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毎月のいじめ対策>10月にできるいじめの対策

いじめ撲滅

~ 教職員の方向け,毎月のいじめ対策 ~ 毎月のいじめ対策 ⑦10月

はじめまして!いじめ撲滅委員会代表、公認心理師の栗本顕です。私の専門は「いじめ」です。心理学の大学院で研究もしてきました。現在はいじめの問題を撲滅するべく、研修やカウンセリング活動を行っています。

今回のテーマは「10月のいじめ対策」です。

いじめ撲滅委員会代表栗本顕

児童生徒も関係ができて遠慮がなくなりはじめ、さらに学校のイベントが多い10月。一般的に、10月と聞くと文化祭や体育祭、進路決めなど学校生活の中では大きなイベントがあります。

関係性が深まった分、新たな問題も生まれやすい時期なのです。本記事では10月のいじめ対策について解説していきます。

目次は以下の通りです。

① 児童生徒の関係に注目する重要性
② グループ分けは慎重に行う方法
③ 家庭の様子を把握する大切さ
④ 気圧の変化に注意すること
⑤ 多角的な情報共有の必要性

10月は関係性がはっきりしてくる時期です。だからこそ、様々な視点から子どもたちを見守る必要があります。具体的な方法をお伝えしていきます。ぜひ最後までご一読ください。

児童生徒の関係に注目する重要性

10月は、児童生徒の関係性がはっきりと見えてくる時期です。ここでは、その関係性に潜む問題を見ていきましょう。

関係性がはっきりする時期

10月になると、児童生徒の関係はハッキリとしていると思います。

「この子は○○のグループ」
「この子は○○と一緒」
「この子は一人の事が多い」

などなど、教職員にとって受け取り方はさまざまだと思います。半年以上経過し、誰と誰が仲が良いのか、どのようなグループがあるのかが明確になってきます。このように関係ができてくると、自然とその関係の中で緊張感も和らいで、遠慮がなくなってしまったり、配慮がなくなってしまったりと、人間関係の問題に発展します。

そして、児童生徒における人間関係の問題というと、やはり「いじめ問題」が挙げられます。例えば、関係性のいじめとして「集団心理」があります。

集団心理の影響

この「集団心理」では、周りがやっているから、一緒にやらないと、などと考えてしまいます。大人の社会でも、周りと違うことをすることは、周りからの視線などが怖くなることがあると思います。時には、人間関係の変化にも関わります。それが、児童生徒の中では例え少人数の関係だったとしても、同じことが起こります。グループの中で自分だけ違う意見を言うことは、とても勇気がいることなのです。

このことについて、その程度を見分けるために、ポイントの様子を見ていく必要があります。子どもたちの関係性がどのような状態にあるのか、注意深く観察することが大切です。

観察のポイント①言葉遣い

児童生徒同士の言葉遣いに注目します。児童生徒の関係に関わっています。気が緩んだことや気が許せる関係になると、荒っぽい言葉遣いになることが多いです。しかし、それは受け取る方によっては不快に感じます。「バカ」「死ね」などの言葉を冗談で使っていても、言われた方は傷ついているかもしれません。表面上は笑っていても、内心では嫌な気持ちになっている可能性があります。

言葉遣いが荒くなっていないか、特定の子に対してだけきつい言葉を使っていないか、よく観察しましょう。

観察のポイント②物の貸し借り

物の貸し借りの状況も重要です。多少の物は友人関係ならばあってもおかしくはありません。重要なことは、その頻度にあります。借りることが当然のようになってはいないでしょうか。表面上は「良いよ」と言っているかもしれませんが、内面では「嫌だ」と思っているかもしれません。いつも同じ子が貸している、返ってこないことが多い、高価なものを借りているなど、気になる点があれば注意が必要です。

断れない関係性ができてしまっている可能性があります。

観察のポイント③力関係

児童生徒の力関係も見逃せません。グループの中で、誰か一人が強いと、その人の考えや行動が中心になることがあります。歴史的に考えると、独裁のようなものです。ここで表現されている「強い」は、肉体的に強いということだけではなく、口がうまい、人間関係をつくることがうまい、なども入ります。

いじめの主犯格が実は優等生だったということもあります。表面的には良い子に見えても、実はグループ内で強い影響力を持ち、他の子を支配していることがあるのです。

誰の意見がいつも通るのか、誰かの顔色を伺っている子はいないか、注意深く見ましょう。

観察のポイント④休み時間の過ごし方

休み時間の過ごし方も大切な観察ポイントです。よく、「一人になっている子はいないだろうか」ということが注目されますが、それだけを見ていては不十分です。むしろ、「休み時間は一人でも良いのだ」といったクラスの考えを持ってください。

