妄想性障害の特徴,症状
皆さんこんにちは。心理学講座を開催している、公認心理師の川島達史です。今回のテーマは「妄想性障害」です。
当コラムでは妄想性障害を基礎から一通り解説していきます。目次は以下の通りです。
①妄想性障害とは何か
②妄想の種類
③心理療法
④作業療法
当サイトの特色は、臨床心理学、精神保健福祉の視点から心の病気を解説している点にあります。心の病気の解説サイトは多いですが、精神科医の先生が監修されていることが多く、心理師の専門サイトは多くはありません。
お薬以外での改善策を詳しく知りたい方に特にお役に立てると思います。ご自身の状況にあてはまりそうなものがありましたら是非ご活用ください。
妄想性障害とは何か
妄想性障害とは
まずはじめに妄想性障害とは何かについておさえましょう。妄想性障害とは、統合失調症スペクトラムの一種で、持続的な妄想が続く疾患です。意味としては以下となります。
持続的な妄想が1か月以上続き、統合失調症やその他の脳器質疾患以外のもの
妄想とは思考内容の異常を示す症状です。
病的な精神状態が基盤にある
思考内容が現実にはありえない
思考内容が不合理である
思考内容の訂正が不可能である
こうした点が妄想の特徴になります。妄想性障害は”統合失調症”とは区別されて、奇異な行動や幻覚は目立たないことが特徴です。
統合失調症との違い
以下に統合失調症との比較を示します。
統合失調症と比べて、症状が主に妄想あり、感情や行動は障害されないことが多いです。また、発症年齢が中年期以降に多いことも特徴的です。
妄想性障害の種類
妄想性障害には妄想の内容によって、いつくかに分類されます。
被愛型
有名人などと恋愛関係にあるという妄想
誇大型
自分は偉大な人物であると思ったり、重大な発見をしたなどという妄想
嫉妬型
配偶者や恋人が浮気をしているという妄想
被害型
不当な扱いを受けているという妄想
身体型
身体的な疾患に罹っているという妄想
混合型
上記の病型が2つ以上混在し、どの型も優勢でないもの
妄想性障害の治療
妄想性障害について、統合失調症に準じた治療法が基本で、薬物療法の場合は、抗精神病薬が使われることが多いです。また臨床心理学や精神保健福祉の観点から、以下の対策がよく行われます。
①心理教育
②認知行動慮法
③SST
④入院治療
⑤作業療法
①心理教育
妄想性障害については、自己理解を深めることは何より大事です。障害の特性を理解すると、妄想が出た時にいたずらに混乱することが減り、冷静に対処する力をつけることができます。具体的には、専門家から話を聴く、書籍を読む、克服した当事者の方のSNSや動画を見るなどが挙げられます。
②認知行動療法
認知行動療法は様々な心理学のエッセンスが盛り込まれた心理療法です。認知行動療法は大きく分けると2つの分野があります。
・認知療法
思考の歪みを発見し、現実的にしていく手法です。合理的でないない考え方になりやすい時に効果的です。認知療法を学ぶと気分の波を緩やかにすることができます。
・行動療法
行動療法は行き過ぎた行動を修正する練習をする手法です。例えば、身体的な疾患の妄想が出たときに、仕事に行けなくなってしまう方がいたら、スモールステップを作って、少しずつ会社にいけるように訓練をしていきます。
詳しく学習したい方は以下のコラムを参照ください。
③SSTで社会性を身につける
SSTはソーシャルスキルトレーニングの略で、社会性を身に着ける様々なトレーニングの総称です。妄想性障害の方は、治療期間が長引くと、人間関係に支障が出てきて、不安定になることがあります。SSTではこれらの関係性を回復するスキルのかくとくをめざしていきます。
SSTについては、筆者が講座を開催しています。参加のタイミングとしては、症状が落ち着いた頃に、ちょうどいいと思います。興味がある方は以下のリンクを参照ください。
④入院治療
症状が深刻で生活がままならない場合は、入院をして集中的な治療をすることもあります。入院治療の必要なケースは
日常生活が成りたたない
暴力など他者を傷つける恐れがある
自傷、自殺など自身の生命の危険の恐れがある
などのケースが考えられます。場合によっては、本人が抵抗してスムーズな入院治療が難しいことがあります。その場合は、家族の同意が得られれば入院治療が進むことがあります。これは医療保護入院と呼ばれます。入院後は、薬物療法や心理療法を基本としながら、生活リズムを整え、社会復帰を目指していくことになります。
⑤作業療法
妄想性障害によって症状が落ち着かない場合は、入院による治療が必要になるケースがあります。入院では日々の社会的なスキルを維持したり、回復したりするために作業療法を行うことがあります。作業療法では、以下のような活動をします。
*体力強化維持のためのプログラム
スポーツ 家庭菜園 体操など
*気分転換のためのプログラム
レクリエーション カラオケ 音楽鑑賞
*社会生活への適応のためのプログラム
料理 掃除 会話の練習
などがあります。作業療法を行う上では、妄想という症状に対して、作業という現実の活動に目を向けながら実践していくことが大事になります。
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