>
>
>

クラス内のいじめ構造とは?

いじめ撲滅

~ 教職員の方はこちら ~ クラス内のいじめ構造とは?主犯格の影響力への対処法

はじめまして!いじめ撲滅委員会代表、公認心理師の栗本顕です。私の専門は「いじめ」です。心理学の大学院で研究もしてきました。現在はいじめの問題を撲滅するべく、研修やカウンセリング活動を行っています。

いじめ撲滅委員会代表栗本顕

今回のテーマは「クラス内いじめ行動の主犯格への対処法」です。いじめの根本を解決するには、表に出てこない真の黒幕である主犯格を見つけ出し、適切に対処することが最も重要です。しかし、多くの大人がその存在に気づかず、表面的な対処にとどまってしまいます。

目次は以下の通りです。

①いじめの主犯格の特徴
②クラス内の力関係を理解する
③主犯格を見抜く方法
④主犯格への直接対応策
⑤集団構造を変える戦略
⑥実行犯への同時対応
⑦再発防止の仕組み作り
⑧教師が注意すべきポイント
⑨保護者ができること
⑩困った時の相談先

本記事では、いじめの主犯格という隠れた存在を理解し、効果的な対処法について詳しく解説していきます。子どもたちが安心して学校生活を送れるよう、ぜひ最後までお読みください。

いじめの主犯格の特徴

いじめ問題を根本から解決するためには、まず主犯格の正体を知ることが大切です。多くの場合、表に出てくる加害者は実は操られている存在なのです。

主犯格の特徴と心理

いじめの主犯格は、一見すると普通の子どもに見えることが多いです。しかし、内面では強い支配欲と劣等感を抱えています。彼らは自分の手を汚すことなく、他の子どもたちを操っていじめを実行させます。

主犯格の心理的特徴は以下になります。

自分への自信のなさ
他人をコントロールしたい欲求
責任を逃れたい気持ち
注目を集めたい願望

このような心理状態の背景には、家庭環境や過去の体験が影響していることが多いです。彼らは自分の不安や怒りを、より弱い立場の子どもに向けることで心の安定を図ろうとします。大人は彼らの内面の苦しみにも目を向ける必要があります。

実行犯との違い

実際にいじめを行う実行犯と、裏で指示を出す主犯格は全く異なる存在です。実行犯は表に出るため発見しやすいですが、主犯格は巧妙に隠れているため見つけることが困難です。

実行犯と主犯格の違いは以下になります。

実行犯:直接手を下す
主犯格:陰で指示を出す
実行犯:責任を問われやすい
主犯格:責任逃れが上手

実行犯の多くは、主犯格を恐れて従っているだけの場合が多いです。彼らは本当は嫌だと思いながらも、自分がターゲットになることを恐れて加担してしまいます。このため、実行犯への対応と主犯格への対応は分けて考える必要があります。

影響力の仕組み

主犯格がクラス内で影響力を持つ仕組みを理解することは、対処法を考える上で非常に重要です。彼らは恐怖や仲間意識を巧みに使い分けて、他の子どもたちをコントロールしています。

影響力を持つ方法は以下になります。

恐怖による支配
仲間はずれへの不安
特別扱いでの取り込み
情報操作による混乱

主犯格は時には優しい顔を見せ、時には厳しい態度を取ることで、周りの子どもたちを混乱させます。この不安定な関係性が、彼らの影響力の源になっています。大人はこの巧妙な操作に気づき、適切に対応する必要があります。

いじめの主犯格

クラス内の力関係を理解する

いじめが起こるクラスには、複雑な力関係があります。表面的には見えない階層構造を理解することで、効果的な対処が可能になります。

四層構造の実態

いじめ研究では、いじめの場面に4つの役割があることが知られています。加害者と被害者だけでなく、観衆と傍観者の存在がいじめを長期化させる要因となっています。

四層構造の役割は以下になります。

加害者:直接いじめる
被害者:いじめを受ける
観衆:はやし立てる
傍観者:見て見ぬふり

この構造において、主犯格は加害者の影に隠れながら全体をコントロールしています。観衆は面白半分でいじめを盛り上げ、傍観者は関わりたくないという思いから黙認してしまいます。大人はこの全体像を把握して対応する必要があります。

観衆と傍観者の役割

観衆と傍観者の存在は、いじめを維持し拡大させる重要な要因です。彼らがいることで、加害者は自分の行動が認められていると感じ、いじめをエスカレートさせてしまいます。

観衆と傍観者の心理は以下になります。

観衆:面白がる気持ち
観衆:仲間意識の確認
傍観者:自分は安全
傍観者:関わりたくない

観衆も傍観者も、本当はいじめが良くないことは分かっています。しかし、自分が次のターゲットになることを恐れて、結果的にいじめに加担してしまいます。大人は彼らの心情を理解しつつ、正しい行動を取れるようサポートすることが大切です。

