~ 被害者の方はこちら ~ いじめで無視された時の対処法-いじめの専門家が解説
はじめまして!いじめ撲滅委員会代表、公認心理師の栗本顕です。私の専門は「いじめ」です。心理学の大学院で研究もしてきました。
現在はいじめの問題を撲滅するべく、研修やカウンセリング活動を行っています。
今回のテーマは「無視された時の対処法」です。中学生になると友だち関係が変わります。特に「無視される」というつらい体験をする子もいます。
目次は以下の通りです。
①証拠を残す
②信頼できる人に相談する
③ブロック・報告機能を使う
④反応しない・応答しない
⑤ネットの使い方を見直す
⑥自分を大切にする
⑦仲間とつながる
⑧専門家のサポートを受ける
この記事では、無視されたときに何ができるのか、どうやって乗り越えられるのかを、わかりやすくお伝えします。
無視されるとつらいよね
中学生になると、友だち関係がとても大切になります。でも時に、友だちから無視されるという辛い体験をすることがあります。「シカト」「ハブる」と呼ばれることもあるこの行為は、実はいじめの一種です。無視されるのは、体を傷つけられるよりも心が深く傷つくことがあります。
なぜ無視されるのは辛いの?
無視されることは、「仲間はずれ」という形のいじめです。言葉での攻撃や体への暴力とは違い、「何もされていない」ように見えるため、周りの人に気づかれにくいのが特徴です。でも、心の中ではとても大きな傷になります。
私たちは人とのつながりを求める生き物です。そのため、仲間から外されるという体験は、脳が「危険」と感じる信号になるのです。だから、無視されている状態はとても辛く感じるのは当然のことなんです。
無視されている時によくある気持ち
無視されると、いろいろな気持ちが心の中で混ざり合います。「自分が何か悪いことをしたのかな」と自分を責めることが多いです。また、学校に行くのが怖くなることもあります。
「私が悪いのかな」と自分を責める気持ち
「また無視されるかも」という不安や恐れ
「誰にも相談できない」という孤独感
これらの気持ちはとても自然なものです。誰でも無視されたら同じように感じます。でも、これからお話しする対処法を知れば、この状況を乗り越える力が湧いてきます。大丈夫、あなたは一人じゃありません。
①まずは自分の気持ちを整理しよう
無視されたとき、最初にすべきことは自分の気持ちを整理することです。心の中がごちゃごちゃして何も考えられない状態では、良い解決策は見つかりません。まずは自分の感情と向き合うことから始めましょう。
自分の感情に正直になろう
無視されると「悲しい」「寂しい」「怒り」などいろいろな感情が湧いてきます。これらの感情を「ダメな気持ち」と思って押し込めないことが大切です。感情は自分からのメッセージです。
「今、自分はどんな気持ちなのか」考える
泣きたいときは思い切り泣いてもいい
怒りを感じるのも自然なこと
感情を認めることで、少しずつ心が落ち着いてきます。「悲しい」と思っていたら、本当は「悔しい」気持ちだったと気づくこともあります。自分の気持ちに正直になることが、次の一歩を踏み出す土台になります。
自分のノートに書き出してみよう
モヤモヤした気持ちを整理するのに、紙に書き出すことはとても効果的です。誰にも見せる必要はないノートやメモに、今の気持ちや状況を書いてみましょう。
いつ、どこで、誰に、どんなふうに無視されたか
そのとき、どんな気持ちになったか
無視される前に何かあったか
書くことで頭の中が整理され、「こうすればいいのかも」というアイデアが浮かぶことがあります。また、後で読み返すと、気持ちの変化に気づくこともできます。自分だけの秘密のノートを作ってみてください。
②信頼できる人に話を聞いてもらおう
つらい気持ちを一人で抱え込まないことが大切です。誰かに話を聞いてもらうだけで、心は軽くなります。話すことで、自分では気づかなかった解決策が見つかることもあります。まずは身近な人に相談してみましょう。
家族に相談してみよう
家族は一番身近な相談相手です。特に親は子どもを守りたいと思っています。「心配をかけたくない」「言っても理解してもらえない」と思うかもしれませんが、勇気を出して話してみましょう。
「今、学校でちょっと困ったことがある」と切り出してみる
具体的に「〇〇さんから無視されている」と伝える
どんな気持ちになっているかも伝えよう
親に打ち明けると、「あなたを絶対に守る」と言ってくれるはずです。その言葉だけで安心できることもあります。もし最初に話した人が上手に聞いてくれなくても、別の家族に話してみましょう。必ずあなたの味方になってくれる人がいます。
先生やスクールカウンセラーに相談する
