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パニック障害の原因・治療法を心理面から解説

パニック障害の原因・治療法

はじめまして!公認心理師の川島です。今回のテーマは
「パニック障害」
です。

  • 改善するお悩み
  • 不安や恐怖が急につよくなる
  • 様々な場面を回避する
  • 不安になりやすく行動できない

全体の目次
・パニック障害とは何か?
・心理的研究
・簡易診断-チェック
・認知行動療法

読み進めていくと、基本的な知識と対策を抑えることができると思います。是非入門編は最後までご一読ください。

パニック障害とは?

パニックの意味

まずはじめに「パニック」という用語の意味を抑えましょう。パニックとは

恐怖や不安にかられた人々のヒステリックな集団逃走及び混乱状況。行動に表出する前段階の、緊迫した心理的混乱状況(心理学辞典,有斐閣1999)

とされています。もともとギリシャの神話からきた言葉だと言われています。

古代ギリシャの人々は、羊が理由もなく、恐怖にかられる姿をみました。ヒツジは我先にと逃げ出します。この現象を「パーン」という神様がいて驚かしていると考えたのです。

パニック,語源,羊

パニックという言葉はこのように最初は神話の世界の転用として使われていましたが、社会心理学、臨床心理学、精神医学の世界でも使用されるようになっていきました。

パニック障害,意味と診断基準

パニックが強くなると、パニック障害(最新の基準ではパニック症)と診断されることがあります。

突然理由もなく、動悸やめまい、発汗、窒息感、吐き気、手足の震えといった発作を起こし、そのために生活に支障が出ている状態(厚生労働省)

典型的な例でいうと、何の前触れもなしに動悸がしてきて息苦しくなり、汗をかき始め、このまま死んでしまうのではないかという恐怖に襲われます。

パニック障害について以下の13の特徴のうち、4つ以上当てはまる方と言われています。

① 動悸、心拍数の増加
② 発汗
③ 身震い・震え
④ 息切れ
⑤ 窒息感
⑥ 胸痛またか胸部の不快感
⑦ 腹部の不快感
⑧ めまい、気が遠くなる感じ
⑨ 寒気または熱感
⑩ 異常感覚
⑪ 現実感消失 離人感 
⑫ 抑制感喪失
⑬ 死ぬことに対する恐怖

 

パニック障害の症状

パニック障害の特徴

以下パニック障害の特徴について、それぞれ詳しく解説しました。調べたいタイトルがありましたら展開してみてください。

後山ら(2002)の研究では、パニック発作の症状について調査が行われています。婦人心療外来・更年期・閉経外来で治療した1365名の中から、パニック障害と診断した111例を対象に医療面接で調査を行いました。

以下の図は「初回パニック発作の症状の強さ」を表しています。

パニック障害

青いグラフは精神的な症状、赤いグラフは身体的な症状を示しています。なかでも群を抜いて強いのが、「動機」であることが分かります。

呼吸が早くなり、場合にはよっては過呼吸になってしまうこともあります。精神的な症状よりも、身体反応の方が強く出ていますね。

パニック障害はそれほど珍しい病気ではなく、100人に2人ほどの割合で罹患すると言われています。

アメリカで行われたNCS疾病調査(1990-92、2001-02)によると、その割合は増加傾向にあります。

男女差はあまりありませんが、女性の方がやや多いようです。

パニック障害の発症年齢は幅広いですが、20代前半と30代半ばで発症している人が多いです(図1)。そもそも日本では、精神疾患の知識を学ぶことが少なく、気が付いたら重症化しているケースがかなりあります。

貝谷(1997)は、パニック障害には動機や発汗などの身体症状も見られるため、患者は内科や循環器科を訪れるケースがあることを報告しています。身体的な不調のみに注目して何年も症状が改善されないというケースは珍しいものではありません。

筆者の川島は、パニック障害ではないですが、社交不安障害の経験があり引きこもりとなりました。8年近くそういった障害があることを知りませんでした。社会的な啓蒙活動が必要と感じています。