集団心理のメカニズム

クラスという集団では、個人の判断力が低下し、集団の雰囲気に流されやすくなります。このメカニズムを理解することで、なぜいじめが起こるのかが見えてきます。

集団心理の特徴は以下になります。

個人の責任感の薄れ
同調圧力の強まり
冷静な判断力の低下
匿名性による大胆さ

集団の中では、普段は優しい子どもでも、周りの雰囲気に流されて冷たい態度を取ってしまうことがあります。これは個人の性格の問題ではなく、集団特有の現象です。大人は集団全体の雰囲気を変えることで、いじめを防ぐことができます。

主犯格を見抜く方法

主犯格を見つけることは簡単ではありませんが、注意深く観察すると特徴的な行動パターンが見えてきます。早期発見が効果的な対処につながります。

行動パターンの特徴

主犯格には特徴的な行動パターンがあります。表面的には良い子を演じながら、裏では他の子どもたちを操っている場合が多いです。このギャップに注目することが重要です。

主犯格の行動パターンは以下になります。

大人の前では良い子
影での指示出し
責任転嫁が上手
情報収集が得意

主犯格は、大人が見ているときと見ていないときで態度を使い分けます。また、他の子どもの弱みや秘密を握って、それを脅しの材料に使うこともあります。大人は子どもたちの変化を注意深く観察し、表面的な様子だけでなく、深層で何が起きているかを見抜く必要があります。

隠れた支配の手口

主犯格は直接的な暴力ではなく、心理的な圧力や巧妙な操作で他の子どもたちを支配します。この手口を知ることで、早期に発見することができます。

支配の手口は以下になります。

噂の流布
仲間はずれの脅し
秘密の共有
恩を売る行為

主犯格は時には親切な行為を見せて恩を売り、その後でその恩を理由に無理な要求をしてきます。また、「これは二人だけの秘密」などと言って、子どもたちを自分の思い通りにコントロールします。大人はこのような心理的な操作に気づき、適切に介入する必要があります。

早期発見のポイント

主犯格を早期に発見するためには、子どもたちの変化を注意深く観察することが大切です。小さなサインを見逃さないことで、深刻化する前に対処できます。

発見のポイントは以下になります。

友人関係の急な変化
表情の硬さ
大人への態度の変化
グループ内の序列

子どもたちの間で急に友人関係が変わったり、以前は仲良しだった子たちが距離を置くようになったりした時は要注意です。また、特定の子どもに対して他の子たちが異常に従順になっている場合も、主犯格の存在を疑う必要があります。日頃からの観察が早期発見の鍵となります。

いじめ,主犯格を見抜く

主犯格への直接対応策

主犯格を特定できたら、慎重かつ効果的な対応が必要です。間違った対応は問題を悪化させる可能性があるため、専門的な知識に基づいた対処が重要です。

個別指導の進め方

主犯格への個別指導は、感情的になることなく冷静に行う必要があります。彼らの心理を理解し、建設的な対話を通じて行動の変化を促すことが大切です。

指導のポイントは以下になります。

事実の確認
冷静な対話
行動の影響説明
改善への道筋

指導の際は、まず具体的な事実を基に話を進めます。感情的に責めるのではなく、その行動が他の子どもたちにどのような影響を与えているかを理解させることが重要です。そして、どうすれば状況を改善できるかを一緒に考え、具体的な行動計画を立てます。

家庭との連携方法

主犯格への対応は、学校だけでなく家庭との連携が欠かせません。保護者の理解と協力を得ることで、より効果的な指導が可能になります。

家庭連携の方法は以下になります。

連携の進め方
状況の丁寧な説明
家庭での様子確認
共通の対応方針
継続的な情報共有

保護者に状況を伝える際は、子どもを一方的に責めるのではなく、一緒に解決していく姿勢を示すことが大切です。家庭での子どもの様子や変化についても聞き取り、学校と家庭で一貫した対応を取ります。定期的な情報交換を行い、子どもの成長を見守っていきます。

責任の明確化

主犯格には、自分の行動がどのような結果を招いているかを明確に理解させる必要があります。責任を逃れることができないことを伝え、真の反省を促します。

責任の示し方は以下になります。

責任の内容
被害者への謝罪
行動の結果受容
改善への取り組み
継続的な見直し

単に謝罪させるだけでなく、なぜその行動が間違っていたのか、被害者がどのような気持ちになったのかを深く考えさせることが重要です。そして、今後どのような行動を取るべきかを具体的に決めて、継続的に見守っていきます。形だけの謝罪ではなく、心からの反省を促すことが大切です。