学校の中で無視されているなら、学校の先生に相談するのも大切です。担任の先生だけでなく、話しやすい先生や保健室の先生、スクールカウンセラーなど、選択肢はたくさんあります。
休み時間や放課後など、二人で話せる時間を選ぶ
「相談があります」と伝えて、静かな場所で話す
気持ちを伝えて解決のために動いてもらう
先生たちには「いじめを解決する義務」があります。あなたの話を聞いて、どうすれば良いか一緒に考えてくれます。最初は勇気がいるかもしれませんが、話すことで状況が良くなるきっかけになります。
③自分を責めないで
無視されると「自分が悪いから」と思ってしまいがちです。でも、いじめに「あなたが悪い」という理由はありません。自分を大切にする気持ちを忘れないようにしましょう。
いじめに「あなたが悪い」理由はない
いじめる側は「〇〇だから」と理由をつけることがありますが、それは後付けの理由であることがほとんどです。「服装が変だから」「話し方が変だから」などと言われても、それはいじめの理由にはなりません。
いじめる側が言う理由は、いじめを正当化するためのもの
理由が変わっても、いじめは続くことが多い
あなたは「変わる必要」はない
いじめる理由は「いじめる側の問題」であって、あなたの問題ではありません。自分が変われば解決するかもしれないと思うかもしれませんが、多くの場合、それは間違いです。あなたはそのままで十分素晴らしいんです。
自己肯定感を保つためにできること
無視されると自分に自信が持てなくなることがあります。そんな時こそ、自分の良いところを思い出すことが大切です。自己肯定感とは「自分はこのままでいいんだ」と思える気持ちのことです。
自分の好きなところをリストにする
宿題ができたなど小さな成功を喜ぶ
人から褒められたこと書き出す
毎日寝る前に「今日の自分をほめたいこと」を考える習慣をつけるのも良いでしょう。自分を責めるのではなく、自分をほめる練習をしてみてください。自己肯定感が高まると、無視されても「自分はダメな人間だ」とは思わなくなります。
④学校以外の居場所を見つけよう
中学生にとって学校は生活の大部分を占める場所です。でも、学校だけが全てではありません。学校以外にも自分が安心できる場所、楽しめる場所を作ることで心の余裕が生まれます。
家で安心できる空間を作る
家は本来、最も安心できる場所のはずです。自分の部屋や家の中の好きな場所で、リラックスできる時間を作りましょう。
自分の部屋を心地よい空間にする
好きな音楽を聴いたり、本を読んだりする
家族と一緒に料理したり、ゲームをしたりする
学校でつらい思いをしても、「家に帰ればホッとできる」と思えることが大切です。もし家でもリラックスできないなら、大人に相談して環境を変えてもらいましょう。あなたが安心して過ごせる場所は必ず作ることができます。
習い事や地域の活動に参加する
学校以外の場所で新しい友達を作ることも大切です。習い事や地域の活動では、学校とは違う自分を表現できることがあります。
習い事(スポーツ、音楽など)を始める
地域の図書館やイベントに参加する
趣味のオンラインコミュニティで友達を作る
学校の友達だけが友達ではありません。違う環境で出会った人とは、また違う関係を築くことができます。「無視されている」という学校での状況だけがあなたの全てではないことを忘れないでください。
⑤相手との関係を見直す
無視している相手との関係を見直すことも大切です。もしかしたら、誤解があるのかもしれません。また、関係を修復する方法があるかもしれません。冷静に状況を考えてみましょう。
無視する理由があるかも知れない
時に、無視される原因が何かの誤解であることもあります。自分の行動を振り返ってみて、相手が誤解しているかもしれないことがないか考えてみましょう。
最近言い争いがなかったか振り返る
自分の言葉で相手を傷つけていないか
グループのルールを知らず破ってないか
これは「あなたが悪い」と言いたいわけではありません。ただ、人間関係はお互いの理解が大切です。もし自分の言動で相手を傷つけていたなら、謝ることで関係が改善するかもしれません。
関係修復のきっかけを作る
無視されていても、関係を修復するきっかけを自分から作ることは可能です。いきなり大きな一歩ではなく、小さな一歩から始めましょう。
簡単な挨拶「おはよう」から始める
授業や部活で話すきっかけを作る
共通の友達を仲介役にしてみる
無視している相手も、実は関係を改善したいと思っているかもしれません。でも、プライドや周りの目があって、一歩を踏み出せないこともあります。あなたから歩み寄ることで、状況が変わる可能性もあります。ただし、無理はしないでください。
⑥新しい友達関係を築こう
