>
>
>
ヒステリックの意味・症状・治療法を解説

ヒステリックとは?意味や症状、治療法①

はじめまして!学校心理士・応用心理士の栗本です。私は心理学の大学院を卒業し、カウンセリングや教育相談を行っています。本コラムでは「ヒステリック」について詳しく解説をしていきます。

  • ヒステリックとは何か
  • ヒステリーの意味
  • 症状と研究
  • 転換性障害と離脱性障害
  • 7つの治療法と事例
  • 行動療法で症状を緩和

しっかりと解説して対策についてもお伝えしたいので、読むのに全部で8分ほどかかります。ちょっと大変ですが、ぜひお付き合いください。

ヒステリックとは?

皆さんは、ヒステリックという言葉をどんな場面で使いますか?相手が興奮して「怖い」「うるさい」と感じた時に、

「あの人はヒステリックな人だ」
「ヒステリックな言動が目立つ人だな」
「ヒステリックな態度だな…」

など、使うことが多いのではないでしょうか。

ヒステリック・ヒステリーについて解説

古典的語源

ヒステリック(hysteric)とは、ヒステリー(hysteria)が由来の言葉です。ギリシャ語のhusteros(子宮)に由来し、古典的には、女性のさまざまな病気の原因といった意味がありました。そして現在では、以下のように定義されています。

現代の意味

*心理学辞典(2013)
「失明、感覚喪失、幻覚といった症状が特徴で、被暗性や感覚の爆発、縁起じみた行動がともなうこともよくある心因性の障害」

少し分かりにくいですね。要約すると、不安など心理的要因で、身体に症状が出たり、異常な行動をしてしまう精神症状ととらえるといいでしょう。

ヒステリーの定義とヒステリック

医療機関での診断

ヒステリーは現在の精神医学の世界では、アメリカ精神医学会の精神障害の診断と統計マニュアル、国際保健機構で以下のように分類されています。

身体化障害

「何年にもわたる多様な身体症状の病歴をもつ身体表現性障害のこと(心理学辞典,2013)」身体化障害は検査をしても、患者が訴えるほどの症状がないのが特徴です。例えば、腰が痛い、腰が痛い…という訴えがあり、実際検査をしてみると異常がない状態を意味します。

転換性障害

ヒステリーの状態は、「転換性障害」「解離性障害」に属す障害とされることもあり、世界保健機関の「ICD10」では、解離性(転換性)障害のカテゴリに診断名が含まれています。転換性障害は「心理的葛藤により引き起こされた不安が身体的症状に変容する、無意識下で起きる過程(心理学辞典,2013)」要約すると、心の悩みから生まれた不安が身体に症状を生じさせることと考えるといいでしょう。

解離性障害

解離とは「無意識の防衛機制。葛藤衝動や脅かされたという思考や感情が、他の精神機能と分離されること(心理学辞典,2013)」解離は心が本来あるところから離れた状態です。自分の行動を覚えていない、自分の意思に関係なく勝手に行動したなどが具体的な行動になります。

解離性障害とは「単純な物忘れでは説明できないほど広範囲に生起し、自分の個人的な経験や外傷的またはストレスフルな状態の情報の想起の失敗によって特徴づけられる(心理学辞典,2013)」

解離性健忘

解離性健忘は、記録が失われる状態です。記憶の失われ方は、部分的に記憶が失われる「部分健忘」、その間のことは全て忘れる「全健忘」、自分の来歴についての記憶が全てなくなってしまう「全生活史健忘」の3つあります。

解離性とん走(フーグ)

「突然予期せぬ時に家や日常的にいる場所からいなくなり、少し又はすべての過去を想起することができなくなる(心理学辞典,2013)」解離性とん走は、別人になって生活する状態です。家や職場から一定の期間失踪し、その間は自分の名前や生活を忘れてしまいます。

ヒステリックの語源と用語の解説

いかがでしたでしょうか。ヒステリーに関する症状は多岐にわたりますが、心の問題が体や行動に現れる状態であることは共通しています。

ヒステリックを改善する7つの治療法

ここでは、ヒステリックの治療法をいくつか見ていきましょう。ヒステリック症状は幅広い分、様々な手法が開発されています。今回は以下の7つの方法をご紹介します。それぞれ特徴をお伝えしますので、まずは概観してみてください。

