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いじめ問題で担任・教頭と連携する時の注意点

いじめ撲滅

~ スクールカウンセラーの方はこちら ~ いじめ問題で担任・教頭と連携する時の注意点と信頼関係の築き方

はじめまして!いじめ撲滅委員会代表、公認心理師の栗本顕です。私の専門は「いじめ」です。心理学の大学院で研究もしてきました。

いじめ撲滅委員会代表栗本顕

現在はいじめの問題を撲滅するべく、研修やカウンセリング活動を行っています。

今回のテーマは「いじめ問題で担任・教頭と連携する時の注意点と信頼関係の築き方」です。

スクールカウンセラーとして、いじめ問題に向き合う時、一人で対応しようとしていませんか。担任の先生や教頭先生との連携がうまくいかず、悩んでいる方も多いでしょう。組織として動くことで、子どもたちを守ることができます。

目次は以下の通りです。

① いじめ対応は組織で
② 担任との関係作り
③ 情報共有の具体的方法
④ 教頭への相談方法
⑤ 連携時の注意点
⑥ 保護者対応での連携

本記事では、学校現場での効果的な連携方法について、具体的に解説していきます。ぜひ最後までご一読ください。

いじめ対応は組織で

いじめ問題は、一人の先生やカウンセラーだけで対応できるものではありません。担任の先生が一人で判断してしまうと、対応を誤ってしまう危険性があります。子どもの様子を「いつも見ているから大丈夫」という思い込みが、重大な見落としにつながることもあるのです。

文部科学省の方針でも、学校全体で組織的に対応することが求められています。学校には「いじめ対策組織」という仕組みがあり、校長先生、教頭先生、生徒指導の先生、学年主任、そしてスクールカウンセラーなどが集まって対応を考えます。

スクールカウンセラーは、この組織の中で心の専門家としての役割を担います。子どもの心の状態を見立て、教員とは違う視点から意見を伝えることが大切です。外部の専門家だからこそ、客観的に状況を見ることができます。

いじめ,担任,教頭先生の連携

担任との関係作り

組織対応が大切だとわかっても、まずは日々の関係作りが必要です。ここでは、担任の先生との信頼関係を築く方法をお伝えします。

日常的な接点を増やす

担任の先生と良い関係を作るには、まず顔を合わせる機会を増やすことが大切です。特別な用事がなくても、積極的に声をかけましょう。

朝、学校に着いたら職員室で挨拶をしてまわることから始めます。

「おはようございます」
「今日もよろしくお願いします」


という一言が、関係作りの第一歩になります。休み時間には廊下や教室の近くを歩いて、先生たちと雑談する時間を持ちましょう。

いじめに関する資料やリーフレットを配ることも効果的です。「こんな情報がありましたので」と渡すだけで、あなたの専門性を知ってもらえます。また、校内で「心の健康会議」のような場を提案することも良い方法です。

専門性を理解してもらう

関係ができてきたら、次はあなたの専門性を正しく理解してもらうことが必要です。教員とカウンセラーの違いを丁寧に説明しましょう。

教員は子どもたちを「指導する」立場です。一方、スクールカウンセラーは子どもの心に「寄り添う」ことが仕事です。この違いを説明することで、役割分担がスムーズになります。

「先生が注意や指導をしてくださった後、私が心のケアをします」

という形を示すとわかりやすいでしょう。

また、心理学の知識を使って子どもを理解することや、発達の特性を見立てることができることも伝えます。難しい専門用語は使わず、「子どもの気持ちを言葉にするお手伝いができます」と説明すると良いでしょう。

情報共有の具体的方法

良い関係ができたら、次は実際の情報共有の方法を知る必要があります。ここでは、どんな情報を、いつ、どのように共有するかを説明します。

報告すべき内容

いじめに関する情報を得たら、すぐに報告することが基本です。しかし、何を報告すればよいのか迷うこともあるでしょう。判断の基準を知っておくことが大切です。

報告すべき内容は以下になります。

子どもの様子の変化
いじめを疑う発言
保護者からの相談
身体的な傷の発見
急な欠席の増加

たとえ「これくらいは大丈夫」と思うことでも、報告しておくことが重要です。小さなサインが重大な問題につながることがあります。また、記録に残す情報も意識しましょう。日付、時間、誰から聞いたか、具体的な内容などを書き留めます。

緊急性の判断も必要です。命に関わる発言があった場合や、暴力を受けた場合は、すぐに管理職に報告します。一人で判断せず、複数の目で確認することが子どもの安全を守ることにつながります。

共有のタイミング

情報共有は、タイミングが大切です。早すぎても遅すぎても、適切な対応ができなくなってしまいます。状況に応じた判断が求められます。

いじめの疑いを持った初期段階で、担任の先生に伝えることから始めます。「気になることがあるのですが」という切り出し方で、まずは情報を共有しましょう。この時点では、決めつけずに「可能性がある」という伝え方をします。

定期的な情報交換の場を設けることも効果的です。週に一度、10分程度でも良いので、気になる子どもについて話し合う時間を持ちましょう。継続的に見守ることで、変化に気づきやすくなります。

