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ミラーリングのやり方と効果-心理学の論文をもとに解説

ミラーリングのやり方と効果-心理学の論文をもとに解説

はじめまして!公認心理師,精神保健福祉士の川島達史です。

今回のテーマは
「ミラーリング」
についてです。

私は心理学の大学院時代に成人のコミュニケーションスキルについて研究をしてきました。講師生活は15年になり、3000人近くの生徒さんの指導をしてきました。

当サイトでは基礎からしっかり解説をしていくことを目的としています。目次は以下の通りです。

全体の目次
・ミラーリング
・対人魅力が上がる
・実際のやり方

ミラーリングについて学習したい!という方はぜひ最後までご一読ください。

ミラーリングとは

定義

まずはミラーリングの意味や定義を見ていきましょう。内田ら(2018)によるとミラーリングには以下の2つの意味があると説明されています。

1つ目は言葉通りに「鏡に映っているように真似ること」である。友達や家族などに「~と癖やしぐさが似てきた」「~と話し方が似てきた」と言われることがある。

2つ目に臨床心理学的な「自己の同一化」「理想化」という意味で用いられることがある。相手をすばらしい存在だと感じてその人を見る時,私たちはその対象にミラーリングを行っているのである。

つまり、ただ相手の真似をすること、理想の相手を真似することの両面があるというわけですね。

ミラーリングの例

日常生活におけるミラーリングの例としては、

・相手が右手で飲み物を飲んだら、左手で飲み物を飲む
・相手と同じくらいの声のトーンで話す
・相手が笑ったタイミングで、自分も笑う

などがあげられます。ミラーリングは、意図的に相手と動作を合わせることで、あなたと似た存在であることを無意識のうちに相手にアピールします。

人は、自分と違う人と感じるよりも相手は自分と同じであるということに安心感を抱きます。安心感のある人間関係≒ラポールの形成です。効果的なミラーリングは、ラポール形成に役立てます。

対人魅力が上がる?

ここで、ミラーリングが会話や対人魅力に与える影響に関する研究を見ていきましょう。

内田ら(2018)は、54名の大学生を対象に、実験者と初対面の参加者を以下の2つグループに分けました。

1.ミラーリングあり群
2.ミラーリングなし群

そして、研究では、実験者と参加者が2回対面をします。

・1回目の対面
お互い初対面の状況で対面をし、簡単な挨拶、自己紹介を行います。この挨拶をしている間に、参加者のしぐさを観察します。たとえば、以下のような行動がどのくらい行うかを観察します。

ミラーリングの研究

・2回目の対面
5分間の会話を行います。実験者は1回目の対面で参加者が多くに行ったしぐさをトレーニングし、5分間でしぐさを5回真似します。その後、実験者にはアンケート調査を行い分析しました。

その結果、以下の2つのことが分かりました。

効果①会話の魅力が上がる

統計学的に有意な結果には至っていませんが、

・会話の楽しさ
・会話相手の理解度
・会話相手からの好意

上記の3つの項目で平均値が上がっていることが分かりました。以下のグラフをご覧ください。

ミラーリングに関する調査

5分程度の短い会話においても、ミラーリングしない時よりミラーリングすることで会話に良い結果を出すことが分かっています。

効果②対人魅力がUP

対人魅力とは、周りの人から受ける肯定的な態度の大きさのことです。内田ら(2018)の実験では、以下の2つの対人魅力に対する影響を調べています。

・社交的魅力
好感が持てる
熱意ある
協調的である
など

・成熟的魅力
頭の良さ
親切である
理解力のある
など

その結果が以下の図です。まずは社会的魅力から見ていきましょう。

ミラーリングと社交的魅力

上記のようにミラーリングを行うことで、実験前後で社会的魅力がUPしていることが分かりました。ミラーリングを行うことで、「熱意や協調性のある人だ」と思われやすくなったのですね。

続いて、成熟的魅力を見ていきましょう。以下のグラフをご覧ください。

ミラーリングと成熟的魅力

このように、ミラーリングの後の方がグラフが伸びていることが分かります。つまり、ミラーリングを行った後は「頭が良い、親切だ」と思われる傾向が高まったと考えられます。

ラポール形成に関する研究

実際のやり方

ミラーリングの注意点は、あくまでも自然に用いることが重要です。過剰にミラーリングをすると、相手が不信感を偉いてしまう恐れがあるため注意が必要です。

例題を使いながらミラーリングを自然に使う方法を見ていきましょう。

例題
・会社員太郎くんは、新人の花子さんの教育係
・太郎くんは、花子さんと意見が合わない
・太郎くんは、花子さんを指導できず困っている

STEP1:相手をじっくり観察

太郎くんは花子さんのしぐさを観察し、ひとつの癖を見つけました。花子さんは、話している最中によく右手で左肩を触ることに気づきました。

STEP2:会話中にミラーリング

太郎くんは、花子さんとの会話中にさりげなく右手で左肩を触るしぐさをやってみました。10分間に3回くらい自然に真似てみます。さらに花子さんの話をよく聞き、しっかり理解するよう努めました。

レジリエンス

ミラーリングを試した結果、太郎くんは花子さんと意見が同調して、

・花子さんは指示を聞いてくれるようになった 
・太郎くんは教育係として自信が付いた   

という良い影響がありました。太郎くんと花子さんの間に信頼関係が作られ、仕事もうまくいきそうです。

まとめ+お知らせ

まとめ

ミラーリングは相手との信頼関係を作る上で大切な概念です。なかなか上手く人間関係を築けない…、深い関係になれない…という方は、まずは相手のしぐさを真似するところからは始めてみるのも良いでしょう。

シンプルな方法なので、今日からでも明日からでも実践できますね。ただ、やりすぎないようにあくまでも10分に3回ぐらいのペースで行ってくださいね。

関連コラム

ミラーリングと近い概念に「返報性」というものがあります。これは簡単に言えば、「もらったらお返しをしなくては…」と考える心理のことです。この返報性を使うことも信頼関係を構築に良い影響がありますので、一度学んでおくことをお勧めします。

返報性についてより深く知りたい方は下記をご覧ください。

返報性の原理とは?好意,自己開示,敵意

お知らせ

もし公認心理師,精神保健福祉士など専門家の元でしっかり心理学を学習したい方場合は、私たちが開催しているコミュニケーション講座をオススメしています。講座では

・傾聴力をつける練習
・共感力トレーニング
・暖かい人間関係を築くコツ

など練習していきます。興味がある方はお知らせをクリックして頂けると幸いです。ぜひお待ちしています。

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コラム監修

名前

川島達史


経歴

  • 公認心理師
  • 精神保健福祉士
  • 目白大学大学院心理学研究科修士

取材執筆活動など

  • AERA 「飲み会での会話術」
  • マイナビ出版 「嫌われる覚悟」岡山理科大 入試問題採用
  • サンマーク出版「結局どうすればいい感じに雑談できる?」
  • TOKYOガルリ テレビ東京出演


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出典
・内田 空 寺坂 明子 池田 浩之(2018)対話状況におけるミラーリングが対人魅力に及ぼす影響 発達心理臨床研究 第24巻