脳血管型認知症の症状と原因
皆さんこんにちは。心理学講座を開催している、公認心理師の川島達史です。今回のテーマは「脳血管型認知症」です。目次は以下の通りです。
①脳血管型認知症とは何か
②脳血管型認知症の症状
③症状の経過
④治療方法
当サイトの特色は、臨床心理学、精神保健福祉の視点から心の病気を解説している点にあります。心の病気の解説サイトは多いですが、精神科医の先生が監修されていることが多く、心理師の専門サイトは多くはありません。
お薬以外での改善策を詳しく知りたい方に特にお役に立てると思います。ご自身の状況にあてはまりそうなものがありましたら是非ご活用ください。
①脳血管型認知症とは
意味
脳血管型認知症とは脳血管障害によって、脳の組織が損傷されることによって起こる認知症の種類です。全認知症のうち、約20%を占めるといわれています。
好発年齢・性差
50歳代から徐々に増加する傾向にあります。性差は男性に多いといわれています。
原因
危険因子として、喫煙、飲酒、高血圧、糖尿病などが挙げられます。これらの危険因子が積み重なると、脳出血、脳梗塞、一過性の虚血疾患などに発展していくことがあります。脳血管障害には以下の種類があります。
・脳血栓症
脳内の血管が詰まることで、血管が壊死することで障害が起こるものです。
・
・脳塞栓症
心臓などで血液の塊が形成されて、それが脳の血管で詰まることで起こる障害です。
・
・脳出血
脳内の血管が破れて、血液が脳の組織を障害することで起こります。
・
・くも膜下出血
脳の血管に小さなコブが形成されて、それが破裂することで起こる障害です。
アルツハイマーとの違い
アルツハイマーとの違いとして、感情の障害や身体的な障害が発生しやすいことがあります。以下にアルツハイマー型認知症との特徴の違いを示します。
②脳血管型認知症の症状
まだら認知症
記憶の障害があっても、判断力や理解力は比較的保たれていることが多いです。疎通や対人関係もスムーズであることが多く、認知障害にもばらつきがあります。こういった状態をまだら認知症と呼び、脳血管型認知症の特有の症状といわれています。
歩行障害
脳の組織が損傷されることで、運動をつかさどる中枢が障害され歩行障害を併発することがあります。歩行障害で多いものが、片麻痺と呼ばれるものです。片麻痺は左右の脳のうち、損傷された方と反対の足が麻痺してしまうものです。身体的な障害になるため、認知機能のリハビリとは別に身体機能のリハビリが必要になる場合が多いです。
感情失禁
感情失禁とは感情の調整がうまくできず、ちょっとしたきっかけで泣いたり笑ったりする状態です。例えば、亡くなった家族の名前を聞いたりすると泣き始めるなどがあります。感情の反応は激しいですが、一時的であまり持続しない特徴があります。
③脳血管型認知症の経過
前期
脳梗塞や虚血発作などによって、徐々に症状が出現します。例えば、頭痛、頭重感、めまい、不眠、焦燥感などの身体的な症状として現れることもあります。
中期
次第に物忘れ、注意集中困難、自発性の低下、イライラ、抑うつなどの精神的な症状を示すようになります。これらの症状は脳卒中を繰り返すたびに悪化したり、経過中に落ち着いてきたりと悪化と回復を行ったり来たりすることがあります。
後期
進行とともに感情の不安定化、幻覚・妄想、せん妄、抑制欠如など、様々な精神症状や人格変化が明らかになってきます。脳卒中を繰り返すたびに、歩行障害やパーキンソン症候群など、寝たりきりの状態になることもあります。
④脳血管型認知症の治療
脳血管型認知症の治療にはアルツハイマー型認知症の治療と同じ内容になります。大きく分けて3つの治療方法があります。
- 薬物療法
- 心理療法
- 作業療法
の3つです。それぞれはアルツハイマー型認知症のコラムで紹介しています。こちらを参考にしてください。
身体リハビリテーション
脳血管型認知症は身体的な障害も合併することが多いため、身体的なリハビリが必要な場合があります。以下に併発しやすい障害の種類とリハビリつについて解説をします。
①片麻痺
脳にある運動機能の中枢が障害されることで、片方の腕や足に麻痺が残ります。片麻痺には障害の程度に応じて、各関節の動きを良くしたり、残っている筋力の維持増加などが行われます。
②嚥下・構音障害
食べ物の飲み込みが悪くなったり、声が出なくなったりします。口腔の運動や、発生の練習などを主に行っていきます。
③高次脳機能障害
運動機能の障害はないのにある動作が行えなかったり、道具がうまく使えなかったりする状態があります。
こうした障害に対して、正しい動作を繰り返し訓練して再学習するアプローチをします。その他、使いやすい道具を導入したり、やりやすい環境を整えるなどの方法もあります。
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