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いじめ問題で板挟みの校長・教頭対応法

いじめ撲滅

~ 校長,教頭先生はこちら ~ 【いじめ問題】教職員・保護者との板挟み…校長・教頭が取るべき対応

はじめまして!いじめ撲滅委員会代表、公認心理師の栗本顕です。私の専門は「いじめ」です。心理学の大学院で研究もしてきました。現在はいじめの問題を撲滅するべく、研修やカウンセリング活動を行っています。

いじめ撲滅委員会代表栗本顕

今回のテーマは「いじめ問題で教職員と保護者の板挟みになった時にどうするか」です。

いじめが発生したとき、校長・教頭先生は担任教師から「保護者への対応をどうすればいいか」と相談を受け、一方で保護者からは「学校の対応が不十分だ」と強く訴えられます。教職員の立場を守りたいが、保護者の要求にも応えなければならない。この板挟みの状況で、校長・教頭先生として、どのように対応し、問題を解決すべきか、お悩みではありませんか。

目次は以下の通りです。

①板挟みとは何か
②保護者双方の心理
③一人で抱え込まない
④初期対応の手順
⑤被害者保護者への対応
⑥加害者保護者への対応
⑦保護者同士の対立時
⑧学校組織としての動き
⑨法的知識を持つ
⑩専門家との連携
⑪謝罪の場の設定
⑬過度な要求への対処

本記事では、校長・教頭先生が教職員と保護者の板挟みになった時の具体的な対処法と、組織的に問題を解決するための実践的な方法について解説していきます。ぜひ最後までご一読ください。

板挟みとは何か

いじめ問題が起きたとき、校長・教頭先生は教職員と保護者の間で板挟みになることがあります。ここでは、校長・教頭先生が直面する板挟みの状況について理解を深めていきましょう。

教師が直面する状況

板挟みとは、担任教師からは「保護者が感情的で対応が難しい」「どこまで対応すればいいのか」と助けを求められ、保護者からは「担任の対応が遅い」「学校として責任を取ってほしい」と強く訴えられる状況を指します。

校長・教頭先生は、教職員を守り支えたいという思いがある一方で、保護者の不安や怒りにも応えなければなりません。担任教師は精神的に追い詰められており、保護者は学校への不信感を募らせています。

どちらの立場も理解できるからこそ、校長・教頭先生は板挟みになって判断に迷います。教職員には明確な指示が出せず、保護者には待ってほしい、とも言えない状況に陥ります。

感情と立場の狭間

校長・教頭先生は、教職員を守りたいという管理職としての立場と、保護者の要求に応えなければならない学校の責任者としての立場の間で揺れ動きます。担任教師が疲弊している姿を見れば心が痛み、保護者から厳しい言葉を浴びせられれば学校の責任を感じます。

また、教育委員会からは「適切に対応するように」と指示され、教職員組合からは「教員を守るように」と要望されることもあります。保護者は「学校は何をしているのか」と不信感を示し、教職員は「これ以上どうすればいいのか」と限界を訴えます。

この感情と立場の狭間で、校長・教頭先生は孤独を感じ、ストレスを抱え込んでしまいます。

校長先生,教職員と保護者の間で板挟み

保護者双方の心理

保護者双方がどのような心理状態にあるのかを理解することは、適切な対応をするための第一歩です。それぞれの立場から見える景色を知ることで、冷静な対応ができるようになります。

被害者側の思い

被害者の保護者は、我が子が傷ついている姿を見て、強い怒りと悲しみを感じています。

なぜうちの子がこんな目に遭わなければならないのか

という思いでいっぱいです。保護者は、子どもを守れなかった自分を責めている場合もあります。

そして、学校の対応が遅いと感じたり、担任教師の説明が不十分だと感じたりすることがあります。被害者の保護者にとっては、子どもの安全が何よりも優先されるべきことであり、一刻も早く問題を解決してほしいと願っています。

学校への信頼が失われると、「教師は信用できない」「校長先生が直接対応してほしい」と要求が強くなります。

加害者側の思い

加害者の保護者は、自分の子どもが「いじめをした」と言われたことに大きなショックを受けています。多くの保護者は、

「うちの子に限って」
「そんなつもりはなかったはず」

と、事実を受け入れることが難しい状態です。また、子どもの将来への影響を心配し、「いじめ加害者」というレッテルを貼られることを恐れています。中には、「学校の調査方法が一方的だ」「担任が被害者の味方をしている」と学校や教職員への不信感を持つ保護者もいます。

