~ 被害者の方はこちら ~ いじめの証拠になるものは?メモ・録音・録画などの集め方-いじめ撲滅委員会
はじめまして!いじめ撲滅委員会代表、公認心理師の栗本顕です。私の専門は「いじめ」です。心理学の大学院で研究もしてきました。現在はいじめの問題を撲滅するべく、研修やカウンセリング活動を行っています。
今回のテーマは「いじめの証拠集め」です。
いま、いじめで苦しんでいるあなたや、お子さんがいじめに遭っているあなたに、学校を動かすための方法をお伝えします。学校に相談しても「証拠がない」と言われることがあります。
でも大丈夫です。正しい方法で証拠を集めれば、必ず学校は動いてくれます。本記事では、メモ・録音・録画を使った効果的な証拠集めについて解説していきます。
いじめの証拠が必要な理由
いじめを解決するためには、感情だけでなく事実を示す証拠が欠かせません。
学校が動くいじめの証拠
学校がいじめ問題に本気で取り組むには、はっきりした証拠が必要です。残念ながら、口で訴えるだけでは「勘違い」「ただの喧嘩」として処理されることが多いのが現実です。
しかし、具体的な証拠があれば状況は大きく変わります。録音された悪口、撮影された暴力、詳しく記録されたメモなど、否定できない事実があると、学校側も無視することができません。
証拠があることで、先生や校長との話し合いでも主導権を握ることができ、具体的な対策を求めることが可能になります。
証拠がないと解決しない
証拠なしでのいじめ解決は、残念ながらとても難しいです。学校側は「事実確認ができない」という理由で、積極的な対応を避ける傾向があります。
加害者の親との話し合いでも、証拠がなければ「うちの子はそんなことしない」と否定されてしまいます。結果として、いじめは続き、あなたはさらに苦しむことになってしまいます。
だからこそ、早い段階から計画的に証拠を集めることが重要なのです。証拠があれば、相手も事実を認めざるを得なくなります。
強い証拠と弱い証拠
証拠にも強弱があることを理解しておきましょう。強い証拠は、いじめの事実を直接証明できるものです。録音された暴言、撮影された暴力、具体的な日時と内容が記録されたメモなどが該当します。
一方、弱い証拠は、いじめを間接的に示すものです。体の傷、破れた服、子どもの様子の変化などがこれにあたります。弱い証拠だけでは学校を動かすのは難しいですが、強い証拠と組み合わせることで説得力が増します。
最も効果的なのは、複数の強い証拠を組み合わせることです。
裁判でも使える証拠
ひどいいじめの場合、法的な手段を考える必要があります。その際、裁判所で認められる証拠を集めておくことが重要です。
裁判で有効な証拠には、後から変更できない、日時がはっきりしている、内容が具体的、という特徴があります。日記やメモは後から書き足すことができるため、一つだけでは証拠の力が弱くなりがちです。
しかし、録音や録画データは後から変更するのが困難で、証拠としての価値が高くなります。専門機関で適切に保存されたデータなら、法廷でも十分通用する証拠となります。
メモでいじめの証拠を残す
メモは最も手軽で確実な証拠収集方法です。正しい書き方を覚えましょう。
いじめメモの正しい書き方
いじめのメモを書くときは、感情ではなく事実を記録することが大切です。「ひどいことをされた」ではなく、「○○君に蹴られた」「○○さんに悪口を言われた」のように具体的に書きます。
メモの書き方のポイントは以下になります。
・日付と時間を書く
・場所を詳しく書く
・相手の名前を書く
・何をされたか書く
・誰が見ていたか書く
毎日記録することで、メモの信頼性が高まります。いじめがあった日だけでなく、何もなかった日も含めて日記のように書き続けると、後から作ったものではないことが証明できます。
日付と時間を必ず記録
いじめの証拠として最も重要なのが、正確な日時の記録です。「先週」「この前」といった曖昧な表現では、証拠としての価値が下がってしまいます。
「2025年○月○日(火)午後2時頃、3年A組の教室で」のように、できるだけ詳しく記録しましょう。時間が分からない場合は、「昼休み中」「5時間目の後」など、分かる範囲で具体的に書くことが大切です。
正確な日時があることで、学校側も事実確認がしやすくなり、証拠としての信頼性も大幅に向上します。
相手の名前をはっきり書く
証拠として使えるメモにするには、加害者の名前を明確に記録することが必須です。「クラスの男子」「あの人」といった曖昧な表現では、誰がいじめをしたのか特定できません。
