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3.コミュ力がつかないのは経営者の意識不足

3.コミュ力がつかないのは経営者の意識不足

コミュ力が低いのは職場が原因?

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次に取り組みたいのが職場環境の改善です。コミュニケーション能力はスポーツと同じで,毎日の訓練が必ず必要になってきます。皆さんはスポーツをした経験があるかと思います。私はもともと野球部でしたが,毎日の練習なくして,試合ではパフォーマンスを出すことができません。経営者の方から聴く悩みとして,「うちの社員は主張もしないし,雑談もできない」と嘆いている方がいます。この点、詳細に状況を聞くと、「社員の責任」というより「職場づくり」に問題があるケースが本当に多いのです。

短期的な仕事内容に固執すると人間性が失われる

例えば開発系の業種や管理部門は要注意です。1 日中パソコンの前に座ってプログラミングをしているような会社は対人コミュニケーションをとる機会が極端に少ない状態にあります。この状況が長期間続けば,会話をすること自体が億劫
になってしまい,プライベートでも孤立していきます。

その結果,仕事でも,プライベートでも生のコミュニケーションが減ってしまい,だんだんと人間としての活力が低下していきます。そうして会社自体の活気がなくなり,定着率が低下したりしていくのです。これを改善していくには,まずはコミュニケーションをする機会を強制的に作る,会社としての仕組み作りが必要となります。

社員はお金をもらっていても人間

こちらは少し経営者層としては勇気が必要です。なぜならコミュニケーション能力を上げる環境を作るとどうしても一見、本来の業務とは別の機会を作る必要があるからです。例えば、伝票整理をする係りの方がいて、8時間仕事をすべきところをせめて30分でも良いので口を動かす仕事をしてもらうなどの改善が必要になります。その仕事そのものだけを考えれば、全て伝票整理をしてもらうのが効率いいですが、1日8時間誰とも話さず1日が終われば、だれでもコミュニーション能力は減退してしまいます。極端な話、それがたとえ「雑談」であったとしても、話す機会は絶対に作らなくてはなりません。8時間誰とも話さない作業をするよりも、7.5時間働いてもらって30分は少々雑談を許すぐらいの職場の方が人間てきて血の通った会社になるでしょう。

特に終身雇用を前提としていない会社では社員を育てるという意識が弱く,給料を払っているのに雑談していると心情的に許せないと感じるかもしれません。しかし人間はロボットではなく,社会性を持った生物なのです。社会性があるということは本質的に生のコミュニケーションを絶えず渇望しているのです。会社はロボットが働いているのではなく,感情を持った人間が働いているのだということをまずは再考しなくてはなりません。

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