>
>
>
パニック障害の原因・治療法を心理面から臨床心理士が解説

パニック障害の原因・治療法を心理面から解説①

はじめまして!臨床心理士の森、精神保健福祉士の川島です。私たちは現在、こちらの初学者向け心理学講座の講師をしています。コラムを読んで興味を持っていただいたら、是非お待ちしています。

本コラムでは「パニック障害」について詳しく解説をしていきます。しっかりと対策をお伝えしたいので全部で8分程度かかります(^^;ちょっと大変ですが。ぜひお付き合いください。

  • パニック障害とは
  • 心理学研究の現状
  • 呼吸法で不安を鎮める
  • 考え方の再構築
  • エクスポージャーで克服
  • 破滅思考の改善

各コーナーにはもっと深く知りたい!という方のためのリンクがあります。まずは全体を読んでみて、気になる場合はリンク先をクリックしてみてください(^^)それでは早速、パニック障害の基礎から解説させて頂きます。

パニック障害とは?

・パニック障害の定義
そもそもパニックとはどのような状態を指すのでしょうか?心理学的には、「強い緊張」「激しい混乱」「急激な不安」を意味します。症状が強い場合は「パニック障害」という診断名がつくこともあります。パニック障害とは、動悸、心悸亢進、息切れなどのパニック発作を繰り返し起こす精神障害とされています。

パニック障害の症状

・パニック障害の特徴
パニック障害について以下の13の特徴のうち、4つ以上ある方は注意が必要です。

① 動悸、心拍数の増加
② 発汗
③ 身震い・震え
④ 息切れ
⑤ 窒息感
⑥ 胸痛またか胸部の不快感
⑦ 腹部の不快感
⑧ めまい、気が遠くなる感じ
⑨ 寒気または熱感
⑩ 異常感覚
⑪ 現実感消失 離人感 
⑫ 抑制感喪失
⑬ 死ぬことに対する恐怖

1か月以上続く場合は、特に精神科や心療内科の受診をお勧めします。典型的な例でいうと、何の前触れもなしに動悸がしてきて息苦しくなり、汗をかき始め、このまま死んでしまうのではないかという恐怖に襲われるのがパニック発作です。

後山ら(2002)の研究では、パニック発作の症状について調査が行われています。婦人心療外来・更年期・閉経外来で治療した1365名の中から、パニック障害と診断した111例を対象に医療面接で調査を行いました。

以下の図は「初回パニック発作の症状の強さ」を表しています。

パニック障害

青いグラフは精神的な症状、赤いグラフは身体的な症状を示しています。なかでも群を抜いて強いのが、「動機」であることが分かります。呼吸が早くなり、場合にはよっては過呼吸になってしまうこともあります。精神的な症状よりも、身体反応の方が強く出ていますね。

定義や特徴をより深く知りたい方は下記をご覧ください
・予期不安ってなに?
・特徴→見極めが困難
・発症年齢は20!?
パニック障害とは何か?意味や定義を解説②

パニック障害の心理学研究

パニック障害になりやすい傾向とはどのようなものがあるでしょうか?陳ら(2003)はパニック障害患者102名と、健常者78名を以下の項目で比較しました。

1.失敗に対する不安
2.行動の積極性
3.セルフエフィカシー

それぞれ結果を見ていきましょう。

1.失敗に対する不安
パニック障害の方は、失敗や、相対外の出来事を嫌う傾向あるとされています。予想外の出来事があるととても不安に感じるのです。以下の図をご覧下さい。

2.行動の積極性
パニック障害の人は、かつて発作が起きた場面や状況から回避する行動が引き起こされるとしています。「また発作が起きるのではないか」と考え、積極的に行動ができないということが指摘されています。

3.セルフエフィカシー
セルフエフィカシーとは、「ある結果を生み出すために必要な行動をどの程度確実にできるかという個人の認知」としています。要は、”物事をどれだけ自分はうまくできそうか”と考えることですね。このセルフエフィカシーは、健常者に比べると低いという結果が出ています。

