対人恐怖症克服記36 対人恐怖症とゼミ面接
対人恐怖症をこじらせながら会計士受験生となった私は、苦痛を抱えながら大学に通っていました。そして大学3年生になると、ゼミに入る時期が来ました。
日大の経済学部は、ゼミに入らなくてもよい仕組みだったのですが、私は入りたいと考えていました。私は対人恐怖の癖に、大学生らしい活動をしたいという矛盾した気持ちがありました。
キラキラと輝く大学生に嫉妬しつつ、その輪に入りたかったのです。
リア充人気ゼミに挑む
いくつかの説明会に顔を出し、最終的に「中小企業論」のゼミを狙うことにしました。理由は2つあります。
1つは、そのゼミが起業家の研究を積極的におこなっていたからです。起業願望がある私にとって面白そうな内容でした。
もう2つはかわいい子がいるという理由でした。日大経済学部は8割が男子なのですが、そのゼミに限っては男女比率が半々で、もぎたてピチピチギャルばかりだったのです。
橋本さんという、真面目な彼女がいながらも、私はかような浮ついた心を充分すぎるほど持っていました。そしてそのゼミは私の浮気心を存分に刺激したのです。
リア充ゼミに萎える
面接に行くと人気のゼミだけあって、30人近くの希望者が列をなしていました。形式は3人ごとの集団面接で、希望者は別部屋で待機することになりました。
私は4グループ目でした。待機していると、面接に対する予期不安が増していきます。心臓が異常な速さで鼓動を打っていきます。まだ呼ばれてもいないのに脂汗が出てきました。
そして、いよいよ名前が呼ばれました。
おそるおそる入室すると、先輩のゼミ生が10人ぐらいと、指導教授が座っていました。このような大人数に注目されるのは人生ではじめてでした。
さらに先輩のゼミ生はイケメンと美女揃いで、圧倒的なリア充感が漂っていました。黒髪のゼミ生は全くおらず、ほとんどが茶髪でパーマをかけています。
私たちはオシャレでございます
そして人気ゼミの先輩でございます
日大カーストの最上位でございます
と言わばんばかりの堂々たるオーラを輝かせていました。
カイジの世界で蠢く私は、どう考えてもこのゼミと調和する人間ではないと本能的にさとりました。
ダサい男だわ
うわ!暗い!
大学生たちは、内心このように感じているのだろうと、過度の読心を働かせていきました。
起業をすると宣言
いよいよ面接がはじまりました。
「まずは自己紹介をお願いします」
と大学生が偉そうに質問してきます。
「自己紹介をするには、まずは自分から名を名乗るべきである!自己紹介をお願いする前に、まずはおのれが自己紹介をせい」
と心のなかでつぶやくと、私は何事もなかったかのように自己紹介をはじめました。
しかし、緊張で思うように声が出てきません。顔が真っ赤になってしまい、声が震えてしましました。女子大生の視線は私を石ころを見るかの如くでした。
方や同じ面接を受けている学生はハキハキと話し、ちょっとした笑いも取っていました。明らかにゼミの先輩たちが食いついているのが分かりました。
起業をする宣言
面接は続きました。その中で、お決まりの文言が飛び出ました。
「当ゼミを志望したきっかけはなんですか」
私はこの時とっさに
「しょ、しょ、しょ、
将来起業をしようと思っているので、
そ、そ、その勉強のためにきました」
とドモリながら宣言しました。面接会場がわずかにざわつきました。キョどった男が何か口から出まかせを言っているぞ!という空気になっていました。
嘲笑
面接担当の大学生は、やや嘲笑気味に
「将来起業をするのですね。
ではどんな分野で起業するのですか?」
と質問をしてきました。私は狼狽しました。
「そ、それは・・・まだ決まっていません」
大学生は、軽くため息をつき、やれやれ・・という表情になると
「まだ決まってないのですね・・・
なるほど、頑張ってください」
と乾いた口調で私を励ましました。そして、すぐに私への質問はシャットダウンされてしまいました。
面接が終わり、会場の外に出ると、全身の力が抜けるようでした。全身をくまなく他人に見られるということは、私にとって延々ともいえる苦痛の時間だったのです。
そうして、3日ほど経つと、ゼミへの合格発表の日が来ました。私は全く期待せず、事務的にその結果を見に行きました。
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・川島達史 1981年生まれ
・公認心理師 精神保健福祉士 心理学大学院修了
・社交不安症専門カウンセラー
・ご相談はこちらからお待ちしています
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