~ スクールカウンセラーの方はこちら ~ スクールカウンセラーのいじめ相談初期対応
はじめまして!いじめ撲滅委員会代表、公認心理師の栗本顕です。私の専門は「いじめ」です。心理学の大学院で研究もしてきました。現在はいじめの問題を撲滅するべく、研修やカウンセリング活動を行っています。
今回のテーマは「スクールカウンセラーのいじめ相談初期対応」です。
いじめの相談を受けた時、どのように対応すればよいのか迷うことはありませんか。初めての相談では、何を聞けばよいのか、どこまで話を聞くべきなのか、誰に報告するべきなのか、判断に悩むことも多いでしょう。
初期対応を誤ると、子どもや保護者との信頼関係が崩れてしまい、その後の支援が難しくなることもあります。
目次は以下の通りです。
① いじめ相談を受けた時の基本姿勢
② 初回面接で聞くべき内容
③ 情報を正確に記録する方法
④ 被害児童への心理的支援
⑤ 加害児童への対応の考え方
⑥ アセスメントの実施手順
⑦ 支援計画の立案
⑧ よくある初期対応の失敗
本記事では、スクールカウンセラーがいじめ相談を受けた際の初期対応について、具体的な手順と注意点を解説していきます。実践的な内容をお伝えしますので、ぜひ最後までご一読ください。
いじめ相談を受けた時の基本姿勢
いじめ相談の初期対応では、まず相談者が安心して話せる環境を整えることが何より大切です。相談に来た子どもや保護者は、不安や恐怖を抱えています。あなたの態度や言葉が、その後の信頼関係を左右します。
ここでは、相談を受ける際の基本的な姿勢について説明します。
相談者を安心させる環境づくり
相談室は静かで落ち着いた場所を選びましょう。他の人に話が聞こえない個室が理想的です。入口に相談中の札をかけるなど、プライバシーを守る工夫をします。
椅子の配置も大切で、向かい合うよりも少し斜めに座ると、相談者の緊張がほぐれやすくなります。
机の上には時計を置いて、面接の時間を共有できるようにしましょう。部屋の温度や明るさにも気を配り、相談者がリラックスできる空間を作ります。 環境づくりで大切なポイントは以下になります。
静かな個室
札で守秘
斜め配置
時計を設置
快適な空間
これらの環境が整うことで、相談者はここなら話しても大丈夫だと感じることができます。環境づくりは、信頼関係の第一歩なのです。
傾聴と共感を示す態度
相談者の話を最後まで聞くことが、何より重要です。途中で意見を挟んだり、話を遮ったりしないよう注意しましょう。うなずきやあいづちで、あなたの話をしっかり聞いていますという姿勢を示します。
相談者の気持ちに寄り添い、それは辛かったですねといった共感の言葉をかけます。
ただし、安易に大丈夫とは言わないようにしましょう。相談者の苦しみを軽く見ているように感じられてしまいます。目線の高さを合わせ、穏やかな表情で接することも大切です。 傾聴と共感で心がけることは以下になります。
最後まで聞く
適切なあいづち
共感の言葉
安易な励まし禁止
穏やかな姿勢
傾聴と共感の姿勢は、相談者の心を開く鍵となります。この姿勢があってこそ、深い話を聞くことができるのです。
守秘義務の説明と限界
相談の最初に、守秘義務について説明しましょう。ここで話したことは、基本的に他の人には話しませんと伝えます。ただし、命に関わる危険がある場合や、いじめが深刻な場合は、学校や関係機関と情報を共有する必要があることも説明します。
この時、あなたを守るために必要な人にだけ伝えますと付け加えると、相談者は安心できます。情報共有する際は、必ず相談者に事前に伝え、どこまで話すかを一緒に考えましょう。
守秘義務の説明で伝えるべき内容は以下になります。
秘密は守る
例外の説明
本人の保護
事前の同意
信頼の維持
守秘義務とその限界を丁寧に説明することで、相談者は安心して本当のことを話せるようになります。
初回面接で聞くべき内容
初回面接では、いじめの状況を正確に把握することが重要です。ただし、根掘り葉掘り聞くのではなく、相談者のペースを大切にしながら必要な情報を集めます。
