~ 被害者の方はこちら ~ いじめでの暴力…有効な6つの対策-いじめの専門家が解説
はじめまして!いじめ撲滅委員会代表、公認心理師の栗本顕です。私の専門は「いじめ」です。心理学の大学院で研究もしてきました。
現在はいじめの問題を撲滅するべく、研修やカウンセリング活動を行っています。
今回のテーマは「暴力への対策」です。
学校でのいじめが暴力に発展するケースは少なくありません。たたかれる、蹴られる、物を投げられるなどの暴力は、からだだけでなく心にも大きな傷を残します。
暴力は絶対に許されないこと
①証拠を記録・保存する
②信頼できる大人に相談する
③相談窓口に連絡する
④安全な場所・環境を確保する
⑤環境を変える
⑥自分を責めない
この記事では、暴力を受けた場合の対処法を6つ紹介します。
暴力は絶対に許されないこと
学校での暴力は昔から問題になっていますが、決して「よくあること」として見過ごされるべきではありません。暴力は犯罪行為であり、誰に対しても許されないものです。もしあなたのお子さんが暴力を受けているなら、まずはそのことを強く認識することが大切です。
暴力といじめの関係
暴力は、いじめの中でも特に深刻な形です。言葉によるいじめから始まり、無視や仲間はずれを経て、最終的に暴力へとエスカレートするケースもよく見られます。
冗談でも暴力はいじめ
遊びは言い訳にならない
危険度が高い行為
暴力は、加害者と被害者の力関係が明確になる行為です。「強い者」が「弱い者」に対して行うこの行為は、単なるケンカではなく、一方的な攻撃であることがほとんどです。だからこそ、早急な対応が必要なのです。
暴力被害の心への影響
暴力を受けると、からだの傷だけでなく、心にも大きな傷を負います。暴力被害は心の健康に深刻な影響を与えることがあります。
不安と恐怖
自己肯定感低下
PTSD発症の可能性
心の傷は目に見えないため、周囲の大人が気づきにくいことがあります。お子さんの様子がいつもと違うと感じたら、暴力被害を疑ってみることも必要です。からだの傷は時間とともに治りますが、心の傷は長く残ることがあります。
①証拠を記録・保存する
暴力を受けた場合、まず大切なのは証拠を残すことです。「証拠」という言葉は少し堅い感じがするかもしれませんが、後で学校や関係機関に相談する際に非常に重要になります。
日記のように記録をつける
いつ、どこで、誰から、どんな暴力を受けたのか、詳しく記録しておきましょう。メモ帳やノート、スマホのメモアプリなど、使いやすいものを選んでください。
いつ(日時)
どこで(場所)
誰が(関係者)
記録は客観的な事実を中心に書きましょう。感情も大切ですが、「〇月〇日、体育館で〇〇さんに腹を蹴られた」といった具体的な事実が重要です。毎日続けることで、暴力の頻度やパターンがわかり、解決の手がかりになります。
写真や音声は強力
可能であれば、暴力の痕跡や状況を写真や録音で残しておくことも有効です。ただし、相手に気づかれないよう安全に配慮することが大切です。
傷の写真
壊された物
診断書
特に医師の診断書は公的な証拠として非常に価値があります。少しの傷でも病院で診てもらい、記録に残すことをおすすめします。これらの証拠は、学校や警察に相談する際の強力な裏付けになります。
②信頼できる大人に相談する
暴力を一人で抱え込まないことが大切です。まずは身近な大人に相談しましょう。学校の先生や保護者など、信頼できる大人の力を借りることが解決への第一歩です。
先生に相談する
担任の先生は、クラスの状況をよく知っている立場です。相談する際は、具体的な事実を伝えることが重要です。
相談時間の確保
証拠を見せる
希望を伝える
「暴力をやめさせてほしい」「安心して学校に通いたい」など、具体的な希望を伝えると先生も動きやすくなります。担任だけでなく、養護教諭(保健室の先生)やスクールカウンセラーも心強い味方になってくれます。
家族に相談する
家族は最も身近な味方です。特に保護者は子どもを守る立場として、学校と協力して問題解決に取り組むことができます。
正直に話す
一緒に相談
専門家に相談
保護者が学校に同行することで、先生も問題を深刻に受け止めてくれることが多いです。お子さんが話しにくそうにしている場合は、無理強いせず、少しずつ話を聞き出す姿勢を持ちましょう。安心できる環境で話すことが大切です。
弁護士に相談する
暴力行為は犯罪です。特に深刻な暴力被害の場合は、法的な対応を検討することも必要です。弁護士や警察に相談することで、より強い対応を取ることができます。
弁護士は法律の専門家として、被害者の権利を守るためのアドバイスをしてくれます。いじめ問題に詳しい弁護士も増えています。具体的には、
法的アドバイス
交渉の代行
損害賠償検討
などを行ってくれます。弁護士への相談は有料ですが、初回無料相談を行っている事務所も多いです。また、法テラス(法律支援センター)では収入に応じた支援制度もあります。深刻な暴力被害の場合は、専門家の力を借りることを検討してみてください。
警察に相談する
怪我を負うような暴力や、継続的な暴力被害の場合は、警察に相談することも選択肢の一つです。特に中学生以上の場合、暴力は刑法上の犯罪(暴行罪や傷害罪)に該当します。
生活安全課
被害届提出
証拠準備
警察に相談する場合は、これまで集めてきた証拠が重要になります。被害届を出すことで捜査が始まり、加害者への法的措置が取られる可能性があります。ただし、学校内での人間関係にも影響するため、メリット・デメリットをよく考えて判断しましょう。
③相談窓口に連絡する
学校内での解決が難しい場合や、より専門的な助けが必要な場合は、外部の相談窓口や専門機関を利用しましょう。第三者の視点が入ることで、新たな解決策が見つかることもあります。
