依存症とは何か

皆さんこんにちは。心理学講座を開催している公認心理師の川島達史です。今回のテーマは「依存症」です。

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依存症の理解を深めて、症状の改善に役立ていただけたらうれしいです。目次は以下の通りです。

①依存症とは
②種類と病名
③形成プロセス
④治療方法

当サイトの特色は、臨床心理学、精神保健福祉の視点から心の病気を解説している点にあります。心の病気の解説サイトは多いですが、精神科医の先生が監修されていることが多く、心理師の専門サイトは多くはありません。

お薬以外での改善策を詳しく知りたい方に、特にお役に立てると思います。ご自身の状況にあてはまりそうなものがありましたら是非ご活用ください。動画にもまとめています。参考にしてみてくださいね♪

①依存症とは

定義

依存症は次のように定義されています。

一定のポジティブな面がありやめたくてもコントロールができず、心理面、生活面に深刻な問題を引き起こす病気

依存症の”ポジティブな面”が曲者です。一定の気持ち良さや多幸感が得られるため、自分では止められなくなり何度も繰り返してしまいます。そして心や人間関係、金銭面で深刻な状態になってしまうのです。

依存症と嗜好の違い

依存症は嗜好との違いを知ると理解が深まります。以下は「依存症」「嗜好」の2つを対比させた図です。

依存症は、欲求がコントロールできず、心身の健康を損ね、人間関係を破綻させてしまいます。一方で嗜好は、欲求のコントロールができており、心身共に良好な状態です。

私は麻雀に依存した経験があります。大学へ入学したころの私は、心が病んでしまい現実逃避するように、麻雀に依存してしまいました。麻雀を打ちたい気持ちがコントロールできず、週に6回、毎回12時間は麻雀をうつ生活です。麻雀に依存した生活は1年くらいしていました。

寝る間も惜しむ状態だったため、不眠や倦怠感、人間関係も薄れてしまいました。そしてついには、父親の財布からお金を抜き取るような、どうしょうもない生活をしていました。人の金を盗んでまでする…、当時の私は依存症と診断されていもおかしくない状態でした。依存症の根底は心の問題を持っている方が多いです。私自身の経験を振り返っても実感できます。

 

②種類と病名

依存症には様々ありますが、種類としては3つです。

・物質依存
・行為依存
・関係依存

物資依存

物質依存は、何らかの物質を体内に入れることで発症する依存症です。

例えば
・コカイン障害
・アルコール障害
・タバコ障害
・覚せい剤障害
・せき止め薬障害
・精神安定剤障害
などがあります。物質依存は、精神依存・身体依存どちらにも症状が出ます。

・精神依存
依存しているものがない状態では精神的に不安定となりイライラしたり、怒りっぽくなったりします。依存対象で頭がいっぱいになり、探索行動が出てしまう場合もあります。例えばアルコール障害の場合、コンビニに行ったらまずはアルコールコーナーに行く、お酒を飲まない時はお酒の情報をインターネットで検探してしまうなどの症状があります。

・身体依存
依存しているものを摂取していないと、身体に異常が出る状態です。例えば、震えや不眠、重症化すると幻覚、離脱症状が重くなります。自分の意思ではやめられないため、身体依存は重症化してしまうのです。

 

行為依存

行為依存は、特定の行為から快感を得ることでやめられなくなる依存症です。

例えば
・病的賭博
・病的窃盗
・ゲーム依存
・自傷行為
・摂食障害
などがあります。

病的窃盗(クレプトマニア)は、盗みたくて仕方ない依存症です。盗むことに快楽を感じる状態です。病院や福祉施設でも盗みをしてしまうため、福祉の世界でも問題になります。ゲーム依存は、最近認定されるようになった依存症です。長時間やり続けた結果、死に至った事例もありました。

物質依存は、精神依存の症状が強いです。特定の行為をしないとイライラしたり暴走しやすくなります。一方で身体依存の症状は軽いです。特定の行為をやっていなくても、幻覚などは見えません。

 