ここでは、初回面接で確認すべき具体的な内容について説明します。
いじめの具体的な状況
いじめの内容を具体的に聞き取りましょう。どんなことをされたのかを、できるだけ詳しく教えてもらいます。言葉によるいじめなのか、身体的な暴力なのか、無視や仲間外れなのか、種類を明確にします。誰が、どこで、何をしたのかを聞きます。複数の加害者がいる場合は、それぞれの役割も確認しましょう。
ただし、相談者が話したくない部分を無理に聞き出す必要はありません。話したくなったらその時に教えてくださいと伝え、相談者の気持ちを尊重します。
話しながら涙が出てきたら、ティッシュを渡して休憩を取りましょう。 いじめの状況で確認する項目は以下になります。
いじめの種類
加害者の特定
発生場所
具体的な行為
複数の役割
具体的な状況を把握することで、適切な対応方法を考えることができます。焦らず、丁寧に聞き取りましょう。
発生時期と頻度の確認
いじめがいつから始まったのかを確認します。最初に気づいたのはいつですかと尋ねましょう。また、どのくらいの頻度で起きているのかも重要です。毎日なのか、週に数回なのか、月に一度程度なのかを聞きます。頻度が高いほど、被害者の心理的ダメージは大きくなります。
最近エスカレートしているかどうかも確認しましょう。時期や頻度を把握することで、いじめの深刻さを判断する材料になります。カレンダーや日記があれば、それを参考にすると正確な情報が得られます。
時期と頻度で確認する内容は以下になります。
開始時期
発生の頻度
悪化の有無
具体的な日時
継続期間
時期と頻度を知ることで、いじめの深刻度を正確に判断できます。記録があればより正確な情報が得られます。
子どもの心身の変化
いじめによって、子どもにどんな変化が起きているかを確認しましょう。身体面では、頭痛や腹痛、食欲不振、不眠などの症状がないか聞きます。
心理面では、元気がない、泣くことが増えた、イライラしやすくなったなどの変化を確認します。学校生活では、遅刻や欠席が増えていないか、成績が下がっていないかも重要な情報です。
友人関係の変化や、部活動への参加状況なども聞きましょう。これらの変化は、いじめの影響の大きさを示す重要なサインです。
保護者から聞く場合は、家庭での様子も詳しく教えてもらいます。 子どもに現れる変化は以下になります。
身体の症状
心理的な変化
学校での変化
友人との変化
家庭での様子
これらの変化を把握することで、子どもが受けているダメージの大きさを理解できます。総合的な支援に繋がります。 情報を正確に記録する方法 面接で得た情報は、必ず記録に残しましょう。
記録は、今後の支援を考える際の重要な資料になります。また、学校や関係機関と情報を共有する際にも必要です。ここでは、正確で役立つ記録の作り方について説明します。
5W1Hでの記録作成
記録は5W1Hを意識して作成しましょう。いつ、どこで、誰が、何を、なぜ、どのようにという形で整理します。例えば4月10日の昼休みに教室でAさんがBさんに悪口を言われたという具合です。
この形式で記録すると、後から読み返した時に状況が明確に理解できます。面接中にメモを取る場合は、相談者に許可を得ましょう。記録を取ってもよいですかと一言添えます。 5W1Hの記録項目は以下になります。
いつ
どこで
誰が
何を
なぜ
どのように
5W1Hで記録することで、誰が読んでも状況が理解できる記録になります。正確な記録が支援の基礎となります。
客観的事実と主観の分離
記録では、事実と意見を分けて書くことが重要です。客観的事実は実際に起きたことをそのまま書きます。主観的な意見は、カウンセラーの解釈や判断です。
記録では、事実を先に書き、その後に所見として自分の考えを記載します。相談者の言葉は、できるだけそのまま記録しましょう。
鍵括弧を使って記録します。後から読み返した時に、何が事実で何が解釈なのかが明確に分かる記録を心がけます。 記録で分けて書くべき内容は以下になります。
