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認知行動療法の基礎③行動療法の基礎・やり方

認知行動療法の基礎③行動療法の基礎・やり方

認知行動療法入門は、4つのシリーズで紹介しています。具体的には「①CBTの活用法」「②認知療法」「③行動療法」「④マインドフルネス療法」です。

今回は「③行動療法」についてお話します。


改善するお悩み
・回避癖がある
・消極的になりがち
・先延ばししがち

  • 全体の目次    
  • 入門①行動療法とは何?
  • 入門②不安階層
  • 入門③自立訓練法
  • 入門④自系統的脱感作法
  • 発展①10の行動療法
  • 助け合い掲示板

入門編①~④を読み進めていくと、基本的な知識と対策を抑えることができると思います。

入門編は、ぜひ最後までご一読ください。もしお役に立てたなら、初学者向け心理学講座でもぜひお待ちしています。

行動療法とは?

定義

行動療法とは、不安や恐怖に向かって行動することで克服を目指す療法です。

恐怖や不安が少ない行動から改善することで、着実にネガティブな思考を克服できます。

歴史・はじまり

行動療法は、ドイツの心理学者ハンス・アイゼンクが提唱した療法です。

行動療法を提唱したハンスアイゼンク

出典:wikipedia

アイゼンクは、実証可能な方法で心の問題を検証することを重視しました。そこで、目に見える「行動」に着目したのが始まりです。

行動療法の目指すところ

行動療法の効果は以下の通りです。

回避癖を改善

「対人不安で行動ができない」
「会話がうまくできない…」
など、できないことをできるようにしていくことを目標にしています。

スキルを身に着ける

実際にできることを増やしていきます。

現実世界を改善する

内面だけでなく現実場面をどう変えていくかを重視しています。

やり方①-不安階層表

行動療法の中から、実践しやすい行動療法として不安階層表をご紹介します。

不安階層表とは?

不安階層表は、スモールステップを作り行動することで安全に経験値を積んでいく方法です。

・自信を失いやすい人の傾向
大きな目標を立ててしまう癖があります。そのため失敗する確率が高くなり、自信を失ってしまいます。また目標が抽象的な場合が多いため、達成感が得られません。

・心が安定している人の傾向
小さな目標に取り組むことが多いため、成果が出やすい傾向があります。そのため、結果に自信をつけ積極的な行動ができます。

つまり、小さな目標を具体的に設定し達成することで、着実に自信をつけることができるのです。

不安階層表の例

不安階層表は、不安や恐怖が現れる場面を想定し記入していきます。

表は、一番上に最終目標を記入し、3段階くらいで小さな練習を設定します。そして各練習について、不安得点や実行日を記入します。

不安階層表の例

行動予定は、目標や練習を具体的に記入します。感情を記入しやすいので注意しましょう。

続いて実行日は、練習1~最終目標までを2週間位で設定します。不安得点は、どれくらい不安や恐怖を感じるかを記入します。

以下の記入例は、私(川島)が引きこもりの時期に書いた不安階層表です。

不安階層表の練習問題目標設定のポイントは、具体的な行動で本当に小さな目標にすることです。そして続けるコツとして、達成できたときには自分にご褒美をあげるといいですよ。

具体的な日常場面

もうひとつの事例に、婚活中の不安階層表を見ていきましょう。

婚活パーティーが苦手な太郎君の記入例です。最終目標に向けて、小さな練習を積み重ねていきました。

不安階層表の記入例

太郎君の例を見て、目標設定のイメージができましたか。

目標は、ちょっとがんばればできるくらいがいいでしょう。60%くらいできそうな内容で設定してみてください。

やり方②-自立訓練法

自立訓練法とは?

自立訓練法は、交感神経と副交感神経のバランスをとるトレーニングです。

神経には、交感神経と副交感神経の2種類あります。副交感神経は、落ち着いたときに働くリラックス系です。一方で、交感神経は、緊張や怒りなど力が入るようなときに働きます。

交換神経と副交感神経

自立訓練法の手順

背景公式と6つの訓練公式で構成されています。

【背景公式】
心が落ち着いている状態を作ります。

①環境設定をする
基本的には横になるか、イスに腰掛けるかの姿勢をとります。楽な姿勢で、肩の力を抜いて目を閉じます。体を締め付けているベルトなどは外します。

②腹式呼吸をする
5回から10回くらい行います。鼻から3秒吸って、6秒吐くを繰り返します。

横隔膜が上下運動するように進めて見てください。複式呼吸で、よい空気を吸って悪い空気を出すイメージで進めます。

③落ち着いているか確認
深呼吸が済んだら、心の中で「落ち着いているのだ」と心の中でつぶやき実感させます。

自立訓練法のやり方本番直前などは時間がない時は、背景公式だけでもOKです。1分程度でも少し落ち着くことができます。

背景公式が終わったら次の公式に入っていきます。

【第一公式】
両腕、両足の重さを感じる
「両腕両足が重たい」と感じる練習です。重感練習は、脳と筋肉の両方がリラックスできる方法です。

【第二公式】
両腕、両足の暖かさを感じる
「両腕両足が温かい」と感じる練習です。温感練習は、重感練習と同様にリラックス効果が高い方法になります。

【第三公式】心臓が静か
【第四公式】楽に呼吸
【第五公式】お腹が暖かい
【第六公式】額が涼しい

そして最後に、消去動作として、グーパー・グーパーを行います。

日常生活での使い方

第二公式までは、安全度が高いとされています。

緊張しやすい場面や不眠の時には、第二公式までを3分間3セットくらいで実践してみてください。

注意事項
うつ病、糖尿病、消化器系の疾患の方、加えて第三公式以降は専門家と行ってください。

やり方③-系統的脱感作法

系統的脱感作法とは?