関係依存

関係依存は、特定の人間関係に依存して抜けられなくなる状態です。

例えば、
・共依存関係
・恋愛依存
・SNS依存
などがあります。

共依存関係は、関係依存の典型的なものです。尽くすことに快感を得る依存症で、相手の好意を得ようとして自己犠牲的な献身を行ないます。どんなことも許してしまうので、相手をダメにしてしまうことがよくあります。

恋愛依存は、ホストクラブにはまって止まらないなどコントロールができなくなる状態です。SNS依存は、四六時中SNSをみてしまい、イイネがないとイライラする状態で、嘘をついてまでキラキラ女子を演じてしまうなどの症状があります。

関係依存は、精神依存が強いです。特定の人間関係がないと、焦燥感がでて焦ってしまいます。一方で身体依存の症状は軽いです。特定の人間関係がなくても、症状はほとんど出ません。

 

③形成プロセス

私たちはなぜ依存症になってしまうのでしょうか。依存症の根底には、心の問題を抱えている方が多いです。ここでは論文をもとに心の問題が依存症をなぜ引き起こすのかを見ていきます。依存症の形成プロセスの理解を深めていきましょう。

依存症の研究

Morgan D(2002)は、猿を用いて薬物依存の研究を行いました。研究では、複数の猿が入った檻にコカインを置き、猿の性格傾向とコカインの使用量を調べています。研究の結果、猿には「虐げられている猿」「リーダータイプの猿」の2つのグループがあり、虐げられている猿は、コカインの使用量が非常に多く、リーダータイプの猿は、コカインの使用量は少ないことがわかりました。

きかっけは心理的ストレス

この研究結果から、心理的にストレスを抱えると薬物へ依存しやすいことが推測できます。実験は猿への実験でしたが心の問題をかかえれば抱えるほど、人間においても同じと言えると思います。例えば、

社会的に虐げられている
寂しさを抱えている
辛い出来事があった

など心の問題を抱えると、一時的なポジティブ体験で心の問題を改善しようとします。例えば、買い物やホストクラブ、競馬など日常の嫌な出来事を解消した経験が、依存のきっかけになるのです。

依存傾向を強める原因

ストレスを一時的に解消した時、私たちの脳では腹側被蓋野からドーパミンが出ます。ドーパミンは快楽物質と言われており、脳内をめぐることで、万能感・多幸感が生まれ幸せな気持ちで満たされます。例えばドーパミンが前頭前野にいくと、前向きな気持ちになり、下垂体にいくと得体のしれない自信が生まれます。

ドーパミンは簡単には得られない物質です。例えば、恋愛で喜び(ドーパミン)を得るには、いろいろな準備や工夫をしてやっとお付き合いできたりします。一方で依存症の対象は、簡単に得られる物が多いです。そのため回数が増えてしまい依存傾向が強まってしまうのです。

 

④治療方法

治療方法は、優先順位が高い順に紹介します。依存症の深刻度が高い方は、紹介する順で治療方法を検討してください。

①医療機関

症状の深刻度が高い方は医療機関を検討してみてください。借金がある、身体症状が出ている場合は、医療機関を頼るのが第一選択になります。症状に応じて入院治療、依存対象の欲求を抑える薬の処方などが行われます。

②自己理解

自分が陥っている依存状態の自己理解を深めることが大切です。本や動画などの体験記を見ることで、知識を増やし自己理解をしてみてください。

③生活環境を変える

依存状態になりやすい環境を変えることを検討してみてください。例えば薬物依存なら、同じように依存対象を使っている人間関係を断ち切らないとやめられないと思います。依存対象の人間関係やモノを断ち切ることを検討してみてください。

④心理療法

依存症の根底には心の問題があるため、心の安定を図らないと依存傾向は改善できません。いくつかの心理療法を紹介します。

認知療法
認知療法では、考え方を柔軟に変えていきます。依存症の方は偏った考えを抱きやすい傾向にあります。自分の考え方をほぐしていくと心の安定が図れるようになります。

マインドフルネス
依存している時は、自動操縦の状態です。自動操縦は、自分の感情に本能的に反応してしまっている状態です。この自動操縦されている自分の状態を客観視することで、自分の感情・欲求を抑えていきます。