「本当は一人でいたい」
「本当は他の子といたい」

と思うことがあります。ポイントを踏まえて全体を見てください。一人でいることが好きな子もいれば、本当は誰かと過ごしたいのに仕方なく一人でいる子もいます。

程度を見分けるために、ポイントを絞ってご紹介をしました。一つずつ、確実に捉えていきたいところです。

毎月のいじめ対策⑦10月にできるいじめの対策

グループ分けは慎重に行う

10月は学校行事が多い時期です。ここでは、イベント時のグループ分けについて見ていきましょう。

10月のイベントとグループ活動

10月というと、文化祭や体育祭があります。このイベントでは、個人で行うものや集団で行うものがあります。特に、集団で行うものではクラスや部活、小グループに別れてなど、内容によってさまざまな形があります。楽しいはずのイベントが、グループ分けによってつらい経験になってしまうこともあります。中でも、いじめ対策といった視点で考えた場合、小グループに注目する必要があります。

小グループを決める際に、教職員が決めたり、児童生徒が自主的に決める方式がとられると思います。

グループ決定後の注意点

グループがどうなったにせよ、そのグループの人間関係で児童生徒が問題を抱えていないか常に気を付けていかなければなりません。以前トラブルがあった関係ではないか、あまり関わったことがない関係かどうか、今までのクラスや個人の様子から考察していきます。グループが決まった後も、活動中の様子をよく観察することが大切です。表面上は仲良くやっているように見えても、実は我慢している子がいるかもしれません。

このようにしていくことで、事前に問題が起きることを回避することもできます。また、時には児童生徒の人間関係を構築していくきっかけにもなりますので、ぜひ人間関係を理解したうえで活用していくことが求められます。

個人の特性への配慮

しかし、中には「一人の方がいい」「あまり大人数と関わるのが苦手」という児童生徒もいます。そのため、その人物の人間関係だけではなく、人間像も考慮して実施をしていきます。全員が集団活動を楽しめるわけではありません。一人での作業を好む子、少人数が良い子、大人数が好きな子など、それぞれの特性があります。無理に集団活動に参加させることが、その子にとって良いことだとは限りません。

その子に合った役割や活動の仕方を一緒に考えることも大切です。

事前の情報収集と準備

グループ分けを行う前に、できるだけ多くの情報を集めておくことが重要です。これまでのトラブルの記録、アンケート結果、日頃の観察から得た情報などを総合的に判断します。また、前年度の担任や部活動の顧問などからも情報を得ることで、より適切なグループ分けができます。完璧なグループ分けは難しいですが、できる限りの配慮をすることで、トラブルを減らすことができます。

そして、グループ活動中も常に気を配り、問題があればすぐに対応できる体制を整えておきましょう。

家庭の様子を把握する

いじめ対策は学校だけでなく、家庭との連携も欠かせません。ここでは、家庭環境の把握について見ていきましょう。

家庭環境の影響

いじめ対策は、学校現場はもちろんですが、その児童生徒が生活している環境に着目する必要があります。特に、家庭での様子も考慮していきます。家庭によっては、同世代のきょうだいがいたり、年が離れて本人が受験生ではなくても家族の誰かが受験生ということもあります。また、受験というストレスとなるものだけではなく、家族の誰かがいじめにあっている場合もあります。家庭での出来事が、学校での子どもの様子に大きく影響することがあります。

その場合も心のケアをしていく必要があります。家庭環境を考慮する点については、虐待問題なども入ってきますので、もし重大なものになった場合には、一人で抱え込まずに速やかに解決に向けた検討をしてください。

保護者との連携

また、そもそもいじめ対策は家庭との連携も欠かせません。各家庭とできる限り情報共有をしていき、多角的な視点から見守り、対応、ケアをしていきます。信頼関係を築いていくにもコミュニケーションは欠かせませんので、定期的に情報共有をしていきたいところです。学校での様子を家庭に伝え、家庭での様子を学校が知ることで、子どもの全体像が見えてきます。学校と家庭で違う顔を見せる子も多いので、両方の情報を合わせることが大切です。

しかし、中には「先生と関わることがキツい」や「そもそも人と関わることが苦手」といった保護者の方もいらっしゃるので、その点に配慮した関わり方が求められます。

様々な保護者への対応

保護者との関わり方は、一つの方法ですべての家庭に対応できるわけではありません。面談を好む保護者もいれば、電話やメールの方が良い保護者もいます。また、頻繁な連絡を望む保護者もいれば、必要最低限で良いという保護者もいます。それぞれの家庭の事情や保護者の性格を理解し、適切な方法で連絡を取ることが大切です。無理に同じ方法で全ての保護者と関わろうとすると、かえって関係が悪くなることもあります。

柔軟に対応しながら、信頼関係を築いていきましょう。

毎月のいじめ対策⑦10月にできるいじめの対策

気圧の変化に注意すること

10月は気候の変化が大きい時期です。ここでは、天候が子どもたちに与える影響を見ていきましょう。

気圧と気分の関係

人は、自然の状態で気分が変化することがあります。以前、7月や8月ごろは暑くなり、不機嫌になり、興奮しやすくなることがあるとご紹介をしました。10月は気圧が不安定なため、気分が憂うつになりやすくなります。その影響もあり普段の会話でもいじりなど、耐えられたことでも耐えられなくなり、悪化してしまう場合があります。天気が悪い日が続くと、気持ちも沈みがちになります。これは大人も子どもも同じです。

