~ ご家族の方はこちら ~ 子どもがいじめを話してくれない!親ができる解決方法
はじめまして!いじめ撲滅委員会代表,公認心理師の栗本顕です。私の専門は「いじめ」です。心理学の大学院で研究もしてきました。現在はいじめの問題を撲滅するべく、研修やカウンセリング活動を行っています。
今回のテーマは「子どもがいじめを話してくれない時の親の対応」です。お子さんの様子がおかしいと感じているけれど、なかなか話してくれないと悩んでいませんか。実は、多くの子どもがいじめを受けても親に相談できずにいるのです。
目次は以下の通りです。
①子どもがいじめを話してくれない理由
②いじめのサインに気づく方法
③子どもが相談しやすくするコツ
④いじめを相談された時の対応
⑤学校への相談で解決する方法
⑥外部機関への相談窓口
⑦子どもの心をケアする方法
⑧いじめを防ぐために親ができること
⑨いじめに関する法律のこと
子どもの心に寄り添い、一歩ずつ解決に向かう方法をお伝えします。ぜひ最後までご一読ください。
子どもがいじめを話してくれない理由
子どもがいじめの事実を隠すのには、深い心理的な理由があります。親として知っておくべき子どもの気持ちを理解することが、解決への第一歩となります。
お父さんお母さんを心配させたくない
子どもは親のことを大切に思うからこそ、いじめのことを話せないのです。特に優しい子ほど、親が悲しむ顔を見たくないと考えます。
「お父さんとお母さんが忙しそうだから」
「心配をかけたくないから」
という理由で一人で抱え込んでしまうのです。また、兄弟がいる家庭では「自分だけ問題を起こしてはいけない」と感じることもあります。親への愛情が深いほど、この傾向は強くなります。
もっとひどくなったらどうしよう
多くの子どもが親に話したら、いじめがもっとひどくなると恐れています。これまでの経験で、大人に相談した結果、状況が悪化したケースを見聞きしているからです。
チクったと言われて、もっといじめられるかもしれない
という不安が子どもの口を重くします。また、いじめる側から「親に言ったらもっとひどいことをする」と脅されている場合もあります。この恐怖心は、子どもにとって非常に大きなものです。
恥ずかしくて言えない気持ち
いじめられていることを「自分の恥」だと感じる子どもは少なくありません。
「いじめられるのは自分が弱いから」
「みんなに嫌われているから自分が悪い」
と自分を責めてしまうのです。特に思春期の子どもは、プライドが高く、いじめられていることを認めたくない気持ちが強くなります。
また、いじめの内容によっては、親に詳しく話すのが恥ずかしいと感じることもあります。この気持ちを理解して、子どもに寄り添うことが大切です。
いじめのサインに気づく方法
子どもが直接話してくれない場合でも、様々なサインが現れます。日頃から子どもの変化に注意を払うことで、早期発見が可能になります。
体の変化で分かるサイン
いじめを受けている子どもの体には、ストレスによる様々な変化が現れます。最も多く見られるのは頭痛や腹痛で、特に学校に行く前に訴えることが多いです。食欲がなくなったり、逆に食べ過ぎたりする変化も見られます。
夜眠れなくなったり、悪い夢を見て夜中に起きたりすることもあります。また、理由のわからないケガが増えたり、服が汚れて帰ってくることも要注意です。これらの体の変化は、子どもの心のSOSサインなのです。
普段と違う行動のサイン
いじめを受けている子どもの行動には、以下のような変化が現れます。
いじめによる行動の変化は以下になります。
学校を休みたがる
朝起きられない
友達の話をしない
一人で帰ってくる
部屋に閉じこもる
ゲームに集中する
イライラしやすい
成績が下がる
忘れ物が増える
遠回りして帰る
これらの行動は、いじめから逃れたい気持ちや、現実から目を逸らしたい気持ちの現れです。複数の変化が同時に見られる場合は、特に注意が必要です。普段の子どもの様子をよく観察し、小さな変化も見逃さないようにしましょう。
持ち物に現れるサイン
子どもの持ち物の変化も、いじめの重要なサインです。教科書やノートがよくなくなったり、壊れて帰ってきたりします。文房具に落書きがされていたり、カバンが汚れていることもあります。また、お金がなくなることが続く場合は、恐喝されている可能性があります。