フルネームが分からない場合でも、「3年B組の田中君」「サッカー部の佐藤」など、相手を特定できる情報をできるだけ詳しく書きましょう。
複数の加害者がいる場合は、それぞれの名前と具体的な行為を分けて記録します。「誰が何をしたか」が明確になることで、責任の所在がはっきりし、学校側も対処しやすくなります。
事実だけを客観的に記録
メモを書く際は、客観的な事実のみを記録することが重要です。「むかついた」「悲しかった」といった感情は、別の欄に書くか、事実の後に()で追記する程度にとどめましょう。
「○○君に『バカ』と言われた」
「○○さんに教科書を隠された」
「○○君に肩を押された」
など、具体的な行為を中心に記録します。「いじめられた」という表現は避け、何をされたかを詳しく書くことが大切です。
第三者が読んでも状況が理解できるよう、分かりやすい文章で記録することを心がけましょう。
録音でいじめの証拠を集める
音声による証拠は、いじめの実態を直接証明する強力な手段です。
いじめの録音は違法じゃない
「無断で録音するのは違法では?」と心配する人が多いですが、自分を守るための録音は合法です。相手に許可を得る必要もありません。
ただし、録音した内容を勝手にインターネットに公開したり、関係ない人に広めたりすることは問題になる可能性があります。録音データは、学校や専門機関への相談に使用することが適切です。
法的な観点から見ても、被害者が自分を守るための録音は正当な行為として認められています。むしろ、いじめの実態を明らかにするために積極的に活用すべき手段と言えるでしょう。
ボイスレコーダーの選び方
いじめの録音に適したボイスレコーダーを選ぶ際のポイントをお伝えします。最も重要なのは、相手に気づかれずに録音できることです。
ボイスレコーダー選びのポイントは以下になります。
・小型で目立たない
・長時間録音できる
・音質がクリア
・操作が簡単
・データ保存可能
ペン型や腕時計型のレコーダーなら、相手に怪しまれることなく録音できます。スマートフォンの録音機能も便利ですが、バッテリーの消耗に注意が必要です。最低でも8時間以上の連続録音ができる機種を選びましょう。
録音で相手の名前を入れる
録音データを証拠として使うには、誰の声か分かるようにすることが重要です。会話の中で相手の名前を自然に呼ぶようにしましょう。
「○○君、やめてよ」
「○○さん、それはひどいよ」
など、相手の名前を含んだ発言をすることで、後から聞き返したときに誰が加害者かはっきりします。
複数人からいじめを受けている場合は、それぞれの声を識別できるよう工夫が必要です。「今、○○君が言ったよね」「○○さんもそう思うの?」など、名前を確認する発言を入れることで、声の主を特定しやすくなります。
会話の最初から最後まで録音
証拠として有効な録音にするには、会話の全体を記録することが大切です。都合の良い部分だけを切り取った録音では、前後の文脈が分からず、証拠としての価値が下がってしまいます。
いじめの場面では、最初は普通の会話から始まることが多いです。途中で録音を開始するのではなく、怪しい雰囲気を感じたらすぐに録音を始めましょう。
録音時間が長くなっても構いません。重要なのは、いじめの発言がどのような流れで出てきたかを記録することです。完全な録音データがあることで、相手側も言い逃れができなくなります。
録音データを文字に起こす
録音した音声は、文字で記録することも重要です。音声だけでは、重要な部分を聞き逃したり、第三者に内容を説明するのが困難になったりします。
録音を文字に起こす際のポイントは以下になります。
・正確に書き写す
・時間を記録する
・話者を明記する
・重要部分に印
・元音声も保存
専門用語で「反訳書」と呼ばれるこの作業は、裁判でも必要になることがあります。自分で作成が困難な場合は、専門業者に依頼することも可能です。文字記録があることで、証拠の説得力が大幅に向上します。
録画でいじめの証拠を撮る
映像による証拠は、もっとも説得力のある証拠の一つです。適切な方法で撮影しましょう。
スマホでいじめを録画する
スマートフォンのカメラ機能を使った録画は、最も身近で手軽な証拠の集め方です。ただし、相手に気づかれないよう細心の注意が必要です。
録画する際は、カメラを構える動作で相手に気づかれる可能性があります。ポケットやカバンの中からでも音声は録音できるので、映像が撮れない場合は音声記録に切り替えましょう。
