>
>
>

子どもがいじめを打ち明けた時の親の聞き方

いじめ撲滅

~ ご家族の方はこちら ~ 子どもがいじめを打ち明けた時の親の聞き方と適切な対応法

はじめまして!いじめ撲滅委員会代表,公認心理師の栗本顕です。私の専門は「いじめ」です。心理学の大学院で研究もしてきました。現在はいじめの問題を撲滅するべく、研修やカウンセリング活動を行っています。

いじめ撲滅委員会代表栗本顕

今回のテーマは「子どもがいじめを打ち明けた時の親の聞き方」です。

お子さんから「いじめられている」と打ち明けられた時、どのような言葉をかけ、どう対応すればよいか分からず困っていませんか。親として冷静でいたいけれど、感情が高ぶってしまうのは自然なことです。本記事では、子どもの心に寄り添いながら適切にサポートする方法について解説していきます。

目次は以下の通りです。

① 子どもが打ち明けた時の聞き方
② いじめの内容を聞く時の注意点
③ 子どもがいじめを話したがらない理由
④ いじめを打ち明けられた後の対応
⑤ いじめられた子どもの心理状態
⑥ 親自身の心構えと準備

お子さんの心を守り、適切なサポートができるよう、ぜひ最後までご一読ください。

子どもが打ち明けた時の聞き方

子どもがいじめを打ち明けてくれた時、親の最初の反応がその後の関係を大きく左右します。ここでは、子どもが安心して話せる環境を作るための基本的な聞き方をお伝えします。

まずは子どもを受け入れる

子どもがいじめを打ち明けてくれた瞬間、親としては驚きや怒りの感情が湧き上がるのは当然です。しかし、その感情をそのまま表に出してしまうと、子どもは話すことをやめてしまう可能性があります。まずは深呼吸をして、気持ちを落ち着けることが大切です。

そして「話してくれてありがとう」という感謝の気持ちを伝えましょう。子どもにとって親に相談することは、とても勇気のいる行動です。その勇気を認めて褒めることで、子どもは安心感を得ることができます。

子どもの話を最後まで聞く姿勢

子どもが話をしている最中は、途中で質問や助言をしないことが重要です。「それで?」「どうして?」といった質問も、子どもにとってはプレッシャーになることがあります。まずは子どもの言葉をそのまま受け止め、最後まで聞く姿勢を示しましょう。

「そうなんだね」「辛かったね」といった共感の言葉をかけることで、子どもは自分の気持ちを理解してもらえていると感じます。また「あなたが悪い」「なぜもっと早く言わなかったの」といった否定的な言葉は絶対に避けてください。子どもの心をさらに傷つけてしまう恐れがあります。

「あなたの味方だ」と伝える

子どもがいじめを受けている時、一番必要なのは「味方がいる」という安心感です。親として「お父さんとお母さんは、あなたを絶対に守る」ということを明確に伝えてください。子どもは自分が悪いのではないかと自分を責めていることが多いため、「あなたは何も悪くない」ということもはっきりと言葉にしましょう。

そして、これから一緒に問題を解決していく意思を示すことが大切です。「一人じゃない、みんなで解決していこう」という言葉は、子どもにとって大きな支えになります。親の言葉一つで、子どもの気持ちは大きく変わるのです。

いじめられた子どもを励ます母親

いじめの内容を聞く時の注意点

子どもが安心して話せる雰囲気を作った後は、いじめの具体的な状況を把握する必要があります。ここでは、子どもを傷つけずに必要な情報を聞き出すコツをお伝えします。

5W1Hで状況を整理する

いじめの状況を正確に把握するために、5W1Hを使って整理することが大切です。具体的には、

いつ(When)
どこで(Where)
誰に(Who)
何を(What)
どのように(How)
なぜ(Why)

この部分を整理して質問しましょう。ただし、取り調べのように質問攻めにするのではなく、子どものペースに合わせて優しく聞いてください。また、いじめを受けた時にどのような気持ちになったかも重要な情報です。