今の友達関係だけが全てではありません。クラスには他にも多くの人がいます。また、部活動など別の場所で新しい友達を作ることもできます。視野を広げてみましょう。
クラスの他の人と話してみる
いつも同じグループにいると、そのグループだけが自分の居場所のように感じます。でも、クラスには他にもたくさんの人がいます。まだあまり話したことがない人と話してみると、新しい発見があるかもしれません。
班活動で積極的に発言する
掃除や給食当番で会話のきっかけ作り
趣味が似ている人に話しかける
最初は緊張するかもしれませんが、「おはよう」「ありがとう」など簡単な言葉から始めてみましょう。一人でも話しやすい人ができれば、学校生活が少し楽になります。無視している人だけが友達になれる人ではないことを忘れないでください。
部活動で仲間を見つける
部活動は共通の目標や興味を持った人が集まる場所です。同じ目標に向かって頑張る中で、自然と絆が生まれることがあります。
自分の好きなことを活かせる部活に入る
先輩や後輩との関係を大切にする
チームでの役割を果たして信頼を築く
部活動では、クラスとは違う自分を表現できることがあります。「クラスでは大人しいけど、部活では活躍している」という人はたくさんいます。部活動を通じて自信をつけ、新しい友達関係を築いていきましょう。
⑦耐えられないなら学校を休む
無視されると、学校に行くのが怖くなることがあります。毎日学校に行くべきか、休むべきか迷うこともあるでしょう。どちらが正解ということはなく、状況によって判断することが大切です。
無理して行かなくていい時
無理して学校に行くことがかえって状況を悪化させる場合もあります。以下のような場合は、休むことも選択肢の一つです。
体調不良(眠れない、食欲減退、頭痛など)
学校を考えるだけで強い不安や動悸がある
暴言や暴力に発展している場合
休むことは「逃げる」ことではありません。自分を守るための大切な選択です。休んでいる間に心と体を休め、次の一歩を考える時間にしましょう。必要なら専門家のカウンセリングを受けることも検討してください。
学校に行く勇気を持つ方法
状況が深刻でなく、学校に行く選択をする場合は、不安を減らす工夫をしてみましょう。小さな目標設定が効果的です。具体的には、
短い時間(3時間目まで)から始める
保健室や図書室など安全な場所を見つける
担任の先生とよく相談して登校する
また、先生に「今日はちょっとつらいので保健室で休ませてください」と伝える方法もあります。全か無かではなく、自分ができる範囲で学校と関わりを持ち続けることが大切です。
⑧エスカレートしたらすぐに相談
無視されている状態が続いたり、無視からさらに深刻ないじめに発展したりする場合もあります。そんな時は一人で抱え込まず、必ず大人に助けを求めましょう。
深刻ないじめのサイン
無視から始まったいじめが、次のようなサインに発展したら要注意です。すぐに大人に相談しましょう。
無視から暴言やからかいに発展
持ち物を隠される・壊される
SNSで悪口を書かれる
特にネット上でのいじめは発見されにくく、被害が広がりやすいのが特徴です。スクリーンショットなど証拠を残しておき、必ず大人に見せるようにしましょう。
専門の相談窓口を知っておこう
身近な大人に相談しにくい場合や、相談しても解決しない場合は、専門の相談窓口を利用しましょう。匿名で相談できる窓口もあります。
24時間子供SOSダイヤル(0120-0-78310)
こどもの人権110番(0120-007-110)
「STOPいじめ!ナビ」などのアプリやウェブサイト
これらの窓口には、いじめの専門家が対応しています。話を聞いてくれるだけでなく、具体的な解決方法についてアドバイスをもらえます。一人で悩まず、勇気を出して相談してみましょう。
まとめとお知らせ
まとめ
無視されるという体験は、とてもつらいものです。でも、必ずこの状況は変わります。今回紹介した8つの対処法を参考に、一歩ずつ前に進んでいきましょう。
今は信じられないかもしれませんが、この経験を乗り越えたとき、あなたはもっと強くなっています。「あの時はつらかったけど、乗り越えられた」という経験は、将来の大きな自信になります。周りの人がどうであれ、最後に自分の味方になれるのは自分自身です。自分を大切にする気持ちを忘れないでください。
お知らせ
いじめ撲滅委員会では、全国の小~高校生・保護者のかた、先生方にカウンセリングや教育相談を行っています。カウンセラーの栗本は、「いじめ」をテーマに研究を続けており、もうすぐで10年になろうとしています。
・いじめにあって苦しい
・いじめの記憶が辛い
・学校が動いてくれない
・子供がいじめにあっている
など、いじめについてお困りのことがありましたらご相談ください。詳しくは以下の看板からお待ちしています。