また、体調を崩してしまう児童生徒もいますので、保健的観点からも様子はよく見ておかなければなりません。

体調不良への適切な対応

また、近年ではだいぶ減りましたが「保健室に行かせない先生」がいます。その前にはトイレに行かせずに、注意をし続けて漏らしてしまうといったこともありました。トイレなどは、基本的には休み時間に済ませておくことが鉄則ですが、生理現象なので仕方のないことです。仕方のないことを注意しても、何も意味がありません。時間の無駄なのでやめてください。これと同じように、体調面も仕方のないことです。体調が崩れている時に休ませなくては、悪化してしまいます。

悪化してからでは遅いのです。精神論で乗り越えさせる場合もありますが、生理現象や体調を精神論で全て解決はできません。

生理現象への理解

生理現象を怒ったって時間の無駄です。児童生徒と教職員との信頼関係にも繋がりますので、少々熱くなってご紹介しました。体調が悪い時、トイレに行きたい時、これらは我慢できるものではありません。我慢させることで、その子の健康を害するだけでなく、教職員への信頼も失ってしまいます。「この先生は自分のことをわかってくれない」と感じた子どもは、困った時にも相談してくれなくなります。

体調不良を訴えた時は、まず休ませる。トイレに行きたいと言われたら、行かせる。当たり前のことを当たり前にすることが、信頼関係の第一歩です。

気候に応じた配慮

10月は朝晩の気温差も大きくなります。教室の温度調整、換気のタイミング、体育の際の服装など、細かな配慮が必要です。また、気候の変化で体調を崩しやすい子には、特に注意を払いましょう。頭痛、めまい、だるさなどを訴える子が増える時期です。これらの症状は、気圧の変化によるものである可能性が高いです。「気のせい」「甘え」と決めつけず、適切に対応することが大切です。

体調不良は、いじめを受けるきっかけにもなりえます。「すぐ休む」「弱い」などと言われることもあるからです。教職員が適切に対応することで、そのような問題も防ぐことができます。

毎月のいじめ対策⑦10月にできるいじめの対策

多角的な情報共有の必要性

子どもたちを理解するには、様々な視点が必要です。ここでは、情報共有の大切さを見ていきましょう。

様々な場面での様子

10月にもなれば、学校の中ではクラス、授業、休み時間、放課後、部活などさまざまなところで、児童生徒の行動がわかります。しかし、それらが全て同じとは限りません。それぞれでその状況を知っている人と、様子を確認する必要があります。クラスではみんなと仲良くやっていたが、部活では人間関係に困難を感じている様子だったということは実はよくあります。子どもたちは、場面によって違う顔を見せます。

クラスでは明るく振る舞っていても、実は部活では孤立していることもあります。逆に、クラスでは目立たない子が、部活では中心的な存在になっていることもあります。

知っていると思っていた

相手のことをよく知りたいのなら、さまざまな視点から相手を見ないと知ったことにはなりません。「知っていると思っていた」にすぎません。一つの場面だけを見て、「この子はこういう子だ」と決めつけてしまうのは危険です。教室での様子だけを見て判断すると、その子の本当の姿を見逃してしまうかもしれません。担任だけでなく、教科担当の先生、部活の顧問、養護教諭、スクールカウンセラーなど、様々な立場の人が持つ情報を集めることで、その子の全体像が見えてきます。

そのためには、教職員間での情報共有が欠かせません。

チーム学校としての連携

チーム学校として、連携した環境を作っていくことが求められます。定期的に情報交換の場を設けたり、気になる子どもについて話し合う時間を作ったりすることが大切です。一人の教職員がすべてを把握することは不可能です。しかし、みんなで情報を共有し合えば、より正確にその子を理解することができます。また、問題が起きた時にも、チームで対応することで、より適切な解決策を見つけることができます。

一人で抱え込まず、みんなで協力することが、子どもたちを守ることにつながります。

情報共有の具体的な方法

情報共有の方法としては、職員会議での報告、学年会での話し合い、連絡ノートの活用、オンラインツールでの共有など、様々な方法があります。ただし、個人情報の取り扱いには十分注意が必要です。適切な方法で、必要な情報を必要な人と共有することが大切です。また、情報を共有するだけでなく、それをもとにどう対応するかを話し合うことも重要です。情報を集めても、それを活かさなければ意味がありません。

定期的に情報を更新し、子どもたちの変化に対応できるようにしましょう。

まとめ

10月は、児童生徒の関係性がはっきりと見えてくる時期です。半年以上一緒に過ごし、誰と誰が仲が良いのか、どのようなグループがあるのかが明確になってきます。しかし、関係が深まった分、遠慮がなくなり、配慮が欠けることで、いじめに発展する危険性も高まります。

だからこそ、児童生徒の関係性を注意深く観察することが大切です。言葉遣い、物の貸し借り、力関係、休み時間の過ごし方など、様々なポイントから子どもたちの関係を見ていきましょう。今日からできることを始めてみませんか。子どもたちの笑顔のために、一緒に頑張っていきましょう。

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