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認知症‐アルツハイマー,脳血管性,ピック病

認知症とは何か?アルツハイマー,脳血管性,ピック病

皆さんこんにちは。
公認心理師,精神保健福祉士の川島達史です。

今回のテーマ
「認知症」

認知症とは、脳の萎縮や損傷によって、記憶力や認識力、判断力などが低下する病気です。さらに、能力の低下によって社会生活に支障をきたします。感情の変化や、人格の低下などを伴い、情緒不安定となる症状もあります。

今回は初学者向けに認知症の種類,症状をわかりやすく解説していきます。

認知症の患者数

厚生労働省によると、認知症の患者数は増えてきており、2020年に約292万人に達するといわれています。高齢者の約8.9%が認知症を有するということになります。

また、65歳以上の高齢者だけでなく、45歳以上65歳未満の”若年性認知症”もあります。認知症は高齢化社会に伴って急増している疾患です。

 

認知症の種類

認知症の種類には大きく3つの種類があります。
①アルツハイマー型認知症
②脳血管型認知症
③ピック病

の3つです。

アルツハイマー型認知症

アルツハイマー型認知症は、脳の病的萎縮による記憶や思考の障害です。進行性で、症状が進むと日常生活の活動もできなくなる病気です。

年齢70歳以上で多い
原因βアミロイドや
タウタンパクの蓄積
心理的症状物盗られ妄想、感情の平板化
理解力・思考力の低下など

 

アルツハイマー型認知症の前期では、物忘れの記憶障害や時間や場所の見当識障害が特徴的です。

後期では、急に喜んで手を叩いたり、何もないところで泣いたりなどの情緒不安定な状態に見舞われます。

 

脳血管型認知症

脳卒中など、脳組織が損傷されることで認知症が出現するものを言います。

年齢50歳以降から増加
原因脳卒中や小さな脳梗塞による
心理的症状イライラ感、感情失禁など

感情失禁とは、少しの刺激で過剰に笑ったり、泣いたり、怒ったりして、感情のコントロールがきかない状態です。

 

ピック病

ピック病は脳の前頭葉と側頭葉が萎縮する病気です。

年齢50歳以降から増加
原因ピック球の増加
心理的症状怒りっぽくなる
しゃべり続ける
他人に無関心になる


進行していくと、動きが緩慢になったり、無言の状態になることもあります。

 

認知症の症状

認知症の症状には大きく分けて、中核症状と周辺症状の2つの症状があります。

中核症状

中核症状とは認知症の基本的な症状のことです。
例:記憶障害、理解力の障害、判断力の障害、言語障害など

周辺症状

周辺症状とは、中核症状とはいえない行動や心理症状のことを指します。
例:妄想、不安、焦り、攻撃的、不機嫌など

このように、認知症の方は、記憶力や理解力の低下などの中核症状の他に、不安や焦りなどの心理的症状も含まれます。

そのため、感情のコントロールがうまくできない、情調不安定になってしまっていることが多いです。

認知症を改善する方法,治療法

認知症を改善するには、主に以下の方法があります。

 ①薬物療法
 ②リハビリテーション
 ③人と交流をする

それぞれ詳しく見ていきましょう。

①薬物療法

*効果
認知症を改善する上ではお薬が処方されることがあります。有名な薬としては、アセチルコリンエステラーゼ阻害薬が挙げられます。

アセチルコリンとは、記憶保持や集中、覚醒などの作用を担っています。このアセチルコリンの脳内の相対的濃度を引き上げることで、アルツハイマー型認知症の進行を抑えると考えられています。

*副作用
吐き気や下痢、食欲不振をもよおすことがあります。運動器ではふらつきなどの歩行障害がみられています。精神的な副作用として攻撃性の増加や興奮があり、暴言や暴力などにつながることがあるため、注意が必要です。

