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信頼関係に影響する「愛着との関係」④

信頼関係に影響する「愛着との関係」④

信頼関係が気づけない原因としては、シャイな性格であったり、子どもの頃に安定した愛情を与えられなかったことが挙げられます。どちらも自分の殻にこもりがちなので、コミュニケーションに苦手意識が芽生えてしまいます。

愛着障害とコミュ力

愛着について不安定さが大きくなると「愛着障害」と呼ばれることがあります。詳しく定義すると

「母親をはじめとする養育者との間で、幼少期に安定した愛着を深める行動が断たれた事で引き起こされる、対人面や情緒面での問題症状」

とされます。精神科などで用いられる世界保健機関(WHO)が定める「ICD-10」の診断基準において診断基準が定義されています。簡単に要約すると、

・5歳以前の発症
・対人関係の不安定さ
・感情の移り変わりが激しい
・他者とつながりを持とうとしない
 もしくは過剰に愛情を求める

などが挙げられます。診断基準は子どもを指していますが、大人になっても症状が続くことがあります。この症状は、幼児期の母子関係の不健康さから生じると言われており、自己肯定感の欠如、信頼関係の欠如など、その後のコミュニケーションに悪影響を与えると言われています。

・対人不安への影響
丹羽(2005)は、大学1年生628名を対象に、「大学入学時の対人関係不安と愛着不安」について調査を実施しました。

具体的には、
・愛着不安高い群
→親などとの重要な他者と情緒的に支えられていいない愛着不安の高い群

・愛着不安低い群
→他者から情緒的に支えられてる愛着不安の低い群

に分け、それぞれ大学でうまく馴染めているか調査しました。その結果は以下のような特徴があることがわかりました。

対人不安と愛着(丹羽(2005)の研究の一部を掲載)

①入学時に不安が大きい
愛着不安高い群のほうが低い群より対人不安が大きいことが分かりました。愛着不安がある人は、入学時に孤立しないだろうか?という不安が大きく、愛着不安が少ない方は、すぐに友人ができて楽しくやっていけるだろうという感覚を持っていると解釈できそうです。

②3か月後も不安の大きさは継続
どちらも対人関係不安は下がるが、愛着不安が高い群は高い対人関係不安を示しています。大学という慣れない環境の中で、愛着不安が低い人の方が、友達をつくりやすく馴染めるスピードが早いと解釈できるのです。

このように、愛着は実際に社会に適応するための土台になっていると考えられます。*今回は論文の一部を抜粋し加工しています。詳しくは出典をご確認ください。

・恋愛への影響
異性の信頼関係と愛着との関連性を調査した大坊ら(2003)の研究によると、どのような愛着スタイルを持っているかによって、恋愛へのイメージも違ってくることがわかっています。この研究では、大学生の男女449名に「愛着スタイル」「恋愛イメージ」を測るアンケートに答えてもらいました。

まず「愛着スタイル」テストの結果により、『安定型』と『回避型』『アンビバレント型』の3種類にわけ、それぞれのタイプが恋愛に対してどのようなイメージを持つ傾向にあるか、「恋愛イメージ」テストの結果を調べました。

分析の結果、『安定型』は、恋愛に対して「相手との信頼関係」や「自身の成長」など、ポジティブなイメージを持ちやすいことがわかりました(※金政・大坊ら(2003)の論文を参考に作成)。

愛着障害 人間関係

その一方で、愛着が不安定で人間関係を避けがちな『回避型』は、恋愛とは所詮アクセサリーのように「刹那的」であり、信頼や成長とは無縁だ、と考えやすいことがわかりました。

愛着障害 克服

この意味で愛着形成は恋愛の安定さへも関わると言えそうです。

上記のように、「シャイ」と「愛着障害」は信頼関係に大きな影響を与えます。特に幼少期に獲得する愛着スタイルは、人生を通してコミュニケーションに関わってきます。

ただ、あきらめる必要はありません。シャイや愛着障害は根絶することはできなくても、上手く付き合っていく方法はあります。続きのコラムでは、信頼関係を構築できるようになる対処法を解説しています。ぜひ参考にしてみてください。

目次

①信頼関係を築く方法
②ラポールの形成とは
③信頼関係と孤独感
④「愛着との関係」
⑤シャイとの関係
⑥「無条件に信じる」
⑦裏切られるまで信じる法
⑧信頼関係診断・チェック

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コラム監修

名前

川島達史


経歴

  • 精神保健福祉士
  • 目白大学大学院心理学研究科修士
  • 社会心理学会会員

取材執筆活動など

  • AERA 「飲み会での会話術」
  • マイナビ出版 「嫌われる覚悟」岡山理科大 入試問題採用
  • サンマーク出版「結局どうすればいい感じに雑談できる?」
  • TOKYOガルリ テレビ東京出演


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出典・参考文献
・石田靖彦(1998). 友人関係の親密化に及ぼすシャイネスの影響と孤独感 名古屋大学 社会心理学研究 14( 1). 43-52,
・丹羽智美(2005) 青年期における親への愛着と環境移行期における適応過程 パーソナリティ研究 13 156-169
・金政祐司・大坊郁夫(2003)青年期の愛着スタイルが親密な異性関係に及ぼす影響