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9.PCに長時間向かえば誰でも病む

9.PCに長時間向かえば誰でも病む

職場環境に配慮しない冷徹な会社

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3つ目に挙げられるのが,職場作りの問題です。
最近私が個別に相談を受けた例をとって考えてみましょう。あるIT系の開発部門の会社に勤めるAさんはプログラミングの資格を取って就職をしました。会社に入ると,銀行系のシステムを構築する部門に配属となりました。

Aさんは日中一言も話さず毎日毎日プログラムを組むことになります。
1 日に話す言葉といえば「おはようございます」と,「お疲れ様でした」だけです。
上司とも生のコミュニケーションは希薄で,メールでやり取りする日々が続きました。納期がとても厳しく,雑談をしているとチームのメンバーからサボっていると思われるため,同僚同士の息抜きもありません。

ひたすらパソコンに向かえば誰でも病む

ひたすら毎日パソコンに向かう日々です。Aさんは3 年間その職場に勤めたのですが,結果的に就職前に比べて,会話の力が極端に落ちたと感じていました。3 年間もほとんど人と話さない環境にいれば誰だってコミュニケーション力が落ちるのは当たり前でしょう。
コミュニケーション力が落ちれば必然的に恋愛力も落ち,恋人がなかなかできず,友達とも疎遠になっていきます。結果的にAさんは軽いうつになってしまいました。

詳しい統計的なデータはありませんが,こういった職場は現代の会社ではかなり多くなっています。特にパソコンに向かう職種では顕著です。経理職では延々と伝票整理のためにパソコンに向かわされたり,設計部門では1 日中画面に向かって設計図を書いていたり。そして経営者はその問題になかなか気がつきません。

短期的にはやはり売上を伸ばしていかなくてはなりませんから,目の前にある仕事を片付けたくなる気持ちはあります。そのため,経営者は労働者をあたかも物扱いして,感情を持った有機的な存在であることを忘れがちなのです。1 日中パソコンの前に座っていたら人間はどうなってしまうのか? 誰だってそんな生活が長く続けば精神的に参ってしまうことは分かるでしょう。

皆さんの会社はいかがでしょうか。おそらく営業職はコミュニケーションの時間が確保されていると思いますが,経理職や開発系の部門は要注意です。1 日中,パソコン画面に向かい続けている仕事の生産性に難があったとしても,それは社員の努力不足のせいにはで
きません。構造的な欠陥があるのです。

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