・認知療法
・行動療法
・森田療法
・マインドフルネス
・自我状態療法とEMDR法
・薬物治療
・電機痙攣療法

それぞれについて、見ていきましょう。

認知療法

ヒステリック症状に有効な方法に、認知療法の反証があります。認知療法の反証は、「その考えが現実的なのか?」を検討する中で、適応的な考え方に導いていく方法です。

ヒステリックの人は、不安の強さから現実にはありえないことまで心配してしまう傾向があります。このような歪んだ考えを反証で修正すること、不安な気持ちを軽減しヒステリック症状を緩和することが期待できます。ヒステリック症状の要因となる不安や心配が、認知療法で改善した研究を見ていきましょう。

Michelら(2003)は、慢性的な心配が特徴の全般性不安障害の研究を行いました。研究の方法は、少人数で行う集団認知行動療法を行った群と行わなかった群とを分け、不安や抑うつ、心配などを比較しています。以下は、心配の度合いの推移です。

治療前と治療後の不安特典の推移

その結果、集団認知行動療法を行った群では、治療後に心配や抑うつ、不安が大幅に改善しました。この研究から、集団認知行動療法が心配の改善に有効であることが示唆されます。認知療法の基礎についてはこちらの認知療法コラムで解説しています。気になる方は参照ください。

行動療法

ヒステリックの症状に有効なものとして、行動療法という心理療法があります。行動療法は、効果のない不適合的な行動パターンを修正するために適用した心理療法(心理学辞典,2013)とされています。

少し難しいですね。要約すると、行動しながら心の問題を改善してく技法の総称です。ターゲットとしていることは、測定可能な「行動」であり、また目標とすべきは望ましくない行動の減少や増加といった行動の制御です。行動療法で、ヒステリックの症状が改善した症例を見ていきましょう。

・事例:女児のヒステリックを改善
鈴木ら(1984)は、行動療法が有効であったヒステリー性失立失歩の1例を報告しています。ヒステリー性失立失歩とは、手や足が麻痺することで、立って歩くことができない症状です。ヒステリーを起因とした転換症状のうちでもしばしば見出される代表的な症状の一つです。

【症例:12歳の女児】
・ヒステリー性失立失歩
・軽度の精神発達遅滞

ヒステリックと行動療法この事例では、患者が小児だったため、医師と患者の間に補助治療者が入り、行動療法などがヒステリックの治療として実施されました。

1:オペラント技法
結果に対して反応を与える技法です。治療では、移動訓練を遂行した時には報酬を与え、食事摂取をしない時には処罰を与えました。

2:嫌悪療法
行動に対して不快な経験を結びつける行動療法です。治療では、「歩けなければ足を切る」という言語的嫌悪刺激を与えました。

3:主張訓練法
アサーション理論ともいわれる技法で、自分の意見を冷静に伝え、かつ相手側の立場を考慮した主張法を学習する(心理学辞典,2013)こととされています。

その結果、徐々に行動および性格の変化が認められ、3カ月後に歩行訓練を行なったところ、ヒステリー症状の劇的な改善が見られました。

行動療法は「療法」となっていますが、行動療法で用いられる技法は、精神科・心療内科などの医療にとどまりません。さまざまな技能訓練、習癖の改善、リハビリテーション、障害を持つ子どもの療育、犯罪者の矯正など、幅広い分野で利用されている技法です。

行動療法についてより深く理解されたい方はこちらのエクスポージャーコラムを参照ください。

森田療法

ヒステリック症状に有効なものとして、森田療法という精神療法があります。森田療法は、20世紀初頭の日本で導入された技法で、対人恐怖症や赤面恐怖、視線恐怖などで古くから用いられています。