加害者の保護者も、子どもを思う気持ちは被害者の保護者と同じです。ただ、その思いが防衛的な態度として表れ、学校や教職員を責めることがあるのです。

一人で抱え込まない

いじめ問題は、校長・教頭先生一人で解決できるものではありません。組織的な対応と外部との連携が必要です。ここでは、一人で抱え込まないための具体的な方法を見ていきましょう。

管理職への報告

教頭先生がいじめの情報を得たら、すぐに校長先生に報告することが最優先です。また、校長先生も教育委員会に速やかに報告します。報告は口頭だけでなく、書面でも行うことが望ましいです。報告内容には、いつ、どこで、誰が、何をしたのか、という基本的な情報を含めます。

また、保護者からどのような要求があったか、教職員がどのような対応をしたかも詳しく伝えます。教育委員会に報告することで、学校だけでは判断できない問題について指導や助言を受けることができます。

報告を怠ると、後で「なぜ早く報告しなかったのか」と責任を問われることもあります。一人で判断せず、必ず上部組織と連携しながら進めていきましょう。

組織的対応の重要性

いじめ対策推進法では、学校に「いじめ対策組織」を設置することが義務づけられています。この組織には、校長先生、教頭先生、生徒指導担当、学年主任、養護教諭、スクールカウンセラーなどが参加します。

組織的に対応することで、複数の視点から問題を見ることができ、より適切な判断ができます。また、校長・教頭先生や担任教師一人に責任が集中することを防ぎ、精神的な負担を分散させることもできます。

組織的対応では、役割分担を明確にし、誰が保護者対応をするのか、誰が教職員をサポートするのかを決めておくことが重要です。チーム全体で問題に取り組む体制を作ることが、解決の鍵となります。

初期対応の手順

いじめが発覚した直後の対応は、その後の展開を大きく左右します。ここでは、校長・教頭先生が押さえておくべき初期対応の手順を具体的に説明します。

事実確認の進め方

事実確認を進める際の基本的な流れは以下になります。

事実確認の手順
被害者から聞く
加害者から聞く
目撃者から聞く
話を照合する

校長・教頭先生は、担任教師に事実確認を任せるだけでなく、自らも状況を把握することが重要です。被害者、加害者、目撃者それぞれから個別に話を聞くよう、担任教師や生徒指導担当に指示します。

保護者からは「担任の調査は信用できない」と言われることもあるため、校長・教頭先生が直接確認した事実を持つことが大切です。

話を聞く際は、誘導尋問にならないよう注意し、子どもの言葉をそのまま記録します。それぞれの話を照合し、矛盾点がある場合は再度確認します。保護者に説明する際は、客観的な事実を基に説明することで、信頼を得ることができます。

記録の取り方

記録を取る際の重要なポイントは以下になります。

日時と場所
関係者の氏名
具体的な行為
子どもの言葉

記録は、後で保護者に説明したり、重大事態になった場合の調査資料になったりするため、非常に重要です。日時、場所、関係者の氏名、具体的な行為内容を正確に記録します。

特に、保護者との面談内容も詳細に記録しておくことが大切です。保護者がどのような要求をしたか、学校がどのように回答したかを記録します。「たぶん」「思う」などの推測は避け、事実だけを書きます。

記録は、複数の教職員で確認し、情報を共有します。個人情報の管理には十分注意し、関係者以外には見せないようにします。校長・教頭先生は、記録が適切に取られているか確認し、必要に応じて指導します。

被害者保護者への対応

被害者の保護者は、我が子が傷ついたことに対して強い怒りや不安を抱えています。ここでは、校長・教頭先生として被害者保護者に対する適切な対応方法を解説します。

傾聴の姿勢

被害者の保護者と話をする際は、校長・教頭先生が直接対応することが重要です。まず保護者の気持ちを十分に聞くことが大切です。保護者は、「担任の対応が遅かった」「学校は何をしていたのか」という不満を持っていることがあります。その不満をまず受け止めることが、信頼関係を築く第一歩です。

