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いじめを生まない学校づくり!校長が実践する対策とは

いじめ撲滅

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はじめまして!いじめ撲滅委員会代表、公認心理師の栗本顕です。私の専門は「いじめ」です。心理学の大学院で研究もしてきました。現在はいじめの問題を撲滅するべく、研修やカウンセリング活動を行っています。

いじめ撲滅委員会代表栗本顕

今回のテーマは「いじめを生まない学校づくり」です。校長先生や教頭先生として、学校全体でいじめを防ぐ仕組みをどう作るか、日々悩んでおられることと思います。子どもたちが安心して学べる環境を作るには、組織的な取り組みが必要です。

目次は以下の通りです。

① いじめ防止法の定義
② 校長の役割
③ 対策組織の作り方
④ 教職員研修の実施
⑤ 早期発見の仕組み
⑥ 学級経営の指導
⑦ 保護者との連携
⑧ 学校基本方針の作成
⑨ 情報共有の徹底
⑩ 常に改善を続ける

この記事では、校長先生が中心となって進める、いじめを生まない学校づくりの具体的な方法について解説していきます。ぜひ最後までご一読ください。

いじめ防止法の定義

いじめ防止対策推進法では、学校が果たすべき責任と、設置すべき組織について明確に定められています。まずは法律の基本を理解することから始めましょう。

学校の法的責任

いじめ防止対策推進法では、いじめを「児童生徒が心身の苦痛を感じているもの」と定義しています。この定義は非常に幅広く、被害を受けた子どもが苦しいと感じたら、それはいじめとして認知する必要があります。学校は、いじめを発見したら速やかに対応する法的な責任を負っています。

校長先生には、学校全体を見渡し、いじめの防止と早期発見に取り組む義務があります。また、いじめが起きた場合には、被害者の安全を最優先に考え、適切な措置を取ることが求められます。

一人の教員が抱え込むのではなく、学校全体で組織的に対応することが法律で定められています。教職員全員が法律の内容を理解し、共通の認識を持つことが大切です。

組織設置の義務

法律では、すべての学校に「いじめ対策組織」を設置することが義務付けられています。いじめ対策組織は、校長先生を中心に複数の教職員で構成されます。心理や福祉の専門家を加えることも推奨されています。

組織の役割は、いじめの防止、早期発見、そして起きてしまった場合の対応です。定期的に会議を開き、学校全体の状況を把握します。また、アンケート結果の分析や、具体的な対応策の検討も行います。

組織が機能することで、担任の先生が一人で抱え込むことを防げます。校長先生のリーダーシップのもと、実効性のある組織運営を心がけましょう。組織は形だけではなく、実際に動く仕組みとして機能させることが重要です。

いじめを生まない学校づくり

校長の役割

校長先生の強いリーダーシップと明確な方針が、いじめ防止の鍵となります。教職員への適切な指示と支援が、学校全体の取り組みを成功に導きます。

リーダーシップ

校長先生は、いじめ防止の最高責任者として、明確なビジョンを示す必要があります。「この学校ではいじめを絶対に許さない」というメッセージを、全校集会や職員会議で繰り返し伝えましょう。言葉だけでなく、実際の行動で示すことが大切です。いじめの情報が入ったら、すぐに対策組織を招集し、具体的な対応を指示します。

保護者への説明も、必要に応じて校長先生自らが行うことで、学校の本気度が伝わります。また、教職員が相談しやすい雰囲気を作ることも重要です。風通しの良い職場環境があれば、情報が早く集まり、対応も速くなります。校長先生の姿勢が、学校全体の文化を作り上げていきます。

教職員への指示

教職員への指示は、具体的で分かりやすいものにしましょう。

「いじめの疑いがあったら、すぐに報告する」
「一人で判断せず、必ず組織で対応する」

といった明確なルールを設定します。いじめ対応マニュアルを作成し、全教職員に配布することも効果的です。

報告を受けたら、すぐに役割分担を指示します。誰が被害者をケアするか、誰が事実確認をするか、誰が保護者に連絡するかを明確にします。また報告してくれた教員を責めることなく、むしろ感謝の言葉を伝えましょう。

