情緒不安定の治し方,6つの対処法‐公認心理師が解説
皆さんこんにちは。心理学講座を開催している公認心理師,精神保健福祉士の川島達史です。今回は「情緒不安定の治し方」についてご相談を頂きました。
相談者
32歳 女性
お悩みの内容
私はちょっとしたことで感情が揺らいでしまいます。傷つきやすく、ちょっと批判されるだけで傷ついてしまいます。
怒りっぽいところもあります。実は部下が最近辞めてしまい、私の感情の起伏が合わないと言われてしまいました。もう少し冷静に物事に対処できるようになりたいです。
情緒不安定なところを治すやり方がありましたら教えてください。
悲しい気持ちになったり、イライラしたりすることが日常茶飯事ですと、精神的に疲れてしまいますよね。当コラムでは情緒不安定の治し方を6つ提案させて頂きます。
①深呼吸をする
②体をリラックスさせる
③心を整理する
④考え方をほぐす
⑤マインドフルネス
⑥日記をつける
ご自身に合いそうなものがありましたら是非参考にしてみてください。
①深呼吸をする
情緒不安定を直すには、まずは深呼吸をすることが大切です。
深呼吸の効果
深呼吸をすると、身体のリラックス機能にスイッチを入れる神経である、副交感神経を活発にする働きがあります。副交感神経が優位になると、心拍数が下がっていきます。すると、興奮状態が収まり、心が安定していきます。
深呼吸のやり方
深呼吸法のやり方として、もっとも取り組みやすいのが「1分間呼吸法」です。具体的には、以下のステップで深呼吸していきます。
1. おなかで息をしっかり吸う
2. 鼻からゆっくり息を吐く
3. 1分間繰り返す
たった1分ですが、呼吸法を行うことで、情緒不安定が和らいでいきます。
深呼吸は、特に衝動にかられたときに効果的です。怒りにかられたとき、悲しさが溢れてきたとき…などは上記の方法を試してみましょう。
深呼吸についてさらに詳しく知りたい方は、以下のコラムをご参照ください。
②体をリラックスさせる
情緒不安定を和らげる2つ目の方法は、体をリラックスさせることです。
体をリラックスさせる効果
身体と心はつながっており、身体が疲れている時は気持ちイライラしやすくなります。一方で、身体がリラックスしている時は、気持ちも穏やかになりやすいです。そこで、情緒不安定な状態を和らげるには、まずは身体をリラックスさせることが大切です。
リラックス法のやり方
それでは、ここで具体的なリラックス法のやり方についてみていきましょう。今回は、「臨床動作法」と呼ばれる方法をご紹介します。以下の4つのステップで行います。
①深呼吸
鼻から息を吸って、口から細く長く吐いてください。このときに不安な気持を一緒に吐き出すイメージをすると効果的です。気持ちが落ち着くまで繰り返してみてください。
②肩上げ
次にゆっくり片方の肩を上げていきます。コツは他の部分に余計な力を入れないようにします。純粋に肩だけ上げていくイメージです。10秒ぐらいかけてゆっくり肩を上げていきます。
頂点に達したらその状態をしばらくキープします。
③ゆるめる
限界と感じたら、ゆっくりと肩を下げます。急がずゆっくり戻していくのがコツです。
④余韻を味わう
ぽかぽかじわーとした余韻を感じましょう。
これを左右、数セット行います。身体がじんわりリラックスするのがわかると思います
このようにリラックス法を行うことで、心が落ち着き、情緒不安定な傾向も和らいでいきます。リラクゼーション法についてより深く知りたい方は、以下のコラムをご参照ください。
③心を整理する
情緒不安定を和らげる3つ目の方法は、心を整理することです。
心の整理法とは
心の整理法は、今抱えている悩みを分類して、優先順位をつけることで悩みを整理する方法です。情緒不安定になっている時は、焦って、手あたり次第に悩みを解決しようとしてしまいます。
すると、ミスが増えてしまい、逆に悩みが増えてしまう場合があります。その結果、さらに焦りが生まれ、情緒不安定になってしまいます。そこで、まずは悩みを整理して「優先順位」をつけ、簡単なものから片づけていくことが大切です。
心の整理法のやり方
具体的には、以下の4つのステップで行います。
1.今抱えている悩みを
できる限り付箋に書き出す
2.書き出した悩みを以下の3つ分ける
・すぐに解決できる悩み
・時間がかかるが解決できる悩み
・自分ではどうしようもない悩み
3.すぐに解決できる悩みから
優先順位を決めて実行する
4.自分では解決できない悩みは
思い切ってゴミ箱にポイ
この心の整理法を活用することで、1つ1つ冷静に悩みを片付けることができます。その結果、情緒不安定な状態が少しずつ改善されてきます。心の整理法をより詳しく知りたい方は、以下の動画をご参照ください。
④考え方をほぐす
情緒不安定を和らげる4つ目の方法は、考え方をほぐすことです。
考え方をほぐす理由
情緒不安定な方は、考え方が極端になっている場合があります。
例えば、
自分はダメ人間だ
あの人は私のこと嫌いに違ない
私は何をしても成功しない
など非現実的で偏った思考が多いです。こうした思考が浮かぶと、悲しくなったり、怒ったりと情緒不安定な状態になってしまいます。そこで、考え方をほぐして、現実的な思考ができるようにトレーニングすることが大切です。
考え方をほぐす方法
考え方をほぐす具体的な方法としては、情緒不安定な状態な時、以下の3つの質問を自分に投げかけて見ましょう。
考え方は現実的?