話を遮ったり、教職員を擁護したりせず、最後まで丁寧に聞きます。

「それはお辛かったですね」

「お子さんのことを本当に心配されているのですね」

と、共感の言葉をかけます。

保護者の話を聞くことで、保護者自身も少し落ち着きを取り戻すことができます。焦って言い訳をするのではなく、まずは保護者の思いをしっかりと受け止めましょう。

安全確保の約束

被害者の保護者が最も心配しているのは、子どもの安全です。「これ以上いじめが続かないか」「学校で安心して過ごせるか」という不安を抱えています。校長・教頭先生は、学校として子どもの安全を確保することを明確に約束します。

具体的には、教職員全員で見守りを強化すること、休み時間や放課後の様子を注意深く観察すること、子どもが困ったときにすぐに相談できる体制を作ることなどを伝えます。

また、担任だけでなく、校長・教頭先生も子どもの様子を直接確認することを約束します。保護者からも子どもの様子を教えてもらえるよう、連絡を取り合うことを約束します。口先だけの約束ではなく、実際に行動で示すことが重要です。

加害者保護者への対応

加害者の保護者への対応は、被害者保護者への対応と同じくらい重要です。適切な対応により、加害者の行動変容と再発防止につなげることができます。

冷静な説明方法

加害者の保護者に事実を伝える際は、校長・教頭先生が直接対応し、感情的にならず、冷静に説明することが大切です。「お子さんがいじめをしました」と決めつけるのではなく、

「このような行為があり、相手のお子さんが苦痛を感じています」

と、事実を客観的に伝えます。保護者が「担任が一方的に判断した」と不信感を持たないよう、複数の教職員で調査した結果であることを説明します。

また、学校として公平に調査を行った結果であることを伝え、一方的な判断ではないことを理解してもらいます。保護者が「学校は被害者の味方をしている」と反発する場合も、冷静に対応し、一緒に子どもの成長を考えていく姿勢を示します。校長先生が毅然とした態度で臨むことが重要です。

指導の方向性共有

加害者の保護者には、学校としての指導の方向性を校長・教頭先生が明確に伝えます。いじめは許されない行為であること、しかし子どもの成長のために適切な指導を行うことを説明します。保護者に対して、家庭でも子どもと話をしてもらうよう協力を求めます。

また、子どもがなぜそのような行動を取ったのか、背景にある問題がないかを一緒に考えていく姿勢を示します。子どもを一方的に責めるのではなく、どうすれば同じことを繰り返さないか、建設的な話し合いを心がけます。教職員と保護者が協力することで、子どもの行動変容につながります。「担任だけでなく、学校全体で見守ります」と伝えることで、保護者の不安を和らげることができます。

保護者同士の対立時

被害者と加害者の保護者が直接対立するケースもあります。この状況は、教職員と保護者の板挟みをさらに複雑化させる可能性があります。ここでは、校長・教頭先生として対立が起きた時の対処法を説明します。

第三者の介入

保護者同士が直接話し合うことは、感情的になりやすく、問題がこじれる原因となります。校長・教頭先生は、保護者同士が直接連絡を取り合わないよう、学校を通して連絡を取ることをお願いします。保護者同士の話し合いが必要な場合は、必ず校長・教頭先生が同席します。

担任教師だけに任せると、担任が両方の保護者から責められ、板挟みになってしまいます。教頭先生だけでなく、校長先生も同席することが望ましいです。

また、必要に応じて教育委員会の担当者に同席を依頼することも検討します。第三者が入ることで、感情的な対立を防ぎ、冷静な話し合いができる環境を作ることができます。校長先生が中立的な立場で、話し合いを進行します。

感情的な場面の対処

保護者が感情的になった場合は、まず落ち着くまで待つことが大切です。怒りをぶつけられても、校長・教頭先生は冷静に対応します。

保護者の言葉を否定せず、「お気持ちはよくわかります」と受け止めます。ただし、担任教師や他の教職員に対して暴言や脅しがあった場合は、毅然とした態度で対応します。

「そのような言葉遣いはお控えください」
「教職員への人格攻撃は受け入れられません」

と、はっきりと伝えます。

教職員を守ることも、校長・教頭先生の重要な役割です。どうしても話し合いが困難な場合は、日を改めることも一つの方法です。また、話し合いの内容は必ず記録に残し、複数の教職員で情報を共有します。

学校組織としての動き

いじめ問題は、学校全体で組織的に対応することが法律で定められています。ここでは、校長・教頭先生として学校組織をどのように動かすべきかを解説します。

いじめ対策組織の活用

いじめ対策推進法により、すべての学校には「いじめ対策組織」を設置することが義務づけられています。この組織は、いじめの防止、早期発見、対処を行うための中核となる組織です。