合併症

パニック障害の35%にうつ病が併存するという調査があります(Kessler , 2006)。うつ病以外にも、不安障害(全般性不安障害や社交不安障害など)を合併することがあると言われています(藤井ら, 2016)。このように、パニック障害はその他の精神疾患を合併することが多いと考えられます

混同されやすい

パニック障害には、他の精神疾患や身体疾患と混同されてパニック障害を患っていることに気づかないという特徴があります。

パニック障害は、社交不安障害やうつ病といった他の精神疾患と合併して発症していることがあり、その見極めが難しいときがあります(川上、2006)。

 

パニック障害の心理学研究

パニック障害になりやすい傾向とはどのようなものがあるでしょうか?陳ら(2003)はパニック障害患者102名と、健常者78名を以下の項目で比較しました。

・失敗に対する不安
・行動の積極性
・セルフエフィカシー

それぞれ結果を見ていきましょう。

失敗に対する不安が強い

パニック障害の方は、失敗や、相対外の出来事を嫌う傾向あるとされています。予想外の出来事があるととても不安に感じるのです。以下の図をご覧下さい。

積極性が低い

パニック障害の人は、かつて発作が起きた場面や状況から回避する行動が引き起こされるとしています。「また発作が起きるのではないか」と考え、積極的に行動ができないということが指摘されています。

セルフエフィカシーが低い

セルフエフィカシーとは、「ある結果を生み出すために必要な行動をどの程度確実にできるかという個人の認知」としています。

要は、”物事をどれだけ自分はうまくできそうか”と考えることですね。このセルフエフィカシーは、健常者に比べると低いという結果が出ています。

このようにパニック障害は心理的にマイナスの影響が出やすいと言えますが、心理療法などを活用して改善していくことができます。そのまま放置するのではなく、メンタルヘルスを向上させる練習にぜひ取り組んでいきましょう。

傾向-簡易診断とチェック

ここからはパニック障害の心理的な改善法方法を解説してきます。成果を把握するために簡易診断を用意しました。定期的なチェックをおすすめします。

パニック障害の2つの治療法

パニック障害の治療には大きく分けて、薬物療法、心理療法の2つがあります。

薬物療法

精神科や心療内科では薬物療法を受けることが基本になります。SSRI,抗不安薬が処方されることが多いです。特に症状が強い方は、医療機関の力を借りることも大事になってきます。

本コラムでは心理療法を主に解説するため、割愛いたします。精神科医の方のコラムなど参考にしてみてください。

心理療法

公認心理師や臨床心理士等の指導の元、心の面からパニック障害とうまく付き合っていく対応法となります。パニックについての知識をよく知っておくと、その後の対応や治療がうまくいきやすくなります。

本コラムでは
入門として
・認知行動療法

発展編として
・現実検討力
・森田療法
・逃げ癖改善法
・緊張緩和

を紹介します。

*注意事項
下記は、軽度~健常レベルでパニックになりやすい方向けの対応法となります。中程度~重度のパニック障害の方は知識として覚えておく程度に抑え、主治医の方と相談しながら実施してみてください。

 

呼吸を整えてパニック障害の原因に対応

治療法の基礎-認知行動療法

認知行動療法は、認知療法、行動療法、マインドフルネス療法が組み合わさった心理療法です。パニック障害をお持ちの方が最初に学ぶ心理療法として世界的に有名です。

認知療法

パニック障害の方やパニックになりやすい方は、“死んでしまうのではないか”“心臓発作に発展するのではないか”など、最悪の状況を想像することが原因となるケースもあります。

①破局的な結論を予想しすぎていないか?
②0か100かのような、あまりに極端な考え方をしていないか?
③「~にちがいない」などと決めつけすぎていないか?