そうすることで、次も安心して報告できる環境が生まれます。定期的に対応事例を共有し、教職員全体のスキルアップを図ることも大切です。

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対策組織の作り方

効果的な対策組織を作るには、適切なメンバー選定と、実践的な会議の進め方が重要です。形だけの組織にならないよう、実際に機能する仕組みを整えましょう。

構成メンバー

対策組織の構成メンバーは以下になります。

校長と教頭
生徒指導担当
学年主任
養護教諭
学級担任
必要に応じた専門家

メンバーは学校の規模や状況に応じて柔軟に決めましょう。小規模校では、全教職員が参加することもあります。大規模校では、各学年から代表を選ぶ方法もあります。重要なのは、様々な立場からの情報が集まることです。

外部の専門家として、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカー、場合によっては弁護士や警察OBにも参加してもらうと良いでしょう。専門的な視点からのアドバイスは、対応の質を高めます。ただし、情報管理には十分注意を払い、子どもたちのプライバシーを守ることを最優先にしましょう。

会議の進め方

会議は定期的に開催し、学校全体の状況を共有します。月に1回は必ず実施し、緊急の場合はすぐに招集できる体制を作っておきます。会議では、まず各学年の状況報告から始めます。気になる子どもの様子や、人間関係の変化などを共有しましょう。

次に、アンケート結果や相談内容を分析します。データから見えてくる傾向を話し合い、予防策を考えます。また、過去の対応事例を振り返り改善点を検討することも大切です。会議の内容は必ず記録に残し、次回に引き継げるようにします。

ただし、記録の保管には十分注意し、関係者以外の目に触れないよう管理しましょう。

教職員研修の実施

教職員全員がいじめ対応の知識とスキルを身につけることで、組織全体の対応力が高まります。計画的な研修と実践的な学びの場を設けましょう。

年間計画の立案

教職員研修の年間計画は以下になります。

年間の研修スケジュール
4月:基本方針の確認
6月:事例研究
9月:法律と対応
12月:保護者対応
2月:振り返りと改善

年度始めの4月には、必ず基本方針を全教職員で確認します。新しく赴任した先生もいるため、学校の考え方を共有することが大切です。校長先生自らが説明することで、重要性が伝わります。

夏休みなど、時間が取れる時期には外部講師を招いた研修も効果的です。いじめ問題の専門家や、実際に対応した経験のある校長先生の話は、大きな学びになります。

研修後は、必ず振り返りの時間を設け、自校の課題について話し合いましょう。年度末には1年間の取り組みを評価し、次年度の計画に活かします。

年間のいじめ対策について詳しく知りたい方は下記をご覧ください。

教職員向け‐毎月のいじめ対策一覧

事例研究会

事例研究会は、実際の対応力を高める最も効果的な方法です。過去に起きた事例や、他校の事例を教材として、どう対応すべきかをグループで話し合います。正解は一つではありませんが、様々な視点から考えることで、判断力が磨かれます。

事例を検討する際は、

「なぜそうなったのか」
「どこで防げたのか」
「今後どうすれば良いか」

という視点で分析します。特に、初期対応の重要性について理解を深めましょう。小さなサインを見逃さず、早めに対応することが、重大化を防ぎます。また、うまくいった事例も共有し、良い対応を学び合うことも大切です。教職員同士で学び合う文化を育てていきましょう。

早期発見の仕組み

いじめの早期発見には、定期的なアンケートと、相談しやすい環境づくりが欠かせません。子どもたちが安心して声を上げられる仕組みを整えましょう。

アンケート実施

アンケートは、学期に1回以上実施することが推奨されています。しかし、効果を高めるには、毎月実施する方が良いでしょう。短い期間で定期的に行うことで、子どもたちの心の変化を早く察知できます。アンケートは無記名式が基本です。名前を書かせると、正直に答えられない子どもが出てきます。

アンケートの内容は、いじめの有無だけでなく、

「学校は楽しいか」
「困っていることはないか」

といった心の状態を聞く質問も含めます。回答は必ずその日のうちに確認し、気になる内容があれば、すぐに対策組織で共有します。

アンケート後には、必要に応じて個別面談を実施します。アンケートは実施することが目的ではなく、早期発見につなげることが大切です。

教育相談体制

教育相談の窓口は、担任だけでなく、養護教諭やスクールカウンセラーなど、複数用意しましょう。子どもによって、話しやすい相手は違います。相談窓口が多いほど、声を上げやすくなります。相談があったら、必ず対策組織に報告するルールを作っておきます。

定期的な個別面談も効果的です。全員と話す機会を設けることで、普段は言えないことを話してくれる場合があります。面談では、「最近どう?」といった軽い声かけから始め、子どもが話しやすい雰囲気を作ります。