いじめが発生した場合は、校長先生がこの組織を速やかに招集し、情報を共有します。組織のメンバーには、校長先生、教頭先生、生徒指導担当、学年主任、養護教諭、スクールカウンセラーなどが含まれます

組織で対応することで、担任教師一人に負担が集中することを防ぎ、複数の視点から問題を検討できます。また、保護者から「学校として組織的に対応している」ことを示すことができ、信頼を得やすくなります。定期的に会議を開き、学校全体のいじめの状況を把握することも重要です。

役割分担の明確化

組織的に対応する際には、役割分担を明確にすることが重要です。役割分担の例は以下になります。

主な役割分担
被害者対応担当
加害者対応担当
保護者対応担当
記録・報告担当

被害者の対応を誰が行うか、加害者の対応を誰が行うか、保護者との連絡を誰が取るかなど、校長先生が具体的に決めます。特に、保護者対応は校長・教頭先生が主に担当し、担任教師の負担を軽減することが重要です。

また、記録を取る担当、教育委員会への報告を行う担当なども明確にします。役割分担を明確にすることで、対応の漏れを防ぎ、スムーズに問題解決を進めることができます。

定期的に情報を共有し、必要に応じて役割を見直すことも大切です。校長先生が全体を統括し、指示を出します。

法的知識を持つ

いじめ問題に対応する際は、法律に基づいた対応が求められます。ここでは、校長・教頭先生が知っておくべき基本的な法的知識について説明します。

いじめ防止推進法

いじめ防止対策推進法は、2013年に施行された法律です。この法律では、いじめを「児童生徒が心身の苦痛を感じているもの」と定義しています。つまり、被害を受けた子どもが苦痛を感じていれば、それはいじめです。学校には、いじめの防止、早期発見、対処を行う義務があります。

また、いじめを発見した教職員は、速やかに学校の組織に報告しなければなりません。重大事態が発生した場合は、学校や教育委員会が調査を行うことが義務づけられています。

この法律を理解し、法律に基づいた対応を行うことが、校長・教頭先生として必要な知識です。保護者に対しても、法律に基づいて対応していることを説明することで、理解を得やすくなります。

学校の義務と責任

学校には、子どもたちが安全に学校生活を送れるよう配慮する「安全配慮義務」があります。いじめが発生した場合、学校が適切な対応を取らなければ、この義務を怠ったとして責任を問われることがあります。具体的には、いじめの事実確認を速やかに行うこと、被害者を守るための措置を取ること、加害者に対して適切な指導を行うことなどが求められます。

また、保護者への報告も重要な義務です。学校が義務を果たさなかった場合、民事訴訟を起こされる可能性もあります。法的な責任を理解し、適切に対応することが必要です。校長先生は、学校の代表として責任を負います。教職員を守るためにも、法的に適切な対応を取ることが重要です。

専門家との連携

いじめ問題は、教職員だけでは対応が難しいケースもあります。ここでは、校長・教頭先生として専門家との連携について説明します。

SC・SSWの活用

スクールカウンセラー(SC)は、心理の専門家として、子どもや保護者の心のケアを行います。いじめを受けた子どもは、心に深い傷を負っていることがあります。SCは、子どもの心のケアを行い、安心して学校生活を送れるよう支援します。また、保護者の相談にも応じます。

スクールソーシャルワーカー(SSW)は、福祉の専門家として、家庭環境や地域の支援機関との連携を行います。いじめの背景に家庭の問題がある場合、SSWが家庭と学校をつなぐ役割を果たします。

校長・教頭先生は、これらの専門家を積極的に活用し、担任教師だけに負担を集中させない体制を作ります。専門家が入ることで、保護者も「学校は専門的に対応している」と安心することがあります。

外部機関との協力

いじめが深刻な場合は、外部機関との連携も必要です。警察との連携が必要なケースもあります。暴力行為や金品の要求など、犯罪に該当する行為があった場合は、校長先生の判断で警察に相談することを検討します。

また、児童相談所との連携が必要なケースもあります。子どもの安全が確保できない場合や、家庭に問題がある場合は、児童相談所に相談します。教育委員会とも密に連絡を取り、指導や助言を受けます。