など思考の歪みを見つけ、これを修正していく練習をします。

行動療法

先ほど解説した通り、パニック障害を発症すると予期不安や回避行動のため、外出したり電車に乗ったりすることが難しくなり、学校や仕事、家事が普段通りにこなせなくなる場合も出てきます。

予期不安や回避行動が原因の場合、不安な場所や状況に少しづつ慣れていく事が対応のポイントです。

パニック障害 治し方

具体的には、上記の図のように、不安の度合いが比較的低い場所に行ってみて上手くいったら、その次に不安の度合いが高い所にチャレンジしていきます。だんだんと不安な状況に慣れて行くことで行動範囲を広げていきます。

マインドフルネス療法

マインドフルネス療法は、不安や恐怖を客観的に眺め、冷静になる練習をしていきます。イメージとしては禅に近いです。特に気持ちを落ち着ける、恐怖心とうまく付き合う上で有効な心理療法です。

マインドフルネス力は瞬間瞬間でも活用できるというメリットもあります。

パニック障害コラムでは概要のみとなりますが、基礎からじっくり学びたい場合は、下記のコラムを参考にしてみてください。

認知行動療法コラム

パニック障害,心理療法

治療法の発展

ここからはパニック障害の方が学ぶことが多い心理学の知識をお伝えします。気になるタイトルがありましたら参考にしていてください。

森田療法

森田療法は日本の古典的な心理療法です。森田療法では、パニックになる自分を否定することなく、ありのままの自分を認める練習をします。特にあるがまま、気分本位、目的本位という概念はとても気づきのある考え方です。

森田療法

現実検討力

パニック障害になる方は、非現実的な思考で悩む傾向があります。そこで心理療法では、「現実検討力」を高める練習をします。確率が低いことで悩んでいる、思い込みが激しい方は、一度現実的に考える練習をしてみましょう。

現実検討力を高める練習

緊張をほぐす

パニックと緊張は切っても切り離せない関係にあります。緊張の原理とほぐし方を知りたい方は下記のコラムを参考にしてみてください。

緊張を和らげる,ほぐす方法

心理療法,薬物療法の違い

パニック障害について、心理療法で回復を目指すのか、薬物療法で回復を目指すのかは誰もが迷うところだと思います。両者のメリット,デメリットを解説しました。参考にしてみてください。


私たち公認心理師・精神保健福祉士は、心理療法の基礎を学ぶ講座を開催しています。本コラムでも紹介した、認知療法、マインドフルネスなどをしっかり学んでいきます。

もしコラムを読んでみて、本格的に学習したいと感じたら、ぜひ下記の看板を参照ください。お待ちしています(^^)

助け合い掲示板

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コラム監修

名前

川島達史


経歴

  • 公認心理師
  • 精神保健福祉士
  • 目白大学大学院心理学研究科修士

取材執筆活動など

  • AERA 「飲み会での会話術」
  • マイナビ出版 「嫌われる覚悟」岡山理科大 入試問題採用
  • サンマーク出版「結局どうすればいい感じに雑談できる?」
  • TOKYOガルリ テレビ東京出演


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*出典・引用文献
藤井泰ら(2016) 特集 精神疾患の予防と早期治療アップデート 不安症への早期介入. 精神医学, 58(7), 597-603.
Kessler RC et al. (2006)The epidemiology of panic attacks, panic disorder, and agoraphobia in the National Comorbidity Survey Replication. Archives of General Psychiatry, 63, 415-424.
高橋三郎ら監訳(2014) DSM-5精神疾患の診断・統計マニュアル. 医学書院.
新村出編(2008)広辞苑第6版. 岩波書店.

NCS調査(National Comorbidity Survey) 1990-92、2001-02
貝谷 1997 「パニック障害」 頻度と特徴
川上憲人 2006 こころの健康についての疫学調査に関する研究

陳 峻叟 形岡 美穂子 鈴木 伸一 熊野 宏昭 貝谷 久宣 坂野 雄二 川村 由美子 (2003)広場恐怖を伴うパニック障害患者における一般性セルフ・エフィカシー尺度の特徴に関する検討 2003 年 43 巻 12 号 p. 821-828

後山ら(2002)婦人心療外来で治療したパニック障害の発症状況と臨床像の調査 2002 年 7 巻 1 号 p. 76-80