このようにパニック障害は心理的にマイナスの影響が出やすいと言えますが、心理療法などを活用して改善していくことができます。そのまま放置するのではなく、メンタルヘルスを向上させる練習にぜひ取り組んでいきましょう。

心理学研究をより深く知りたい方は下記をご覧ください。
・失敗への恐怖UP
・積極的に行動できない
パニック障害と「心理学研究」③

傾向-簡易診断とチェック

現在の自分の状況を把握したい方はこちらの診断をご利用ください。症状が重たいか軽いかによって、対応が異なりますので、一度診断してみることをお勧めします。
パニック傾向-簡易診断で自分の状態をチェック④

パニック障害の対応法

パニックは何らかの生活上のストレスや脳の中の神経伝達物質のアンバランスによって起きると考えられています。パニック障害などの治療には脳に作用する薬を用いた薬物療法や心理療法が用いられます。

・薬物療法
主に精神科や精神神経科を受診することで受けられるパニック障害の治療です。薬物療法については当コラムでは取り扱いません。主治医の方に相談してみてください。

・心理療法
臨床心理士等の指導の元、心の面からパニック障害とうまく付き合っていく対応法となります。パニックについての知識をよく知っておくと、その後の対応や治療がうまくいきやすくなります。呼吸法、認知再構成法、など、本コラムでは入門として3つの対応法をご紹介させていただきます。

*注意事項
下記は、軽度~健常レベルでパニックになりやすい方向けの対応法となります。中程度~重度のパニック障害の方は知識として覚えておく程度に抑えて、主治医の方と相談しながら実施してみてください。

①呼吸法で不安を鎮めよう

・リラックスできない人は要注意
学業や仕事に追われてリラックスできない人は、知らず知らずのうちにストレスをため込んでしまい、パニック発作を起こしてしまうことがあります。注意が必要です。

・リラクゼーションを取り入れよう
パニック障害には、呼吸が深くなりすぎたり、息が荒くなったり速くなったりするような呼吸の乱れがつきものです。そのため、パニック発作が起こりそうになった時の対応として、呼吸を自分の力でコントロールできるようになることが大切です。

呼吸を整える技法を“呼吸法”と呼びます。呼吸法は、気軽にできるリラクゼーション法のひとつなので、パニック障害の症状が無い方も身につけておくと、疲れを癒したり、緊張をほぐしたりするのに役立ちます。

リラクゼーションをより深く知りたい方は下記をご覧ください。
・6秒に1回鼻呼吸
・1回5分、1日4回実践
・落ち着いた場所で…
パニック障害の原因と対応法「呼吸法」で症状を軽減⑤

呼吸を整えてパニック障害の原因に対応

②考え方の再構築をしてみよう

・破局的な考えに注意
パニック障害の方やパニックになりやすい方は、“死んでしまうのではないか”“心臓発作に発展するのではないか”など、最悪の状況を想像することが原因となるケースもあります。破局的な考えが強いと、パニック発作が起こりそうになる状況をつい避けてしまって、生活に支障が出る場合があります。

・認知再構成法で切り替えよう
考え方を切り替えると言っても、無理に楽観的に前向きに考える必要はありません。あくまでも、現実に照らし合わせてみて、事実として何が言えるのかを考えます。ポイントとして、以下の点をチェックしてみてください。

①破局的な結論を
 予想しすぎていないか?

②0か100かのような、
 あまりに極端な考え方をしていないか?

③「~にちがいない」
 などと決めつけすぎていないか?

④小さな失敗を
 大きな失敗だ!
 ととらえていないか?

