効果的とされる薬ですが、最近では不安や緊張にも効果があることが分かっています。

石川(2013)の研究では、六味丸があがり症と近い概念である不安や緊張などを引き起こす「神経症」に効果があった7つの症例をまとめています。その結果が、以下の図です。

赤面症漢方

このように7つの症例の内2つは「社会恐怖」で、緊張や動悸、手の震えが改善されたことが分かります。さらに、六味丸によって適応障害による動悸、不安、恐怖、焦りも改善されると言われています。こうした対人不安は、あがり症においても大きな要因とされているため、あがり症の治療にも効果が期待できるかもしれません。

どんな副作用がある?
これまでに食欲不振、胃部不快感、悪心、嘔吐、下痢などが報告されています。こうした症状が表れた場合、すぐに担当の医師または薬剤師に相談するようにしましょう。

あがり症は「漢方」で改善!副作用を把握しておこう

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目次

①克服方法を詳しく解説 ​
②研究「緊張する仕組み」
③「認知の歪み修正」
④「予測の見立て」
⑤「リラックス法」
⑥「開き直り法」
⑦病院で治療できる?
あがり症と漢方!
⑨あがり症診断しよう

 

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コラム監修

名前

川島達史


経歴

  • 精神保健福祉士
  • 目白大学大学院心理学研究科修士
  • 社会心理学会会員

取材執筆活動など

  • AERA 「飲み会での会話術」
  • マイナビ出版 「嫌われる覚悟」岡山理科大 入試問題採用
  • サンマーク出版「結局どうすればいい感じに雑談できる?」
  • TOKYOガルリ テレビ東京出演


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出典・参考文献
・D−2 抗不安薬やSSRIの服用に抵抗を示す女性の社交不安障害における漢方治療の有用性 奥平智之
矢久保修嗣 上田ゆき子  芝恵 美子 山口 聖子 根本安人 大賀健太郎 若槻 品子 萩原遥 青木浩義 葛 西 正文
・六味丸が有効であった神経症の7症例