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いじめ撲滅

~ 教職員の方向け,毎月のいじめ対策 ~ 毎月のいじめ対策 ②5月

はじめまして!いじめ撲滅委員会代表、公認心理師の栗本顕です。私の専門は「いじめ」です。心理学の大学院で研究もしてきました。現在はいじめの問題を撲滅するべく、研修やカウンセリング活動を行っています。

いじめ撲滅委員会代表栗本顕

今回のテーマは「5月のいじめ対策」です。

楽しいゴールデンウィークが終わり、学校生活が再開する5月。子どもたちの中には、休み明けの学校を心から楽しみにしている子もいれば、「また学校に行かなくちゃいけない」と憂うつな気持ちになる子もいます。この時期は連休明けの変化に特に注意が必要です。

本記事では5月のいじめ対策について解説していきます。 目次は以下の通りです。

① 連休明けに警戒すべき理由
② 無理して登校する子どもへの対応
③ 学校を休む子どもへの対応
④ 5月に注目すべき人間関係の変化

ゴールデンウィーク明けという大切な時期に、どのように子どもたちを見守り、支えていくべきか。具体的な方法をお伝えしていきます。ぜひ最後までご一読ください。 

連休明けに警戒すべき理由

5月のゴールデンウィーク明けは、子どもたちにとって大きな節目となる時期です。ここでは、なぜこの時期に特別な注意が必要なのかを見ていきましょう。

ゴールデンウィークがもたらす影響

5月には、ゴールデンウィークがあり、特に児童生徒にとっては「やった!休めるぞ!!」と喜ぶことが非常に多いです。また、中には「いじめからちょっと逃れられる」と思う児童生徒もいます。長い休みは、いじめられている子どもにとって、つらい学校生活から一時的に解放される貴重な時間なのです。

しかし、その周りにいる大人は、意外と休みがなかったり、やることが多くあり、こういった児童生徒のちょっとした変化に気が付きにくいです。

大人が忙しくしている間に、子どもたちの心の中では大きな変化が起きています。休み中にリフレッシュできた子もいれば、休み明けの学校生活に不安を募らせている子もいます。

連休明けに起こる2つのパターン

そんな中、児童生徒はさまざまな状況の中、ゴールデンウィークが終わることで、再び学校に行くことになります。もし、この状況にいじめが潜んでいたらと考えると憂うつになります。

なかには、「行ってたまるか!」と休む児童生徒もいます。教職員や保護者は、こういった大まかに分けた2つのパターンに対応しなくてはなりません。 どちらも対応をしなくてはならないパターンです。

この大まかに分けた、

いじめがあるが無理して登校する児童生徒
いじめがあり、学校を休む児童生徒

に連休明けは注目することが必須です。

5月が重要な理由

5月は4月に作られた人間関係が固まり始める時期でもあります。新しいクラスに慣れてきた一方で、グループ内の関係に問題が生じ始めることも多いのです。また、連休で学校から離れた分、再び学校生活に戻ることへの抵抗感が強くなる子もいます。

特にいじめを受けている子どもにとって、連休明けは大きな試練となります。つらい環境に戻らなければならないという現実が、目の前に迫ってくるからです。

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無理して登校する子どもへの対応

いじめを受けながらも学校に来る子どもたちは、想像以上につらい思いをしています。ここでは、そんな子どもたちへの具体的な対応方法を見ていきましょう。 

子どもたちの気持ちを理解する

いじめがあるが無理して登校する児童生徒のこと考えてみましょう。どんなつらい気持ちで学校に行くかを想像すると、何としても対策を練らないといけない気持ちになります。いじめられっ子は毎朝、

「今日は何をされるだろう」
「また一人で過ごさなければならない」

という不安を抱えながら学校に向かっています。

しかし、親に心配をかけたくない、先生に迷惑をかけたくないという思いから、つらさを表に出さずに頑張っているのです。 このような子どもたちは、表面上は普通に見えることも多いです。だからこそ、教職員が意識的に様子を観察し、小さな変化に気づくことが大切なのです。 

教室にいる時間を増やす大切さ

職員室にいる時間を少し減らして、休み時間や昼休みに教室にいるだけで、子どもたちの様子がよく見えてきます。 また、教室にいることで、子どもたちが「先生は自分たちのことを見てくれている」と感じることができます。それだけで、安心感を与えることができるのです。 

