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堪える状況の意味,読み方,対処法について解説します

堪える状況の意味,読み方,対処法について解説

はじめまして!公認心理師の川島です。今回のテーマは
「堪えるの意味と心理学的対処法」
です。


当コラムの目標
・「堪える」の意味を理解
・心理学の理論を学ぶ
・堪える状況を乗り越える

全体の目次
入門①堪えるの意味とは?
入門②心理学と危機理論
入門③乗り越える方法
   フィンクの4段階
   ABC理論
   正のストローク
   ソーシャルレポート
   助け合い掲示板

入門①~③を読み進めていくと、基本的な知識と対策を抑えることができると思います。是非入門編は最後までご一読ください。もしお役に立てたなら、初学者向け心理学講座でもぜひお待ちしています。

「堪える」の意味

大辞林で堪(た)えるは以下のように定義されています。

苦しさ・悲しさなどに屈せず我慢する。こらえる。

又は、他から加えられる力に負けずにもちこたえる。

「苦痛に―・える」

「孤独に―・える」

「風雪に―・える」など


堪える意味とは

堪える状況と心理学,種類

ここまで一般的な堪えるの意味について解説してきました。ここからは心理学における堪える状況の意味や、対処法を解説していきます。

堪える状況は心理学の世界で様々な角度から研究されていますが、当コラムでは「危機理論」をベースに解説していきます。私たちの危機は、大きく分けて「発達段階の危機」「状況による危機」の2種類があります。

発達段階における危機

危機は人生の発達において起こります。英語では「Maturational or developmental crises」と言います。例えば、若い時は、

仕事をどうするか?
恋愛をどうするか?
と葛藤すると思います。

このように私たちが人生を生きていく上で突きつけられる課題が発達における危機なのです。

危機理論

 

状況的な危機

もう1つが状況的な危機です。英語では「Situational crises」と言います。状況的な危機は、倒産、地震、ウイルス、病気など現実的な問題を意味します。

2020年にコロナウイルスの問題が起こりました。これは典型的な状況的な危機です。

学校が閉鎖になるなど社会現象になりました。私たちは、人生を通して様々な状況的危機を迎え、そのたびに乗り越える必要性に迫られるのです。

堪える状況を乗り越える方法

堪える状況を私たちはどのように乗り越えていけばいいのでしょうか?心理学の手法をいくつか紹介したいと思います。

「①フィンクの危機理論」
「②ABC理論」
「③正のストローク法」
「④ソーシャルサポート」
を紹介します。自分に合いそうな方法から、取り組んでみてくださいね。 

①フィンクの危機理論

フィンクの危機理論とは、危機を乗り越えていく過程を示したもので4段階で示されています。具体的には

・衝撃期
危機が起こり、混乱し、動揺する時期

・葛藤期
挫折や失敗についてどのように整理すれば良いか迷う時期

・承認期
徐々に悩みが整理され、受け入れる準備ができる時期

・適応期
問題を整理して、何が起こったのかを受け入れ、前向きに活かしていく時期

の4つです。

私たちの心には、自然と回復する機能があります。「無理やり明るくする」「解決を焦る」など、自分の気持ちを抑える必要はないのです。

詳しくはこちらの苦しい時コラムで解説しました。参考にしてみてください。

フィンク危機理論

 

②ABC理論

・極端な考え方はNG
堪えるような場面では、置かれている状況を破滅的に考えがちです。たとえば、天災が起こった時に、必要以上に問題を大きく考え、

「絶望的な未来が待っている」
「立ち直れない」
「もう日本は終わりだ」

と極端に考えてしいます。このように視野が狭くなっている方は、考え方を増やしていく必要があります。

・ABC理論で前向きに
考え方をほぐす方法としては、論理療法の「ABC理論」がおススメです。ABCとは以下の頭文字をとったものです。

A:Activating event
 出来事
B:Belief system
 信念(捉え方)
C=Consequence
 結果(沸き起こる感情)