また、相談内容は慎重に扱い、安易に周囲に漏らさないことが信頼関係の基本です。ただし、命に関わる場合は、すぐに組織で対応する必要があります。

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学級経営の指導

良好な学級の雰囲気は、いじめを防ぐ最も効果的な方法です。担任の先生への適切な助言と支援を通じて、温かい学級づくりを進めましょう。

担任への助言

担任の先生には、日々の観察の重要性を伝えます。休み時間の様子や、グループ活動での人間関係など、細かく見ていくことが大切です。特に、一人でいる子や、表情が暗い子には、積極的に声をかけるよう助言します。また、学級の中で誰かを排除するような雰囲気がないか、常に気を配る必要があります。

学級目標を立てる際は、

「互いを認め合う」
「違いを大切にする」

といった内容を含めるよう提案します。目標は子どもたちと一緒に考え、自分たちで決めたという実感を持たせることが重要です。

また、担任の先生が一人で抱え込まないよう、困ったことがあればすぐに相談できる関係を築いておきましょう。管理職として、日頃から声をかけ、サポートする姿勢を示すことが大切です。

授業改善支援

授業の中で、すべての子どもが活躍できる場を作ることが、いじめ防止につながります。分かりやすい授業を行い、一人ひとりが「できた」という達成感を味わえるようにします。グループ活動では、役割分担を工夫し、誰もが参加できる形を考えましょう。
また、道徳や学級活動の時間を活用し、いじめについて考える機会を設けます。

実際の事例をもとに、「自分だったらどうするか」を話し合わせることで、当事者意識が育ちます。ただし、説教にならないよう注意が必要です。子どもたちが自分で考え、気づくプロセスを大切にしましょう。

授業参観などで実際の様子を見て、具体的なアドバイスをすることも効果的です。

保護者との連携

保護者との信頼関係は、いじめ対応の基盤となります。適切な情報共有と、誠実な対応を心がけることで、学校と家庭が協力し合える関係を築きましょう。

情報共有方法

保護者への情報共有の方法は以下になります。

学校の方針を説明
取り組み内容を報告
相談窓口を周知
定期的な情報発信
保護者会の活用

年度始めの保護者会では、学校のいじめ防止基本方針を必ず説明します。学校がどのような考えで取り組んでいるかを伝えることで、保護者の理解と協力が得られます。学校だよりや学級通信でも、定期的に取り組み内容を発信しましょう。

また、家庭でのチェックポイントを示すことも効果的です。子どもの変化に気づくためのサインを保護者に伝えます。気になることがあれば、すぐに学校に相談してほしいと呼びかけます。

保護者からの相談は、いじめの早期発見につながる貴重な情報源です。相談しやすい雰囲気を作り、学校と家庭が協力し合える関係を築きましょう。

対応時の注意点

いじめの相談を受けたら、まず保護者の話をしっかり聞くことが大切です。途中で遮ったり、学校の言い分を先に述べたりせず、最後まで耳を傾けます。保護者の不安や怒りを受け止め、共感する姿勢を示しましょう。その上で、学校としてどう対応するかを具体的に説明します。

対応の進捗状況は、こまめに報告します。連絡がないと、保護者は「何もしてくれていない」と感じてしまいます。また、被害者の保護者だけでなく加害者の保護者への対応も重要です。

一方的に責めるのではなく、一緒に子どもの成長を考える姿勢で臨みます。どちらの保護者にも、誠実に向き合うことが、問題解決への道となります。

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学校基本方針の作成

学校独自の基本方針を作ることで、いじめ防止の取り組みが明確になります。実効性のある方針を作り、全員に周知することが大切です。

方針の内容

学校基本方針に含める内容は以下になります。

いじめの定義
組織の体制
年間計画
対応の手順
評価の方法

方針には、学校としての考え方を明確に示します。「いじめは絶対に許さない」という強いメッセージを打ち出しましょう。また、具体的な取り組み内容を記載します。

アンケートの実施時期、研修の計画、相談体制など、年間を通じた活動を明示します。

対応の手順も詳しく書いておきます。いじめを発見したら誰に報告するか、どのように対策組織が動くか、保護者にはいつ連絡するかなど流れが分かるようにします。また、年度末には必ず評価を行い、次年度に向けて改善する仕組みも作っておきます。

方針は一度作って終わりではなく、毎年見直して、より良いものにしていくことが大切です。

周知の方法

作成した方針は、教職員、保護者、子どもたちの全員に周知します。教職員には、年度始めの職員会議で詳しく説明し、質疑応答の時間も設けます。一人ひとりが内容を理解し、実践できるようにすることが大切です。方針の冊子を配布し、いつでも確認できるようにしておきましょう。