考え方の再構築をより深く知りたい方は下記をご覧ください。
・認知を切り替える重要性
・破局思考を止めるには
・ヒロコさんの事例で考えてみる
パニック障害の原因と対応法「認知再構成法」-不安や恐怖を緩和⑥

③エクスポージャーで不安を乗越える

・パニック障害→行動の幅が狭くなる
先ほど解説した通り、パニック障害を発症すると予期不安や回避行動のため、外出したり電車に乗ったりすることが難しくなり、学校や仕事、家事が普段通りにこなせなくなる場合も出てきます。

・段階的に不安に慣れていこう
予期不安や回避行動が原因の場合、不安な場所や状況に少しづつ慣れていく事が対応のポイントです。

当コラムでは、不安に感じる状況に少しずつ近づいていく「エクスポージャー」という対応法をご紹介します。

パニック障害 治し方

具体的には、上記の図のように、不安の度合いが比較的低い場所に行ってみて上手くいったら、その次に不安の度合いが高い所にチャレンジしていきます。だんだんと不安な状況に慣れて行くことで行動範囲を広げていきます。

エクスポージャーを深く知りたい方は下記をご覧ください。
・何が怖いのか明確に
・ゴール設定を設定
・小さなゴールの作り方
パニック障害の原因と対応法「エクスポージャー」‐回避症状を克服⑦


ここで30秒だけお知らせをさせてください♪ 私たち臨床心理士・精神保健福祉士は、暖かい人間関係のある社会を創ることを目的として、コミュニケーション講座を開催しています。

心理療法やソーシャルスキルの練習を勉強したい方はぜひお待ちしています。もしコラムを読んでみて、もっと心理学を学習したいと感じたら、こちらの心理学教室のページを参照ください。それでは先に進みましょう!

パニック障害と付き合っていく

パニック障害の方・パニックになりやすい方は、不安や苦痛が強く、行動範囲が狭まくなってしまいます。しかし、心理療法で改善が見込める症状でもあります。これからご紹介するパニック障害の対応法を知ることで、パニックになりやすい心の改善を目指していきましょう。

次回は、パニック障害とうまく付き合う対応法の1つ目「呼吸法で不安を鎮めよう」についてご紹介します。(もう少し下に次のコラムボタンがあります)

★パニック障害の用語や特徴 原因や対応を理解して 改善を目指そう

目次

①パニック障害-概観
②意味や定義を解説
③心理学研究の現状
④自分の状態をチェック
⑤「呼吸法」で症状を軽減
⑥「認知再構成法」-不安緩和
⑦エクスポージャーで克服

コメント

コメントを残す

コラム監修

名前

川島達史


経歴

  • 精神保健福祉士
  • 目白大学大学院心理学研究科修士
  • 社会心理学会会員

取材執筆活動など

  • AERA 「飲み会での会話術」
  • マイナビ出版 「嫌われる覚悟」岡山理科大 入試問題採用
  • サンマーク出版「結局どうすればいい感じに雑談できる?」
  • TOKYOガルリ テレビ東京出演


ブログ→
YouTube→
Twitter→

*出典・引用文献
藤井泰ら(2016) 特集 精神疾患の予防と早期治療アップデート 不安症への早期介入. 精神医学, 58(7), 597-603.
Kessler RC et al. (2006)The epidemiology of panic attacks, panic disorder, and agoraphobia in the National Comorbidity Survey Replication. Archives of General Psychiatry, 63, 415-424.
高橋三郎ら監訳(2014) DSM-5精神疾患の診断・統計マニュアル. 医学書院.
新村出編(2008)広辞苑第6版. 岩波書店.

NCS調査(National Comorbidity Survey) 1990-92、2001-02
貝谷 1997 「パニック障害」 頻度と特徴
川上憲人 2006 こころの健康についての疫学調査に関する研究

陳 峻叟 形岡 美穂子 鈴木 伸一 熊野 宏昭 貝谷 久宣 坂野 雄二 川村 由美子 (2003)広場恐怖を伴うパニック障害患者における一般性セルフ・エフィカシー尺度の特徴に関する検討 2003 年 43 巻 12 号 p. 821-828

後山ら(2002)婦人心療外来で治療したパニック障害の発症状況と臨床像の調査 2002 年 7 巻 1 号 p. 76-80