発達障害とは何か,対策

皆さんこんにちは。心理学講座を開催している公認心理師の川島達史です。今回は発達障害の入門編です。目次は以下の通りです。

①発達障害とは
②注意欠陥多動性障害(ADHD)
③学習障害(LD)
④自閉症
⑤アスペルガー障害
➅障害の比較
⑦診断のプロセス
⑧発達障害の治療
⑨制度
⑩川島の考え

当サイトの特色は、臨床心理学、精神保健福祉の視点から心の病気を解説している点にあります。心の病気の解説サイトは多いですが、精神科医の先生が監修されていることが多く、心理師の専門サイトは多くはありません。

お薬以外での改善策を詳しく知りたい方に、特にお役に立てると思います。ご自身の状況にあてはまりそうなものがありましたら是非ご活用ください。動画にもまとめています。参考にしてみてくださいね♪

 

①発達障害とは

定義

発達障害は次のように定義されています。

生まれつきみられる脳の働き方の違いにより、幼児のうちから行動面や情緒面に特徴がある

引用:厚生労働省

この定義には発達障害の特徴がよく表れています。

生まれつき

生まれつきという点が挙げられます。発達障害は、先天的にきまっている部分があるため、本人の努力不足で発症するものではありません。一卵性双生児の研究では、発達障害の併発率は80~90%とされてます。

行動面に特徴

発達障害の種類によりますが、行動面に特徴があらわれます。例えば、自閉症スペクトラムのある人は、配慮に欠ける行動をすることがある一方で、常識に囚われない創造的な活動をする方もいます。

情緒面に特徴

発達障害の種類によりますが、情緒面に特徴があらわれます。例えば、自閉症スペクトラムのある人は、偏った興味や関心を示し、本質をついた発言をできる方もいます。

種類

発達障害は代表的なものとしては、注意欠陥多動性障害、学習障害、自閉症スペクトラムがあります。また知的障害を併発することもあります。

 

②注意欠陥多動性障害(ADHD)

意味

注意欠陥多動性障害は、英語表記では「Attention-deficit hyperactivity disorder」で通称ADHDと呼ばれ、以下の意味があります。

不注意(集中できない)、多動・多弁(じっとしていられない)、衝動的に行動する(考えるよりも先に動く)などの特徴がある障害

長所

注意欠陥多動性障害をお持ちの方は、非常に行動的です。困っている人がいれば、いち早く気づき、すぐに手助けもできます。起業をして社会で活躍される方もいます。

問題になりやすこと

うっかりミスが多くなりがちです。仕事の予定を忘れる、書類を置き忘れるなど、頻繁にミスを繰り返す方もいます。

3つの型

注意欠陥多動性障害をお持ちの方には、3つの病型があります。注意欠陥が強い「不注意優勢型」、多動が強い「多動性・衝動性優勢型」、注意欠陥・多動の両方を持ち合わせる「混合型」などの方がいらっしゃいます。ADHDは、学齢期の小児の5~11%に発生していると推定されていまあすが、基準適用がはっきりしないため過剰診断されていると考える専門医もいらっしゃる障害になります。

より深く理解を勧めたい方は以下のリンクを参照ください。
ADHDの特徴と治療法

 

③学習障害(LD)

意味

学習障害は、英語表記では「Learning Disorder」で通称LDと呼ばれ、以下の意味があります。

読む、書く、計算するなどの能力が全体的な知的発達に比べて苦手という特徴がある障害

特徴

学習障害をお持ちの方は、読む、書く、計算するなど特定の能力に困難が生じます。そのため苦手な部分を補うよう工夫をすれば、不足部分を補うことができます。

問題になりやすこと

特定分野を除けば、発達の遅れがないため障害を見過ごされることが多いです。診断の遅れから、自信の低下や抑うつなどの二次的な症状が出てしまう場合もあります。

より深く理解を勧めたい方は以下のリンクを参照ください。
LDの特徴と治療法

 