スクールカウンセラー,報告すべき内容

教頭への相談方法

担任の先生だけでなく、教頭先生との連携も重要です。ここでは、管理職である教頭先生にどのように相談するかを解説します。

管理職の役割を知る

教頭先生の役割を理解することが、適切な相談につながります。管理職は学校全体を見る立場なので、組織的な判断ができる存在です。

教頭先生は、学校運営の責任者の一人として、いじめ問題に対して組織的に対応する権限を持っています。担任の先生だけでは判断が難しい場合や、複数の学年にまたがる問題の時には、教頭先生の判断が必要になります。

また、保護者対応の調整も教頭先生の重要な役割です。保護者からの強い要望があった時や、クレームが来た時には、教頭先生が窓口となって対応します。あなたが保護者対応で困った時も、教頭先生に相談することで解決の糸口が見つかることがあります。

相談の進め方

教頭先生に相談する時は、担任の先生との関係を配慮することが大切です。担任を飛び越えていきなり相談すると、信頼関係が崩れてしまうことがあります。

基本的には、まず担任の先生に伝えてから、一緒に教頭先生に報告する流れが理想的です。「担任の先生と相談して、教頭先生にもお伝えしたいと思います」という形を取ると、みんなが納得できます。

連携時の注意点

連携を進める中で、気をつけなければならないこともあります。ここでは、避けるべき対応と守るべき原則について説明します。

避けるべき対応

連携がうまくいかなくなる原因として、いくつかの避けるべき対応があります。これらを知っておくことで、トラブルを防ぐことができます。

避けるべき対応は以下になります。

一人で抱え込む
教員を批判する
専門用語を多用
子どもの秘密を守る
判断を急ぎすぎる

「自分が何とかしなければ」と一人で抱え込むことは、最も危険です。必ず報告し、チームで対応しましょう。また、「先生の対応が悪い」というような教員批判と受け取られる言動は、関係を壊してしまいます。

難しい心理学の言葉を使いすぎると、教員との意思疎通がうまくいきません。誰にでもわかる言葉で説明することを心がけましょう。子どもから「誰にも言わないで」と言われても、いじめに関しては必ず報告が必要です。その理由を子どもに丁寧に説明します。

守るべき原則

連携する上で、必ず守らなければならない原則があります。これらの原則を忘れずに、日々の業務に取り組みましょう。

守るべき原則は以下になります。

被害者を最優先
守秘義務の範囲
中立的立場を保つ
記録を残す習慣
専門性を活かす

いじめ対応で最も大切なのは、被害を受けた子どもの安全と心のケアです。これを最優先に考えて行動しましょう。守秘義務については、子どもの安全に関わることは共有が必要だと理解しておきます。

スクールカウンセラーは、どちらの味方でもなく、子どものための中立的な立場です。この立場を守ることで、信頼される存在になれます。また、すべての面談や相談内容は記録に残す習慣をつけましょう。

後で確認する時に役立ちます。あなたの専門性を活かして、心理面からのサポートを提供することが、チームの中での役割です。

保護者対応での連携

いじめ問題では、保護者との関わりも重要です。ここでは、保護者対応の場面で、担任や教頭とどう連携するかを説明します。

面談への同席

保護者との面談に同席する時は、事前に担任の先生と役割分担を確認しておくことが大切です。誰が何を話すか決めておくと、スムーズに進みます。

面談では、担任の先生が学校での様子や今後の対応について説明します。あなたは心理的な支援について話す役割です。「お子さんの心のケアについては、私が担当させていただきます」と伝えると、保護者も安心します。

家庭との協力体制

いじめの解決には、学校と家庭の協力が欠かせません。保護者から家庭での様子を教えてもらうことで、子どもの全体像が見えてきます。

情報提供の依頼は、保護者に負担をかけない形で行います。

家で何か変わった様子があれば教えてください
お子さんが話してくれたことがあれば共有してください」

と、できる範囲でお願いしましょう。

保護者の不安に対しては、丁寧に対応することが大切です。「学校は何もしてくれない」という不信感を持たせないよう、学校全体で取り組んでいることを具体的に説明します。担任の先生、教頭先生、そしてあなたが協力して子どもを守る姿勢を示しましょう。

いじめ対応,保護者との連携

まとめ

いじめ問題に向き合う時、一人で抱え込んでいませんか。担任の先生や教頭先生との連携は、子どもたちを守るために欠かせないものです。

組織として動くこと、日々の関係作り、適切な情報共有、そして保護者との協力体制。これらすべてが、いじめから子どもを守る力になります。あなたの専門性を活かしながら、チームの一員として動くことで、より良い支援ができるはずです。

明日からできることがあります。まずは、担任の先生に笑顔で挨拶をすることから始めてみましょう。小さな一歩が、大きな信頼関係につながります。子どもたちが安心して学校生活を送れるよう、一緒に頑張りましょう。あなたの存在が、必ず子どもたちの希望になります。

相談をご希望の方へ

いじめ撲滅委員会では、全国の小~高校生・保護者のかた、先生方にカウンセリングや教育相談を行っています。カウンセラーの栗本は、「いじめ」をテーマに研究を続けており、もうすぐで10年になろうとしています。

・いじめにあって苦しい
・いじめの記憶が辛い
・学校が動いてくれない
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など、いじめについてお困りのことがありましたらご相談ください。詳しくは以下の看板からお待ちしています。

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