ゴールデンウィークの話を聞く

「ゴールデンウィークはどうだったか」を聞いていくのも児童生徒の気持ちを探る上ではとても有効だと考えられます。出席を取るときなどに一人一言言ってもらってもいいと思います。

休み時間や授業中、「ゴールデンウィークはどうだったか」の回答、表情などから少しでも「何か違うな」と思ったら話を聞いて、事情を確認していくことが良いと考えられます。

楽しそうに話す子もいれば、言葉少なに答える子もいます。その違いに注目することで、子どもたちの心の状態を知ることができます。特に、いつもは明るい子が暗い表情をしていたり、逆にいつもは静かな子が妙にはしゃいでいたりする場合は、何か問題を抱えている可能性があります。 

相談しやすい環境を作る

また、「何かあったら、いつでも相談してね」と声掛けをしてあげて、相談するきっかけを作ってあげることも欠かしてはなりません。ただし、この声掛けは一度だけではなく、繰り返し行うことが大切です。子どもたちは、本当につらい時ほど相談することをためらってしまいます。

「こんなことで相談していいのかな」
「先生は忙しそうだから」

と考えて、一人で抱え込んでしまうのです。 だからこそ、日頃から「いつでも話を聞くよ」という姿勢を示し続けることが重要です。

また、相談しやすい雰囲気を作るために、普段から子どもたちと何気ない会話をすることも効果的です。信頼関係があれば、子どもたちは困った時に自然と相談してくれるようになります。 

学校を休む子どもへの対応

連休明けに学校を休む子どもには、必ず何かしらの理由があります。ここでは、そんな子どもたちへの適切な対応方法を見ていきましょう。 

学校を休む理由を理解する

学校を休むからには「何かしらの理由」があります。「特に理由はなくて、ただ行きたくないだけ」という意見もありますが、そうなるに至った経緯があります。連休明けに学校を休みたいと思う理由は以下になります。

連休明けに休む主な理由
もっと休みを堪能したい
宿題や課題が終わっていない
学校に行ったらいじめられる
家の方が気が楽でいられる
学校に行くよりも楽しい
学校に魅力が感じられない
理由は一つではありません

などなどが考えられると思います。これらの理由の中には、一見軽く見えるものもありますが、子どもにとってはどれも深刻な問題なのです。

課題への柔軟な対応

前提として、宿題や課題は少し期限が遅れても多めに見てもいいかもしれません。ただし、あまり緩すぎると宿題や課題の意味がなくなってしまいますので注意してください。また、家庭の事情や体調などでも進みは変わりますので少し配慮することをお勧めします。

完璧を求めすぎることで、子どもたちが学校から遠ざかってしまうことは避けなければなりません。 大切なのは、宿題や課題ができなかったことを責めるのではなく、「どうしたらできるようになるか」を一緒に考える姿勢です。子どもたちは、自分が責められると感じると、ますます学校から離れていってしまいます。

欠席をSOSと受け止める

「いじめ」に焦点を当てた場合、学校を休むということは、いじめられる環境から少し身を離すことになります。SNS上でのいじめもあるので、すべてのいじめから距離を離すことは難しいです。

連休明けに、「欠席連絡をもらったら児童生徒からのSOS」だと構えて受け取ると対策を迅速に行えます。

まずは、教職員は休み時間や放課後に休んだ生徒の家庭に電話をしてよく話を聞いていくことを欠かしてはなりません。 この行動を疎かにしてしまうと、保護者の中には、「子どもが休んだのに何とも思わないのか、何もしないのか」と感じてしまう方もいますので、保護者との信頼関係を築いていく上でも重要なものです。 

家庭訪問と親身な対応

もし、休むことが長くなった時には、家庭訪問などをしてより親身になって対応をしていくことが良いと考えられます。まずは、児童生徒のSOSを受け取り、よく話を聞き様子を見ること、そして対応をすることを心がけます。

家庭訪問では、無理に学校に来させようとするのではなく、子どもの気持ちに寄り添うことが大切です。「学校に来なさい」と言うのではなく、「今どんな気持ちなのか教えてほしい」という姿勢で接することが重要です。 また、家庭訪問を通じて、保護者とも信頼関係を築くことができます。学校と家庭が協力することで、子どもを支える力が大きくなるのです。

