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対人恐怖症の原因「考え方クセ」の修正法

対人恐怖症の正体はあなたの考え方のクセ!③

コラム②では、対人恐怖症の背後に潜んでいる「公的自己意識」についてお話してきました。2つのコツを参考に、公的自己意識と上手く付き合ってくださいね。

今回は、対人恐怖症を緩和する方法の2つ目「べき思考を見直す」についてご紹介します。私たちの知らず知らずのうちに作っているルールを見直して、必要以上に感じている恐怖心を減らし、楽にしていきましょう。

自分ルールが恐怖心を強めている

対人恐怖症状が膨らむ~べき思考

皆さんは、失敗してはいけない、〇〇すべきだといった考え方を持っていますか?もちろん人間ですので、誰しも1回はこうした思考を持ったことがあるでしょう。しかし、「〇〇すべき」という自分を制限するような考え方は、「べき思考」と呼ばれていて、ネガティブな完璧主義が影響しています。完璧主義には以下の2つが存在します。

・「消極的‐完璧主義」
 絶対に嫌われてはならない
 人前で緊張してはいけない
 絶対にミスをしてはいけない

・「積極的‐完璧主義」
 会話を弾ませよう!  
 友人と仲良くありたい
 相手を褒めるぞ!

どちらも極端な考え方なので完璧主義だと言えます。前者はミスをなくす、という消極的な完全主義でネガティブな方向に向いています。逆に積極的な完全主義はプラスに目が向いていますね。

完璧主義者の治し方

消極的‐完璧主義は「べき思考」のもと

齋藤(2009)は、大学生474名に対して、完璧主義と心理的な影響について調査を行いました。その結果、消極的完璧主義(正確には失敗過敏)のある方は
「集団にとけこめない」
「人間関係の当惑」
があることがわかりました。これに対して、積極的完璧主義(高目標設定)を持つ方は、これらの傾向はなく、特に顕著な差として「幸福感」が高いことがわかりました。

上記の図の数字は相関係数と呼ばれるものです。簡単に説明すると、AとBはどれぐらい関連しているかという数字で、心理学的には0.4~0.6の数値はある程度関連していると解釈していきます。対人恐怖が強い方は消極的な完璧主義である「ミスをしてはならない」「悪いイメージを与えてはならない」とべき思考になるあまり、対人恐怖が増幅されているのかもしれません。

メンタルヘルス的には、積極的完全主義は行きすぎない程度であれば、メリットが大きく、逆に消極的完全主義はネガティブな影響が大きいと言われています。

 

恐怖心を緩和しよう

意味を変えずにポジティブに表現する

繰り返しになりますが、必要以上に回避しようとする完璧主義の特徴は、
「絶対に○○はいけない」
「〜してはいけない」
「〜したら終わりだ」
という思考を持ってしまうことです。思わず力んで入ってしまうようなフレーズで、気持ちも前向きになりづらいですよね。このように対人恐怖という気持ちの原因にもなってしまう完璧主義ですが、必ずしも悪いことばかりではなく、完璧主義がプラスの働きをしてくれることがあります。それは

「〇〇するぞ!」

と考える完璧主義です。

例えば、サッカーの試合1-0でリードしている場合に、「失点は許されない」「絶対に守り切らなければ」と思うのが消極的完璧主義です。こうした状態では、かえって失敗に目がいき、ミスをしやすくなります。ここで、 

「1つ1つのプレーに集中して守り抜こう!」と考えるのです。失敗してはいけない・・・という気持ちを「意味を変えずにポジティブに表現する」します。

対人恐怖の場面で考えると、「話しかけて悪い印象を持たれなくない(=だから話しかけない)」と考えるのが消極的完璧主義です。これに対して、「他にないチャンスだからどんどん話しかけよう!」と思うのが積極的完璧主義です。

とはいえ、消極的完璧主義の考え方が根強く残っている方が突然に意識を変えるのは難しいかと思います。まずは、嘘でもOkです。数か月、自分をダマしてポジティブな表現に変えていきましょう。

練習問題にチャレンジ

それではここで練習問題に挑戦してみましょう。あなた自身の対人恐怖の悩みをイメージして以下の3つのステップを実践してみてください。

①対人場面で「~べき、~ねばならない」と思っていることを挙げてください。

③意味を変えずにポジティブな表現に変えてみましょう

 

考えてみてくださいね。

 

解答例
①自己紹介で恥をかいてはいけない(べき思考の発見)
②一言一言に集中しよう(意味を変えずにポジティブに修正)

べき思考の改善で対人恐怖を克服!

みなさん「べき思考」を見直してみていかがでしたか。

今回やってきたように、認知の歪みを見直すと恐怖感が和らぐ効果があります。少しずつ試してみてくださいね。次回は、対人恐怖症を和らげる方法の3つ目「「あるがまま」に捉える」について解説します。

★自分の認知の歪みを見直して 対人恐怖症を緩和しよう

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コラム監修

名前

川島達史


経歴

  • 精神保健福祉士
  • 目白大学大学院心理学研究科修士
  • 社会心理学会会員

取材執筆活動など

  • AERA 「飲み会での会話術」
  • マイナビ出版 「嫌われる覚悟」岡山理科大 入試問題採用
  • サンマーク出版「結局どうすればいい感じに雑談できる?」
  • TOKYOガルリ テレビ東京出演


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*出典・参考文献
大野裕(2003)こころが晴れるノート うつと不安の認知療法自習帳 創元社
自己志向的完全主義の特徴 : 精神的不健康に関する諸特
性との関連から 2009 齋藤, 路子; 今野, 裕之; 沢崎, 達夫
対人社会心理学研究. 9 P.91-P.100