制服が破れていたり、靴が汚れていたりする場合も注意が必要です。これらの変化を見つけたら、子どもを責めずに、優しく話を聞いてあげることが大切です。持ち物の変化は、いじめの証拠にもなる重要なサインなのです。
子どもが相談しやすくするコツ
子どもが安心して相談できる環境を作ることが、いじめ解決の鍵となります。日頃からの関係性づくりが何より大切です。
毎日の会話を大切にする
子どもとの日常会話を増やすことで、信頼関係を深めることができます。食事の時間や寝る前などに、学校での出来事を聞いてみましょう。ただし、尋問のような聞き方は避け、「今日は何が楽しかった?」などの軽い質問から始めます。
子どもが話したがらない時は無理に聞かず、「いつでも話を聞くよ」という姿勢を示すことが大切です。また、親自身の一日の出来事も話すことで、お互いに話しやすい雰囲気を作ることができます。継続することで、子どもは親に相談しやすくなります。
子どもを責めない話し方
子どもが何かを話した時、まず「話してくれてありがとう」と伝えましょう。問題があったとしても、最初から責めたり説教したりしてはいけません。「どうしてそんなことになったの?」「なぜもっと早く言わなかったの?」という言葉は、子どもの心を閉ざしてしまいます。
代わりに「つらい思いをしていたんだね」「よく頑張ったね」と、子どもの気持ちに寄り添う言葉をかけてください。親が味方だと感じることで、子どもはより多くのことを話してくれるようになります。
話しやすい時間を作る
子どもが話しやすいタイミングを見つけることも重要です。多くの子どもは、夜寝る前のリラックスした時間に心を開きやすくなります。また、一対一で話せる環境を作ることも大切です。兄弟がいる場合は、個別に時間を取ってあげましょう。
車での移動中や散歩中など、正面を向き合わない状況の方が話しやすい子どももいます。急かすことなく、子どもが話し始めるまでじっくり待つ姿勢を示すことが必要です。話しやすい環境作りが、子どもの心を開く第一歩となります。
いじめを相談された時の対応
子どもからいじめの相談を受けた時の対応が、その後の解決に大きく影響します。適切な対応方法を知っておきましょう。
話してくれてありがとうと伝える
子どもがいじめの事実を打ち明けた時、まず最初に「話してくれてありがとう」と伝えましょう。これは子どもにとって勇気のいることだったからです。
次に「つらかったね」「よく頑張ったね」と、子どもの気持ちに共感を示します。「あなたは悪くない」「お父さんとお母さんがついているから大丈夫」と安心させることも大切です。
決して「なぜ早く言わなかったの?」などと責めてはいけません。子どもが安心して全てを話せるように、温かく受け入れる姿勢を示すことが最も重要です。
詳しく聞くときのポイント
子どもの話を詳しく聞く際のポイントは以下になります。
いつから始まったか
誰がしているか
どんなことをされるか
どこで起きているか
誰か見ている人はいるか
先生は知っているか
他にも被害者はいるか
証拠はあるか
これらの情報を整理することで、適切な対応策を考えることができます。ただし、一度に全てを聞こうとせず、子どものペースに合わせて少しずつ聞くことが大切です。メモを取りながら話を聞き、後で学校に相談する際の資料として活用しましょう。
絶対にやってはいけないこと
子どもがいじめを相談した時に、絶対にやってはいけないことがあります。まず、感情的になって怒ったり、泣いたりしないことです。子どもはより心配をかけてしまったと感じてしまいます。また、
「もっと強くなりなさい」
「やり返しなさい」
などのアドバイスも避けましょう。
これらの言葉は子どもをさらに追い詰めてしまいます。さらに、子どもに確認なく勝手に学校や相手の家庭に連絡することも禁物です。子どもとよく話し合い、今後の対応を一緒に考えることが大切です。
学校への相談で解決する方法
学校との連携は、いじめ解決において最も重要な要素の一つです。効果的な相談方法を身につけましょう。
先生への上手な相談の仕方
学校への相談は、まず担任の先生から始めるのが基本です。電話ではなく、できるだけ直接面談の時間を取ってもらいましょう。相談の際は、感情的にならず冷静に事実を伝えることが大切です。いつ、誰が、何をしたかを具体的に説明し、子どもの様子の変化についても詳しく話します。
