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ヒステリック・ヒステリーの意味とは何か-原因,女性,母親への対処法

ヒステリック・ヒステリーの意味とは

はじめまして。公認心理師の川島です。今回のテーマは「ヒステリック」です。

  • 改善するお悩み
  • 些細なことですぐ怒る
  • イライラすると止まらない
  • 大げさで神経質

全体の目次
ヒステリックの意味とは?
女性特有の問題と改善策
人格障害と改善策
防衛機制と対策
お悩み相談掲示板

はじめに

ヒステリーという言葉は実は心理学者泣かせの用語です。なぜならヒステリーという用語は「包括用語」だからです。包括用語とは、様々な意味があるため、整理が非常に難しい言葉を意味します。現代の心理学の研究ではほとんど使われなくなっています。

一方で、ヒステリーという用語は日常生活に定着し、様々な場面で使われています。そしてヒステリーにお悩みの方もたくさんいます。

ヒステリックな男性

そこで、改めて、用語を整理しながらそれぞれの意味に応じた対処法を提案させて頂きます。中途半端な理解ですと、間違った対処法をしてしまうことがあるので、できましたら最後まで読んでみてください。

ヒステリックの意味とは

ヒステリックは様々な意味が含まれますが、大別すると3つの使われ方があります。

①女性特有の情緒不安定

1つ目は女性特有の情緒不安定という意味があります。

ヒステリック(hysteric)とは、ヒステリー(hysteria)が由来の言葉です。ギリシャ語のhusteros(子宮)に由来し、古典的には、女性のさまざまな病気の原因といった意味がありました。当時のギリシャ人は

「子宮が女性の首を絞めて殺す」

と考えていました。そうして、感情的になっている女性を、子宮の病と結びつけていたようです。

女性のヒステリー,ヒステリック

現代では子宮の病ではないことが分かっていますが、女性特有に見られる感情的な苦しさはヒステリーを理解する上で重要なカギを握ります。

「あの女性はヒステリックだね」
「私の女性上司ってヒステリーをよく起こすのよね」

現代でも女性を名指した表現が見られます。現代では女性がヒステリックになりやす原因がわかってきています。この点については後程解説していきます。

女性,母親ヒステリー

②演技性人格・性格

2つ目は演技性の人格・性格を意味します。

ヒステリーは1800年代から心理学や精神医学の世界でも使われるようになっていきます。現代では「ヒステリー性格」「ヒステリー」という用語を使います。

ヒステリー性格は以下のように定義されます。

虚栄心が著しい、大げさで演技的な言動、被暗示性が強く、感情が不安定な状態(心理学辞典,2013,一部簡略化)

とされています。口語的に使われている、私たちの周りにはもともと神経質で、批判されると怒りっぽくなるかたがいたり、ちょっとしたネガティブな情報をすごく気にする方がいますよね。

ヒステリーを起こしやすい性格は、演技性人格障害と呼ばれることがあります。この点についても後程詳しく解説します。

ヒステリック,情緒不安定

③体に現れる症状

3つ目は心の問題が体に現れる症状を意味します。

繰り返しになりますが、現代では「ヒステリー性格」「ヒステリー」という用語を使います。

「性格」が抜け「ヒステリー」だけで考えると少々意味が変化してきます。

現実に問題となっていること解決することができず、心に負担がかかっているときに、その問題を感じないようにすることで、体に様々な症状が出る事(心理学辞典,2013,一部簡略化)

とされています。私たちの心には、辛い出来事や、抱えきれない問題があるときに、防衛機制という心を守るメカニズムがあります。ヒステリーはこのメカニズムの1つです。

心を守ろうとして、様々な問題を感じないようにすることで、結果的に体に症状があらわれているしまうことを意味します。

集団で症状が出るときは、集団ヒステリーという言葉を使うこともあります。

女性,ヒステリック,症状

用語の整理

このようにヒステリーは最初は女性特有の用語として使われてきまたが、時代とともに、様々な意味が付与されてきました。

もう1度整理すると、ヒステリーを理解する上では以下の3つのポイントが大事になります。

・女性特有の問題ではないか?
・性格の問題ではないか?
・心の問題を守ろうとしている?