行動療法
少しづつ依存物を減らしていく療法です。小さなステップを作り依存行動を少しづつ改善していきます。症状が軽い場合には、行動療法もおすすめです。

家族療法
心の問題に家族に問題がある場合もあります。以前に虐待を受けていた、親子の関係が悪いなどの傾向がある場合に検討してみてください。

 

⑤カウンセラーを探す

場合によっては、家族カウンセラーに相談するのもおすすめです。カウンセラー探しについては以下の動画で紹介しています。

⑥公的機関

公的機関については、いくつかあります。

依存症対策全国センター
厚生労働省と久里浜医療センターが共同で運営している信頼できる施設です。久里浜医療センターは、依存症対策の有名な病院になります。全国レベルで自分の地域にある、依存症対策の機関を探せます。

精神保健福祉センター
精神疾患に関する情報が集まっている施設です。自分の症状を相談すると、症状にあった相談先を教えてくれます。

 

⑦自助グループ

自助グループに相談する方法もあります。自助グループにはいろいろな種類があり、依存対象名とアノニマス(匿名)が付くことが多いです。

自助グループは、匿名利用できる点が魅力です。専門家には相談しずらいことも匿名で相談でき、克服した先輩からアドバイスをもらうことができます。相性がよさそうな自助グループ見つけて相談をしてみてください。

⑧人間関係の回復

人間関係を回復していくことがとても大切です。仲のいい友人や家族の関係が温かいものであれば、依存しなくても幸福になれます。人間関係が悪いと孤独感やさみしい気持ちが増し、イライラする時間も増えてしまいます。人間関係を充実させることを心がけてみてください。

 

心理療法の講座のお知らせ

最後に、これまで「依存症」コラムにお付き合いしていただき、ありがとうございました。一時的なつらさを依存対象で解決しようとすると、人生を崩壊しかねません。依存症と嗜好の違いを線引きして、根底にある心の問題を改善していくようにしてみてください。

依存症は、心理療法である程度は改善できることがわかっています。専門家から心理療法や人間関係を学びたい!という方は良かったら私たち公認心理師が開催している、心理学講座への参加をおすすめしています。講座では

・認知行動療法の学習
・認知の歪みの改善
・感情のコントロール法
・傾聴方法

などを学習していきます。参加のタイミングとしては、社会復帰の準備をしている時期、復帰後に再発を予防したい時期におすすめです。皆さんのご来場をお待ちしています。↓興味がある方は以下の看板をクリック♪↓

コミュニケーション講座,心理療法の学習

監修

名前

川島達史


経歴

  • 公認心理師
  • 精神保健福祉士
  • 目白大学大学院心理学研究科 修了

取材執筆活動など

  • NHKあさイチ出演
  • NHK天才テレビ君出演
  • マイナビ出版 「嫌われる覚悟」岡山理科大 入試問題採用
  • サンマーク出版「結局どうすればいい感じに雑談できる?」


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元専修大学教授 長田洋和

名前

長田洋和


経歴

  • 元専修大学人間科学部教授
  • 東京大学 博士 (保健学) 取得
  • 臨床心理士
  • 精神保健福祉士

取材執筆活動など

  • 知的能力障害. 精神科臨床評価マニュアル
  • うつ病と予防学的介入プログラム
  • 日本版CU特性スクリーニング尺度開発

臨床心理士 亀井幹子

名前

亀井幹子


経歴

  • 臨床心理士
  • 公認心理師
  • 早稲田大学大学院人間科学研究科 修了
  • 精神科クリニック勤務

取材執筆活動など

  • メディア・研究活動
  • NHK偉人達の健康診断出演
  • マインドフルネスと不眠症状の関連

*出典・参考文献
松本 俊彦, 2018,人はなぜ依存症になるのか:─ 子どもの薬物乱用─ 自動成年精神医学とその近接領域 59(3):278-282
Morgan D, Grant KA, Gage HD et al. (2002): Socialdominance in monkeys; dopamine D2 receptor and cocaine self-administration. Nature Neurosciences,5, 169-174.