保護者には、入学説明会や保護者会で説明します。学校のホームページにも掲載し、いつでも見られるようにします。子どもたちには、全校集会や学級の時間を使って、分かりやすく伝えます。

難しい言葉は避け、「困ったときは必ず相談してね」といった、子どもに響く言葉で話しかけましょう。方針が浸透することで、学校全体がいじめ防止に向けて動き出します。

情報共有の徹底

いじめに関する情報は、速やかに組織全体で共有することが重要です。明確なルールと適切な記録管理により、組織的な対応を実現しましょう。

報告ルール

報告のルールは以下になります。

基本的な報告の流れ
発見者は即座に報告
管理職へ直ちに連絡
対策組織を招集
情報を整理し共有
対応方針を決定

いじめの疑いを感じたら、どんなに小さなことでも報告するルールを徹底します。「これくらいなら大丈夫」という判断は、重大化を招く原因になります。報告先は、生徒指導担当や学年主任、管理職など、複数のルートを用意しておきましょう。

報告を受けた人は、必ず管理職に伝えます。そして速やかに対策組織を招集し、情報を共有します。この流れをマニュアル化し、全教職員が理解しておくことが大切です。

また、報告した教員を責めることは絶対にしてはいけません。早めに報告したことを評価し、感謝する文化を作りましょう。情報が集まる学校ほど、早期対応ができます。

記録の保管

いじめに関するすべての記録は、適切に保管する必要があります。アンケート結果、相談内容、対応の経過など、時系列で整理します。記録があることで、後から振り返ることができ、対応の改善にもつながります。また、万が一、保護者から問い合わせがあった際にも、正確に説明できます。

記録の様式を統一し、誰が見ても分かるようにしておきます。ただし、個人情報が含まれるため、保管場所は施錠できる場所にします。関係者以外が見ることのないよう、厳重に管理しましょう。

また、保管期間も定めておきます。卒業後も一定期間は保管し、必要に応じて確認できるようにします。適切な記録管理は、学校の責任を果たすために欠かせません。

常に改善を続ける

いじめ防止の取り組みは、常に改善を続けることが大切です。学校評価を活用し、効果を検証しながら、より良い対策を進めていきましょう。

学校評価の活用

学校評価は、取り組みの効果を確認する重要な機会です。いじめ防止に関する項目を必ず含め、教職員、保護者、子どもたちからアンケートを取ります。

「学校は楽しいか」
「いじめに適切に対応しているか」

といった質問を設定し、数値で把握します。

評価結果は、対策組織で分析します。良かった点は継続し、課題がある部分は改善策を考えます。

特に、認知件数が少ない場合は注意が必要です。実際にいじめがないのか、それとも発見できていないだけなのかを見極めましょう。評価結果は保護者や地域にも公表し、透明性を保ちます。学校の取り組みを理解してもらうことで、協力も得やすくなります。評価を次の改善につなげるサイクルを作りましょう。

改善策の実施

評価で見つかった課題には、具体的な改善策を立てます。例えば、「相談しにくい」という声が多ければ、相談方法を増やす、相談室の環境を整えるなどの対策を考えます。改善策は、必ず実行可能なものにし、担当者と期限を決めます。

改善の取り組みは、定期的に進捗を確認します。計画通り進んでいるか、効果は出ているかをチェックしましょう。うまくいっていない場合は、さらに修正を加えます。

また、成功事例は積極的に共有し、他の取り組みにも活かします。PDCAサイクルを回し続けることで、学校のいじめ対応力は確実に向上します。継続的な改善の姿勢を持ち続けることが、何より大切です。

まとめ

いじめを生まない学校づくりは、校長先生のリーダーシップと、組織的な取り組みによって実現します。法律に基づいた対策組織を作り、教職員全員が共通の認識を持つことが第一歩です。定期的な研修と、早期発見の仕組みを整え、保護者との信頼関係も築いていきましょう。

学校基本方針を明確にし、情報共有のルールを徹底することで、迅速な対応が可能になります。そして、PDCAサイクルを回しながら、常に改善を続けることが大切です。一人ひとりの子どもが安心して学べる環境を作ることは、私たち大人の責任です。
今日から、できることから始めてみましょう。小さな一歩の積み重ねが、いじめのない学校を作り上げていきます。子どもたちの笑顔のために、一緒に頑張りましょう。

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