もし周りに情緒不安定で、感情がうまくコントロールできない、不眠や頭痛など体の問題がある、方がいたらこの3点をまずは頭に入れて、対処していくといいでしょう。

次のコーナーからはそれぞれに応じた対処法を解説します。

女性特有の問題と対処法

ヒステリーは古典的には女性特有の用語として使われていました。その視点は現代でも、ある程度の妥当性があることが分かっています。

女性ホルモンとは何か

女性特有のヒステリックをもたらす原因として、女性ホルモンの変化が挙げられます。女性ホルモンとは主に、エストロゲン、プロゲステロンの2種類があります。

・エストロゲン
別名美容ホルモンとも言われています。髪の毛、肌の艶の増加、精神的な安定などに関わっています。

・プロゲステロン
別名妊娠ホルモンと言われています。体温の上昇、皮脂の分泌、骨の生育に役立ちます。

生理周期

生理がある女性においては、卵巣ホルモンや基礎体温の変動、排卵・月経に周期的な月経リズムがあります。以下の図をご覧ください。

情緒不安定と月経周期

この図のように、エストロゲンは生理前になると減少する傾向があります。月経リズムで、ヒステリーになる時期が決まっている場合は、女性特有のヒステリーの可能性が大きいです。

更年期とヒステリー

更年期になると、エストロゲン、プロゲステロンが共に減っていきます。その結果、感情的に不安定になりやすく、イライラしやすくなることがあります。

若い時は温和だったのに、年齢を重ねるごとに、ヒステリーになっていく場合はもしかしたら女性ホルモンが不安定になっているかもしれないのです。

女性特有の情緒的な問題については下記のコラムで詳しく解説をしました。まずは全体を読んで頂いてから、理解を深めたい方は、以下のリンクも読んでみてください。

女性が情緒不安定,イライラする理由と対処法

ヒステリーと性格

改めて目次を振り返ります。

・女性特有の問題ではないか?
ヒステリー性格の問題ではないか?
・心の問題を守ろうとしている?

2つ目の原因として、ヒステリー性格について考えていきましょう。ヒステリー性格は、自己中心的、感情的、大げさで演技的、小さな批判に敏感、虚言癖という特徴がある性格傾向です。

演技性人格障害

演技性人格障害

重篤になると「演技性人格障害」と診断されることもあります。英語名では
histrionic personality disorder:通称 HPD
と訳されます。診断基準としては以下が挙げられます。

注目の的でないと楽しくない
不適切な性的誘惑
感情の表出がすばやく変化する
注目をひこうと身体的な外観を用いる
印象的だが中身のない話し方をする
被暗示性があり周りに影響されやすい

これらの特徴にかなりあてはまる方は演技性人格障害の可能性が出てきます。

原因

演技性人格障害の原因は分かっていませんが、一般的には人格の問題は先天的な脳の機能の影響、生育環境の2点を考えます。演技性人格障害の方は、幼少期に愛着不安を抱えているなどの問題があることも指摘されています。

演技性人格障害,幼少期

当事者の対応策

・精神科

もしあなたが上記にたくさん当てはまると感じ、日常生活で苦労が多い場合は精神科に相談行くのも選択肢の1つです。また様々な心理療法を試してみることもオススメします。

・心理療法

先天的な性格は直接治すことは難しいですが、ある程度コントロールすることは充分可能です。考え方をほぐしたり、極端な行動を減らすと、問題は少なくなっていきます。

下記の心理療法は入門編としてオススメです。是非試してみてくださいね。

認知行動療法の基礎

周りの方の対応策

またあなたの親しい方が上記に当てはまる場合は、あなた自身が振り回されないようにしなくてはなりません。対応スキルをいくつか提案しますので、全体を読んだ後にクリックしてみてください。

過剰適応に注意

巻き込まれない,断り方の方法

心の問題と防衛機制

改めて目次を振り返ります。

・女性特有の問題ではないか?
ヒステリー性格の問題ではないか?
心の問題を守ろうとしている?

3つ目の原因として、心の問題を守ろうとしてる?について考えていきます。

防衛機制とは何か?

心理学の世界では、心の問題を守ろうとする心理を「防衛機制」と呼びます。防衛機制には様々なものがありますが、典型的には「抑圧」があります。

抑圧とは、心の問題をひとまずは、心に底に押しとどめ、感じないようにする、考えないようにすることを意味します。心を守る手段としてはあまりレベルが高くないと言われています。

抑圧は、トラウマなどから心を守るために有効に作用することもありますが、心には抑圧できる限界があり、体に問題が出てくることもあります。

抑圧,ヒステリー

症状と障害

防衛機制によるヒステリー症状としては、典型的には、胃痛、不眠、声が出にくくなる、円形脱毛症、などにが挙挙げられます。また重篤化すると、転換性障害、解離性障害など様々な障害に結びつくこともあるので注意が必要です。

細かい精神疾患名は下記に折りたたんでおきました。やや専門性が高いので一般の方は流し読みで充分です。援助職の方や心理学部の学生の方は頭にいれておきましょう。

ヒステリーは現在の精神医学の世界では、アメリカ精神医学会の精神障害の診断と統計マニュアル、国際保健機構で以下のように分類されています。

身体化障害

「何年にもわたる多様な身体症状の病歴をもつ身体表現性障害のこと(心理学辞典,2013)」身体化障害は検査をしても、患者が訴えるほどの症状がないのが特徴です。例えば、腰が痛い、腰が痛い…という訴えがあり、実際検査をしてみると異常がない状態を意味します。

