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バーンアウトの対処法「新たな目標」

バーンアウトの対処法「新たな目標を探そう」③

コラム①では、バーンアウトについて概観していきました。重要な要素としては、「①心理学研究」「②新しい目標を探す」「③限界設定」「④ソーシャルサポート」「⑤医療の力を借りる」の5つでしたね。今回は「②新しい目標を探す」について解説していきます。

アイデンティティとは

皆さんはアイデンティティという言葉をご存知でしょうか。バーンアウトの対処には、アイデンティティの確立が重要となります。発達心理学者のE.Hエリクソンは、アイデンティティを次のように定義しています。

・E.Hエリクソン
「内的な不変性と連続性を維持する
各個人の能力が他者に対する
自己の意味の不変性と連続性に
合致する経験から生まれた自信」

少し難しいですね。アイデンティティとは「自分らしさ、自分なりの価値観」と捉えるといいでしょう。

アイデンティティ確立

アイデンティティは、成人していく過程で確立すると言われています。中学生以降の思春期〜青年期の20歳前後に「自分と他人の違い」を自覚し、それを受け入れることで、「自分は○○のように生活したい!」と自分らしさを見つけていきます。

そして、「これこそが自分が進むべき道だ」という自分を発見し自我を決定することを「アイデンティティの確立」と言います。そしてアイデンティティの確立ができていない状況を、アイデンティティの拡散といいます。

アイデンティティと無気力

モラトリアム型バーンアウトの特徴

コラム①でご紹介した、モラトリアム型バーンアウトは、目標や価値観を見いだせないことが原因で起こります。以下の図のように、自分が目標をもっていない、もしくは目標が低すぎると、モラトリアムに入ってしまいます。実はこの状態は「アイデンティティが拡散している状況」なのです。このことは、別の心理学的な研究においても示唆されています。

モラトリアムバーンアウトとアイデンティティ

下山(1992)は、大学2年生369名を対象に、アイデンティティ拡散傾向とモラトリアムとの関連をアンケート調査しました。その結果、燃え尽き症候群傾向が強いほど、アイデンティティ拡散傾向が強いことが分かりました。

以下の図をご覧ください。職業決定などの人生に関する重要な決定を避ける「回避型」のモラトリアム得点と、アイデンティティ拡散傾向はプラスの相関関係を示しました。(相関関係をより深く知りたい方はコチラをご覧ください。)

バーンアウト症候群とアイデンティティの相関関係

このように研究での結果が示すように、アイデンティティ拡散とバーンアウトには関わりがあるといえます。

あなたはアイデンティティは?

みなさんは次の問いかけにどこまで答えることができますか?少し時間をとって考えて見ましょう。

「自分は何者なのだろう?」
「私はどんな人生を生きたいか」
「私はどんな職業で働きたいか?」
「私はなぜ生きているのか?」

バーンアウト症候群傾向をチェック

これらの問いかけに全く回答できない人は、アイデンティティが拡散傾向にあり、バーンアウトにかかりやすいと推測されます。一方で、スパッと答えられる人は、すでにアイデンティティを確立していると言えます。自分なりの人生の方向性がしっかりしているため、毎日活き活きと生活しているはずです。

バーンアウトの予防法

それではアイデンティティを確立させて、バーンアウトを予防するためには、どうすればいいのでしょうか。今回は「質問法」「好奇心ツリー」を紹介します。

アイデンティティ確立① 質問法

アイデンティティに関係する質問をさせて頂きます。明確な回答でなくてもOKです。直観的に当てはまる言葉を以下の問いに回答してみましょう。まずは軽い質問からはじめていきます。徐々に深い質問になっていきますよ!

問1「私の好きな食べ物は〇〇だ」
問2「私の好きな場所は〇〇だ」
問3「私が住みたい場所〇〇だ」
問4「私は異性タイプは〇〇だ」
問5「私がやりたい仕事は〇〇だ」
問6「私の生きがいは〇〇だ」

今の時点では、すぐに回答できなくても大丈夫です。アイデンティティを確立していくプロセスは、すごく難しいもので、とても時間が多くがかかるものです。まずは日々の中で、自分はどんなライフスタイルを送りたいのか、どんな人間になりたいのかを、意識することからスタートしましょう。日記やブログを書くこともおすすめします!バーンアウトの改善につながる一歩になると思います。

バーンアウト症候群の予防

アイデンティティ確立② 好奇心ツリー

自分らしさを明確にするのは、労力がかかりますし、そんなのないよ・・・と思われる方も多いと思います。そこで今回は私たちがワークとして行っている「好奇心ツリー」を紹介します。 

①準備段階
まずは、興味があることを箇条書きで出来る限り書き出しましょう。どんなに些細なことでもOKです。

例えば
・会話力がほしい
・プリンを食べたい
・スペインに行きたい
・異性とデートしたい
・心理学を学びたい

②ランキング化
①で出した事にランキングを付けます。

1 会話力
2 スペイン
3 デート
4 心理学
5 プリン
→1位を採用します

③テーマに関連するワードで木を創る
②で採用した事をテーマに関連ワードで木をつくります。

テーマ「会話力をつけたい」
ⅰ中央に幹を書き、テーマを書きます
  ↓
ⅱ太い枝を書いていきます
 聴き上手 話し上手 笑顔 声  
アイデンティティ確立のツリー④葉っぱ、果物、花など自由に書きます
たとえば
聴き上手だったら
・質問をする
・オウム返し
・うなづき
・あいづち
・共感
など・・・・好奇心ツリの手順バラバラの情報が整理整頓され、理解しやすくなります。

⑤葉っぱなどが無い部分をチェックします
木に葉っぱや花が少ないエリアがあると思います。この部分は皆さんの知識が不足してる部分です。

好奇心ツリーの調べ方中途半端な状態なので、少しムズムズしてきませんか?このムズムズ感をなくしたい欲求が、バーンアウトの予防につながるのです。

⑥調べて葉っぱをふやそう!
しっかり調査して葉っぱや花を増やしてツリーを成長させましょう。好奇心ツリーとバーンアウト調べる手段は、ネットで検索して調べてもOKですが、専門書を探してみたり、詳しい人に聞いてみるのもおすすめです。調査手段は1つではなく、様々な情報源を調べると見え方が変わってきますよ。

好奇心ツリーはいかがでしたか。ご自身でも気づかなかった関心に気づくきっかけになったのではないでしょうか?好奇心を持つには、自分が今やっていることの中から始めて行くと取り組みやすいと思います。 ぜひ自分の好奇心ツリーを作ってみてください。

バーンアウトからの回復を目指そう

今回はバーンアウトを改善する方法として、「質問法」「好奇心ツリー」を紹介しました。アイデンティティは、さまざまな経験をし、悩み、模索する中で、ちょっとずつハッキリとしていきます。焦らず自分のペースで確立してバーンアウトを改善していきましょう!次回は、「限界設定」について解説していきます。

★ アイデンティティを確立して、バーンアウトを解消

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心理学講座

目次

①バーンアウト-概観
②心理学研究で理解
③新しい目標を探そう
④限界設定で適度な努力
⑤ソーシャルサポート
⑥医療の力を借りよう

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コラム監修

名前

川島達史


経歴

  • 精神保健福祉士
  • 目白大学大学院心理学研究科修士
  • 社会心理学会会員

取材執筆活動など

  • AERA 「飲み会での会話術」
  • マイナビ出版 「嫌われる覚悟」岡山理科大 入試問題採用
  • サンマーク出版「結局どうすればいい感じに雑談できる?」
  • TOKYOガルリ テレビ東京出演


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