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行動療法とは何か?技行動療法のやり方とは,研究,不安階層表の使い方,わかりやすく解説

行動療法とは何か?技行動療法のやり方とは,研究,不安階層表の使い方

認知行動療法入門は、4つのシリーズで紹介しています。具体的には

認知行動療法の基礎①全体像
認知行動療法の基礎②認知療法
認知行動療法の基礎③行動療法
認知行動療法の基礎④ マインドフルネス療法

今回は「③行動療法」についてお話します。

改善するお悩み
・回避癖がある
・消極的になりがち
・先延ばし癖がある

  • 全体の目次    
  • 行動療法とは何?
  • 不安階層
  • 自立訓練法
  • 10の行動療法
  • 助け合い掲示板

行動療法とは?

歴史

行動療法とは、生活していく上で問題となっている行動を改善し、健康的な行動を取得する方法です。

行動療法という用語が最初に使われたのは1953年の頃です。アメリカを舞台として、ハーバード大学のスキナーらの研究ではじめて使用されました。

その後、イギリスのアイゼンク、南アフリカのウオルピという学者によって、複数の手法が生み出されていくことになります。

行動療法を提唱したハンスアイゼンク

出典:wikipedia アイゼンク博士

対象となる悩み

行動療法は医療機関では以下のようなお悩みの場合に活用されます。

・社交不安障害
・うつ病
・潔癖症
・高所恐怖症
・発達障害児の行動

また、病気だけでなく、身近なお悩みでも十分活用できます。

・積極性を身に着けたい!
・恋愛力をつけたい!
・引っ込み思案をなおしたい!

こんな日常的な目標にも活用できる守備範囲が広い心理療法なのです。筆者の川島も日常的に行動療法の考え方をよく使っています。

Anderssonら(2006)は、社交不安障害の患者に対して、自分でできる行動療法(エクスポージャー法)をインターネット上で実施してもらいました。以下の表は、

治療法を受けた人 受けていない人

それぞれの改善率が示されています。%が多いほど、改善した人の割合が多いことを意味しています。

臨床的に不安症状が改善した人の割合

不安感の改善、会話への自信など、行動療法を受けた人の改善率が高いことが確認できます。

 

行動療法のトレーニング手法

前置きが長くなってしまっていますね!ここからは実際のトレーニングに入ります。当コラムでは、よく使われる手法として3つのやり方をお伝えします。

手法① 行動力をつける3つの道具
手法② スモールステップ-不安階層表
手法③ 緊張をほぐす-自律訓練法

手法① 行動力と3つの道具

まずは行動力をつける3つの道具から解説していきます。

行動を記録できるものを用意

行動力をつけるには「記録すること」が基本になります。例えば、会話力をつけたいのであれば、

今日は何分会話したか?
相槌は打てたか?
誰とお話したか?

など具体的な行動を記録していきます。アスリート、営業マン、経営者、行動力が求められる人は必ずと言っていいほど、記録を控えています。

行動力をつけたい場合は、日記やノートを準備しましょう。

記録-行動療法

ご褒美(正の条件付け)

私たちの行動は、ご褒美があると、よりその行動をとりやすくなると行動療法では考えます。例えば、仕事で成果を出したときに、上司が全力で褒めてくれたとします。

この褒められるという体験により、次も頑張ろうと積極的な気持ちになることができます。

・勉強を続ける
・相手を褒める
・主張する
・お手伝い

このような前向きな行動を増やしたい場合はごほうびが有効です。

報酬-行動療法

罰(負の条件付け)

私たちは、罰があると、よりその行動を抑制したくなります。例えば、皆さんには嫌いな食べ物があると思います。これは一度食べたけど、まずかったから、次はもうたべたくないと考えます。