客観的事実
相談者の言葉
所見
解釈や見立て
今後の方針
事実と主観を分けて記録することで、正確で信頼できる記録になります。他者との情報共有もスムーズです。
記録の保管と管理
記録は厳重に管理しましょう。個人情報が含まれているため、他人の目に触れない場所に保管します。鍵付きの書庫やファイルに入れて管理します。電子データの場合は、パスワードを設定し、アクセス権限を制限しましょう。記録の保管期間については、学校や自治体の規定に従います。
一般的には、卒業後数年間は保管することが推奨されています。記録を廃棄する際は、シュレッダーにかけるなど、情報が漏れないよう注意します。
記録の閲覧は、支援に関わる必要最小限の人に限定し、閲覧記録も残しておくとよいでしょう。 記録の管理で注意すべき点は以下になります。
鍵付き保管
アクセス制限
保管期間順守
安全な廃棄
閲覧者の限定
記録を適切に管理することで、個人情報を守り、信頼される支援者でいられます。管理は責任の証です。
被害児童への心理的支援
いじめを受けた子どもは、深く傷ついています。心理的なダメージは目に見えないため、周囲が理解しにくいこともあります。しかし、適切な支援をすることで、子どもの心は回復していきます。
ここでは、被害児童への具体的な心理的支援について説明します。
心的外傷への理解
いじめは心に大きな傷を残します。これを心的外傷と呼びます。被害を受けた子どもは、恐怖や不安を強く感じています。学校に行くだけで動悸がしたり、加害者の顔を思い出すだけで震えたりすることもあります。
悪夢を見る、集中できない、些細なことでびくっとするなどの症状が現れることもあります。
これらは、決して弱さではなく、心が受けた傷の反応です。カウンセラーは、これらの症状が自然な反応であることを伝え、子どもを安心させましょう。
あなたが悪いのではないと繰り返し伝えることが大切です。 心的外傷の主な症状は以下になります。
強い恐怖感
フラッシュバック
睡眠障害
集中力の低下
過度な警戒心
心的外傷を理解することで、子どもの反応を受け止め、適切な支援ができます。理解が回復の第一歩です。
安全感を取り戻す関わり
被害を受けた子どもは、安全を感じられなくなっています。まずはここは安全な場所という感覚を取り戻すことが大切です。定期的に会う時間を設定し、あなたの味方がいるというメッセージを伝え続けましょう。
相談室は、子どもにとって安心できる居場所になります。学校で不安を感じた時に、いつでも来られる場所があることを伝えます。また、いじめが繰り返されないよう、学校全体で見守る体制を作ることも重要です。
担任や他の教職員と連携し、子どもを守る環境を整えます。子どもが守られていると実感できることが、回復への大きな力になります。 安全感を取り戻すための関わりは以下になります。
定期的な面談
安心の居場所
頼れる存在
学校の見守り
守られる実感
安全感を取り戻すことで、子どもは少しずつ前を向けるようになります。安心が回復の土台です。
自尊感情を守る対応
いじめを受けた子どもは、自分を責めてしまうことがあります。自分が悪いからいじめられるんだと考えてしまうのです。カウンセラーは、あなたは悪くないことを繰り返し伝えましょう。
いじめは決して被害者に原因があるわけではありません。子どもの良いところを見つけて、積極的に伝えることも大切です。よく頑張っているねといった言葉をかけます。
小さな変化や成長を認め、褒めることで、自尊感情が少しずつ回復していきます。子どもが自分の価値を感じられるような関わりを心がけましょう。 自尊感情を守る言葉かけは以下になります。
悪くない
よく話した
頑張りを認める
良い点を伝える
成長を褒める
自尊感情を守ることで、子どもは自分を大切に思えるようになります。自己肯定感が回復の力になります。
加害児童への対応の考え方