子どもの感情を言葉にすることで、親も子どもの辛さを理解しやすくなります。目撃者がいたかどうかも確認しておきましょう。後に学校と話し合う際に重要な情報となります。

子どもを責めない質問の仕方

質問をする際に避けるべき言葉があります。「なぜ早く言わなかったの?」は子どもを責める言葉として受け取られてしまいます。子どもなりの理由があって話せなかったのですから、その気持ちを理解してあげることが大切です。「あなたにも悪いところがあったのでは?」といった言葉も禁句です。

いじめられる側に責任はありません。こうした言葉は子どもの心をさらに傷つけ、自分を責める気持ちを強くしてしまいます。質問は事実確認に徹し、子どもが話しやすい雰囲気を保つことが重要です。子どもの気持ちを最優先に考えながら、必要な情報を集めていきましょう。

証拠の確認と記録の重要性

いじめの証拠があるかどうかも確認する必要があります。体にあざや傷がある場合は、写真を撮って記録に残しておきましょう。持ち物を壊されたり、汚されたりした場合も同様です。また、メールやSNSでの嫌がらせがあった場合は、スクリーンショットを保存してください。

これらの証拠は、学校や相談機関に相談する際に重要な資料となります。さらに、子どもから聞いた内容を日時とともに文書に記録することも大切です。記憶は時間とともに曖昧になるため、詳細を書き留めておくことで、後々の話し合いがスムーズになります。記録を残すことは、子どもを守るための重要な準備なのです。

子どもがいじめを話したがらない理由

多くの子どもがいじめを受けても、なかなか大人に相談しません。その理由を理解することで、親としてできることが見えてきます。

心配をかけたくない気持ち

子どもは親を困らせたくない、心配をかけたくないという気持ちから、いじめを隠すことがあります。特に親が忙しそうにしている時や、家庭に他の悩みがある時は、自分のことで迷惑をかけたくないと考えてしまいます。

さらに、「いじめを解決できるだろうか」という不安も大きな要因です。大人に話しても状況が変わらないかもしれないと考えると、話すことをためらってしまいます。親としては、日頃から「何でも話してほしい」という気持ちを伝えることが大切です。

エスカレートへの恐れ

子どもが最も恐れているのは、大人が介入することでいじめがエスカレートすることです。

先生や親に言ったら、もっとひどいことをされるかもしれない

という不安を抱いています。実際に、不適切な対応によっていじめが悪化したケースもあるため、子どもの恐れは理解できるものです。

また、加害者から「親に言ったらもっとひどいことをする」と脅されている場合もあります。このような状況では、子どもは恐怖で動けなくなってしまいます。さらに、学校で問題が大きくなることで、クラス全体に知られてしまうことを嫌がる子どももいます。

みんなに知られて恥ずかしい思いをするくらいなら、我慢したほうがいい

と考えてしまうのです。

信頼関係の問題

子どもが大人に相談しない背景には、信頼関係の問題もあります。過去に相談したことがあっても適切に対応してもらえなかった経験があると、「また同じことが起こるかもしれない」と不信感を持ってしまいます。また、普段から親や先生とのコミュニケーションが不足していると、相談すること自体にハードルを感じてしまいます。

さらに、いじめを受けることで自己肯定感が下がり、「自分は価値のない人間だ」と思い込んでしまうこともあります。このような状態では、助けを求める力さえ失ってしまいます。

子どもが「理解してもらえないかもしれない」と感じている時は、まず信頼関係を築くことから始める必要があります。日頃からの関わり方が、いざという時の相談しやすさにつながるのです。

いじめを打ち明けられた後の対応

子どもからいじめの相談を受けた後は、適切な対応をとることが重要です。ここでは、子どもの安全と心を守るための具体的な方法をお伝えします。

子どもの安全確保を最優先

いじめが発覚したら、まず子どもの身体的・精神的安全を確保することが最優先です。深刻ないじめの場合は、無理に学校に行かせる必要はありません。「学校を休むのは悪いこと」と考える必要はなく、子どもの心と体を守ることの方が大切です。家庭が子どもにとって安心できる居場所になるよう、温かく受け入れる環境を作りましょう。

また、子どもが好きなことをする時間を確保したり、リラックスできる空間を提供したりすることも重要です。心のケアを重視し、子どもが「ここにいても大丈夫」と感じられるようにサポートしてください。安全が確保されることで、子どもは次の段階に進む準備ができるようになります。

