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責任感が強い人の心理学的な特徴とは-責任感を持つと良くない?

責任感が強い人の心理学的な特徴とは-責任感を持つと良くない?

こんにちは!精神保健福祉士の川島です。私は社会心理学の大学院で、成人のコミュニケーションについて研究をしてきました。現在では成人向けのコミュニケーション講座の講師として活動しています。

当コラムは「責任感」をテーマに解説をしています。しっかりとお伝えしたいので全部で8分程度かかります(^^;ちょっと大変ですが。せひお付き合いください。

何かあった時に対応する義務感

突然ですが皆さんは、日々責任感を感じて過ごしていますか?毎日プレッシャーに押しつぶされそうという人もいれば、責任感がなさすぎて周囲から怒られてしまうという人もいるでしょう。

責任とは、元をたどればラテン語のrespondereレスポンデレ(答える、返答・応答する、英語であればrespond)に由来しており、-ityの形では、何かに対して応答すること、応答できる状態、を意味しています。

つまり、何かを起きた時にきちんと応答・対応する義務感のことを責任感と呼ぶのです。

責任感のメリット

有光(2001a)は、大学生292名を対象に、責任感と近い概念である罪悪感の性格特性をアンケート調査により明らかにしました。その結果、罪悪感は人の「誠実性」や「調和性」に関連していることがわかりました。

責任感をもつ

上図をご覧ください。罪悪感と誠実性、調和性がプラスの相関を示していることがわかります。罪悪感を感じる傾向にある人ほど誠実であり、積極的に周囲に協力しようとするのですね。責任感をゼロにしようと考えるよりも、プラスの使い道を考えることが大切です。

さらに有光(2001b)は、4年生および短期大学の学生329名を対象に罪悪感特性と健康について調査しました。その結果罪悪感は、男女ともに社会活動が活発になることが分かっています。

例えば、あなたが仕事でミスをし、同僚が手を貸してくれたとします。あなたが、同僚に対して

「自分のミスで…同僚に申し訳ないな」

と責任感を抱いた場合、謝罪をする、同じミスをしないように対策すると思います。このように適切に活用することができれば、相手とのつながり深まったり、関係を修復することが出来るのです。その意味で、責任感を持つことができる方は人間関係を大切にできる方と言えるでしょう。

・自分で決められるようになる
須甲(1988)は小学5年生(186名)・小学6年生(169名)を対象に、自己決定感を測定する質問紙に回答してもらい、責任感との関連を調査しました。その結果が以下の図です。

責任感が強い

上記の図は100点満点で、点数が高いほど自己決定度が高いことを示しています。責任感群の方が自己決定感の値が高いことが分かりますね。

これは、責任感が高い児童たちは選択において「自分自身で決めた」感覚が強いことを示しています。責任感を持つということは、「主体性」にもつながり、自分で考えて決断できる力を伸ばしてくれるかもしれません。

・責任感は人間関係をプラスに
責任感という言葉は、日常生活で頻繁に耳にします。「責任感がない」「あの人は責任感が強いから…」といったセリフを使ったことがある人も多いです。責任感と近い概念の1つに社会志向性があります。社会志向性とは、他者あるいは社会規範に則った生き方への志向性を意味します。

つまり、責任感がある、自分よりも他者を優先するといった考え方が社会志向性に含まれます。
姜・南(2015)は大学生494名を対象にして、社会志向性と友人関係の満足度の関連を調べました。その結果が以下の図です。

責任感がある

この研究では、友人関係の満足度を3要素に分けています。

意志疎通満足  ・・・言いたいことが伝わっている気持ち
相互的受容・理解・・・お互いに理解し合える気持ち
関係距離満足  ・・・人との距離感に満足する気持ち

図のように社会志向性は、それぞれの要素ともプラスの関連があることが分かります。つまり、責任感を持つと自分の言いたいことが伝わり、相互に理解し合えるようになり、人との関係性も良くなるのですね。

さらに社会志向性は「自尊感情」とも関わりがあることが分かっています。伊藤(2011)は小学校5年生から高校3年生までの児童・生徒4019人を対象にして、社会志向性が自尊感情に与える影響を調査しました。以下の図をご覧ください。

自己評価・受容は「自信の有無」を表しています。つまり、自己評価・受容が進むほど自信がついて、自尊感情が高まるのです。図のように、社会志向性と自尊感情はプラスの関わりがあることが分かります。責任感を持つことは自尊心や対人関係に良い影響を与えるのです。

責任感のデメリット

生活の中では、自責を感じることが少なからずあると思います。しかし、強い自責の高まりから気持ちが揺れ動かされてしまうと、ストレスが多くなりメンタルヘルスに影響が出てしまいます。

日々の生活の中では、責任感を感じることが少なからずあるでしょう。適度なプレッシャーは力になりますが、過度に自分を追い込んでしまうと、ストレスが増大しメンタルヘルスに悪影響が出てしまいます。