ヒステリックの人は、自分の症状にこだわることで、ますますその症状を強めてしまう傾向があります。たとえば、

「汚れが気になる→何度も手を洗う→汚れを気にしないようにしなきゃと焦る→逆に汚れがどんどん気になる」

このような悪循環の作用を精神交互作用と言います。森田療法では、こだわりをあるがまま受けいれていく中で症状のこだわりを緩和していきます。

森田療法は、患者が自分らしく「あるがまま」の生き方を受け入れるよう指導することが治療の方針である(心理学辞典,2013)とされています。治療では、不安を無理に打ち消すことはせず、前向きな目的に注意を向けることで、症状をあるがままに受け入れていくようにします。

森田療法でヒステリック症状を緩和

興味がある方はこちらの森田療法コラムを参照ください。

マインドフルネス

マインドルフネスとは、「今ここにただ集中している心のあり方」を目指す心理療法です。マインドフルネスセンター創設所長のジョン・カバットジン(Kabat-Zinn, J.)が、臨床に応用し発展させました。語源は東洋の瞑想で使われていた「サティ」と言われていることから、瞑想のイメージを持つ人もいます。しかし、マインドフルネスを応用した心理療法は、世界的に不安障害やうつ病に対して効果があることが示されています(Hofmann et al., 2010)。

カバットジンは「今ここ」について、次のように述べています。

「今ここでの経験に、評価や判断を加えることなく、能動的に注意を向けること」

つまり「今ここ」とは、今この瞬間に集中し「すべてのことを迎え入れ、それをあるがままにしておく」ということです(北川, 2013)。「今ここ」という瞬間に集中することで、不安や緊張などが一つの体験に過ぎないことに気づき、不安をやみくもに煽ることもなくなるのです。

興味がある方は、こちらのマインドフルネスコラムを参照ください。

自我状態療法とEMDR法

解離性障害やPTSD(心的外傷後ストレス障害)に用いる心理療法は、ヒステリック治療にも有効とされています。

・自我状態療法
解離性障害や自我状態の不安定な人に用いられている心理療法です。アメリカの心理学者ジョン・G.ワトキンス(1993)によって考案された療法で「ひとりの人は複数の部分から成り立っている」という考えのもと、自分の内部にあるいろいろな声に耳を傾けながら不安や恐怖の解決を目指していきます。

自我状態(ego state)とは、状況に対応した自分の中の人格パターンです。たとえば、「仕事中の自分」と「自宅で過ごす自分」には表情や性格に違いがあると思います。このような自我状態は普通ですから、もちろん問題は生じません。しかし解離性障害やトラウマが強い場合には、ツライ記憶だけを解離し、別人格の自我状態が生まれ多重人格などが生じるのです。

自我状態療法では、自分の中にある複数の自我状態同士を認め、それぞれの記憶をつなぐことで良好な状態を目指していきます。

・EMDR法
PTSDや解離性障害、トラウマ関連の障害に用いられている心理療法です。EMDR(Eye Movement Desensitization and Reprocessing:眼球運動による脱感作と再処理法)は、アメリカの臨床心理士フランシーヌ・シャピロ(1989)によって考案された療法で、眼球運動で筋肉をほぐしながら、トラウマやつらい記憶による不安や恐怖を消していきます。

EMDRでは、以下の点を意識します。
・ツライ経験の映像
・否定的な自己評価
・肯定的な自己評価
その後、ツライ経験の映像と否定的な自己評価に焦点を当てた時の感情の強さや身体感覚を持った状態で眼球運動行い、肯定的な考えにつなげていきます。

EMDRでは、自分の中にある心の傷をポジティブに変換し、もともと持っている肯定的な考えと結びつけることで良好な状態を目指していきます。

詳しくは、こちらの自我状態療法とEMDR法コラムを参照ください。

薬物治療

ヒステリックの治療では、薬物療法でが一般的です。精神療法を主体に、抗不安薬や抗うつ薬などによって治療を行っています。

治療初期には、患者さんに安心感を持ってもらうための精神療法に加え、薬物療法を併用することがあり治療が進むにつれ、カウンセリングも行います。症状がひどい場合には、入院治療を選択する場合もあります。実績のある専門医に相談し、治療を進めることが重要です。

電気痙攣療法

薬物療法で効果がない場合には、他の治療法も考えます。その選択肢の一つとして、「電気けいれん療法」という治療法があります。こちらは街中のクリニックなどではあまり行われず、症状が重たい方に対して、比較的大きい病院で行われることがあります。