学校との連携方法

学校との連携は、いじめ解決において重要な要素です。まず担任の先生に相談することから始めましょう。ただし、感情的にならずに冷静に話すことが大切です。事前に話す内容を整理し、できれば文書にまとめておくと良いでしょう。口頭だけでなく文書で伝えることで、正確な情報が伝わりやすくなります。

また、学校にはスクールカウンセラーが配置されている場合が多いので、専門的なサポートを受けることも検討してください。学校側も子どもを守りたいと考えているはずですから、協力的な関係を築くことを心がけましょう。

対立するのではなく、一緒に問題を解決するパートナーとして接することが重要です。定期的に連絡を取り合い、状況の変化を共有していきましょう。

家庭でできるサポート

家庭では、子どもが安心して過ごせる環境を維持することが重要です。日常の会話を大切にし、学校でのことを自然に話せる雰囲気を作りましょう。「今日はどうだった?」という質問よりも、「今日の給食は何だった?」といった具体的な質問の方が話しやすい場合があります。また、子どもの表情や行動の変化に注意を払い、小さなサインも見逃さないようにしてください。

急に元気がなくなったり、食欲が落ちたりした時は、優しく声をかけてみましょう。さらに、子どもの好きな活動や趣味を一緒に楽しむ時間を作ることも大切です。親子の絆を深めることで、子どもは「家族がついている」という安心感を得ることができます。継続的な見守りの姿勢を示すことが、子どもの回復を支えます。

いじめられた子どもの心理状態

いじめを受けた子どもの心には、様々な影響が現れます。親として子どもの心理状態を理解し、適切なサポートを行うことが回復への第一歩となります。

いじめによる心への影響

いじめを受けた子どもの心には、深刻な影響が現れることがあります。最も大きな変化は自己肯定感の低下です。

「自分はダメな人間だ」
「いじめられるのは自分が悪いからだ」


と思い込んでしまいます。また、学校への恐怖感も強くなります。「また嫌なことをされるかもしれない」という不安で、学校に行くことが辛くなってしまいます。さらに、人間関係への不信も生まれます。

「誰を信じていいかわからない」
「友達も本当は自分を嫌っているのかもしれない」


と考えてしまうのです。これらの心の変化は、子どもの日常生活全体に影響を与えます。勉強に集中できなくなったり、好きだったことに興味を失ったりすることもあります。親として、こうした心の変化に気づき、受け止めることが大切です。

親ができる心のサポート

子どもの心をサポートするために、親ができることがあります。まず、子どもが感じている気持ちを言葉にする手伝いをしてあげてください。「悲しい」「怖い」「怒っている」といった感情を言葉にすることで、子どもは自分の気持ちを整理することができます。

「大丈夫」という言葉よりも、「辛かったね」「怖かったね」と共感する言葉の方が子どもの心に響きます。また、子どもの小さな変化や成長を見つけて褒めることも重要です。

「今日は笑顔が見られて嬉しい」
「好きなことをしている時の君は輝いている」

といった言葉は、子どもの自己肯定感を回復させる助けになります。さらに、専門家への相談も考えてみてください。カウンセラーや心療内科の医師など、心の専門家の力を借りることで、より適切なサポートを受けることができます。

回復に向けたプロセス

子どもの心の回復は、時間をかけて進んでいくものです。急がず、子どものペースに合わせることが大切です。まず、安心できる環境で心を休めることから始まります。家庭が安全基地となることで、子どもは少しずつ元気を取り戻していきます。次に、新しい人間関係を築く機会を提供してあげてください。

習い事やクラブ活動など、学校以外での人とのつながりが、子どもの世界を広げてくれます。そして、成功体験を積み重ねることで自信を取り戻していきます。小さなことでも「できた」という経験が、子どもの心を強くしてくれます。

