被害妄想の特徴,症状

皆さんこんにちは。心理学講座を開催している、公認心理師の川島達史です。今回のテーマは「被害妄想」です。

当コラムでは被害妄想を基礎から一通り解説していきます。目次は以下の通りです。

①被害妄想と症状
②被害妄想の原因
③被害妄想の種類
④治療方法

当サイトの特色は、臨床心理学、精神保健福祉の視点から心の病気を解説している点にあります。心の病気の解説サイトは多いですが、精神科医の先生が監修されていることが多く、心理師の専門サイトは多くはありません。

お薬以外での改善策を詳しく知りたい方に特にお役に立てると思います。ご自身の状況にあてはまりそうなものがありましたら是非ご活用ください。

被害妄想とは

被害妄想とは

被害妄想とは、思考の内容に関する障害です。幻覚などと同じように精神の異常体験の一つです。主に統合失調症の症状として現れることが多いです。その定義は、

他人や何かの組織によって迫害されたり、危害を加えられたりする妄想

とされています。こうした妄想の内容は現実的にはあり得ず不合理なものです。そして、内容を訂正ししても不可能で、確信を持っていることが特徴です。

症状

被害妄想には、”自分が害を加えられている”という確信を中心に、様々な症状があります。

①対人的な被害…「誰かが自分の悪い噂を流している」「誰かにあとをつけられている」など
②物理的な被害…「食事に毒を盛られている」「電波が頭の中に入ってくる」など
③物盗られ…「バックを盗まれた」「財布からお金が抜き取られた」など

主に①と②は統合失調症の症状で、③は認知症の症状としてあげられます。

 

被害妄想の種類

関係妄想

周囲の人の態度や行動を自分と関連付ける妄想です。
例:「自分の噂や悪口を言っている」「テレビで自分のことを報じている」

注察妄想

他人から監視されているなど、自分が常に見られていると思う妄想です。
例:「監視カメラで行動が観察されている」「盗聴器が仕掛けられている」

追跡妄想

誰かに跡をつけられていると感じる妄想です。特定の人ではなく、団体や組織から追われていると感じる場合もあります。
例:「警察に追われている」「自分の様子が探られている」

被毒妄想

食べ物や飲み物に毒を入れられていると妄想することです。幻味や幻嗅などの幻覚を伴うことがあります。

物理被害妄想

電波やテレパシーなどの物理的な障害で、自分の考えが乱されていると妄想することです。
例:「頭の中に電波が入ってくる」「テレパシーによって動かされている」

 

被害妄想の治療

被害妄想については、統合失調症に準じた治療法が基本で、薬物療法の場合は、抗精神病薬が使われることが多いです。また臨床心理学や精神保健福祉の観点から、以下の対策がよく行われます。

①心理教育
②認知行動慮法
③SST
④入院治療
⑤作業療法

①心理教育

被害妄想については、自己理解を深めることは何より大事です。障害の特性を理解すると、妄想が出た時にいたずらに混乱することが減り、冷静に対処する力をつけることができます。具体的には、専門家から話を聴く、書籍を読む、克服した当事者の方のSNSや動画を見るなどが挙げられます。

②認知行動療法

認知行動療法は様々な心理学のエッセンスが盛り込まれた心理療法です。認知行動療法は大きく分けると2つの分野があります。

・認知療法
思考の歪みを発見し、現実的にしていく手法です。合理的でないない考え方になりやすい時に効果的です。認知療法を学ぶと気分の波を緩やかにすることができます。

・行動療法
行動療法は行き過ぎた行動を修正する練習をする手法です。例えば、身体的な疾患の妄想が出たときに、仕事に行けなくなってしまう方がいたら、スモールステップを作って、少しずつ会社にいけるように訓練をしていきます。

詳しく学習したい方は以下のコラムを参照ください。

認知行動療法の基礎とやり方

 

③SSTで社会性を身につける

SSTはソーシャルスキルトレーニングの略で、社会性を身に着ける様々なトレーニングの総称です。被害妄想は、治療期間が長引くと、人間関係に支障が出てきて、不安定になることがあります。SSTではこれらの関係性を回復するスキルのかくとくをめざしていきます。

SSTについては、筆者が講座を開催しています。参加のタイミングとしては、症状が落ち着いた頃に、ちょうどいいと思います。興味がある方は以下のリンクを参照ください。

学生向けSST講座
大人向けSST講座

 

④入院治療

症状が深刻で生活がままならない場合は、入院をして集中的な治療をすることもあります。入院治療の必要なケースは

日常生活が成りたたない
暴力など他者を傷つける恐れがある
自傷、自殺など自身の生命の危険の恐れがある

などのケースが考えられます。場合によっては、本人が抵抗してスムーズな入院治療が難しいことがあります。その場合は、家族の同意が得られれば入院治療が進むことがあります。これは医療保護入院と呼ばれます。入院後は、薬物療法や心理療法を基本としながら、生活リズムを整え、社会復帰を目指していくことになります。

⑤作業療法

被害妄想によって症状が落ち着かない場合は、入院による治療が必要になるケースがあります。入院では日々の社会的なスキルを維持したり、回復したりするために作業療法を行うことがあります。作業療法では、以下のような活動をします。

*体力強化維持のためのプログラム
スポーツ 家庭菜園 体操など
*気分転換のためのプログラム
レクリエーション カラオケ 音楽鑑賞
*社会生活への適応のためのプログラム
料理 掃除 会話の練習

などがあります。作業療法を行う上では、妄想という症状に対して、作業という現実の活動に目を向けながら実践していくことが大事になります。

妄想性障害,回復,はるかむぎ様作成

 

コミュニケーション講座のお知らせ

公認心理師,精神保健福祉士など専門家の元で、心理療法や健康的な人間関係の築き方を学んでみたい方は、私たちが開催している講座をオススメしています。講座では

・アサーティブコミュニケーション
・限界設定のやり方
・柔らかい断り方の練習
・人間関係の心理学の学習

など練習していきます。筆者も講師をしています♪皆様のご来場をお待ちしています。↓興味がある方は下記のお知らせをクリックして頂けると幸いです↓

コミュニケーション講座,心理療法の学習

 

*出典・引用文献

高橋三郎,大野裕(2014) DSM-5精神疾患の分類と診断の手引き 医学書院

監修

名前

川島達史


経歴

  • 公認心理師
  • 精神保健福祉士
  • 目白大学大学院心理学研究科 修了

取材執筆活動など

  • NHKあさイチ出演
  • NHK天才テレビ君出演
  • マイナビ出版 「嫌われる覚悟」岡山理科大 入試問題採用
  • サンマーク出版「結局どうすればいい感じに雑談できる?」


YouTube→
Twitter→
元専修大学教授 長田洋和

名前

長田洋和


経歴

  • 元専修大学人間科学部教授
  • 東京大学 博士 (保健学) 取得
  • 臨床心理士
  • 精神保健福祉士

取材執筆活動など

  • 知的能力障害. 精神科臨床評価マニュアル
  • うつ病と予防学的介入プログラム
  • 日本版CU特性スクリーニング尺度開発

臨床心理士 亀井幹子

名前

亀井幹子


経歴

  • 臨床心理士
  • 公認心理師
  • 早稲田大学大学院人間科学研究科 修了
  • 精神科クリニック勤務

取材執筆活動など

  • メディア・研究活動
  • NHK偉人達の健康診断出演
  • マインドフルネスと不眠症状の関連