④自閉症

意味

自閉症は、近年では自閉スペクトラム症と表現されています。英語表記では「Autism Spectrum Disorder」で通称ASDと呼ばれ、以下の意味があります。

対人関係が苦手、興味関心が偏る、知的な問題を抱えるなどの特徴がある、遺伝的要因の強い脳の発達障害

長所

ASDをお持ちの方は、特定の物事やルールに強いこだわりを示します。一部の興味や関心が非常に強く、その領域では能力を十分に発揮し良い結果を出します。

問題になりやすこと

自閉症をお持ちの方は、相手の気持ちや状況に合わせた行動ができないため、コミュニケーションが苦手です。またパターン化された生活を好むため、変化があると不安からパニックになることもあります。

より深く理解を勧めたい方は以下のリンクを参照ください。
自閉症スペクトラムの特徴と治療法

 

⑤アスペルガー障害

意味

自閉症と親戚関係にある障害になります。アスペルガー障害も、自閉スペクトラム症と表現されます。意味としては以下のようになります。

対人関係が苦手、興味関心が偏るなどの特徴がある発達障害

長所

アスペルガー症候群をお持ちの方は、知的能力の高い方がたくさんいらっしゃいます。特に認知能力や言語処理能力が優れていて、IQは健常者レベルやそれ以上の場合もあります。

問題になりやすこと

アスペルガー症候群をお持ちの方は、相手の気持ちを汲み取った行動ができないため、対人関係が上手く築けません。普通に話しているのに相手を不快にさせたり怒らせてしまう事もあります。

 

アスペルガー症候群と自閉症は、親戚関係にある障害になるため、違いはわかりにくいです。ここでもう少し詳しく解説していきます。以下は、自閉度で細かく分類した図になります。縦軸が自閉度、横軸が知能指数です。

自閉症とアスペルガー症候群の違い

自閉度は高いほど興味関心が高く、人間関係が苦手になります。低いほど、興味関心が低く、人間関係が得意になります。知的指数(IQ)は、IQ70が健常者と知的障害者のボーダーラインになり、IQ70~80はグレーゾーンとされています。

アスペルガー症候群は、自閉度が高く、IQは健常者レベルやそれ以上の場合もあります。一方で自閉症は、自閉度が高く知的指数は低い傾向にあります。アスペルガー症候群と自閉症は、IQの違いと認識しておいてください。

 

より深く理解を勧めたい方は以下のリンクを参照ください。
アスペルガー障害の特徴と治療法

 

➅障害の特徴・比較

紹介した発達障害を全体として俯瞰していきたいと思います。以下の図を参考に進めさせて頂きます(星野,2011)。精神年齢が10歳の方に、いろいろな能力を測定しています。折れ線は、それぞれの障害の方を表しています。

発達障害の特徴

定型発達児
いずれの能力も、ほぼ均一にもっています。

ADHD・LD
定型発達児より全体として低い傾向があります。ただし個人差はあります。

アスペルガー症候群
運動や人間関係の能力が低いことがわかります。一方で認知能力や言語処理能力が優れていることが読み取れます。

知的障害
提携発達時の方より全体として知的能力が低いことがわかります。

低機能自閉症
自閉症の方はアスペルガー症候群の方と特徴が似ています。対人スキルが低い傾向がわかります。

 

⑦診断プロセス

診断までの流れを見ていきます。

発達障害の診断 相談

発達障害支援センター
発達障害者支援センターを利用するのがおすすめです。発達障害者支援センターは、発達障害のある人とそのご家族が、安心した暮らしを営むことができるよう、平成14年度より国の施策として発足しました。各都道府県に1か所はあるので、まずはWEBで検索をしてみてください。

心療内科・精神科
発達障害者支援センターでは、診断をしてくれる精神科や心療内科を紹介してもらえます。大学病院や大きめの総合病院を紹介されることが多いですが、小規模なクリニックでも診断は可能です。

問診・心理調査
病院では、問診から始まります。成育歴やこれまで困ったことをしっかりとお医者さんに伝えることで、どの発達障害かを見立てをしてくれます。ただし初診から1~2か月程度かかることを抑えておきましょう。