負の条件付けは、その行動をやめたいときに有効です。

・お酒をやめる
・ギャンブルをやめる
・暴食をやめる

これらの破壊的な行動を止めるには、罰を設けることが有効です。

罰-弱化

行動力がある人になる3条件

繰り返しになりますが、
・記録をつける
・ご褒美を作る
・罰を作る

この3つを意識するだけで私たちの行動はずいぶん変わってきます。シンプルな条件となりますが、行動療法の基礎として抑えておきましょう。

手法② スモールステップ

手法①では記録をつけることの重要性を強調させて頂きました。手法②では、もう少し具体的な記録の取り方について考えていきます。

目標を決める

行動記録をする際は、まずは目標を決めることが大事です。この時、スモールステップを徹底しましょう。スモールステップは行動力を付ける上で極めて大事な考え方です。

具体的には、一番上に最終目標を記入し、3段階くらいで小さな練習を設定します。そして各練習について、不安得点や実行日を記入します。

不安階層表の例

行動予定は、目標や練習を具体的に記入します。感情を記入しやすいので注意しましょう。

続いて実行日は、練習1~最終目標までを2週間位で設定します。不安得点は、どれくらい不安や恐怖を感じるかを記入します。

以下の記入例は、私(川島)が引きこもりの時期に書いた不安階層表です。

不安階層表の練習問題目標設定のポイントは、具体的な行動で本当に小さな目標にすることです。そして続けるコツとして、達成できたときには自分にご褒美をあげるといいですよ。

以下事例に応じてサンプルを折りたたんでおきました。参考にしてみてください。

婚活中の不安階層表を見ていきましょう。

婚活パーティーが苦手な太郎君の記入例です。最終目標に向けて、小さな練習を積み重ねていきました。

不安階層表の記入例

太郎君の例を見て、目標設定のイメージができましたか。目標は、ちょっとがんばればできるくらいがいいでしょう。60%くらいできそうな内容で設定してみてください。

飲み会が苦手な花子さんの不安階層表です。花子さんは飲み会に誘われると、毎回理由をつけて断っています。

飲み会が苦手な人の不安階層表

潔癖症が治らない、二郎くんの不安階層表です。二郎くんは、毎日1時間ぐらい手洗いをしています。

潔癖症な人の不安階層表

不安階層表は精神疾患に対してもよくつかわれます。以下はパニック障害と広場恐怖を持つ方の例です。⋆比較的軽度な症例です。

不安階層表の記入例

 

実践前に…抑えよう

実際に行動する前には、不安の特性についてよく知っておくことが必要です。坂野(2013)の不安の説明を見てみましょう。

不安障害の治療に効果があるエクスポージャー法について

これらのことを図に表すと以下のようになります。

時間と不安の関係要約すると、長期的にみると、回避するよりも、行動したほうが、不安は小さくなるということです。勇気をもって行動するようにしましょう。

手法③自立訓練法

説明が長くなっているので3つのステップを復習しましょう!

①行動力をつける3つの道具
②スモールステップ-不安階層表
③緊張をほぐす-自律訓練法

基礎編の最後として、③の自立訓練法をお伝えします。実際に行動予定を立てたとしても、体が緊張してなかなか動かない…という方もいると思います。

そんなときは自律訓練法でリラックスすることで行動力をUPさせましょう。

自立訓練法とは?

自立訓練法は、交感神経と副交感神経のバランスをとるトレーニングです。

神経には、交感神経と副交感神経の2種類あります。副交感神経は、落ち着いたときに働くリラックス系です。一方で、交感神経は、緊張や怒りなど力が入るようなときに働きます。