外部機関との連携により、学校だけでは対応できない問題にも対処できます。連携する際は、個人情報の取り扱いに注意します。校長先生が判断し、連携を進めます。教職員と保護者の板挟みから抜け出すためにも、外部の力を借りることが大切です。

謝罪の場の設定

いじめが解決に向かう過程で、謝罪の場を設けることがあります。ここでは、校長・教頭先生として謝罪の場を設定する際の注意点を説明します。

適切なタイミング

謝罪の場を設けるタイミングは非常に重要です。事実確認が終わり、加害者が自分の行為を理解し、心から反省している状態になってから設定します。被害者の心の準備ができているかも確認します。被害者が「まだ会いたくない」と言っている場合は、無理に会わせてはいけません。

謝罪の場を急ぐあまり、形だけの謝罪になってしまうと、被害者はさらに傷つきます。また、加害者も本当の反省ができなくなります。双方の心の状態を見極め、適切なタイミングで設定することが大切です。

焦らず、じっくりと時間をかけることが必要です。校長先生が最終判断をします。担任教師が「早く謝罪させてほしい」と言っても、慎重に判断しましょう。

同席者の選定

謝罪の場には、必ず校長・教頭先生が同席します。同席する教職員の選定ポイントは以下になります。

同席者の選定基準
校長または教頭
学年主任か担任
生徒指導担当
養護教諭など

校長先生や教頭先生が必ず同席し、学年主任や担任など、複数の教職員が同席することが望ましいです。子どもたちだけで話をさせることは避けます。保護者の同席については、ケースバイケースで校長先生が判断します。保護者が同席することで、子どもたちが緊張してしまう場合もあります。

謝罪の場では、加害者が自分の言葉で謝罪し、被害者がそれを受け入れられるかどうかを確認します。形式的な謝罪にならないよう、校長・教頭先生が適切に進行します。謝罪の場が適切に行われることで、保護者双方の納得を得やすくなります。

過度な要求への対処

保護者の中には、学校に対して過度な要求をする方もいます。ここでは、校長・教頭先生としてそのような場合の対処法を説明します。

線引きの明確化

学校としてできることとできないことを、校長・教頭先生が明確に保護者に伝えることが大切です。例えば、加害者を退学させることや、多額の金銭を支払うことは、学校の権限を超えています。このような要求に対しては、「学校としてはそこまでの対応はできません」とはっきり伝えます。

ただし、冷たく突き放すのではなく、「お気持ちはよくわかりますが、法律や学校の規則上、このような対応になります」と、丁寧に説明します。できることについては、具体的に何をするのかを明示します。

線引きを明確にすることで、保護者との無用なトラブルを避けることができます。校長先生が毅然とした態度で対応します。担任教師を過度な要求から守ることも、校長・教頭先生の重要な役割です。

弁護士相談の検討

保護者から法的な請求をされた場合や、話し合いが困難になった場合は、弁護士に相談することを検討します。教育委員会には、学校問題に詳しい弁護士と契約している場合もあります。弁護士に相談することで、法的な観点からアドバイスを受けることができます。

また、保護者との交渉を弁護士に任せることもできます。弁護士が入ることで、感情的な対立を避け、法的に適切な解決を図ることができます。

ただし、弁護士に相談する前に、必ず教育委員会に報告し、指示を仰ぎます。学校だけで判断せず、組織として対応することが重要です。校長先生が教育委員会と連携して進めます。教職員と保護者の板挟みから抜け出すためにも、専門家の力を借りることが大切です。

まとめ

いじめ問題で教職員と保護者の板挟みになった時、校長・教頭先生が一人で抱え込む必要はありません。本記事では、教職員を守りながら保護者の要求にも応える対応方法、組織的な解決の進め方、法的知識、専門家との連携など、具体的な対処法をお伝えしました。

いじめ問題は簡単には解決しませんが、校長先生の適切なリーダーシップと継続的な見守りにより、必ず解決の道は開けます。この記事が、教職員と保護者の板挟みで苦しむ校長・教頭先生方の一助となれば幸いです。学校全体で子どもたちの笑顔を守り、教職員も守るために、一緒に頑張りましょう。

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いじめ撲滅委員会では、全国の小~高校生・保護者のかた、先生方にカウンセリングや教育相談を行っています。カウンセラーの栗本は、「いじめ」をテーマに研究を続けており、もうすぐで10年になろうとしています。

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