総合評価
1回目の問診のあと、2回目以降でIQを測るなど各障害に応じた検査が行われます。加えて本人だけでなく家族と一緒にお医者さんと面談することも多いです。そして最後に総合評価が行われます。

 

⑧発達障害の治療

①自己理解を深める

まずは自分の障害をきちっと理解しておくことが大切です。障害の知識が増えることで、混乱する場面を減らすことができます。また同じような悩みを持つ方がいることを知るだけでも、安心できるものです。障害に関する書籍はたくさん出版されています。また、当事者の方がユーチューブで発信されている場合もあります。いろいろな方法で学べますのでまずは理解を深めていきましょう。

②認知行動療法

発達障害をお持ちの方は、うつ病や適応障害など二次的精神疾患を持って見える方が多いです。認知行動療法で、考え方をほぐしたり、健康的な行動のあり方を学ぶことで、発達障害の症状を和らげたり、二次的精神疾患の予防にも役立ちます。詳しくは動画でも紹介しています。

③SST

SST(ソーシャルスキル・トレーニング)は、社会で活動していくための練習をするトレーニングです。例えば、会話の練習や嫌なことをされた時に主張する練習などを行います。アスペルガー障害をお持ちの方でしたら、相手の話を聴くことが苦手なため、空気が読めないと捉えられることが多いです。SSTでは、相手の話を繰り返えす、一言肯定するなどの練習をします。繰り返すことで、かなり印象が変わり人間関係で苦労する場面が減らせます。SSTを練習する場はあまり多くありません。実際にトレーニングされたい方はこちらの講座でもお待ちしています。

コミュニケーション講座

④薬物療法

最近は研究が進んできて、症状に応じて効く薬も開発されています。特にADHDの方向けの薬では、衝動性を抑える薬・注意を促す薬が出ています。主治医の方と相談してみてください。

⑤自己受容

発達障害は、訓練で改善できる部分とできない部分がありますので、できない部分は、しっかりうけいれていく必要があります。短所と長所は紙一重です。偏ったところは、長所として考え自己受容してほしいと思います。

 

⑨制度

発達障害の診断を受けると、さまざまな支援を受ける事ができます。

①相談支援

相談支援とは、専属の支援者を付けてもらえます。相談支援では、様々な制度を活動できるよう専門家が手伝ってくれます。個別の相談もできますので、ぜひ利用してみてください。

②自立支援医療

一般の方であれば公的医療保険は3割負担になります。診断を受けた方は、医療費が1割負担になるなどの経済的支援があります。

③精神障害者福祉手帳

等級によって所得税・住民税・自動車税などが軽減されます。鉄道やバスなど、公共交通機関の割引サービスが受けられます。また契約する会社にもよりますが、携帯電話が安くなるなどのメリットがあります。

④法定雇用

障害者雇用での就職・転職活動ができるようになります。障害者雇用促進法に基づき、一定数以上の従業員数を雇っている一般事業主は、従業員数の2.2%以上を障害者で雇用しなければなりません。

発達障害があると
・継続的に仕事を続けることが困難
・就職そのものが難しい
といった場合があります。法定雇用として就職した場合、自分の能力と適正に応じた仕事に就ける、通院や治療に配慮してもらえるメリットがあります。また周囲の理解が得やすいため、精神的な安定が得られるため無理なく仕事を続けられます。

⑤地域活動センター

地域活動センター(地活)を利用できます。地活は、居場所のような施設です。地域にあるよろず相談所として、不安なことを相談したり、みんなで交流することができるため、孤立することがなくなります。地活には、同じような悩みを持つ方がいらっしゃいます、簡単な相談をしてみるだけでも気持ちが軽くなると思います。各地域にありますので、ぜひ利用してみてください。

 

⑩川島の考え

最後は私が発達障害に対して普段感じていることをお伝えしたいと思います。

診断受けた方がいい?