「いじめを解決したい」という前向きな姿勢を示し、学校との協力関係を築くことを心がけましょう。また、相談内容や学校の対応については、必ずメモを取っておくことが重要です。
記録を残すことの大切さ
いじめに関する記録を残すことは、解決に向けて非常に重要です。記録すべき内容は以下になります。
記録すべき内容は以下になります。
・いじめの日時
・場所
・加害者の名前
・具体的な内容
・目撃者の有無
・子どもの様子
・学校への相談日
・学校の対応
・その後の変化
これらの記録は、学校や教育委員会との話し合いの際に重要な資料となります。写真や動画、音声などの証拠があれば併せて保存しておきましょう。日記形式で継続的に記録することで、いじめの全体像を把握することができます。
学校が動かない時の対処法
学校に相談しても適切な対応が取られない場合があります。そんな時は、段階的に対応をエスカレートさせていく必要があります。まず、校長先生に直接相談してみましょう。それでも改善されない場合は、教育委員会に相談することを検討します。教育委員会では、学校への指導や調査を行ってくれます。
さらに深刻な場合は、法務省の人権擁護機関や警察への相談も選択肢の一つです。いずれの場合も、これまでの記録が重要な証拠となります。子どもの安全を最優先に考えて行動しましょう。
外部機関への相談窓口
学校だけでは解決が困難な場合、外部の専門機関に相談することが有効です。様々な相談窓口があることを知っておきましょう。
24時間いつでも相談できる電話
いじめに関する相談は、24時間いつでも受け付けている窓口があります。
文部科学省の「24時間子供SOSダイヤル」(0120-0-78310)は、全国どこからでも無料で相談できます。この電話は、かけた地域の教育委員会の相談機関につながる仕組みになっています。
また、法務省の「子どもの人権110番」(0120-007-110)では、人権擁護委員や法務局職員が相談に応じています。これらの相談窓口は、子ども本人だけでなく、保護者からの相談も受け付けています。秘密は厳守されるので、安心して相談することができます。
教育委員会に相談する方法
学校での解決が困難な場合、教育委員会への相談が効果的です。市町村の教育委員会には、いじめ問題の専門部署があります。相談の際は、これまでの経緯と学校の対応について詳しく説明しましょう。教育委員会は、学校に対して指導や調査を行う権限を持っています。
また、第三者委員会の設置を求めることも可能です。相談は電話でも面談でも受け付けており、匿名での相談も可能な場合があります。教育委員会の連絡先は、市町村のホームページで確認できます。専門知識を持ったスタッフが対応してくれるので、適切なアドバイスを受けることができます。
弁護士に相談するタイミング
いじめが深刻で、法的な対応が必要と判断される場合は、弁護士への相談を検討しましょう。特に身体的な暴力を伴ういじめや、学校が適切な対応を取らない場合などが該当します。弁護士は、損害賠償請求や学校との交渉を代理で行うことができます。
また、いじめ防止対策推進法に基づいた学校の義務について、法的な観点からアドバイスを受けることも可能です。多くの弁護士事務所では、初回相談を無料で行っています。法テラスでは、経済的に困難な家庭に対して法的援助を行っているので、費用の心配がある場合は相談してみましょう。
子どもの心をケアする方法
いじめを受けた子どもの心には深い傷が残ります。適切なケアによって、子どもの心を回復させることが重要です。
家で安心して過ごせる場所作り
いじめを受けている子どもにとって、家庭は唯一の安全な場所です。子どもが心から安心できる環境を作ることが何より大切です。子どもの部屋を居心地よく整えたり、好きなものを置いたりして、リラックスできる空間を提供しましょう。
また、家族みんなが子どもの味方であることを言葉と行動で示すことが重要です。
「いつでもあなたを守る」
「あなたは大切な存在」
というメッセージを伝え続けましょう。家庭での会話を大切にし、子どもの気持ちに寄り添う時間を作ることも必要です。
子どもの自信を取り戻すには