抑うつへの影響

日常生活の中でも責任感を抱くきっかけは多くあります。

・仕事でミスして迷惑をかける
・大事なテストに落ちる
・怪我や病気で助けを必要とする

責任感が強くなりすぎても仕方がないと思える状況から、大げさに自分を責めなくても良いと思われる事柄まで様々だと思います。つまり、責任感を強くするには、個人の考え方が強く関係しているのです。自分が犯してしまったことを必要以上に重く捉え、自責の念を抱え続けてしまうと以下のような症状を引き起こすリスクがあります。

・強い抑うつ状態
・失敗体験を何度も思い出す
・同じ状況を避けようとする

(Browne, Evangeli, & Greenberg,  2012)。抑うつが続けば、精神面だけてまなく睡眠や食事などに身体的な健康にも悪影響が出る可能性があります。

孤独のリスクも

また、自分の意志に関係なく何度もその状況が頭の中でループしている状態や、その状況を避けようとする回避行動は、社会的活動に困難をきたし、コミュニケーションに悪影響を及ぼすことが考えられます。

そこで責任感を強く感じてしまい抑うつなどの症状が高まると

自分は罰せられるべき人間だという認知が生まれる
 ↓
楽しむことが許されないと感じる
 ↓
趣味や余暇などの活動が消極化
 ↓
孤立につながる
( O’Connor, Berry, Weiss, & Gilbert, 2002; Lalos, Lalos, Jacobsson, & Schoultz, 1986).

などのリスクがあります。実際に責任感に苛まれて自分を責めいるときには、例え楽しい状況でも心から楽しむことができないのは想像できると思います。そして、その状態が長期化すると社会活動への参加を困難にし、メンタルヘルスの悪化がにつながるとされています。

罪の心理をなくすことが出来ない人の特徴

責任感を持つ方法 

奥本(2012)の研究では、幼児・児童低学年用責任感尺度の作成し、キャンプ活動が責任感どのような影響を与えるかを調べています。実験では、「びわこ・ちびっこキャンプ 2011」に参加した幼児年長、小学 1 年生、2 年生、計 30 名の保護者を対象に以下の3つの期間で作成した調査用紙を使用してアンケートを実施したました。

1.キャンプ前
2.キャンプ 1 週間後
3.キャンプ 6週間後

その後、この3つの期間それぞれの責任感を判定して、関連性を調べました。その結果、キャンプ活動への参加は幼児・児童の責任感を高めることがわかったのです。以下の図をご覧ください。

責任感を持つには

このように、キャンプ前と比較してキャンプ1週間後の方が、責任感の度合いが増えていることが分かります。研究者によれば、これは、キャンププログラムのテント設営や自分たちの食事作りなどの自分がしなければいけないという状況が幼児・児童の責任感に影響を与えたのではないかと考えられるといいます。

やはり集団で協力して何かを成し遂げる状況下において「責任感」が生まれると言えそうです。

適度な責任感でモチベーションUP!

ここまで見てきたように、過度の責任感はメンタルヘルスに悪影響を及ぼし、社会活動の妨げになってしまう可能性があります。ですが、適度な責任感を持つことで、人間関係が良くなったり、自己決定感が高まります。

責任感を重く感じ過ぎて自分を責めている人は、ご紹介した対処法を実践してうまく責任感を和らげてみてくださいね。

また、日々の中でプレッシャーをあまり感じてない、毎日が味気無く感じている人は、何か1つ自分で新しいことにチャレンジして周囲を巻き込んでみましょう。すると、程よい責任感の中で人生が充実している感覚が得られるはずです。

専門家の講義を受けたい方へ

最後に、これまで「責任感」コラムにお付き合いしていただき、本当にありがとうございました!まずは、ご紹介した方法を実践して、適度な責任感でモチベーションを保ってくださいね。

そして、専門家から直接学びたい!という方は良かったら私たち臨床心理士・精神保健福祉士が開催している、コミュニケーション講座への参加をおススメしています。コラムだけでは伝えきれない知識や実践的なワークを進めています。みなさんのコミュニケーション能力が向上するよう、講師も一緒に頑張ります!よかったらいらっしゃってくださいね(^^)

★責任感はバランスが大事!ちょうど良いプレッシャーを目指そう
人間関係講座

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コラム監修

名前

川島達史


経歴

  • 精神保健福祉士
  • 目白大学大学院心理学研究科修士
  • 社会心理学会会員

取材執筆活動など

  • AERA 「飲み会での会話術」
  • マイナビ出版 「嫌われる覚悟」岡山理科大 入試問題採用
  • サンマーク出版「結局どうすればいい感じに雑談できる?」
  • TOKYOガルリ テレビ東京出演


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参考文献・出典
・奥本(2012)キャンプ活動が幼児・児童の責任感に与える影響 びわこ成蹊スポーツ大学
・須甲(1988)児童・生徒の自己決定感 学校教育研究科学校教育專攻. 生徒指導了-7 M87078B
・有光(2001)罪悪感, 羞恥心と性格特性の関係 性格心理学研究 9(2), 71-86, 2001 日本パーソナリティ心理学会
・姜信善・南朱里(2015) 個人志向性・社会志向性が友人関係満足に及ぼす影響についての検討 兵庫教育大学人間発達科学部紀要
・伊藤美奈子(2011) 自尊感情のタイプと個人志向性・社会志向性PN得点との関連 日本心理学会大会発表論文集