心の回復段階は以下になります。

・安心できる環境での休息
・信頼できる人との関係構築
・小さな成功体験の積み重ね
・自己肯定感の回復
・新しい環境への挑戦

この過程で大切なのは、親が焦らないことです。「いつになったら元気になるの」と思わず、子どもの小さな変化を見守り続けてください。

親自身の心構えと準備

子どものいじめに対応するためには、親自身も心の準備と知識の準備が必要です。ここでは、親としてどのような心構えを持つべきかをお伝えします。

感情のコントロール方法

子どもがいじめられていると知った時、親として怒りや悲しみの感情が湧くのは当然のことです。しかし、その感情をそのまま子どもにぶつけてしまうと、子どもはさらに傷ついてしまいます。まず、自分の感情を認識し、受け入れることから始めましょう。「怒っている自分」「悲しんでいる自分」を否定せず、「そう感じるのは当たり前だ」と思ってください。

その上で、深呼吸をしたり、一旦その場を離れたりして、気持ちを落ち着ける時間を作ることが大切です。子ども以上に泣いたり怒ったりしないよう注意してください。子どもは親の感情に敏感で、親が動揺していると自分のせいだと思ってしまうことがあります。冷静な判断を保つためには、信頼できる人に話を聞いてもらうことも有効です。

長期戦への覚悟

いじめの問題は、短期間で解決するものではありません。解決までには時間がかかることを覚悟し、長期的な視点でサポートする準備をしてください。「すぐに解決してほしい」という気持ちはわかりますが、焦りすぎると適切な判断ができなくなってしまいます。継続的なサポートが必要だということを理解し、息の長い取り組みになることを受け入れましょう。また、この過程で親自身のメンタルケアも大切です。一人で抱え込まず、配偶者や家族、友人に相談することを恐れないでください。親が元気でいることが、子どもにとって最大の支えになります。

長期サポートのポイントは以下になります。

・短期解決を期待しない
・継続的な関わりを維持
・親自身の健康管理
・サポート体制を築く
・小さな変化を大切にする

問題解決には山あり谷ありがつきものです。一時的に状況が悪くなったとしても、諦めずに子どもを支え続けることが重要です。

情報収集と準備

いじめに適切に対応するためには、正しい知識と情報が必要です。まず、いじめ防止対策推進法について基本的な内容を理解しておきましょう。この法律により、学校にはいじめの早期発見と適切な対応が義務付けられています。また、お住まいの地域の相談窓口を事前に確認しておくことも大切です。いざという時に慌てずに済むよう、連絡先をメモしておきましょう。さらに、日頃から子どもの様子を記録する習慣をつけることをお勧めします。「元気がない」「食欲がない」といった変化を日記に書いておくと、後で振り返る時に役立ちます。

事前準備のチェックリストは以下になります。

・法律の基本的な理解
・地域の相談窓口リスト
・学校の連絡先確認
・記録をつける習慣
・証拠保全の方法確認

準備を整えておくことで、問題が起きた時に冷静に対応することができます。「備えあれば憂いなし」の気持ちで準備を進めてください。

まとめ

子どもがいじめを打ち明けてくれた時、親としてどう対応すべきか悩むのは当然のことです。しかし、適切な聞き方と対応方法を知っていれば、子どもの心に寄り添いながらしっかりとサポートすることができます。

最も大切なのは、子どもの話を最後まで聞き、「あなたの味方だ」ということを伝えることです。そして冷静に状況を把握し、学校や相談機関と連携しながら問題解決に取り組んでください。解決までには時間がかかることもありますが、諦めずに子どもを支え続けることが重要です。

一人で抱え込まず、周りの人や専門機関の力を借りながら、お子さんが再び笑顔で学校生活を送れるよう、今日から行動を起こしてください。あなたの愛情と適切な対応が、お子さんの心を必ず守ってくれるはずです。

相談をご希望の方へ

いじめ撲滅委員会では、全国の小~高校生・保護者のかた、先生方にカウンセリングや教育相談を行っています。カウンセラーの栗本は、「いじめ」をテーマに研究を続けており、もうすぐで10年になろうとしています。

・いじめにあって苦しい
・いじめの記憶が辛い
・学校が動いてくれない
・子供がいじめにあっている

など、いじめについてお困りのことがありましたらご相談ください。詳しくは以下の看板からお待ちしています。

いじめ,カウンセリング


助け合い掲示板

コメントを残す

ご家族の方はこちら
被害者の方はこちら
お友達の方はこちら
いじめ相談窓口

日本からいじめをなくそう