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絶望からの回復!失敗・挫折を乗り越える方法

絶望からの回復!失敗・挫折を乗り越える方法②

コラム①では、絶望の心理的な影響を概観していきました。具体的な解決策としては、「①フィンク適応理論」「②思考の見つめなおし」「③ソーシャルサポート」でしたね。

絶望しているときは「この苦しみや悲しみが、ずっと続くのではないか?」という不安が強い状態です。そのためまずは、絶望状態からの回復の見通しを立てましょう。

回復の見通しを立てることで不安を軽減することにつながります。見通しを持つのに最適な方法として今回は「②フィンクの適応理論」を紹介します。

フィンクの適応理論とは

フィンクの適応理論とは、危機を経験した本人がその状況を受け入れていく過程と、各過程で支援者として適切な支援方法を示した理論モデルです。具体的には、以下の4段階から構成されています。

フィンクの適応理論①衝撃
危機を経験するとパニック状態になる。

②防御的退行
その出来事は、現実には起こらなかったのではないか?などと考える。

③承認
怒りや悲しみなどの感情が生じる。

④適応
新しい価値観を見出す。

このように、人が危機を経験し絶望したときには、以上の4つの段階をたどるとしています。つまり、この4つの過程をうまく通過することが、スムーズな回復につながるのです。今回はこのフィンクの適応理論を使って、危機を経験し絶望している自分が、今どのあたりにいるのか?を考えていきましょう。

絶望の経験段階を知ろう

まずは例題を元に手順を確認していきましょう。

<例題>
大学受験の失敗したジロウさんの事例

・第一志望の大学が不合格だった
・第二志望の大学には合格だった
・第一志望を夢見ていたので絶望

希望に満ち溢れた受験勉強

ジロウさんは、第一志望の大学に受かるために、1日8時間以上勉強していました。ジロウさんは、4年間の大学生活を夢見て「入学したら○○しよう」「受かったら○○したい!」と希望に満ち溢れていました。周りの人たちも、これだけ意欲があれば、ジロウさんは合格するだろうと大きな期待を抱いています。

絶望に淵に立たされる

しかし、結果は不合格。

滑り止めの第二志望の大学には合格しましたが、気持ちは絶望の淵に立たされています。家族や友達からの励ましの言葉も受け入れられません。「もう立ち直れない…」と強烈な悲しみがジロウさんを襲い、部屋から1歩も出れなくなってしまいました。

絶望感の乗り越え方を紹介

ジロウさんのフィンク適応

現在のジロウさんの状況は<①衝撃>です。第一志望の大学が不合格で衝撃を受けている段階ですね。それでは、各ステップごとにジロウさんの回復までの流れを見ていきましょう。

フィンクの適応理論

①衝撃
→状態「状況を受け入れられない、強い悲しみ、後悔を溜め込んでいる。」
→ジロウさんの対処法
ゆっくりと疲れを取る。
睡眠をしっかりと取る
紅茶を飲んでリラックスする。

②防御的退行
→状態「信じたくない気持ちが強くなる。受験前に戻りたいなどの考えが巡る。」
→ジロウさんの対処法
・「つらいね」などの言葉を自分にかける
・感情をノートに書いて、慰めの言葉を書く
・ネットで第一志望に落ちた人の記事を読む

③承認
→状態「悲しみやつらさを言葉で表現できるようになる。悔しさも出てくる。」
→ジロウさんの対処法
・自分の悲しみから逃避しない
・立ち直ろうとしている自分をねぎらう
・マイナスな感情を受け止める

④適応
→状態「視野が広がってきて悲しみも和らいでくる。」
→ジロウさんの対処法
・努力した自分を認める
・第二志望の長所を考える
・新生活の準備を始める

絶望感から回復する方法ジロウさんは、絶望していた状況を受け止め、少しずつ前に進むことができるようになりました。このように段階をスキップして回復につなげようとするのではなく、感じていることを感じるままにすることでつらい気持ちを整理しながら次の段階に進むことができます。

練習問題で実践しよう

続いて、絶望から立ち直る練習問題に取り組んでいきましょう。

あなたが絶望している状況で今自分がどのあたりにいるかを考えて見ましょう。そして、今いる段階で自分が自分のサポーターとしてできることを書き出してみてください。

①衝撃
→状 態「           」
→対処法「           」

②防御的退行
→状 態「           」
→対処法「           」

③承認
→状 態「           」
→対処法「           」

④適応
→状 態「           」
→対処法「           」

最後にワークで感じた感覚をしっかり味わいましょう!

支援者の立場で行うこと

最後に、絶望している本人を支える支援者の目線で、フィンク適応理論を補足していきます。支援者の立場では、各段階で以下のような対応を行います。

①衝撃
まずは、安全を確保し、静かに見守る。

②防御的退行
本人を否定することのないようにありのまま受け止める。

③承認
本人が問題を解決できるように援助する。

④適応
努力したことを認め、成果をフィードバックする。本人のモチベーションが高まるよう支援する。

支援者の場合は、それぞれの過程で関わり方が変わっていきます。相手がどの段階にいるのかを見極めて慎重に対応していきましょう。このような理論は、看護の現場で使用されています(小島,2013)。支援者の視点でも4つの段階の適切な過ごし方を見ていきましょう。

絶望は見通しを立てて回復

練習問題はいかがでしたか。「絶望してこのまま回復できないのではないか・・・?」と感じている状況で、適応までの見通しを立てることができると、次のような効果が得られます。

・ゆっくりと休息が取れる
・安心感が生まれる
・未来への不安やストレスを軽減できる

Pennebaker (1985)は、思考や感情、行動を意識的に抑制しようとすることは、大変エネルギーを使うため、長期間に及ぶと身体的にはストレスとなり医学的な問題をもたらすことを明らかにしています。 感じることは感じるままにしてゆっくり休息を取ることが回復への近道です。

まずは、現状を確かめ、各段階で自分にあった対処法を使ってみましょう。ぜひ絶望状態で不安が強いというときに参考にしてみて下さいね!

次のコラムでは、絶望感から引き起こされる問題の原因「②破滅的思考」の 対策「認知療法で破滅的思考を解消!」についてご紹介します。

★フィンクの適応理論で今の自分を理解!
★自分が自分の援助者になる!
★感情を発散しストレス解消!      
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コラム監修

名前

川島達史


経歴

  • 精神保健福祉士
  • 目白大学大学院心理学研究科修士
  • 社会心理学会会員

取材執筆活動など

  • AERA 「飲み会での会話術」
  • マイナビ出版 「嫌われる覚悟」岡山理科大 入試問題採用
  • サンマーク出版「結局どうすればいい感じに雑談できる?」
  • TOKYOガルリ テレビ東京出演


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*出典・引用文献
小島操子 (2013). 看護における危機理論・危機介入―フィンク/コーン/アグィレラ/ムース/家族の危機モデルから学ぶ, 金芳堂.
Pennebaker, J. W. (1985). Traumatic experience and psychosomatic disease: Exploring the roles of behavioural inhibition, obsession, and confiding. Canadian Psychology/Psychologie canadienne, 26(2), 82.