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社交不安障害の原因

社交不安障害/社会不安障の原因とメカニズム②

コラム①では、社交不安障害のチェックリストをご紹介し、原因と解決策ををご説明しました。重要な要素としては、

①社会不安障害のメカニズム
②認知療法で現実的に考える
③逃げ癖を直す・回避への対処
④SSTで会話力を付ける
⑤緊張を緩めるリラックス法
⑥森田療法で受け入れる
⑦薬物療法、精神科の利用

の7つでしたね。

今回は、「①社会不安障害のメカニズム」についてご紹介します。

社交不安をセルフチェック

公的-私的自己意識

先程お伝えした堀井・小川(1996)の研究よると対人恐怖心性には、「他人が気になる」「人の目が気なる」という項目がありました。人の目が気になるという気持ちはかなりの部分で社交不安障害と関連しています。

私たちはには自意識がありますが、この自意識は心理学的に2つの種類があります。

「公的自己意識」・・・他人の目を気にする
「私的自己意識」・・・自分がどうありたいかを大切にする

この2つのうち社交不安障害の方は、公的自己意識に偏りすぎていると考えられます。他人の目を気にするあまり、相手と目を合わせるのが怖くなってしまうのです。

堀井(2001)の研究では、公的自己意識・私的自己意識と、対人恐怖との関連が調べられています。実験では、高校生256名、大学生271名、計527名の青年を対象に質問紙を用いて、調査を行いました。その結果が以下の図になります。

視線恐怖症

まずは男子から見ていきましょう。特に「公的自己意識」に大きな影響を与えているのは、「自分や他人が気になる心性」であることが分かります。一方で、どの心性も私的自己意識にはほぼ影響がないと言えます。

人の目が気になる

次に女子はどうでしょうか。男子に比べて公的自己意識への影響が大きいことが分かります。女子の周囲からの評価を気にする傾向にあるのですね。しかし、私的自己意識では、若干の負の相関があるものの、ほぼ影響ない程度です。

不安コントロールが苦手

社交不安障害(SAD)をはじめとする不安障害の方は、否定的な感情や緊張などの身体の変化があると、感情をコントロールできず、混乱しやすいと考えられています。城月健太郎(2013)は、社交不安障害(SAD)患者14名と大学生251名に対し、不安のコントロール感に関する調査を行いました。結果が下図となります。

大学生の方が点数が高く、SAD患者のグラフが小さくなっていますね。これは健康的な大学生は不安をコントロールできる感覚があり、SAD患者は不安をコントロールできない感覚があることを示しています。このように不安をコントロールできない状態が続くと、社交不安障害が長期化する恐れがあるため注意が必要です。

身体症状と社交不安障害

社交不安障害は交感神経が優位な状態で起こりやすい

と言えます。交感神経が優位な状態は、健康的な範囲であれば、心身が「集中モード」になっていると言えるので、パフォーマンスの向上に役立ちます。

しかし、過剰になると

・顔がこわばる
・手足が震える
・汗をかく
・対人場面を頻繁に回避する

このような身体症状が現れます。さらにはその症状が一度あると、次顔が赤くなったらどうしよう、緊張して固まってしまったらどうしようという予期不安につながり、対人場面を避ける要因になってしまうのです。予期不安は社交不安障害に特徴的で、人と接する前から失敗するイメージを過剰にしてしまうなどが挙げられます。

・身体症状と悪循環

このような身体症状が社交不安障害を悪化させるプロセスは以下のようにあらわされます。

①人の目を気にする
  ↓
②顔が赤くなる(赤面状態になる)
  ↓
③赤面状態を見られたくない
  ↓
④対人場面を避けてしまう。
  ↓
⑤不安が大きくなり赤面が強くなる

というように、悪循環となってしまいます。このように、①から⑤が繰り返され、悪い循環が続いていってしまいます。身体症状が強い場合は副交感神経を活性化させる、リラクゼーション法が有効になることもあります。

社交不安障害を克服!

社交不安の仕組みを知ろう

今回は、社交不安障害のメカニズムを解説していきました。周りにどう見られているかを過剰に気にする傾向や、不安コントロールが苦手、身体症状へのこだわりが原因でしたね。次回以降からは具体的な対処法をお伝えしていきます。社交不安の特徴に心当たりがある方は、ぜひ参考にしてみてくださいね。

次回は、「②認知療法で現実的に考える」を解説していきます。

★社交不安のメカニズムを把握しよう!

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目次

①社交不安障害-概観
②社交不安障害のメカニズム
③「認知行動療法」とは
④「回避行動」の対処法
⑤「会話力の不足」はSSTで改善
⑥「予期不安」を克服しよう
⑦原因を森田療法で克服
⑧薬物療法・精神科での治療
⑨社交不安障害-簡易診断

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コラム監修

名前

川島達史


経歴

  • 精神保健福祉士
  • 目白大学大学院心理学研究科修士
  • 社会心理学会会員

取材執筆活動など

  • AERA 「飲み会での会話術」
  • マイナビ出版 「嫌われる覚悟」岡山理科大 入試問題採用
  • サンマーク出版「結局どうすればいい感じに雑談できる?」
  • TOKYOガルリ テレビ東京出演


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*出典・参考文献
城月 健太郎・児玉 芳夫・野村 忍・足立 總一郎 2013 不安のコントロール感に関する基礎的検討―社交不安障害の観点から― 心身医学, 53:408-415
堀井俊章(2001) 青年期における自己意識と対人恐怖心性との関係 山形大学紀要12,4