可能であれば、離れた場所から望遠機能を使って撮影することも有効です。ただし、子どもの安全が最優先なので、無理な撮影は避けるべきです。
隠しカメラで証拠を撮る
特定の場所で繰り返しいじめが行われる場合、隠しカメラの設置が有効な手段となります。自宅や自分の敷地内なら、法的な問題はありません。
隠しカメラ設置のポイントは以下になります。
・バレない場所
・録画時間充分
・画質が良好
・音声も録音
・データ保存
市販の小型カメラには、時計型、ペン型、USB型など様々な種類があります。設置場所と状況に応じて適切なタイプを選びましょう。ただし、学校内への設置は学校側の許可が必要になることがあります。
録画が違法にならない方法
録画で証拠を集めるとき、最も大事なのは法律に違反しないことです。基本的に、自分を守るための録画は悪いことではありませんが、気をつけることがあります。
更衣室やトイレなど、人が着替えをする場所での撮影は絶対にダメです。また、撮影した動画を勝手にネットに流すことも法律違反になります。
学校で撮影するときは、できれば先生に相談してからにしましょう。「いじめの証拠を集めたい」と説明すれば、手伝ってくれる場合もあります。
映像証拠の効果と使い方
動画による証拠は、一番説得力がある証拠です。音だけでは分からない暴力の様子や、表情、周りの様子なども記録できるからです。
動画の証拠があると、学校の先生も「そんなことはない」と言えなくなります。また、いじめっ子の親に対しても、絶対に否定できない証拠として見せることができます。
ただし、動画を撮るのは他の方法より難しく、危険もあります。無理をしないで、安全にできる範囲で使うことが大切です。
いじめの証拠集めの手順
効果的な証拠収集には、計画的なアプローチが必要です。
証拠集めを始めるタイミング
いじめかもしれないと思ったら、すぐに証拠集めを始めることが大事です。「もう少し様子を見よう」と待っている間に、いじめがひどくなったり、証拠がなくなったりする可能性があります。
あなたの気持ちが変わったとき、持ち物を壊されたとき、理由もなく学校に行きたくなくなったときなど、小さな変化を見逃さないことが大切です。
早めに証拠を集めることで、いじめが始まったばかりの頃に問題を解決できる可能性が高くなります。ひどくなる前に、勇気を出して行動しましょう。
メモ・録音・録画を組み合わせ
一番効果的なのは、いろいろな方法を一緒に使うことです。一つの方法だけでは証拠として弱い場合でも、組み合わせることでとても強い証拠になります。
証拠を組み合わせる方法は以下になります。
・メモで日時を書く
・録音で声を残す
・録画で映像を撮る
・写真で物を撮る
・友達に証言してもらう
例えば、メモで日時と何があったかを書いて、録音で実際の悪口を残して、けがの写真を撮るという感じです。いろいろな角度からの証拠があると、相手も「そんなことしてない」と言えなくなります。
毎日続けて記録を残す
証拠集めで一番大切なのは、毎日続けることです。いじめがあった日だけでなく、何もなかった日も含めて記録を続けると、証拠がより信頼されるようになります。
毎日の記録には、学校であったこと、あなたの気持ち、体の調子の変化なども書きましょう。パターンや変化が分かることで、いじめの本当の姿がはっきりします。
記録を続けるのは大変ですが、あなたを守るための大切な作業です。家族と一緒にやって、負担を軽くすることも考えましょう。
周りの人の証言をもらう
いじめを見た人からの証言は、客観的な証拠としてとても大切です。同級生や先生など、いじめを見た人がいれば、証言をお願いしてみましょう。
証言をもらうときのポイントは以下になります。
・紙に書いてもらう
・日時をはっきりさせる
・具体的な内容を書く
・名前を書いてもらう
・連絡先を聞いておく
ただし、証言をお願いするときは、相手の気持ちも考える必要があります。無理やりお願いするのではなく、協力してくれる人にお願いしましょう。証言してくれる人の安全も考えることが大切です。
証拠集めで気をつけること
証拠収集には様々なリスクが伴います。安全に行うための注意点を確認しましょう。
いじめっ子にバレない方法
証拠収集がいじめの加害者にバレると、いじめがひどくなったり、証拠を隠されたりする危険があります。細心の注意を払って秘密を守りましょう。