いじめを受けた子どもは、自分に自信を失っていることが多いです。子どもの良いところを見つけて、積極的にほめてあげましょう。小さなことでも認めて、「よくできたね」「頑張ったね」と声をかけることが大切です。子どもが得意なことや好きなことに取り組む時間を作り、成功体験を積ませてあげましょう。習い事やスポーツ、趣味などを通じて、学校以外での人間関係を築くことも有効です。また、子どもの意見を尊重し、家庭内での決定に参加させることで、自己肯定感を回復させることができます。
カウンセラーに相談するメリット
いじめの影響が深刻な場合は、専門のカウンセラーに相談することをお勧めします。カウンセラーは、子どもの心の状態を専門的に評価し、適切な治療やサポートを提供できます。また、親では聞き出せない子どもの本音を聞き出すことも可能です。
カウンセリングを通じて、子どもは自分の気持ちを整理し、いじめによるトラウマを克服することができます。学校にスクールカウンセラーがいる場合は、まずそこから相談してみましょう。必要に応じて、外部の心療内科やカウンセリングセンターを紹介してもらうことも可能です。
いじめを防ぐために親ができること
いじめを未然に防ぐためには、日頃からの親の取り組みが重要です。予防的な対策を講じることで、いじめのリスクを減らすことができます。
家での会話を増やす工夫
家庭での会話を増やすための工夫は以下になります。
・食事中はテレビを消す
・一緒に料理をする
・散歩や買い物に出かける
・子どもの好きな話題を聞く
・親の子ども時代の話をする
・一緒にゲームをする
・就寝前の時間を作る
・週末に特別な時間を設ける
これらの取り組みを通じて、子どもとの距離を縮め、何でも話し合える関係を築くことができます。子どもが困った時に、自然と親に相談できる環境を作ることが、いじめの早期発見と解決につながります。
友達関係を知る方法
子どもの友達関係を把握することは、いじめの予防において非常に重要です。まず、子どもの友達の名前や性格を聞いてみましょう。どんな子と仲が良いのか、どんな遊びをしているのかを自然な会話の中で聞き出します。
また、子どもの友達を家に招いたり、一緒に遊ばせたりすることで、実際の関係性を観察することができます。学校行事や参観日には積極的に参加し、子どもの学校での様子を確認しましょう。ただし、過度に詮索することは避け、子どものプライバシーを尊重することも大切です。
学校との連絡を密にする
学校との定期的な連絡は、いじめの予防と早期発見に効果的です。担任の先生とは、子どもの様子について定期的に情報交換を行いましょう。連絡帳や電話、面談などを活用して、家庭と学校での子どもの様子を共有します。PTA活動や学校行事にも積極的に参加し、学校の雰囲気や他の保護者との関係を築くことも重要です。また、子どもの友達の保護者とも良好な関係を維持し、何かあった時にお互いに相談できる関係を作っておきましょう。学校と家庭が連携することで、いじめの早期発見と迅速な対応が可能になります。
まとめ
子どもがいじめを話してくれない理由を理解し、親として適切な対応をとることで、必ずいじめは解決できます。まずは子どもの小さな変化に気づき、安心して相談できる環境を作ることから始めましょう。
いじめは一人で抱え込む問題ではありません。学校や専門機関と連携し、子どもを守るための行動を起こすことが大切です。法的な知識を身につけ、保護者としての権利を適切に行使することも重要です。
何より大切なのは、子どもの心に寄り添い続けることです。いじめの解決には時間がかかる場合もありますが、親の愛情と適切な支援があれば、子どもは必ず立ち直ることができます。今日からでも、子どもとの会話を増やし、信頼関係を深めていきましょう。
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いじめ撲滅委員会では、全国の小~高校生・保護者のかた、先生方にカウンセリングや教育相談を行っています。カウンセラーの栗本は、「いじめ」をテーマに研究を続けており、もうすぐで10年になろうとしています。
・いじめにあって苦しい
・いじめの記憶が辛い
・学校が動いてくれない
・子供がいじめにあっている
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