集団構造を変える戦略

いじめを根本から解決するには、クラス全体の構造を変える必要があります。観衆や傍観者を味方につけることで、いじめが起きにくい環境を作ることができます。

観衆を味方に変える

いじめをはやし立てている観衆を、いじめを止める側に変えることができれば、いじめの構造は大きく変わります。彼らの心理を理解し、適切なアプローチを行うことが重要です。

観衆への働きかけは以下になります。

いじめの影響教育
共感力の育成
正義感の促進
勇気の育て方

観衆の多くは、いじめが楽しいからはやし立てているのではなく、不安や恐怖から周りに合わせているだけです。いじめられている人の気持ちを想像させる教育や、正しいことをする勇気を育てる活動を通じて、彼らの意識を変えることができます。

傍観者を巻き込む方法

見て見ぬふりをしている傍観者も、適切な働きかけによっていじめを止める力になります。彼らが安心して行動できる環境を整えることが大切です。

傍観者への働きかけは以下になります。

安全な相談先提供
匿名での報告制度
小さな行動の促進
仲間作りの支援

傍観者の多くは、いじめを止めたい気持ちはあるものの、自分一人では怖くて行動できないでいます。大人が安全な相談窓口を用意したり、一人ではなくグループで行動できる仕組みを作ったりすることで、彼らの勇気を後押しできます。

クラス全体の意識改革

個別の対応だけでなく、クラス全体の雰囲気や価値観を変えることで、いじめが起きにくい環境を作ることができます。継続的な取り組みが必要です。

意識改革の方法は以下になります。

話し合いの機会創出
多様性の尊重教育
協力関係の構築
成功体験の共有

定期的にクラスで話し合いの時間を設け、みんなが安心して過ごせるクラスについて考えさせます。また、一人ひとりの違いを認め合う活動や、協力して何かを成し遂げる体験を通じて、お互いを大切にする気持ちを育てます。時間はかかりますが、着実にクラスの雰囲気を変えることができます。

実行犯への同時対応

主犯格への対応と並行して、実際にいじめを行っている実行犯への適切な対応も必要です。彼らの多くは被害者でもあることを理解して接することが大切です。

実行犯の心理理解

実行犯の多くは、自分がいじめの主導者ではなく、誰かに従っているだけの状態です。彼らの複雑な心理状況を理解することで、適切な指導ができます。

実行犯の心理状態は以下になります。

心理的特徴
主犯格への恐怖心
自分も被害者意識
罪悪感と葛藤
逃げ場のない感覚

実行犯は表面上は加害者に見えますが、内心では罪悪感を抱いていることが多いです。主犯格からの圧力に屈して、本当はやりたくないことをやらされている状況です。大人は彼らの苦しみにも目を向け、救い出すような気持ちで接することが大切です。

主犯格からの分離

実行犯を主犯格の影響から切り離すことで、いじめの構造を崩すことができます。安全な環境で本音を聞き出し、適切なサポートを提供します。

分離の方法は以下になります。

分離のステップ
個別面談の実施
安全な環境確保
本音の聞き取り
新しい関係作り

実行犯との面談は、主犯格がいない安全な環境で行います。最初は警戒されるかもしれませんが、根気よく信頼関係を築いていけば、本当の気持ちを話してくれるようになります。そして、主犯格に依存しない新しい友人関係を築けるよう支援します。

個別ケアの重要性

実行犯には、加害者としての指導と同時に、被害者としてのケアも必要です。一人ひとりの状況に合わせた個別のサポートが効果的です。

個別ケアの内容は以下になります。

ケアの内容
心理的サポート
自己肯定感の回復
人間関係の再構築
将来への希望

実行犯の多くは、自分に自信を失い、人間関係に不安を抱えています。カウンセリングや個別指導を通じて、彼らの心の傷を癒し、本来の優しさを取り戻せるよう支援します。時間をかけて丁寧にケアすることで、彼らも変わることができます。

再発防止の仕組み作り

いじめを一度解決しても、再発する可能性があります。継続的な見守りと予防の仕組みを作ることで、安全な環境を維持できます。

継続的な見守り体制

いじめ解決後も、関係する子どもたちの様子を継続的に観察する必要があります。問題の兆候を早期に発見できる体制を整えることが重要です。

見守り体制の構築は以下になります。

体制作りのポイント
複数の目での観察
定期的なチェック
情報共有の仕組み
迅速な対応準備

担任だけでなく、学年の教師や養護教諭、スクールカウンセラーなど、複数の大人が連携して子どもたちを見守ります。月に一度は関係者が集まって情報を共有し、気になる変化があれば迅速に対応できるような体制を作ります。