他人ならどう考える?
「ない」ものより「ある」ものは?
こうした質問を自問自答することで、様々な視点から考えることができ、考え方が穏やかになり、情緒不安定な状態も和らいでいきます。
考え方をほぐす方法をより深く知りたい方は、認知療法という心理療法をまなぶことをおすすめします。詳しくは以下のコラムをご参照ください。
⑤マインドフルネス
情緒不安定を和らげる5つ目の方法は、マインドフルネスを行うことです。
マインドフルネスとは
マインドフルネスとは、
いまこの瞬間に”意識を向け、知覚、思考、感情、行動を観察する
ことを意味します。
ただ今ある感覚をながめ、良い、悪いの価値判断をしないことを大事にするのです。情緒不安定な方は、思考や感情に巻き込まれすく、過去や未来に囚われてしまうことが多いです。
そこで、マインドフルネスを身に着けることで、今この瞬間に集中し、一歩引いた視点で冷静に自分を観察することができます。すると、気持ちが穏やかになり、情緒不安定も和らいでいくのです。
マインドフルネスのやり方
では、ここで3分でできる簡単なマインドフルネスのやり方をご紹介します。
・目を優しく閉じます
・60秒自分の呼吸を観察します
息を吸い,吐く
ただその動きを観察します
・60秒体の感覚に集中します
胸が膨らんだり、小さくなったりします
体温を観察します
風を感じている感覚を観察します
・60秒感情を観察します
少しイライラしている…
心地よいと感じる…
落ちついている…
ありのままを観察します。
いかがでしょうか。このように、今感じている感覚・思考・感情に善悪の判断せす、ただ注意を向けていきます。すると、心が柔軟になり、情緒不安定な状態が和らいでいきます。
マインドフルネスをより深く知りたい方は、以下のコラムをご参照ください。
⑥日記をつける
情緒不安定を和らげる最後の方法は、日記をつけることです。
日記をつけるメリット
情緒不安定な方は、自分の感情を吐き出すのが苦手な傾向にあります。そのため、感情がうまく消化できずに、ある時に爆発してしまうことがあります。
そこで、おすすめなのが日々、日記をつけることです。
人は思考や感情を紙に書き出すことで、漠然とした感情が明確になり、気持ちが落ち着くことがわかっています。頭にある思考や感情を外に出すことで、より客観視につながり、情緒不安定が和らぐのです。
日記の書き方
具体的な日記の書き方としては、とてもシンプルです。紙とペンを用意して、
嬉しかったこと
嫌だったこと
勉強になったこと
面白かったこと
など1日の終わりに書き出していきます。書き出すことで、自分の感情を客観視することにつながるため、ネガティブな感情であってもありのままに書いてしまってOKです。
このように、自分と向き合い、感情を吐き出す時間を取ることで、精神的な余裕が生まれてきやすくなります。
まとめ
情緒不安定な方は喜怒哀楽があり、ドラマチックな人生を歩んでいます。感情があるということは人生をそれだけ楽しんでいるとも言えます。
一方で、不安や恐怖が大きくなりすぎている時は、問題が起こりやすくなります。日々の生活に支障が出てきている時は当コラムのアイデアを組み合わせてご活用ください♪
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