アセチルコリンエステラーゼ阻害薬として現在日本で認可されているのはドネペジル、ガランタミン、リバスチグミンで、全て同様のメカニズムを持ったの治療薬になります。

②リハビリテーション

*音楽療法
歌を歌ったり、手をたたいたり、もしくは楽器を演奏することで認知症を改善していきます。リズムや音の刺激で元気がわき、情緒不安定な状態が緩和していきます。単純に好きな音楽を聴くだけでも症状が和らぎます。

*回想法
昔の写真や思い入れのある品ものを用いて、過去について会話をするというリハビリ療法です。昔好きだったものを思い起こすことで、脳を活性化させる療法。1対1で行う方法と、グループで行う方法があります。

また、本人の記憶に共感を示すことで、情緒不安定が軽減され、認知症の抑制が見込まれます。

*作業療法
作業療法とは、日常生活の動きを忘れてしまったときに、動作の練習をしていく療法を意味します。例えば、料理の練習、掃除の練習、シーツを変える練習などを行います。

③人と交流をする

認知症の予防や回復に効果的なのは、人間関係を充実させることにあります。孤独感は、認知症リスクや死亡率へも影響します。

斉藤・近藤らは、愛知県の高齢者、12,000人を対象に「高齢者の交流頻度と孤独感」について研究を行いました。その結果は下図となります。まずは図を概観してみましょう。

孤独を和らげよう

交流がない人は交流がある人はより認知症率が高いことが分かったのです。このように、人とのコミュニケーションが少ない人ほど脳機能も衰えていくのです。

認知症で受けられる制度

認知症では大きく分けて2つの制度を利用することができます。

①介護保険制度

・概要

介護保険制度とは、以下のような制度になります。

介護が必要な方に、介護費用の一部を給付する制度

この給付を受けるには、各市区町村窓口で申請し、判定を受ける必要があります。サービスを受ける場合、所得に応じてかかった費用の1割~3割の自己負担が必要です。

・対象

介護保険は、65歳以上で日常生活の介護や支援が必要になった方、または認知症と診断された40歳以上65歳未満の方が対象です。

・支援内容

自宅訪問サービス
ホームヘルプサービス、訪問看護、訪問入浴などがあります。

通所サービス
ディサービス、ディケアなど、リハビリやレクリェーションを行う日帰り支援があります。

施設入所サービス
緊急の用事や家族の休息などの際、短期入所できるショートスティ、また「要介護3~5」の方には、少ない費用負担で長期入居できる特別養護老人ホームもあります。

 

②障害者総合支援法

・概要

障害者総合支援法とは、以下のような制度になります。

障害を持つ方々が尊重され、社会生活を営むことができるよう支援を総合的に行い、障害の有無にかかわらず安心して暮らすことのできる地域社会の実現を目指すもの

・対象

認知症は障害者総合支援法の対象疾患となっています。

若年性認知症では、40歳以上で特定疾患に該当しない場合、および40歳未満は介護保険ではなく、障害者総合支援法の利用ができます。

・支援内容

日常生活自立支援事業
認知症と診断され判断能力が不十分な場合、社会福祉協議会に申請することで、福祉サービスの利用援助、金銭管理などのサポートを受けられます。

障害者年金制度
申請は65歳未満で、年金加入状況や納付期間、障害状態が当てはまることにより、障害年金の申請が出来ます。

精神障害者保健福祉手帳
長期にわたり日常生活などに制約がある方が対象で、「認知症」と診断されてから6ヶ月経過後から申請できます。税制上の優遇措置を受けることが出来ます。

まとめ

今回は認知症による情緒不安定を解説していきました。認知症は治療が遅れると、日常生活もままならなくなる危険な病です。

物覚えが悪くなった、感情をコントロールできないという症状が顕著に表れる場合は、早めに医療機関の方に受診するようにしましょう。

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コラム監修

名前

川島達史


経歴

  • 公認心理師
  • 精神保健福祉士
  • 目白大学大学院心理学研究科修士

取材執筆活動など

  • AERA 「飲み会での会話術」
  • マイナビ出版 「嫌われる覚悟」岡山理科大 入試問題採用
  • サンマーク出版「結局どうすればいい感じに雑談できる?」
  • TOKYOガルリ テレビ東京出演


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出典・参考文献