>
>
>
絶望からの回復!失敗・挫折を乗り越える方法

絶望からの回復!失敗・挫折を乗り越える方法②

コラム①では、絶望感から引き起こされる問題の原因をあげました。

具体的には「①回復の見通しがつかない」「②破滅的思考」「③自分ひとりで問題を抱え込む」が3つが大きく関わっていることがわかりましたね。今回は原因の1つである「①回復の見通しが立たない」を解決するためのコラムです。 

絶望しているときは「この苦しみや悲しみが、ずっと続くのではないか?」という不安が強い状態です。そのためまずは、絶望状態からの回復の見通しを立てましょう。

回復の見通しを立てることで不安を軽減することにつながります。見通しを持つのに最適な方法として今回は「フィンクの適応理論」を紹介します。

フィンクの適応理論とは?

フィンクの適応理論とは、危機を経験した本人がその状況を受け入れていく過程と、各過程で支援者として適切な支援方法を示した理論モデルです。具体的には、以下の4段階から構成されています。

フィンクの適応理論

【危機を経験した本人の適応までの過程】
衝撃
危機を経験するとパニック状態になる。
防御的退行
その出来事は、現実には起こらなかったのではないか?などと考える。
承認
怒りや悲しみなどの感情が生じる。
適応 
新しい価値観を見出す。

【危機を経験した人と関わる支援者の過程】
衝撃
まずは、安全を確保し、静かに見守る。
防御的退行
本人を否定することのないようにありのまま受け止める。
承認
本人が問題を解決できるように援助する。
適応
努力したことを認め、成果をフィードバックする。本人のモチベーションが高まるよう支援する。

このように、人が危機を経験し絶望したときには、以上の4つの段階をたどるとしています。つまり、この4つの過程をうまく通過することが、スムーズな回復につながるのです。そして、危機を経験した人を支援する支援者も、それぞれの過程で関わり方が変わっていきます。このような理論は、看護の現場で使用されています(小島,2013)。

今回はこのフィンクの適応理論を使って、危機を経験し絶望している自分が、今どのあたりにいるのか?を考えていきましょう。また当コラムは支援者が読んでいる可能性もあります。支援者の視点でも4つの段階の適切な過ごし方を見ていきましょう。

・絶望経験の段階を知ろう-練習問題
まずは例題を元に手順を確認していきましょう。

絶望感の乗り越え方を紹介<例題>
高校生3年生のAさんは、高校入学時から目指していた第一志望の大学の入試結果が不合格だったことが2日前にわかりました。第二志望だった大学には合格しているのですが、第一志望の大学で4年間過ごすことを夢見ていたAさんにとっては絶望的な状況です。家族や友達からは気持ちを切り替えて新生活の準備をしようといわれているのですが、Aさんはその言葉を受け入れられず、もう自分は立ち直れないと強い悲しみを感じています。

現在のAさんの状況は<第一段階:衝撃>です。

・2日前に不合格の結果がわかった。
・誰の言葉の受け入れられない、悲しみが強い状況。

段階ごとにAさんの回復までの過程を見ていきましょう。支援者の視点に関しては、自分が自分の支援者として考えてみましょう。

段階1:衝撃
→状態:状況を受け入れられない、強い悲しみ、後悔を溜め込んでいる。
→支援者の視点:安全に保護して、温かく静かに見守る。

<Aさんの対処法>
ゆっくりと疲れを取る。しっかり眠り、自分の好きな紅茶を飲んでリラックスする。

段階2:防御的退行
→状態:信じたくない気持ちが強くなる。受験前に戻りたいなどの考えが巡る。
→支援者の視点:現実に直面させないように、否定することの無いようありのままを受け止める。

<Aさんの対処法>
「本当につらいよね」「どうしていいかわからないよね」などの言葉を自分にかける。自分の気持ちをノートに書いて、慰めの言葉を書く。

段階3:承認
→状態:悲しみやつらさを言葉で表現できるようになる。悔しさも出てくる。
→支援者の視点:本人自身が問題解決できるように支援する。

<Aさんの対処法>
自分の悲しみや悔しさから逃避せず、きちんと感情を感じて立ち直ろうとしている自分をねぎらう。

段階4:適応
→状態:視野が広がってきて悲しみも和らいでくる。
→支援者の視点:努力したことや、その成果をフィードバックし、本人に達成感をもたらし動機づけを促す。

<Aさんの対処法>
自分がここまで悔しく思えるほど努力したことを認める。第二志望の大学でしかできないことを挙げて見る。

絶望感から回復する方法Aさんは、絶望していた状況を受け止め、少しずつ前に進むことができるようになりました。このように段階をスキップして回復につなげようとするのではなく、感じていることを感じるままにすることでつらい気持ちを整理しながら次の段階に進むことができます。

つづいて練習問題に取り組んでいきましょう。

<練習問題>
あなたが絶望している状況で今自分がどのあたりにいるかを見てみましょう。そして今いる場所で自分が自分の援助者としてできることを考えてみましょう。

段階1:衝撃
→状 態「           」
→支援者の視点:安全に保護して、温かく静かに見守る。
→対処法「           」

段階2 防御的退行
→状 態「           」
→支援者の視点:現実に直面させないように、否定することの無いようありのままを受け止める。
→対処法「           」

段階3 承認
→状 態「           」
→支援者の視点:本人自身が問題解決できるように支援する。
→対処法「           」

 

段階4 適応
→状 態「           」
→支援者の視点:努力したことや、その成果をフィードバックし、本人に達成感をもたらし動機づけを促す。
→対処法「           」

最後にワークで感じた感覚をしっかり味わいましょう!

絶望は適応の見通しを立てて回復!

練習問題はいかがでしたか。「絶望してこのまま回復できないのではないか・・・?」と感じている状況で、適応までの見通しを立てることができると、次のような効果が得られます。

・ゆっくりと休息が取れる
・安心感が生まれる
・未来への不安やストレスを軽減できる

Pennebaker (1985)は、思考や感情、行動を意識的に抑制しようとすることは、大変エネルギーを使うため、長期間に及ぶと身体的にはストレスとなり医学的な問題をもたらすことを明らかにしています。 感じることは感じるままにしてゆっくり休息を取ることが回復への近道です。

まずは、現状を確かめ、各段階で自分にあった対処法を使ってみましょう。ぜひ絶望状態で不安が強いというときに参考にしてみて下さいね!

次のコラムでは、絶望感から引き起こされる問題の原因「②破滅的思考」の 対策「認知療法で破滅的思考を解消!」についてご紹介します。

★フィンクの適応理論で今の自分を理解!
★自分が自分の援助者になる!
★感情を発散しストレス解消!      
心理学講座

コメント

コメントを残す

コラム監修

名前

川島達史


経歴

  • 精神保健福祉士
  • 目白大学大学院心理学研究科修士
  • 社会心理学会会員

取材執筆活動など

  • AERA 「飲み会での会話術」
  • マイナビ出版 「嫌われる覚悟」岡山理科大 入試問題採用
  • サンマーク出版「結局どうすればいい感じに雑談できる?」
  • TOKYOガルリ テレビ東京出演


ブログ→
YouTube→
Twitter→

*出典・引用文献
小島操子 (2013). 看護における危機理論・危機介入―フィンク/コーン/アグィレラ/ムース/家族の危機モデルから学ぶ, 金芳堂.
Pennebaker, J. W. (1985). Traumatic experience and psychosomatic disease: Exploring the roles of behavioural inhibition, obsession, and confiding. Canadian Psychology/Psychologie canadienne, 26(2), 82.