系統的脱感作法は、不安階層表とリラクゼーションを組み合わせて行う療法です。不安階層表を基に、目標の達成をめざします。

不安階層表を実行していくと、強い不安を感じる瞬間があります。リラクゼーションで緊張をほぐすと、落ち着いて行動できます。

系統的脱感作法では、行動する前に、緊張する場面などをイメージしてリラックスする感覚を味わいます。

イメージ段階であまり緊張していないと感じたら、次の段階をイメージして行動していきます。以下のやり方を参考に進めてみましょう。

注意事項
健康度がある程度高い方は、自分でもできます。不安が強い方は、専門家に相談するのがおすすめです。

リラックスが緊張を緩和

生月ら(2003)は、恐怖とリラックスについて次のように述べています。

対人恐怖の症状は、見られることが恐怖という感覚を習慣的に刷り込まれた状態です。恐怖を和らげる反応(リラックス)を繰り返し行うことで、見られることへの恐怖反応が少なくなると考えられる。

シンプルに言うと、リラックスした心と身体を作ることで恐怖を緩和できるということです。

発展編

ここから先は行動療法をより深く理解したい方向けの内容です。さまざまな研究や知識をお伝えします。

認知療法について基礎的なことは理解したけど、もっと深く知識を得たい方、医療関係者や福祉関係の学生様は参考にして頂けると幸いです。

①ブラッティング
できないことをやってみることで、慣れてくるという方法です。行動療法の中でも、かなり強めの療法です。

たとえば、
高所恐怖症の人に高い場所に生かせる行動療法ブラッティング

時間とともに緊張が解けてできないことにも慣れてくるという方法です。

②不安階層表
少しづつ成功を積み重ねていく方法です。スモールステップで対応する

不安階層表

③嫌悪療法
やってはいけないことに罰を与えることで、できなくする方法です。

たとえば、アルコール依存症の人の場合。
お酒を飲むと気分が悪くなる抗酒剤を飲んでもらいます。

嫌悪療法の例

お酒を飲む→気分が悪くなるというフローを脳に覚えさせます。

④自立訓練法
自己催眠を用いたリラックスで、心身を安定させる方法です。

自律訓練法背景公式と6つの訓練公式で構成されています。

⑤系統的脱感作法
緊張しやすい場面を想像して身体をリラックスする方法です。

系統的脱感作法の例

この方法は、強迫性障害や恐怖症に対する治療法で、逆制止という原理を活用しています。

逆制止とは、恐怖や不安が現れた際に、反対の感情を起こすことで、恐怖や不安が少なくなるのです。

⑥シェーピング
成果が出るとお菓子やお金など、何かが与えられる方法です。不安階層表に似ている療法です。

⑦トークエコノミー
子どもによく利用する療法です。できないことができたときに、シールをあげたり、バッチを与える方法です。

⑧バイオフィードバック
自分が本当にリラックスしているかを、数字でみながらリラックスする方法です。

リラックスしているかどうかは判断が難しいため、脳波計などをみながら自分の状態を確認していきます。

行動療法リラックスを確認する方法

⑨タイムアウト
子どもによく使われる方法です。感情が爆発しているときには、時間に区切りをつけ、場所を移動して心を落ち着けていく方法です。

この方法は、大人にも効果があります。悩みが強くなった時には、カフェなど、静かな場所に移動してみると心を落ち着けることができますよ。

⑩モデリング・ロールプレイ
模擬場面を設定して、人の姿をみながら勉強する方法です。

 

行動療法には、いろいろな方法があります。まずは、気になるものから取り入れてみてください。

内山(1988)は、悩み別での相性がいい行動療法が解説しています。

症状によって効果を得やすい療法があるので、いろいろな書籍より参考にしてみてください。なお、専門職の方はしっかり整理しておくといいですね。

行動療法の活かし方-まとめ

動画解説もあります。気に入って頂いたらチャンネル登録を頂けると励みになります。

まとめ

行動療法のやり方は

・スモールステップ
・行動にこだわる
・体のリラックス

行動療養の基本はスモールステップです。まずは小さな目標をたてて成果を積み重ねていきましょう。

最終的には大きな行動につながることもあります。行動にこだわって、できたかどうかをチェックして行きましょう。

そして身体からリラックスするスキルも身に付けておくといいですね。

行動療法の魅力は結果がでることです。できなかったことができるようになると現実世界が変わっていきます。その状況に、自信をもっていきましょう。

「積極的になるには…」と悩んでいる方は、ぜひ行動療法を取り入れてみてください。

次回はマインドフルネス療法を解説します。

もし公認心理師,精神保健福祉士など専門家の元でしっかり心理学を学習したい方場合は、私たちが開催しているコミュニケーション講座をオススメしています。講座では

・心理療法の基礎
・対人不安の改善
・暖かい人間関係を築くコツ
・無条件の肯定のコツ

など練習していきます。興味がある方はお知らせをクリックして頂けると幸いです。お知らせ失礼いたしました。それではコラム④に進みましょう!

人間関係講座

助け合い掲示板

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コラム監修

名前

川島達史


経歴

  • 精神保健福祉士
  • 目白大学大学院心理学研究科修士
  • 社会心理学会会員

取材執筆活動など

  • AERA 「飲み会での会話術」
  • マイナビ出版 「嫌われる覚悟」岡山理科大 入試問題採用
  • サンマーク出版「結局どうすればいい感じに雑談できる?」
  • TOKYOガルリ テレビ東京出演


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*出典・参考文献
・生月 誠,田上 不二夫,視線恐怖の治療メカニズム 教育心理学研究,2003,51,425-430
・内山 喜久雄,行動療法(講座最サイコセラピー),日本文化科学社,1988