公的な相談窓口を利用する
国や自治体が設置している相談窓口は、専門的な知識を持ったスタッフが対応してくれます。匿名での相談も可能です。
24時間子供SOSダイヤル(0120-0-78310)
各自治体の教育委員会の相談窓口
児童相談所(189)に連絡する
これらの窓口では、いじめや暴力に関する専門的なアドバイスを受けられます。学校との連携方法や法的な対応についても教えてもらえるでしょう。一人で悩まず、専門家の力を借りることが大切です。
支援団体のサポートを受ける
いじめや暴力の問題に取り組むNPOや支援団体も全国にあります。同じような経験をした人たちのサポートを受けられる場合もあります。具体的には、
NPO団体相談
親の会参加
いじめのオンライン相談
などがおすすめです。特に親の会では、同じような状況で悩む保護者同士が情報交換できるため、具体的な対応策を学べることがあります。「自分たちだけじゃない」と感じられることで、心強さを得られるでしょう。
④安全な場所・環境を確保する
暴力から身を守るためには、安全な環境を確保することが何よりも優先されます。心身の回復のためにも、安心できる場所を見つけることが大切です。
学校内の安全な場所を見つける
学校の中でも、比較的安心して過ごせる場所があります。まずはそういった場所を見つけ、活用しましょう。
保健室利用
図書室活用
先生の目の届く場所
特に保健室は、養護教諭が常駐していて比較的安全な場所です。一時的な避難場所として利用することができます。事前に保健室の先生に状況を説明しておくとスムーズです。
通学・下校の安全を確保する
学校だけでなく、通学路や放課後の時間にも安全を確保することが大切です。暴力は学校外でも起こる可能性があります。
複数で下校
人通りの多い道を選ぶ
下校時間をいじめっ子とずらす
また、自宅でのリラックスタイムも大切です。好きな音楽を聴いたり、趣味に没頭したり、家族と過ごす時間を増やすことで、心の安定を取り戻すことができます。安全な環境があることで、心の傷も少しずつ癒されていきます。
⑤環境を変える
暴力が続き、学校での安全が確保できない場合は、環境そのものを変えることも検討する必要があります。これは逃げることではなく、自分を守るための積極的な選択です。
クラス替え・席替えの相談
まずは学校内での環境変更を検討しましょう。担任や学年主任、校長先生などに相談して、環境を変えてもらうことが可能な場合があります。
クラス替え依頼
席替えしてもらう
掃除の班を別にしてもらう
など
特に新学期や学期の切り替わりのタイミングでは、クラス替えの依頼が受け入れられやすくなります。学校側に「安全に学校生活を送りたい」という希望をはっきりと伝えましょう。
転校や自宅学習を検討
学校内での対応だけでは解決が難しい場合は、より大きな環境の変化を検討することも選択肢の一つです。
具体的には、
転校する
フリースクール
オンライン学習
などが挙げられます。環境を変えることは大きな決断ですが、安全と健康を最優先に考えることが大切です。新しい環境では、これまでの経験を活かしながら、新たな人間関係を築いていくことができます。どんな選択をするにしても、自分の気持ちを尊重し、家族と一緒に考えていくことが重要です。
⑥自分を責めない
暴力を受けると、「自分が悪いのかも」と思ってしまうことがあります。しかし、暴力の責任は常に加害者にあります。自分を責めず、自分の価値を認める気持ちを持ち続けることが大切です。
「あなたは悪くない」ことを理解する
暴力を受けた人は、自分に非があったからだと考えがちですが、それは違います。どんな理由があっても、暴力をふるうことは許されません。
いじめは加害者の問題
いじめをしていい理由はない
いじめに反対する権利がある
「暴力を受けるのは恥ずかしいこと」と思うかもしれませんが、それは間違いです。助けを求めることは勇気ある行動であり、恥ずかしいことではありません。自分の気持ちや体を大切にする権利は、誰にでもあるのです。
自己肯定感を高める工夫
暴力被害は自己肯定感(自分は価値ある存在だと感じる気持ち)を傷つけます。傷ついた自己肯定感を回復させるための工夫をしましょう。
長所を書く
成功体験を積む
感謝される場
また、自分の気持ちを大切にすることも重要です。「イヤだ」と感じることは「イヤだ」と言っていいのです。自分の気持ちに正直になることが、自己肯定感を高める第一歩です。自分を大切にする気持ちを忘れないでください。
まとめとお知らせ
まとめ
暴力被害は深い傷を残しますが、必ず乗り越えられます。今の苦しみは永遠に続くものではなく、必ず終わりが来ることを信じてください。この経験を通して、困難に立ち向かう強さや、他者の痛みがわかる優しさを身につけることもあるでしょう。
助けを求めることは決して弱さではなく、自分を大切にする勇気ある行動です。一人で抱え込まず、信頼できる人に助けを求めてください。どんな状況でも、必ず味方になってくれる人がいます。暴力のない、安心して過ごせる日々を取り戻すために、この記事が少しでも力になれることを願っています。
お知らせ
いじめ撲滅委員会では、全国の小~高校生・保護者のかた、先生方にカウンセリングや教育相談を行っています。カウンセラーの栗本は、「いじめ」をテーマに研究を続けており、もうすぐで10年になろうとしています。
・いじめにあって苦しい
・いじめの記憶が辛い
・学校が動いてくれない
・子供がいじめにあっている
など、いじめについてお困りのことがありましたらご相談ください。詳しくは以下の看板からお待ちしています。