いじめへの対応では、被害児童への支援が最優先です。しかし、加害児童への対応も、再発防止のために重要です。ここでは、スクールカウンセラーとして加害児童にどう関わるべきかを説明します。
背景要因の理解
加害児童にも、いじめをしてしまう背景があります。家庭で虐待を受けている、学校でストレスを抱えている、友人関係で悩んでいるなど、様々な要因が考えられます。
カウンセラーは、行為を肯定するのではなく、その背景を理解しようとします。なぜそんなことをしたのかを、責めずに聞いてみましょう。子ども自身も、自分の行動を振り返る機会が必要です。
ただし、背景があるからといって、いじめが許されるわけではありません。あなたのしたことは間違っていると明確に伝えた上で、なぜそうしてしまったのかを一緒に考えます。 背景要因として考えられるものは以下になります。
家庭環境
学校ストレス
友人の悩み
低い自己肯定感
感情の課題
背景を理解することで、再発防止に向けた適切な支援が可能になります。理解と指導は両立します。
指導との役割分担
加害児童への対応では、教員の指導とカウンセラーの支援の役割を分ける必要があります。教員は、いじめが悪いことであることを教え、反省を促す指導を行います。
一方、カウンセラーは、加害児童の心のケアや、なぜいじめをしてしまうのかという背景の理解を担当します。カウンセラーが指導者の役割も兼ねると、子どもが心を開きにくくなります。
教員としっかり連携を取りながら、それぞれの役割を果たすことが大切です。定期的に情報を共有し、一貫した対応を心がけましょう。
役割分担が明確だと、より効果的な支援ができます。 役割分担の内容は以下になります。
教員が指導
心理支援担当
情報の共有
一貫した対応
チーム取組み
役割を分けることで、加害児童への対応がより効果的になります。連携が成功の鍵です。
再発防止への関わり
加害児童が再びいじめをしないよう、継続的な関わりが必要です。定期的に面談を行い、学校生活の様子を聞きましょう。最近困っていることはないかと声をかけます。
加害児童が適切な行動を取れた時は、それを認めて褒めることも大切です。最近優しい言葉をかけていたねといった具体的な言葉で伝えます。
感情のコントロール方法や、適切なコミュニケーションの取り方を教えることも有効です。ロールプレイを使って、相手の気持ちを考える練習をするのもよいでしょう。
加害児童も、支援が必要な子どもであることを忘れないでください。 再発防止のための関わりは以下になります。
継続的な面談
行動の強化
感情の指導
練習の機会
継続の見守り
再発防止への関わりは、加害児童の成長を支えます。支援が未来のいじめを防ぎます。
アセスメントの実施手順
いじめへの効果的な支援には、正確なアセスメントが必要です。子どもの状態を多面的に理解することで、適切な支援方法が見えてきます。ここでは、アセスメントの具体的な手順について説明します。
多面的な情報収集
アセスメントでは、様々な角度から情報を集めます。子ども本人からの聞き取りはもちろん、保護者、担任、他の教職員からも情報を得ましょう。
それぞれの立場から見た子どもの様子を聞くことで、より正確な理解ができます。子どもの過去の記録も参考にします。友人関係の変化や、部活動での様子なども重要な情報です。
また、学校での観察も大切です。休み時間や給食時間、授業中の様子を実際に見に行くこともあります。多面的な情報を集めることで、子どもの全体像が見えてきます。
情報収集の方法は以下になります。
本人への聞き取り
保護者からの情報
教職員からの情報
過去の記録確認
実際の観察
多面的な情報収集により、正確なアセスメントができます。情報が支援の質を高めます。
心理検査の活用
必要に応じて、心理検査を実施します。心理検査は、子どもの心の状態を客観的に把握する道具です。よく使われるのは、抑うつや不安の程度を測る質問紙検査です。発達の特性を調べる検査や、知能検査が必要な場合もあります。