転換性障害

ヒステリーの状態は、「転換性障害」「解離性障害」に属す障害とされることもあり、世界保健機関の「ICD10」では、解離性(転換性)障害のカテゴリに診断名が含まれています。転換性障害は「心理的葛藤により引き起こされた不安が身体的症状に変容する、無意識下で起きる過程(心理学辞典,2013)」要約すると、心の悩みから生まれた不安が身体に症状を生じさせることと考えるといいでしょう。

解離性障害

解離とは「無意識の防衛機制。葛藤衝動や脅かされたという思考や感情が、他の精神機能と分離されること(心理学辞典,2013)」解離は心が本来あるところから離れた状態です。自分の行動を覚えていない、自分の意思に関係なく勝手に行動したなどが具体的な行動になります。

解離性障害とは「単純な物忘れでは説明できないほど広範囲に生起し、自分の個人的な経験や外傷的またはストレスフルな状態の情報の想起の失敗によって特徴づけられる(心理学辞典,2013)」

解離性健忘

解離性健忘は、記録が失われる状態です。記憶の失われ方は、部分的に記憶が失われる「部分健忘」、その間のことは全て忘れる「全健忘」、自分の来歴についての記憶が全てなくなってしまう「全生活史健忘」の3つあります。

解離性とん走(フーグ)

「突然予期せぬ時に家や日常的にいる場所からいなくなり、少し又はすべての過去を想起することができなくなる(心理学辞典,2013)」解離性とん走は、別人になって生活する状態です。家や職場から一定の期間失踪し、その間は自分の名前や生活を忘れてしまいます。

いかがでしたでしょうか。ヒステリーに関する症状は多岐にわたりますが、心の問題が体や行動に現れる状態であることは共通しています。

 

対応策

防衛機制を原因とするヒステリー症状の場合、症状が重たい場合は、基本的には心療内科がおすすめです。心療内科では心の問題と、体の問題をバランスよくケアしてもらえます。

また比較的症状が軽い場合は、気持ちを抑圧せずに、
・別の防衛機制を使う、
・自分の本当の感情に気が付く
・悩みを打ち明ける

ことが有効です。詳しくは下記のコラムを参考にしてみてください。

抑圧よりも高度な防衛機制を使う

ソーシャルサポートコラム,たまには人に甘える

メタ認知,自分の気持ちに気が付く方法

まとめ+おしらせ

まとめ

ヒステリーについて理解は進みましたか?たくさんの意味があるので、じっくり整理して取り組んでみてくださいね♪皆さんが平穏で満たされた心で生活されることを切に願っています。

おしらせ

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コラム監修

名前

川島達史


経歴

  • 公認心理師
  • 精神保健福祉士
  • 目白大学大学院心理学研究科修士

取材執筆活動など

  • AERA 「飲み会での会話術」
  • マイナビ出版 「嫌われる覚悟」岡山理科大 入試問題採用
  • サンマーク出版「結局どうすればいい感じに雑談できる?」
  • TOKYOガルリ テレビ東京出演


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*出典・参考文献
・ファンデンボス,G.R.(2013)APA 心理学大辞典 p744,p452,p111,p631p278,p92,p244,898,841 573,335,881
・中野 明德 2011 S. フロイトのヒステリー論: 心的外傷の発見 福島大学総合教育研究センター紀要 10,15-24.
阿部 佳織・西川 潔・赤木 稔 1987 ヒステリー性盲の行動論的治療 心身医学 27, 5,413-419.
越川 房子・川崎 郁穂 2009 脱中心化傾向と抑うつとの関連 日本心理学会大会発表論文集 2009,73.
・白水 妙・越川 房子 2011 身体に向けた注意と筋弛緩が気分と脱中心化に及ぼす効果 心理学研究 2011,82,2,115-122.
・富田 小百合・池見 陽・林田 嘉朗 1995 CNVに対するリラクゼーション法(自己調整法)の効果 Japanese Psychological Research 1995,37,1,13-20.
・吉川 久史・杉山 登志郎・丸山 洋子 2014 解離性障害を持つ児童への自我状態療法とEMDRの併用の効果判定 研究助成論文集 (50), 27-36.
・杉 山 登志郎 (2018)自我状態療法―多重人格のための精神療法 日衛誌 (Jpn. J. Hyg.),73,62–66
Kabat-Zinn, J. (1994). Wherever you go, there you are: Mindfulness meditation in everyday life. New York: Hyperion Books.