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パニック障害の意味・原因・治療法・症状を専門家が解説

パニック


パニック障害の意味・原因・治療法・症状のチェック-臨床心理士が解説①

パニック障害を専門家が解説

みなさんはじめまして!臨床心理士の森です。私は臨床心理士として精神疾患を抱える方へのカウンセリングや交流分析の講義を行っています。当コラムは「パニック障害」をテーマに専門家が解説をしています。全部で5コラムあります。しっかりとお伝えしたいので全部で8分程度かかります(^^;ちょっと大変ですが。是非お付き合いください。

皆さんは「パニック」という言葉を聞いて何を思い浮かべますか?「パニック」という言葉には、大きく分けて3つの意味があります。

①恐慌による混乱
②火事や地震などで起こる群衆の混乱。
③突然、強い不安感に襲われて動悸がする
 パニック発作やパニック障害のこと

このコラムでは、③の意味の「パニック障害」を取り上げ、正しい知識と対処法を全5回のコラムで解説していきたいと思います。

パニック障害とは?

パニック障害とはまずはパニック障害に関連してよく使われる言葉を簡単に説明します。

パニック発作
前触れなく突然、心臓がばくばくする、息ができなくなる、めまいがする、冷や汗をかく、手足が震えるなどの症状が10〜30分持続し、死の恐怖を味わう発作のこと

予期不安
パニック発作が起きた後、“また発作が起こるかもしれない”と不安が強くなること

パニック障害
パニック発作が繰り返し起こり、予期不安が生じる病気のこと

回避行動・広場恐怖
以前パニック発作が起きた場所やパニック発作が起きたら逃げられない場所を避けるようになること。例えば、地下鉄や飛行機、映画館など

ごくシンプルに言いますと、パニック障害とは、“繰り返されるパニック発作+予期不安”が特徴です。これに回避行動や広場恐怖が伴う場合もあり、中には強い不安のために外出がままならなくなる方もいます。

パニック障害かな?と思ったら・・・

パニック障害についての詳しい解説はこれからしますが・・・もし今の時点で、もしくは読み進めている途中で、“自分はパニック障害かもしれない”と思ったら、専門機関を受診することをお勧めします。専門家にきちんと診断してもらい、適切な治療を受けることで、症状を良くすることが期待できるからです。具体的には、パニック障害や不安障害を診てくれる精神科・精神神経科に行くと良いでしょう。それでは、ここからパニック障害の詳しい解説に入ります。

パニック障害の特徴

・パニック障害の疫学
パニック障害はそれほど珍しい病気ではなく、100人に2人ほどの割合で罹患すると言われています。早ければ10代から、多くは20~30代で発症します。男女差はあまりありませんが、女性の方がやや多いようです。以前は心臓神経症や不安神経症と呼ばれていました。最近は、“パニック症”と呼び名が変わりましたが、このコラムでは、なじみのある“パニック障害”を使うことにします。

・パニック障害は精神疾患の合併が多い
パニック障害の35%にうつ病が併存するというアメリカでの調査があります(Kessler , 2006)。うつ病以外にも、不安障害(全般性不安障害や社交不安障害など)を合併することがあると言われています(藤井ら, 2016)。このように、パニック障害はその他の精神疾患を合併することが多いと考えられます。

パニック障害の診断

もし専門機関を受診したら、どのように診断されるのでしょうか。詳しく見ていきましょう。まずポイントが3つあります。

(1)予期しないパニック発作が繰り返し生じている

(2)発作が起きるのではないかという心配がある(予期不安)。
  もしくは発作を避けるような行動等をとっている(回避行動)

(3)上記の(1)と(2)が1ヶ月以上続いている

このうち、(1)に出てくるパニック発作とは、“突然、激しい恐怖または強烈な不快感の高まりが数分以内でピークに達し、その時間内に、以下の13の症状のうち4つ以上が起こること”と定義されます。

パニック障害の診断項目

 

典型的な例でいうと、何の前触れもなしに動悸がしてきて息苦しくなり、汗をかき始め、このまま死んでしまうのではないかという恐怖に襲われるのがパニック発作です。これらの症状は10分以内にピークに達し、30分以内におさまるというのも特徴です。あまりに激しい症状と苦しさのため、救急車を呼ぶ人もいるほどです。

・「予期不安」「回避」とは

 さらに、(2)予期不安と回避行動は、少し難しく言うと次のように定義されています。

・予期不安
更なるパニック発作またはその結果について持続的な懸念または心配になる。“またパニック発作が起きたらどうしよう”という不安が付きまとうことを指します。予期不安があるかどうかはパニック障害の診断の際に非常に重要です。

・回避行動
発作に関連した行動の意味のある不適応的変化(パニック発作を避けるような行動)。パニック発作が起きたら困る状況や場所を避けることを指します。助けが得られない、あるいは逃げ出しにくい状況や場所に対して恐怖心をもつのです。