いじめがないか確認する先生

クラス内ルールの確立

いじめを防ぐためのクラスルールを子どもたちと一緒に作り、みんなで守っていく仕組みを整えます。子どもたち自身が参加することで、より効果的なルール作りができます。

ルール作りのポイントは以下になります。

ルール作成方法
子どもたちと話し合い
具体的な行動指針
みんなでの合意
定期的な見直し

ルールは大人が一方的に決めるのではなく、子どもたちと十分に話し合って作ります。「お互いを大切にする」「困っている人を助ける」など、分かりやすい言葉で表現し、具体的な行動例も示します。定期的にルールの効果を確認し、必要に応じて見直していきます。

コミュニケーション改善

子どもたちのコミュニケーション能力を向上させることで、誤解や対立を減らし、いじめの予防につなげます。日頃の関わり方から改善していくことが大切です。

コミュニケーション改善の方法は以下になります。

改善のアプローチ
感情表現の練習
相手の立場理解

朝の会やホームルームの時間を使って、気持ちを言葉で伝える練習や、相手の気持ちを考える活動を行います。ロールプレイやゲームを通じて楽しく学べるように工夫します。子どもたちが自分の気持ちを適切に表現し、相手の気持ちも理解できるようになることで、トラブルを未然に防げます。

教師が注意すべきポイント

いじめ対応において、教師の判断や行動が解決の鍵を握ります。適切な対応を行うために、注意すべきポイントを理解しておくことが重要です。

一人で抱え込まない

いじめ問題は複雑で、一人の教師だけで解決するのは困難です。チーム一丸となって取り組むことで、より効果的な対応ができるようになります。

チーム対応のポイントは以下になります。

連携のポイント
管理職への報告
同僚との情報共有
専門家への相談
保護者との連携

いじめの情報をキャッチしたら、すぐに学年主任や管理職に報告します。一人で判断せず、複数の目で状況を確認し、最適な対応策を検討します。スクールカウンセラーや養護教諭など、専門的な知識を持つ人の助言も積極的に求めます。

証拠の記録と保管

いじめ対応では、正確な事実の把握が重要です。証拠や記録をしっかりと残すことで、適切な指導や説明ができるようになります。

記録のポイントは以下になります。

記録の内容
日時と場所
関係者の名前
具体的な行動
対応の経過

いじめの情報を得たら、その日のうちに詳しく記録を取ります。いつ、どこで、誰が、何をしたかを具体的に書き留めます。子どもたちとの面談の内容や、保護者との相談内容も正確に記録し、安全な場所に保管します。

専門機関との連携

学校だけでは対応が困難な場合は、外部の専門機関との連携が必要です。適切なタイミングで外部の力を借りることで、問題解決が早まります。

連携する機関は以下になります。

連携先一覧
教育委員会
児童相談所
警察機関
医療機関

いじめが深刻化した場合や、犯罪に関わるような行為があった場合は、迷わず専門機関に相談します。早めの相談が、子どもたちを守ることにつながります。連携することで恥ずかしいことではなく、子どもたちのための適切な判断です。

まとめ

いじめ問題の解決は決して簡単ではありませんが、主犯格の存在を理解し、適切な対処を行うことで必ず改善への道は開けます。大切なのは、表面的な問題にとらわれることなく、いじめの根本的な構造を見抜き、関係するすべての子どもたちに適切な支援を提供することです。

一人の大人だけでは解決困難な問題も、教師、保護者、専門機関が連携することで、子どもたちを守り、健全な成長を支えることができます。子どもたちの小さな変化に気づき、早期に対応することで、深刻化を防ぐことが可能です。

最も重要なことは、子どもたちが安心して学校生活を送れる環境を作ることです。すべての子どもたちが笑顔で過ごせる学校を目指して、私たち大人が力を合わせて取り組んでいきましょう。

相談をご希望の方へ

いじめ撲滅委員会では、全国の小~高校生・保護者のかた、先生方にカウンセリングや教育相談を行っています。カウンセラーの栗本は、「いじめ」をテーマに研究を続けており、もうすぐで10年になろうとしています。

・いじめにあって苦しい
・いじめの記憶が辛い
・学校が動いてくれない
・子供がいじめにあっている

など、いじめについてお困りのことがありましたらご相談ください。詳しくは以下の看板からお待ちしています。

いじめ,カウンセリング


助け合い掲示板

コメントを残す

教職員の方はこちら
栗本の出版物
教職員の方向け,毎月のいじめ対策
スクールカウンセラーの方はこちら
LINEいじめの影響と対策
講義・講演会の様子

日本からいじめをなくそう