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視線恐怖症を改善する「あるがまま」とは⑥

視線恐怖症を改善する「あるがまま」とは⑥

視線恐怖症の症例の1つに「視線へのこだわり」があげられます。そのため、絶対に視線恐怖症は根絶しなければ・・・と思うのではなく、上手く付き合っていくことが大切です。

そこで、今回はあるがままの自分を受け入れる「森田療法」について解説します。

森田療法で視線へのこだわりを軽減

例えば、視線恐怖症の場合、「私、何か変な人と思われていないだろうか」「自分の目が変だから、注目されるのではないか」と考え、会話場面で視線を感じて息苦しくなったり、頭が真っ白になりパニックになる、動悸がひどくなるなどの症状が出てしまいます。

その記憶から、人と話すことに恐怖を覚え、外出さえままならなくなることがあります。その恐怖は、そこから逃れようとすると、ますます増幅されていきます。視線恐怖症の症例視線が怖いについての解決策

では、なぜこのような症状が出てしまうのでしょうか?小川(1971)の研究では、

「対人恐怖症の場合、極めて意識性に富み、自己内省的で、対人場面における自己の一挙一投足を極端なまでに意識し、それにこだわり、そこから由来する不安について悩むと言っています。」

かなり難しい表現ですね(^^; もう少しわかりやすく解説します。

対人恐怖症の方は、
①自分の気持ちと必要以上に向き合う
②恐怖や不安があると、異常にその感情が気になる
③恐怖を追い出そうとする
  怖いからどうにもならない!
  恐怖が自分の行動を制限している!
  恐怖をなくさないと!

と異常にマイナス感情をひっかきまわしてしまうのです。この意味で、視線恐怖症の方は「視線恐怖症」に人一倍こだわっている言えます。目を合わせると嫌われる、目を合わせると容姿が劣っていると思われる、目を合わせると緊張がばれる・・・など、とにかく、目、目と目にこだわっていると言えるのです。

こだわりは理想が高いほど起こる

ではこの「こだわり」はなぜ起こるのでしょうか?それは「打ち消そうともがくこと」が挙げられます。森田療法の“精神交互作用”という言葉があります。例えば、視線を気にしてしまうとそれを打ち消そうという気持ちがわきます。視線を打ち消すために意識しないようにすると、よけいに視線が気になってしまいます。

このように、視線を無理に排除しようとすることで、ますます視線が気になってしまう。この悪循環を精神交互作用といいます。下の図が精神交互作用のメカニズムです。

精神交互作用のメカニズムの図と視線恐怖症の克服方法

「あるがまま」が恐怖症を軽減

この精神交互作用を断ち切るにはあるがままという重要なキーワードがあります。森田療法で考える、あるがままについて説明をしていきます。

森田療法では、緊張や恐怖心を無理やり打ち消そうとせず、それをそのまま受け入れて、前向きな目的に注意を向け行動することを重視します。つまり、これが『あるがまま』ということです。

視線恐怖の症状は、注意が視線に執着することによって起こるものであるため、気分や感情にとらわれず、今自分がやるべきことを実行してゆくということなのです。

 まず、視線恐怖へのこだわりを自覚し、あるがままに受け入れられるようになること、そしてしなければならない目的に向かい行動することが軽減・改善の方法です。

では、次の例題について考えてみましょう。

例題
今日、初めてのセミナーの日だなぁ…人と話せるようになりたいな、でも行くと緊張してパニックになるし、視線が怖いなぁ…

<あるがままで考えた場合>

 

 

解答例<あるがままで考えた場合>
緊張して震えるくらい視線が怖い。怖くて行きたくないけれど、この気持ちはそのままにして、とりあえず行こう。人と話せるようになりたいから行ってみよう。結果的に視線が怖くなってもOK。視線が怖い、怖くないにこだわらず、行けた自分をほめよう。

このように、見られる恐怖を取り除こうとせずに、恐怖心を感じながら、その恐怖を受け入れて、行動に移して行くのがコツです。

はい!それができたら話がはやい・・・という皆さんの声が聞こえてきます。もちろんすぐには難しいですが、「こだわりすぎない」という姿勢はぜひ参考にしてみてください。

あるがままで視線へのこだわりが軽減

視線恐怖症に特徴的な「視線へのこだわり」は、あるがままを受け入れ、考え方や目的に向かう行動で軽減することができます。なかなかストイックな心理療法ですが、視線恐怖の方には覚えておいて頂きたい考え方です。

あるがままの気持ちを大切に視線恐怖症を克服しよう視線にこだわり、視線の中で人生を過ごすのではなく、前向きに自分らしく生きてゆけるよう、森田療法の『あるがまま』に取り組んでみてくださいね。視線へのこだわりが、少しでも軽減されつことを願っています。

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★視線恐怖症は不安を強める!デメリットを把握しよう

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コラム監修

名前

川島達史


経歴

  • 精神保健福祉士
  • 目白大学大学院心理学研究科修士
  • 社会心理学会会員

取材執筆活動など

  • AERA 「飲み会での会話術」
  • マイナビ出版 「嫌われる覚悟」岡山理科大 入試問題採用
  • サンマーク出版「結局どうすればいい感じに雑談できる?」
  • TOKYOガルリ テレビ東京出演


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*出典・引用文献
小川 捷之 いわゆる対人恐怖症における「悩み」の構造に関する研究
横浜国立大学教育紀要,14:1-33,1974