ABC理論では、Bの考え方の幅を広げていく練習を重視しています。出来事を現実的に考えることで、感情を安定させる手法です。

特に悲観的になりやすく、考え方が暴走しやすい…と感じる方は、ABC理論をぜひ学習してみてください。

・ラッショナル・ビリーフとは
・ポジティブ思考とは
・自分の信念を変える方法
堪える状況を「ABC理論」で乗り越える

ABC理論で心を強く

③正のストローク法で自分を励ます

・ネガティブに注意
堪える状況では、何事もネガティブに考えがちです。ストレスが大きな状況では、否定、自責、他罰、落ち込み、諦めなど、ネガティブな考えに囚われて苦しくなってしまう事もあるかもしれません。

・無条件に自分を肯定しよう
つい自分に対して否定的になってしまう…という自分を応援する方法として

「正のストローク法」

があります。


正のストロークは
「頑張っているね」
「すごいよ」
など、自分自身を褒めたり励ましたりする言動です。

ポイントは無条件に自分を肯定することです。正のストローク法をより詳しく知りたい方は下記をご参照ください。
・抑うつにも効果あり
・「無条件」を大切にしよう
・自分の応援をしてみよう
堪える時には自分を応援「ストローク法」

堪えるを鍛えるリフレーミング

④ソーシャルサポートを増やす

・1人で解決はNG
悩みや問題を、一人で抱え込む必要はありません。堪える状況では、周囲のサポートを頼ることも大切です。このような支援を得るには、人とのつながりを増やす必要があります。

・仲間の支えの有効性
大坪(2017)は、大学生254名に対して、ソーシャルサポートとレジリエンスの関係について調査を行いました。レジリエンスとは、「乗り越える力」を意味します。

調査の結果は下図となります。

青少年のコミュニケションとソーシャルサポート

大切な人(親友、恩師など)のサポートと獲得レジリエンス(後天的に高まるレジリエンス)は関係が深いことがわかりました。

辛い時は深い関係の人と時間を過ごすことで、堪える状況から健康的に立ち直ることができるのです。

ソーシャルサポートをより詳しく知りたい方は下記をご参照ください。
・心を安定させる社会的支援
・コミュニティは数が重要
・3つのコツで所属しよう
堪える状況から立ち直る「ソーシャルサポート」


ここで30秒だけお知らせをさせてください♪ 私たち臨床心理士・精神保健福祉士は、暖かい人間関係のある社会を創ることを目的として、コミュニケーション講座を開催しています。

コミュニケーション講座の様子

心理療法やソーシャルスキルの練習を勉強したい方はぜひお待ちしています。もしコラムを読んでみて、もっと心理学を学習したいと感じたら、下記の看板を参照ください。

心理学講座

助け合い掲示板

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コラム監修

名前

川島達史


経歴

  • 精神保健福祉士
  • 目白大学大学院心理学研究科修士
  • 社会心理学会会員

取材執筆活動など

  • AERA 「飲み会での会話術」
  • マイナビ出版 「嫌われる覚悟」岡山理科大 入試問題採用
  • サンマーク出版「結局どうすればいい感じに雑談できる?」
  • TOKYOガルリ テレビ東京出演


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*出典・参考文献
・藤澤隆史 小島雅彦 2015 逆境経験からの精神的成長を規定する要因の発達学的検討. 発達研究, 29, 95-108.
・Barbara, L. F. et al. 2003 What good are positive emotions in crises? A prospective study of resilience and emotions following the terrorist attacks on the United States on September 11th, 2011. Journal of Personality and Social Psychology, 84 (2), 365-376.
・The American psychological Association : The Road to Resilience on-line,
http://helping.apa.org/ resilience.06.3.2011
・レジリエンスの資質的要因・獲得的要因の分類の試み――二次元レジリエンス要因尺度(BRS)の作成
・平野 真理 2010 パーソナリティ研究
・枝廣淳子 2015 「レジリエンスとは何か─何があっても折れないこころ,暮らし,地域,社会をつくる─」東洋経済新報社
・長内ら(2004)レジリエンスと日常的ネガティブライフイベントとの関連 Annual bulletin of Institute of Psychological Studies, Showa Women’s University 7, 28-38, 2005-03-31
加藤 寛(2006).自然災害とPTSD こころの科学,129,61-65.