解離性障害とは

皆さんこんにちは。心理学講座を開催している公認心理師の川島達史です。今回のテーマは「解離性障害」です。目次は以下の通りです。

①依存症とは
②解離性障害の種類
③治療方法

当サイトの特色は、臨床心理学、精神保健福祉の視点から心の病気を解説している点にあります。心の病気の解説サイトは多いですが、精神科医の先生が監修されていることが多く、心理師の専門サイトは多くはありません。

お薬以外での改善策を詳しく知りたい方に、特にお役に立てると思います。ご自身の状況にあてはまりそうなものがありましたら是非ご活用ください。動画にもまとめています。参考にしてみてくださいね♪

 

①解離とは何か

定義

解離(かいり)とは、次のように定義できます。

思考、人格、記憶、身体をつらい体験と共に、自分と切り離すことで心を安定させようとすること

解離は、”自分と切り離すこと”が特徴になります。

 

自分とは?

解離という概念を理解するには「自分とは何か?」を考えていく必要があります。自分という概念は守備範囲が広く、さまざまな要素が組み合わさったものです。

例えば、朝起きたら自分の口が普段と全く違う形だったらどうしますか。おそらく混乱してしまうでしょう。混乱する理由は、口に自分の身体という感覚があるからです。身体について自己イメージがあるため、違和感が生まれ混乱してしまうのです。

このように、自己イメージは身体、人格、思考、感情、記憶など様々な領域に及びます。自分とは、いろいろな要素が組み合わせってできているのです。

 

解離の仕組み

解離は、自分の中に耐えがたい辛い体験が起きた時におきます。つらい体験を自分の中から追い出そうと一生懸命になり、記憶までも消去しようとします。この時に自分とは違う人格を外側に作りだし、つらい体験を別人格に背負わせ自分から苦しいものを切り離していきます。

私たちは嫌なことがあれば忘れるような行動をとると思います。つまり小規模な解離は誰しもが日常的にやっているのです。ただし病的で過剰になっていくと解離性障害という病気の範囲に入っていきます。

 

②解離性障害の種類

解離性障害は、たくさんの種類があります。今回は代表的な4つを学んでいきましょう。

・解離性同一性障害
・解離性健忘
・離人症
・解離性運動障害

解離性同一性障害

解離性同一性障害は、複数の人格が交代して現れる障害です。別名、多重人格障害と呼ばれています。同一性人格障害になると、人格が変わりやすくなります。例えば、8歳の少女になったかと思えば、20代のインテリ男子になるなど時間とともに人格が変わっていきます。

解離性同一性障害の方には「主人格」があります。主人格は、基本人格ともいわれ、幼少期から最も多く出現してきた人格になります。そして過去に「耐え難い苦しい体験」をもつ方が非常に多いです。

例えば、性的虐待が80%、身体的虐待が70%前後あるという統計もあります。虐待があまりにも苦しすぎたために心は主人格を守ろうとし、苦しみを引き受ける交代人格を新しく作り出します。主人格は、虐待を受けたのは交代人格であって、主人格ではないという心理的防衛を図ることになるのです。

多重人格には以下の2つの特徴があります。理解を深めたい方は折り畳みを参照ください。

交代人格に変わっている時の記憶が、主人格に戻ると無くなってしまうことがあります。例えば、今日の朝はなにを食べたか、どこに出かけたか、誰に会ったかなど、完全に忘れてしまうことがあります。一方で、人格が交代しても記憶は残っている方もいるなど個人差があります。

交代人格は、10くらいあるのが一般的です。多い方だと20以上の人格を持つ人もいます。

例えば、アメリカのビリーミリガンは人格が24あったとされています。ビリーは幼少期に、身体的虐待と性的虐待を受けたことで多重人格者となりました。ビリーの交代人格に、非常に暴力的なケヴィンという人格があり、強盗を犯してしまうのですが、交代人格が犯した罪とされビリーは無罪となりました。解離性同一性障害が認められ、罪が問われなかったことで、ビリーミリガンは世界的に有名になったのです。

ビリーミリガンを深く理解したい方は「ビリーミリガン」をご覧ください。

 

解離性健忘

解離性健忘は、自分にとってマイナスな情報を思い出せなくなる精神疾患です。

例えば、幼少期にいじめを受けて非常につらい経験をしたとします。解離性健忘の方は、自分を守るためにつらい記憶を思い出せない場所に閉じ込めてしまうのです。ある期間の記憶がごそっとなくなってしまったり、場合によっては、自分の生活史に関するすべての記憶を失うこともあります。