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5月に注目すべき人間関係の変化

5月は人間関係が固まり始める時期です。ここでは、この時期特有の人間関係の問題と、その対応方法を見ていきましょう。 

5月の人間関係の特徴

5月は、連休明けに注目することはもちろんですが、児童生徒の人間関係にも注目する時期でもあります。児童生徒は、4月から徐々に人間関係を作っていき、5月にはすでにある程度のグループができあがっています。4月に知り合った友達と、少しずつ関係が深まり、グループが形成されていく時期なのです。

しかし、この時期だからこそ起こる問題もあります。 注目する点は以下になります。

グループに入れず
いじめられてしまう
グループ内の関係が
いびつになる
いじめが発生する
早めの対応が必要です

この2点について、詳しく見ていきましょう。

グループに入れない子への対応

無理にグループに入ろうとはせずに自分の気持ちに正直に行動してよいことを伝えていきます。

具体的には、図書室などで過ごすことを勧めてみましょう。一人でいることは悪いことではないと伝え、子どもが自分らしくいられる場所を一緒に探してあげます。いじめが発生している時には、複数対個人になっている可能性が高いため、慎重に対応する必要があります。

特に、被害者は報復を恐れている可能性が高いので、「報復を絶対にさせない」といったように安心感を与えながら、対応していくことが望まれます。子どもが安心して相談できる環境を作ることが、何よりも重要なのです。

グループ内のいじめへの対応

グループ内で問題が深刻化する危険性があります。そもそも、出会って1ヶ月ほどで集まった集団ですので、時間をかけていくと少しずつ互いに違和感を抱いていくことは容易に考えられます。

しかし、児童生徒は「早く友達を作らないと!」「早くどこかのグループに属さないと!」と焦ってしまっています。そのため、あまり深く関わらないまま、お互いのことをよくわからないまま同じグループになってしまうのです。

グループ内で問題が深刻化してしまうと、周りでは問題に気付きにくい上、当事者たちも外部に事態を報告や相談をしにくくなります。そのため、対応が遅れてしまう危険性が高いので、児童生徒のグループの様子についても注目しておくことを心がけます。 

絶対にやってはいけないこと

グループ全員を集めて一気に話し合いをさせることは決してやらないでください。被害生徒が加害生徒のいる前で正々堂々と気持ちを話せていたら、いじめは深刻化しません。グループ全員での話し合いは、一見効率的に見えますが、実際には被害を受けている子どもをさらに追い詰めることになってしまいます。

加害者の前で本当の気持ちを話すことは、とても難しいからです。 教職員は例え対象がグループだとしても一人一人の児童生徒と慎重に話をしていき、事態を把握し、対応していく必要があります。個別に話を聞くことで、それぞれの立場や気持ちを理解することができます。

信頼関係が早期発見のカギ

共通して言えることとして、「児童生徒と教職員の信頼関係」を構築しておくことが、問題の早期発見につながるということです。日ごろからよく児童生徒と会話をして、よく様子を見ておくことを心がけてください。

また、「保護者と教職員の信頼関係」の構築についても考慮していくと、学校では気づかない家庭での様子についても知ることができ、より繊細に対応をしていくことができます。 児童生徒が休んだ時に連絡することなど、些細なことの繰り返しが必要です。小さな積み重ねが、大きな信頼関係を作り出すのです。

毎月のいじめ対策②5月にできるいじめの対策

まとめ

5月のゴールデンウィーク明けは、子どもたちにとって大きな節目となる時期です。楽しい休みが終わり、再び学校生活が始まる時、心に不安を抱える子どもたちがいます。いじめを受けながらも無理して学校に来る子、つらさから学校を休む子。どちらの子どもたちも、大人の助けを必要としています。

何よりも重要なのは、日頃から子どもたちや保護者との信頼関係を築いておくことです。些細なことの積み重ねが、問題の早期発見につながります。連休明けという大切な時期に、子どもたちの小さなサインを見逃さず、温かく見守っていきましょう。

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いじめ撲滅委員会では、全国の小~高校生・保護者のかた、先生方にカウンセリングや教育相談を行っています。カウンセラーの栗本は、「いじめ」をテーマに研究を続けており、もうすぐで10年になろうとしています。

・いじめにあって苦しい
・いじめの記憶が辛い
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