家族には「お父さんお母さんだけの秘密」として、証拠収集のことを話します。学校の友達や他の人には、絶対に話さないよう注意しましょう。
録音機器は普段から持つのではなく、必要なときだけ持参します。また、操作方法は事前にしっかりと練習し、自然に使えるようにしておきましょう。
自分の安全を一番に考える
証拠収集よりも、あなたの安全が最優先です。危険を感じる状況では、証拠収集を中止し、すぐに安全な場所に避難しましょう。
いじめがひどくなっている場合、証拠収集によりあなたがさらなる危険にさらされる可能性があります。信頼できる大人と相談しながら、慎重に進めることが重要です。
あなたの心の負担も考慮しましょう。証拠収集のプレッシャーで、あなたがさらに苦しむことがないよう配慮が必要です。
仕返しされないための対策
証拠を提出した後の仕返しを防ぐための対策も重要です。加害者やその保護者から、あなたや家族に対して嫌がらせを受ける可能性があります。
学校には、証拠提出と同時に仕返し防止の対策も求めましょう。必要に応じて、クラス替えや転校も検討します。
また、近所や地域での嫌がらせに備えて、自治体の相談窓口や警察にも事前に相談しておくことをお勧めします。
集めた証拠でいじめを解決
証拠をうまく使って、いじめ問題を解決しましょう。
学校にいじめ証拠を出す
集めた証拠は、学校の先生に相談するときに最初に使います。担任の先生だけでなく、学年主任や校長先生にも同時に相談することで、学校全体で問題を分かってもらうことができます。
証拠を渡すときは、コピーを渡して、本物は自分で持っておくことが大切です。また、いつ相談したか、どの先生と話したか、学校がどう答えたかも詳しく記録しておきましょう。 学校の先生があまり真剣に対応してくれない場合は、もっと上の機関に相談することを考えます。
教育委員会に相談する
学校がきちんと対応してくれない場合は、教育委員会に相談するのが次の方法です。まず市や町の教育委員会から始めて、必要があれば県の教育委員会にも相談します。 教育委員会に相談するときは、学校での話し合いの内容も含めてすべての証拠を見せます。
教育委員会は学校を指導する力があるので、より強い対応を期待できます。 相談するときは、具体的に何をして欲しいかも一緒に伝えましょう。いじめっ子への指導、あなたを守ること、もう起きないようにすることなどをはっきりとお願いすることが大切です。
警察や裁判所に訴える
いじめの内容が犯罪にあたる場合は、警察に被害届を出すことも考えましょう。暴力、お金を取られる、物を壊される、悪口を言いふらされるなどは犯罪です。 裁判では、いじめで受けた心の傷に対するお金の請求ができます。
病院代、転校にかかるお金、カウンセリング代なども請求できます。 法的な手段は最後の方法ですが、あなたの権利を守るために必要な場合があります。専門家にアドバイスをもらいながら慎重に決めましょう。
弁護士と一緒に解決する
ひどいいじめの場合は、弁護士に手伝ってもらうことをお勧めします。法律の立場から証拠を見て、一番良い解決方法を教えてくれます。 弁護士と一緒にやる良いところは以下になります。
法律の力を使える
学校が真剣になる
正しいお願いができる
気持ちが楽になる
将来の問題を防げる
最初の相談は無料の弁護士も多いので、両親にお願いしてみましょう。早めに専門家に頼むことで、問題が長引くのを防ぐことができます。
まとめ
いじめの証拠集めは、あなた自身を守るための重要な第一歩です。メモ・録音・録画を組み合わせることで、学校や加害者に対して強力な証拠を提示することができます。
証拠があることで学校は動かざるを得なくなり、問題の早期解決につながります。一人で悩まず、必要に応じて信頼できる大人や専門家のサポートも受けながら、あなたの未来を守るために行動を起こしてください。
大切なのは、あなたが安心して学校生活を送れる環境を作ることです。勇気を持って一歩踏み出せば、必ず道は開けます。あなたは一人ではありません。
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いじめ撲滅委員会では、全国の小~高校生・保護者のかた、先生方にカウンセリングや教育相談を行っています。カウンセラーの栗本は、「いじめ」をテーマに研究を続けており、もうすぐで10年になろうとしています。
・いじめにあって苦しい
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