離人症

離人症は、自分から離れた感覚になってしまい、現実感が無くなる精神疾患です。

例えば、幼少期にいじめを受けて非常につらい経験をしたとします。先ほどの解離性健忘では記憶を忘れることで自分を守ろうとしました。一方で離人症では、いじめにあっている自分を客観的に観察することで自分を守るようなイメージになります。

離人症になると、客観的な自分が被害にあっているだけで重要な自分は直接被害をうけていないような感覚になるのが特徴です。

解離性運動障害

解離性運動障害は、精神的なストレスを無理に感じないようにふるまうことで、結果的に体に症状があらわれてしまう精神疾患です。

例えば、過去に身体的虐待を受けていた人がいたとします。この事実はすごくつらいので、重たい岩で蓋をするような感覚でその事実をなかったかのように振舞います。しかし悩みは奥底に隠しただけで、無くなったわけではありません。意識的になくなったとしても、体にその症状が出てきてしまうのです。具体的には、以下のような症状が挙げられます。

言葉を話せない
足のしびれ
視力や聴力の異常

解離性運動障害は体の問題と捉える方が多いため、ほとんどの場合は内科を受診されます。内科的に問題がないことで精神科を紹介され、解離性運動障害と診断を受けるケースがたくさんあります。

 

③治療方法

解離性障害の方は、自分の苦しい記憶を切り離しているため、自分の記憶や人格が一部欠けている状態になります。治療では、切り離された苦しい人格や記憶を中に戻し自分と統合していくため、問題のある体験や記憶を整理整頓することが必要となっていきます。治療については、以下の知識をおさえておきましょう。

①保護的環境
②精神分析的心理療法
③サイコドラマ
④タッピング療法
⑤カウンセラーの探し方

 

①保護的環境

保護的環境は、安心して自分のことを語れる環境です。解離性障害の治療では、辛い経験を思い出すことが多いため、非常に苦しい作業になります。そのため、辛い状態になった時にしっかりとフォローがきくような環境を作ることが大切です。具体的には、専門カウンセラーの助けを借りたり、入院をしてお医者さんの保護をもらいながら自分と向き合うなどがあります。

②精神分析的心理療法

精神分析的心理療法は、心の深い部分にあるわだかまりを分析することで心を整理していく心理療法です。例えば、カウンセリングをしていくと、相談者の方が、カウンセラーに対してすごく怒ることがあり「先生もどうせ私を見捨てるんでしょ!!」ようなことを言ったりします。カウンセラーはこの言葉の「も」という単語に注目します。「も」という言葉の裏から、重要な人が自分を見捨てたという過去が見つかったりします。

このように精神分析ではカウンセリングを通して、悩みの正体を発見していきます。カウンセリングを通して問題を見つけられたら、心を整理して改善していきます。理解を深めたい方は以下のコラムを参照ください。

精神分析的心理療法とは

③サイコドラマ

サイコドラマは、大人になった自分が過去の自分を助けていく方法です。具体的には、6~8人くらいで簡単な劇を作ります。過去のつらい体験の風景を作り、悩みを解決したい人もその中に入ってもらいます。そしてその時の自分を大人になった自分がヒーローになった感じで助けに行きます。劇を通して自分のわだかまりを改善していきます。

④タッピング療法

TFT(Thought Field Therapy:タッピング療法)は、東洋医学の鍼のかわりにツボを手でタップして悩みを解決していく方法です。自分の2本の指でトントンと軽くツボをたたくことで、ストレスなどメンタル的な悩みを解消していきます。自分の指でツボをたたく療法なので、副作用は少ないと言われています。ただしまだ始まったばかりの手法なので、実際に行う場合は専門家から指導を受けるようにしましょう。

⑤カウンセラーを探す

解離性障害は自力で治すのは難しい精神疾患です。専門のカウンセラーに相談することをおすすめします。カウンセラーの探し方については以下の動画を参考にしてみてください。

 

まとめ

最後に、これまで「離性障害」コラムにお付き合いしていただき、ありがとうございました。離性障害は、大きなストレスやつらい経験をした人がかかりやすい精神疾患です。記憶が飛んだり内科的には問題ないのだけど体がおかしいと感じる方は「解離性障害」を可能性の1つとして考えるといいかもしれません。

 

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