予期不安と回避行動があるために、教室に入れなくなったり、電車に乗れなくなったりして、ついには外出することができなくなっていくこともあります。このように、パニック障害は日常生活や社会生活が狭まってしまう病気なのです。

パニック障害の原因・治療法

パニック障害の原因と治療法パニック障害は何らかの生活上のストレスがきっかけとなって起こることが多いと言われています。しかし、ストレスはきっかけにすぎません。直接的な原因は脳の中の神経伝達物質のアンバランスによって起きると考えられています。

治療には脳に作用する薬を用いた薬物療法や心理療法が用いられます。薬物療法は、主に精神科や精神神経科を受診することで受けられる治療です。そこで本コラムでは、パニック障害の治療法として代表的な心理療法の技法を3つご紹介させていただきます。

*注意事項
下記の対処法は、健常者レベルでパニックになりやすい方向けの対処法となります。重度のパニック障害の方は知識として覚えておく程度に抑えて、主治医の方と相談しながら実施してみてください。

①呼吸法で不安を鎮めよう

リラックスできない人は要注意
学業や仕事に追われてリラックスできない人は、知らず知らずのうちにストレスをため込んでしまっている危険性があります。ストレスがきっかけでパニック発作が起こることがありますから、注意が必要です。

リラクゼーションを取り入れよう
こまめな息抜きをし、生活に呼吸法というリラクセーションを取り入れることは大切です。また、パニック発作が起こりそうになった時にリラックスできるように練習すると、発作をコントロールすることも期待できます。

当コラムでは、パニック発作と関連の深い、呼吸に焦点を当てた方法について詳しく触れたいと思います。リラックス方法を具体的に確認したい…という方は、コラム②を読んでみてください。

②考え方の再構築で不安を切替える

不安に陥りやすい破局的な考えに注意
パニック障害の人がよく考えることの中には、“パニック発作がエスカレートして死んでしまうのではないか”“心臓発作に発展するのではないか”“コントロールを失って失禁してしまうのではないか”などと最悪の状況を予想しているものがあります。こうした考えが強いと、パニック発作が起こりそうになる状況をつい避けてしまって、生活に支障が出る場合があります。

認知再構成法で切り替えよう
パニック障害でよく用いられる治療技法の中に、認知再構成法というものがあります。これは、認知つまり考えを切り替えて、辛い気持ちを軽減させようとする方法です。

例えば、“もしパニック発作が起きそうになったら、
”“工夫すればひとりで対処できるから大丈夫”“
”“どうしても困ったら近くにいる人に助けてもらおう”“

と現実的に考え直してみると、少し気が楽になります。不安な考えがグルグル頭を駆け巡る…という方は、コラム③で認知再構成法の解説を確認してみてください。

③エクスポージャーで不安を乗越える

パニック障害は行動の幅が狭くなる
前にも書いた通り、パニック障害を発症すると、予期不安や回避行動のために外出したり電車に乗ったりすることが難しくなっていきます。そのために、学校や仕事、家事が普段通りにこなせなくなる場合も出てきます。

段階的に不安に慣れていこう
そうした状態から元の生活に戻るために、不安に感じる状況や場所に少しずつ近づいてみる、エクスポージャーという技法を用いることがあります。

具体的には、不安の度合いが比較的低い場所に行ってみて、うまくいったら、その次に不安の度合いが高い所にチャレンジしてみるのです。そうして、だんだんと行動範囲を広げていくのです。エクスポージャーについて詳しく知りたい!という方は、コラム④をご覧ください。

パニック障害を改善しよう

パニック障害は発症すると、不安や苦痛が強く、行動範囲が狭まってしまう病気です。しかし、早めに発見して治療を受ければ改善が見込める病気でもあります。これからご紹介する改善につながる方法を知ることで、パニック障害の改善を目指していきましょう。1日では難しいと思うのでブックマークしてゆっくり取り組んでみてくださいね(^^)

次回は、パニック障害の改善策の1つ目「呼吸法で不安を鎮めよう」についてご紹介します。お楽しみに!(もう少し下に次のコラムボタンがあります)

★パニック障害の 用語や特徴を理解して改善を目指そう
コミュニケーション講座

*出典・引用文献
藤井泰ら(2016) 特集 精神疾患の予防と早期治療アップデート 不安症への早期介入. 精神医学, 58(7), 597-603.
Kessler RC et al. (2006)The epidemiology of panic attacks, panic disorder, and agoraphobia in the National Comorbidity Survey Replication. Archives of General Psychiatry, 63, 415-424.
高橋三郎ら監訳(2014) DSM-5精神疾患の診断・統計マニュアル. 医学書院.
新村出編(2008)広辞苑第6版. 岩波書店.



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