検査を実施する際は、必ず子どもと保護者に目的を説明し、同意を得ましょう。あなたのことをもっとよく理解して良い支援をするための検査ですと伝えます。
検査結果は、子どもと保護者にも分かりやすく説明します。検査結果だけで判断せず、他の情報と合わせて総合的に見立てることが大切です。
心理検査で分かることは以下になります。
抑うつの程度
不安の強さ
発達の特性
ストレス状態
認知の特徴
心理検査を活用することで、より深い理解ができます。客観的な情報が支援を支えます。
見立ての言語化
集めた情報を基に、子どもの状態を言語化します。これを見立てと呼びます。見立てでは、子どもが今どんな状態にあるのか、何に困っているのか、どんな支援が必要なのかを整理します。
例えば継続的ないじめによって強い不安と抑うつ状態にあり、安全な環境の確保と心理的な安定を図る支援が必要といった具合です。見立ては、教職員にも分かりやすい言葉で伝えましょう。
専門用語ばかりでは、理解してもらえません。見立てを共有することで、チーム全体が同じ方向を向いて支援できます。
見立てに含める内容は以下になります。
現在の心理状態
困っている内容
背景要因
必要な支援
今後の見通し
見立てを言語化することで、支援の方向性が明確になります。共有が協力を生みます。
支援計画の立案
アセスメントが終わったら、具体的な支援計画を立てます。計画があることで、チーム全体が同じ目標に向かって動けます。ここでは、効果的な支援計画の作り方について説明します。
短期目標と長期目標の設定
支援計画では、短期目標と長期目標を分けて設定します。短期目標は、1から2ヶ月程度で達成できる目標です。例えば毎日学校に登校できるといった内容です。長期目標は、半年から1年かけて目指す目標です。友達と楽しく過ごせるといった内容になります。
目標は、子ども本人や保護者とも相談しながら決めましょう。あなたはこれからどうなりたいですかと子どもの希望を聞きます。現実的で、達成可能な目標を設定することが大切です。高すぎる目標は、子どもを追い詰めてしまいます。
目標設定のポイントは以下になります。
短期目標の明確化
長期目標の設定
本人の希望尊重
現実的な内容
達成可能な計画
目標を設定することで、支援の方向性が見えます。目標が希望を生みます。
役割分担の明確化
支援計画では、誰が何をするのかを明確にします。カウンセラーは週1回の面談を担当、担任は毎日の声かけと見守りを担当、養護教諭は保健室での休養対応を担当といった具合です。
それぞれの役割を書き出し、チーム全体で共有しましょう。役割が重複しないよう、また誰も担当しない部分が出ないよう注意します。保護者にも役割をお願いします。
家庭での様子を観察すること、変化があれば連絡することなどです。役割分担を明確にすることで、誰かがやるだろうという無責任な状況を防げます。定期的に役割の確認と見直しを行いましょう。
役割分担の例は以下になります。
カウンセラーの面談
担任の日常見守り
養護教諭の健康管理
管理職の全体統括
保護者の家庭観察
役割を明確にすることで、効率的な支援ができます。分担がチームを機能させます。
進捗確認の仕組み
支援計画を立てたら、定期的に進捗を確認する仕組みを作りましょう。月に1回程度、チームで集まって状況を報告し合います。子どもの様子はどうか、計画通りに進んでいるか、新たな問題は出ていないかなどを話し合います。
うまくいっている部分は継続し、うまくいっていない部分は方法を変えます。柔軟に計画を修正することが大切です。進捗確認の記録も残しましょう。
いつ、誰が集まって、何を話し合い、どんな決定をしたのかを記録します。この記録が、今後の支援の参考になります。また、保護者にも定期的に状況を報告し、協力を続けてもらいます。
進捗確認で話し合う内容は以下になります。
子どもの変化
計画の実施状況
新たな課題
方法の修正
今後の方針
進捗を確認することで、支援の質が保たれます。振り返りが成功への道です。
よくある初期対応の失敗
