対人恐怖症克服記92 就職活動編8 嘘をついて逃亡
それでも面接を拒否する
ひきこもりから脱出し、就職活動を始めた私は、リクナビネクストに登録し面接を受けることにしました。しかし、大学卒業後の空白期間について容赦ないツッコミを受け、面接は失敗に終わりました。
もう企業紹介ないだろう・・・と腐っていた矢先、
「先日は、ご足労頂ましてありがとうございました。つきましては1社紹介したい会社がございます。一度こちらにいらっしゃって頂きたいのですが、ご都合のよい日はありますでしょうか?」
という予想していなかったメールを頂いたのでした。
通常であれば、当然このありがたいメールに飛びついて、すぐにでも詳細を聞きに行くのが健康な心を持つ青年の行動というものです。
しかし、私の中では眠っていた対人恐怖がむくむくと覚醒していて、心の中で猛威を振るっていました。
再び前日のような容赦のない追及と、女性面接官の冷たい目線に触れることは(思い込みですが)、ただただ恐怖の対象でしかありませんでした。
さらに言えば、もはや、かの偉そうな青山という町の、勝ち誇った、虚勢を張った、見栄っ張りな町に、引きこもりがご光臨し、ルサンチマンを発揮して毒を吐くという、エネルギーも残っていなかったのです。
対人恐怖のしぶとさ
私は心理療法やフリーター生活、会話の練習を重ねることで、ある程度の回復は自負していました。
しかし、就職活動という修羅の世界に足を踏み入れると、とたんに自らの精神を崩壊させ、歪んだ認知とともに対人恐怖という心性をいかんなく発揮してしまうのでした。
自分会議を繰り返したのち、もはや、かの面接会場に行くことなど不可能だという結論を出すと、
「ご紹介についてありがとうございます。その後ですが、自分なりに活動をした結果、前向きに検討して頂く会社が見つかり、そちらに力を入れることにしました。このたびはありがとうございました。」
という嘘メールを送信したのでした。
プライドのかけらが残っていた私は、最後まで「対人恐怖だから面接にいけない」と正直になることはありませんでした。
まるで自分が実は採用に値する人間だったとメールを送り、その空虚な嘘を重ねる自分に対して、自己肯定感をますます減退させていくのでありました。
起業願望と就職活動という矛盾
かかる一連の流れを鑑みたときに、私がまずしなくてはならないことは就職活動についての戦略を立てるこでした。
おそらく、このまま何等の戦略もなしに、フワフワと就職活動をしていても、中途半端な結果になることは明白でした。
麻雀に例えると私の、配牌はゴミ手しか入っていません。
このまま惰性で手を進めてもあがることができないことは明白なのです。しかし、ゴミ手でも、突破口はあるというのが麻雀の面白いところです。
ゴミ手はゴミ手なりに、戦略を立てることにしたのです。
その結果出した結論が
「起業することを宣言して会社に就職する」
というものでした。まるで自分の立場というものがわかっていません。しかし、世の中は面白いものです。事実私はこの条件を満たす会社を発見し、異常ともいえるアピールをして、就職することになるのです。
*********
・川島達史 1981年生まれ
・公認心理師 精神保健福祉士 心理学大学院修了
・社交不安症専門カウンセラー
・ご相談はこちらからお待ちしています
*********
ブログ記事一覧
対人恐怖症克服記106 就職活動編22 直接コミュニケーションすること
対人恐怖症克服記105 就職活動編21 トンネルの出口にあったもの
対人恐怖症克服記101 就職活動編17 強力なライバルが現れた!
対人恐怖症克服記100 就職活動編16 部長がっつりくいつく
対人恐怖症克服記98 就職活動編14 煌びやかさとは無縁の地味な会社
対人恐怖症克服記97 就職活動編13 3つの武器で合格率を押し上げる
対人恐怖症克服記95 就職活動編11 まともに行ったら100%落ちる
対人恐怖症克服記93 就職活動編9 空気の読めない元引きこもり
対人恐怖症克服記90 就職活動編6 フェロモン系面接官とはじめて心が通い合う!
対人恐怖症克服記89 就職活動編5 フェロモン系面接官からの容赦ないツッコミ
対人恐怖症克服記87 就職活動編3 インフェリオリーコンプレックス
対人恐怖症克服記86 就職活動編2 天下のリクナビネクストに登録