電気けいれん療法とは、脳内に電気刺激を流して、脳の機能を改善する治療法です。ヒステリックの治療に効果があるとはいえ、脳内に直接電気刺激を与えるため、身体に大きな負担となります。そこで従来の電気療法より安全な治療法が開発されており、その一つが「無けいれん性電気療法」です。

「無けいれん性電気療法」は、筋弛緩剤などを用いて体の緊張を起こさせない電気療法で、ヒステリックの治療での効果も分かっています。

秋本ら(1990)は「無けいれん性電気療法」を用いて、ヒステリックを改善した症例を報告しています。

【症例:50歳の女性】
・躁うつ病
・無気感や罪責感強く、自殺企図がある
・うつ病薬が効かずヒステリー解離状態になる
うつ病や躁病を繰り返し、無動・無言、退行などヒステリー解離状態。日常生活も全面介助状態。

無けいれん性電気療法の事例ヒステリックの治療では、計6回の「無けいれん性電気療法」を実施しました。その結果、治療後には、ヒステリー解離状態が改善し軽うつ状態で経過しました。薬物療法でも効果がないヒステリックには、電気けいれん療法も治療も存在することは押さえておくといいでしょう。詳しくは主治医の方とよく相談してみてください。

・専門家の講義を受けたい方へ

最後に、これまで「ヒステリック」コラムにお付き合いしていただき、ありがとうございました!ご紹介した内容を参考に、日々のヒステリー症状を緩和してみてください。

そして、専門家から直接学びたい!という方は良かったら私たち臨床心理士・精神保健福祉士が開催している、コミュニケーション講座への参加をおススメしています。コラムだけでは伝えきれない知識や実践的なワークを進めています。みなさんのコミュニケーション能力が向上するよう、講師も一緒に頑張ります!よかったらいらっしゃってくださいね(^^)

★ヒステリック・ヒステリーについて理解して、より良い生活を目指そう!
心理学講座

コメント

コメントを残す

コラム監修

名前

川島達史


経歴

  • 精神保健福祉士
  • 目白大学大学院心理学研究科修士
  • 社会心理学会会員

取材執筆活動など

  • AERA 「飲み会での会話術」
  • マイナビ出版 「嫌われる覚悟」岡山理科大 入試問題採用
  • サンマーク出版「結局どうすればいい感じに雑談できる?」
  • TOKYOガルリ テレビ東京出演


ブログ→
YouTube→
Twitter→

*出典・参考文献
・ファンデンボス,G.R.(2013)APA 心理学大辞典 p744,p452,p111,p631p278,p92,p244,898,841 573,335,881
・中野 明德 2011 S. フロイトのヒステリー論: 心的外傷の発見 福島大学総合教育研究センター紀要 10,15-24.
・鈴木 節夫・鈴木 康夫・大嶋 正浩・大原 健士郎 1984 行動療法が有効であったヒステリー性失立失歩の 1 例 心身医学,8,24,4.
・阿部 佳織・西川 潔・赤木 稔 1987 ヒステリー性盲の行動論的治療 心身医学 27, 5,413-419.
・秋本 有美子・平澤 伸一 1990 無痙攣性電撃治療が著効を示したうつ病,ヒステリー状態の1例 東京女子医科大学雑誌 60(7), 600-600, 1990-07-25.
・越川 房子・川崎 郁穂 2009 脱中心化傾向と抑うつとの関連 日本心理学会大会発表論文集 2009,73.
・白水 妙・越川 房子 2011 身体に向けた注意と筋弛緩が気分と脱中心化に及ぼす効果 心理学研究 2011,82,2,115-122.
・富田 小百合・池見 陽・林田 嘉朗 1995 CNVに対するリラクゼーション法(自己調整法)の効果 Japanese Psychological Research 1995,37,1,13-20.
・吉川 久史・杉山 登志郎・丸山 洋子 2014 解離性障害を持つ児童への自我状態療法とEMDRの併用の効果判定 研究助成論文集 (50), 27-36.
・杉 山 登志郎 (2018)自我状態療法―多重人格のための精神療法 日衛誌 (Jpn. J. Hyg.),73,62–66