交換神経と副交感神経

自立訓練法の手順

背景公式と6つの訓練公式で構成されています。

【背景公式】
心が落ち着いている状態を作ります。

①環境設定をする
基本的には横になるか、イスに腰掛けるかの姿勢をとります。楽な姿勢で、肩の力を抜いて目を閉じます。体を締め付けているベルトなどは外します。

②腹式呼吸をする
5回から10回くらい行います。鼻から3秒吸って、6秒吐くを繰り返します。

横隔膜が上下運動するように進めて見てください。複式呼吸で、よい空気を吸って悪い空気を出すイメージで進めます。

③落ち着いているか確認
深呼吸が済んだら、心の中で「落ち着いているのだ」と心の中でつぶやき実感させます。

自立訓練法のやり方本番直前などは時間がない時は、背景公式だけでもOKです。1分程度でも少し落ち着くことができます。

背景公式が終わったら次の公式に入っていきます。

【第一公式】
両腕、両足の重さを感じる
「両腕両足が重たい」と感じる練習です。重感練習は、脳と筋肉の両方がリラックスできる方法です。

【第二公式】
両腕、両足の暖かさを感じる
「両腕両足が温かい」と感じる練習です。温感練習は、重感練習と同様にリラックス効果が高い方法になります。

【第三公式】心臓が静か
【第四公式】楽に呼吸
【第五公式】お腹が暖かい
【第六公式】額が涼しい

そして最後に、消去動作として、グーパー・グーパーを行います。

日常生活での使い方

第二公式までは、安全度が高いとされています。緊張しやすい場面や不眠の時には、第二公式までを3分間3セットくらいで実践してみてください。

注意事項
うつ病、糖尿病、消化器系の疾患の方、加えて第三公式以降は専門家と行ってください。

まとめと発展編

基礎のまとめ

ここまで行動療法の基礎を学んできました。まとめると以下のようになります。ぜひ日常生活でもいかしてみてくださいね。

①行動力をつける3つの道具
  記録を取る ごほうびを準備 罰を準備

②スモールステップ-不安階層表
  目標をとにかく小さくして1つ1つコツコツ行動

③緊張をほぐす-自律訓練法
  緊張や不安が強い時は体からリラックス

発展編

ここから先は行動療法をより深く理解したい方向けの内容です。さまざまな研究や知識をお伝えします。基礎的なことは理解したけど、もっと深く知識を得たい方、医療関係者や福祉関係の学生様は参考にして頂けると幸いです。

①ブラッティング
できないことをやってみることで、慣れてくるという方法です。行動療法の中でも、かなり強めの療法です。

たとえば、
高所恐怖症の人に高い場所に生かせる行動療法ブラッティング

時間とともに緊張が解けてできないことにも慣れてくるという方法です。

②不安階層表
少しづつ成功を積み重ねていく方法です。スモールステップで対応する

不安階層表

③嫌悪療法
やってはいけないことに罰を与えることで、できなくする方法です。

たとえば、アルコール依存症の人の場合。
お酒を飲むと気分が悪くなる抗酒剤を飲んでもらいます。

嫌悪療法の例

お酒を飲む→気分が悪くなるというフローを脳に覚えさせます。

④自立訓練法
自己催眠を用いたリラックスで、心身を安定させる方法です。

自律訓練法背景公式と6つの訓練公式で構成されています。

⑤系統的脱感作法
緊張しやすい場面を想像して身体をリラックスする方法です。

系統的脱感作法の例

この方法は、強迫性障害や恐怖症に対する治療法で、逆制止という原理を活用しています。

逆制止とは、恐怖や不安が現れた際に、反対の感情を起こすことで、恐怖や不安が少なくなるのです。

⑥シェーピング
成果が出るとお菓子やお金など、何かが与えられる方法です。不安階層表に似ている療法です。

⑦トークエコノミー
子どもによく利用する療法です。できないことができたときに、シールをあげたり、バッチを与える方法です。

⑧バイオフィードバック
自分が本当にリラックスしているかを、数字でみながらリラックスする方法です。

リラックスしているかどうかは判断が難しいため、脳波計などをみながら自分の状態を確認していきます。

行動療法リラックスを確認する方法

⑨タイムアウト
子どもによく使われる方法です。感情が爆発しているときには、時間に区切りをつけ、場所を移動して心を落ち着けていく方法です。

この方法は、大人にも効果があります。悩みが強くなった時には、カフェなど、静かな場所に移動してみると心を落ち着けることができますよ。

⑩モデリング・ロールプレイ
模擬場面を設定して、人の姿をみながら勉強する方法です。

 

 

仕上げの動画とお知らせ

仕上げ動画

当コラムの仕上げとして行動療法の動画を見るとより理解が深まると思います。参考にしてみてください。

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