結論はないのですが、やはり当事者の方がご自分で決めることだと考えています。診断を受ける事でのメリットもあります。これまでお伝えした知識を勉強して自分で決めていくことが大事です。私の経験則にはなりますが、これまでに私は発達障害の診断を受けたことがある方と、100人近く話したことがあります。診断を受けて後悔をしたという人はお一人もいらっしゃいませんでした。診断を受けて良かった理由は大きく分けて2つあります。

・安心する
診断を受けて、ホッとされています。ある方は、何十年悩んできたことの原因がわかって、もやがとれたようなきもちといっていました。

・周りの理解を得られる
診断名を周りに伝えることで理不尽な批判を受けることが少なくなるというメリットも挙げられます。

診断を受けるかどうかは、ご自身で判断することですが参考にしてみてください。

障害というワードに傷つく必要なし

精神医学の世界の1つの診断にすぎません。世の中には様々な分野がります。例えば、芸術や職人の世界では、障害の特徴が長所になることもあります。障害という言葉に傷つく必要はありません。

時代が作っている

発達障害は時代が作っていると思っています。江戸時代より以前を想像してみてください。当時は第一次産業が中心だったため職人のような仕事に就く方が多く、対人スキルが低くてもさほど問題にならなかったんだと思います。しかし現在はサービス業のような業種が増え、対人スキルが求められる機会も多くなりました。この点で発達障害という障害が浮き彫りになっきたのだ思います。

障害は社会の影響も大きく受けます。障害があっても個性と認められ、障害をいかせる場面が増えてこれば、障害認定される人が減っていくのではないかと思っています。またそのような社会にもなってほしいと思っています。

 

心理療法の講座のお知らせ

最後に、これまで「発達障害」コラムにお付き合いしていただき、ありがとうございました。ご自身が発達障害で悩んでいる方、グレーゾーンで診断を受ける迷っている方、家族の方で悩んでいる場合は紹介した内容を参考に、楽しい生活につなげてほしいです。

発達障害は、心理療法やSSTを学ぶと、社会に適応的な面を増やせることがわかっています。専門家から心理療法や人間関係を学びたい!という方は良かったら私たち公認心理師が開催している、心理学講座への参加をおすすめしています。講座では

・認知行動療法の学習
・認知の歪みの改善
・感情のコントロール法
・傾聴方法

などを学習していきます。参加のタイミングとしては、社会復帰の準備をしている時期、復帰後に再発を予防したい時期におすすめです。皆さんのご来場をお待ちしています。↓興味がある方は以下の看板をクリック♪↓

*不安や恐怖の障害、症状

監修

名前

川島達史


経歴

  • 公認心理師
  • 精神保健福祉士
  • 目白大学大学院心理学研究科 修了

取材執筆活動など

  • NHKあさイチ出演
  • NHK天才テレビ君出演
  • マイナビ出版 「嫌われる覚悟」岡山理科大 入試問題採用
  • サンマーク出版「結局どうすればいい感じに雑談できる?」


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元専修大学教授 長田洋和

名前

長田洋和


経歴

  • 元専修大学人間科学部教授
  • 東京大学 博士 (保健学) 取得
  • 臨床心理士
  • 精神保健福祉士

取材執筆活動など

  • 知的能力障害. 精神科臨床評価マニュアル
  • うつ病と予防学的介入プログラム
  • 日本版CU特性スクリーニング尺度開発

臨床心理士 亀井幹子

名前

亀井幹子


経歴

  • 臨床心理士
  • 公認心理師
  • 早稲田大学大学院人間科学研究科 修了
  • 精神科クリニック勤務

取材執筆活動など

  • メディア・研究活動
  • NHK偉人達の健康診断出演
  • マインドフルネスと不眠症状の関連

*出典・参考文献
・厚生労働省,発達障害の理解のために(http://www.mhlw.go.jp/bunya/shougaihoken/hattatsu/dl/01.pdf )
・星野仁彦(2011)、発達障害に気づかない大人たち、 祥伝社