いじめ相談の初期対応では、よくある失敗パターンがあります。これらを知っておくことで、同じ失敗を避けることができます。ここでは、実際によく見られる失敗例を紹介します。
一人で抱え込む危険性
カウンセラーが一人で問題を抱え込んでしまうことは、よくある失敗です。自分が何とかしなければと考えてしまうのです。しかし、いじめ問題は一人では解決できません。学校全体で取り組むべき問題です。
一人で抱え込むと、情報が共有されず、適切な対応が遅れます。また、カウンセラー自身が疲弊し、燃え尽きてしまうこともあります。相談を受けたら、必ず管理職や担任に報告しましょう。
守秘義務があるからと報告を躊躇する必要はありません。子どもの安全のための情報共有は、守秘義務違反にはなりません。チームで対応することが、最も効果的な方法です。
一人で抱え込む問題点は以下になります。
情報共有の遅れ
対応の遅延
カウンセラーの疲弊
支援の質低下
孤立した判断
チームで対応することで、より良い支援ができます。協力が力を生みます。
早期の仲直りの問題点
いじめが発覚すると、すぐに加害者と被害者を仲直りさせようとすることがあります。握手して仲直りしましょうという対応です。しかし、これは大きな失敗です。被害者は、加害者への恐怖心を抱いています。無理に仲直りさせられることで、さらに心に傷を負います。
また、表面的に仲直りしても、根本的な解決にはなりません。加害者が反省していない場合、いじめが再発することもあります。まずは、被害者の心のケアを最優先にしましょう。
加害者には、自分のしたことを深く反省させる時間が必要です。仲直りは、両者の心が本当に準備できてから、慎重に進めるべきです。
早期の仲直りの問題は以下になります。
被害者の再トラウマ
表面的な解決
いじめの再発
加害者の無反省
信頼関係の破壊
適切なタイミングでの対応が大切です。焦りが失敗を招きます。
報告を躊躇することのリスク
これくらいのことで報告してもよいのかと迷うことがあります。しかし、報告を躊躇することは危険です。小さないじめが、大きな問題に発展することは珍しくありません。
早期発見、早期対応が、いじめ問題の基本です。迷ったら、必ず報告しましょう。報告した結果、そこまで深刻ではなかったとなっても、それは良い結果です。
報告しなかったために、子どもが命を落とすことになったら、取り返しがつきません。報告することで、学校全体がいじめに対して敏感になり、予防にも繋がります。報告を躊躇せず、情報を共有する文化を作ることが大切です。
報告を躊躇するリスクは以下になります。
問題の深刻化
早期対応の遅れ
重大事態への発展
子どもの孤立
信頼の喪失
迷ったら報告することが、子どもを守ります。躊躇は危険を招きます。
まとめ
いじめ相談の初期対応は、その後の支援の成否を左右する重要な局面です。相談者が安心して話せる環境を作り、傾聴と共感の姿勢で接することが何より大切です。情報を正確に記録し、チーム全体で共有しながら対応しましょう。一人で抱え込まず、学校全体、そして必要に応じて外部機関とも連携することが、子どもを守る力になります。
いじめ問題に完璧な対応はありません。しかし、子どもの安全を最優先に考え、誠実に向き合い続けることが、カウンセラーに求められる姿勢です。迷った時は、必ず誰かに相談してください。
あなた一人で背負う必要はありません。チームの力を信じて、一歩ずつ前に進んでいきましょう。子どもたちの明るい未来のために、今日も一緒に歩んでいきましょう。
相談をご希望の方へ
いじめ撲滅委員会では、全国の小~高校生・保護者のかた、先生方にカウンセリングや教育相談を行っています。カウンセラーの栗本は、「いじめ」をテーマに研究を続けており、もうすぐで10年になろうとしています。
・いじめにあって苦しい
・いじめの記憶が辛い
・学校が動いてくれない
・子供がいじめにあっている
など、いじめについてお困りのことがありましたらご相談ください。詳しくは以下の看板からお待ちしています。