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性善説・性悪説はどっちの方が生きやすい?

性悪説になってしまう原因「愛着理論」②

コラム①では、性善説・性悪説について概観していきました。特徴や心理学的な定義を抑えておきましょう。今回は、性悪説になってしまう原因について解説していきます。

性善説・性悪説と愛着障害

性悪説になってしまう原因の1つとして「愛着障害」が考えられます。これは、「母親をはじめとする養育者との間で幼少期に安定した愛着を深める行動が断たれた事で引き起こされる対人面や情緒面での問題症状」のことです。

愛着障害は診断名のため、精神科などで用いられる世界保健機関(WHO)が定める「ICD-10」の診断基準を元に診断されます。診断基準は、簡単に要約すると

A.5歳以前の発症

B.対人関係の不安定さ
 誰にでも助けを求める
 感情の移り変わりが激しい
 あまり他者とつながりを持とうとしない

などが挙げられます。愛着障害の診断基準は幼い子どもを対象にしていますが、大人になっても愛着障害の状態が続いたり、大人になってから愛着障害になるケースもあります。

愛着障害は幼児期の母子関係の不健康さから生じると言われており、自己肯定感ンの欠如、基本的信頼感の欠如など、「性悪説」になりやすい状態と言えます。

・初期の愛着形成と人生への影響
古典的に有名なHarlowの動物実験を紹介しましょう。Harlowはサルを対象に心理的な実験を行いました。

① 赤ん坊と母親を離して育てる
まず、アカゲザルの赤ん坊を母親とは別の場所で、育成をスタートします。昔こういったひどい実験が結構行われていました(^^;

② 布とワイヤーで作られた母
そして、布とワイヤーの母を2体用意し、ミルクを入れた哺乳瓶を取り付けます。

③ 布の母を選ぶ
アカゲザルの赤ん坊は寂しさを感じ、布の母と接触しながらほとんどの時間を過ごしました。たまにミルクを飲む以外にはワイヤー母とは接触することはほぼありませんでした。

④ 社会的スキルの欠如
さらにHarlowは、寂しいという気持ちをうまく処理できずにいたアカゲザルは、他の個体や集団と触れ合うための社会的な能力が育たず、愛着障害に近い行動が目立ったことを報告しています。

このように、霊長類のように社会的な動物は生まれた時から心地よい接触を求め、それが健康的に成長する上で重要な役割を果たすということが示唆されます。

その後の人間における研究でも、幼少期の母子関係が子どもの発達に影響を与えることが分かっています。幼いころに「抱っこをする」「暖かい声をかける」「スキンシップをとる」こうした習慣を大切にすると性善説の考えを持った子どもに成長することが考えられます。

愛着障害と上手く付き合おう

今まで見てきたように、性悪説になってしまう原因としては幼い頃での愛情不足が挙げられます。このように聞くと、今からどうすることもできないのでは?と考えてしまうかもしれませんが、対処法はあります。コラム③~⑤では愛着障害と上手く付き合う方法を解説しています。

愛着障害からくる性悪説を完全になくすことはできませんが、コミュニケーションの方法によって和らげることはできます。ぜひ参考にしてみてくださいね。

次回は、性善説を身に付ける方法「まずは信じる法」を解説していきます。

性悪説の原因は「愛着不足」!

目次

①性善説・性悪説-概観
②「愛着理論」との関係
③「まずは信じる法」とは
④「ソーシャルサポート」
⑤「現実検討力」を高めよう

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コラム監修

名前

川島達史


経歴

  • 精神保健福祉士
  • 目白大学大学院心理学研究科修士
  • 社会心理学会会員

取材執筆活動など

  • AERA 「飲み会での会話術」
  • マイナビ出版 「嫌われる覚悟」岡山理科大 入試問題採用
  • サンマーク出版「結局どうすればいい感じに雑談できる?」
  • TOKYOガルリ テレビ東京出演


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