脇見恐怖症の特徴,症状

皆さんこんにちは。心理学講座を開催している、公認心理師の川島達史です。今回のテーマは「脇見恐怖症」です。当コラムでは脇見恐怖症を基礎から一通り解説していきます。目次は以下の通りです。

①脇見恐怖症とは?
②発症の年齢傾向
③心理療法

当サイトの特色は、臨床心理学、精神保健福祉の視点から心の病気を解説している点にあります。心の病気の解説サイトは多いですが、精神科医の先生が監修されていることが多く、心理師の専門サイトは多くはありません。

お薬以外での改善策を詳しく知りたい方に特にお役に立てると思います。ご自身の状況にあてはまりそうなものがありましたら是非ご活用ください。

①脇見恐怖症とは

脇見恐怖症とは

まず最初に、脇見恐怖症とは正式な疾患名ではありません。したがって、詳しい文献なども少なく定義も定まっていないのが現状です。その中でも脇見恐怖症の意味とは、

自分の視線をコントロールできずに脇見をしてしまい、視界に入る人や物をみて不安を感じるもの。

としています。脇見恐怖症は視線恐怖症の1つとされており、診断名としては「社交不安症」として診断がつくケースが考えられます。

症状

脇見恐怖症の人は、他者の行動を目線を追ってしまうため、ジロジロとみられていると思われてトラブルになることもあります。その症状には以下のようなものがあります。

相手をじっと見てしまわないように下を向いている
電車で不審者に思われるかと心配になる
テストでカンニングを疑われるか心配

など、つい周りの人などを見てしまうため、相手を不快にさせてしまうことがあります。さらに、それに対して、本人が罪悪感を感じていたり、不快にさせないように気を遣っていることが多いです。

 

②年齢の傾向

社交不安障害と発症年齢

脇見恐怖症も含まれている、社交不安症を発症する年齢の割合を示したグラフがあります。

視線恐怖症

約75%の人が15歳以下で発症していることがわかります。(図.1)ある研究では、発症年齢から10年後以上の30代半ばで専門機関を訪れる傾向があることが報告されています。

しかし、脇見恐怖症はまだまだ社会的に認知されておらず、この統計には含まれていない可能性もあります。相談が遅れると、脇見恐怖症の克服に時間がかかってしまうケースもあるため注意が必要です。

30代後半から落ち着く傾向

社交不安障害は、30代後半から落ち着いていくことが分かっています。日本では日本医療開発機構の川上(2016)が調査を行いました。その結果、以下の図のように20~30代前半にかけて高く、それ以降は低くなっています。つまり、30代後半からは社交不安障害は落ち着いてくるということがわかります。

 

一方で、脇見恐怖症についての発症率の統計は残念ながらありません。しかし、筆者の体感としてはやはり若年層に多く、年齢を重ねるごとに悩む方は減ると感じています。

 

③脇見恐怖症の心理療法

当コラムでは、臨床心理学や精神保健福祉の観点から、脇見恐怖症に対してよく使う対策を紹介します。

①森田療法
②系統的脱感作
③認知療法
④回避癖を改善

 

①認知療法

脇見恐怖症の人は認知の歪みがあるケースあります。認知の歪みとは、物事を極端に考えたり、マイナスな方向に考えてしまうことです。例えば以下のような考え方が挙げられます。

ジロジロと見る自分は存在意義がない
自分の症状は恥ずかしいことだ
視線が安定しない人は恋愛できない

このように、ネガティブな考えが先行し、苦しい思いをされている方には、認知療法が有効です。認知療法とは、偏った思考を柔軟にしていくことで、気持ちを楽にする心理療法です。考え方が極端になりやすい・・・と感じる方は、以下のコラムを参照ください。

認知療法の効果,やり方を解説

 

②回避癖を改善

脇見恐怖症の人はその症状のせいで、行動を回避してしまう傾向があります。脇見のせいで買い物に行けなかったり、電車に乗れなかったりと、人と目が合う機会を避けてしまいます。回避癖がついてしまうと、恐怖が恐怖を呼んでますます対人場面が怖くなってしまいます。

回避癖がついている方には、行動療法が有効です。行動療法とは、いきなり苦手な場面に挑戦するのではなく、家族で練習する、心を許した友人との会話からはじめる、など、1つ1つコツコツできることを増やしてく手法をいみします。具体的なやり方は下記のコラムで解説しました。是非参考にしてみてください。

行動療法と不安階層表の活かし方

 

③系統的脱感作

脇見恐怖症の治療には系統的脱感作法が効果的だったという報告があります。系統的脱感作とは、不安階層表や全身をリラックスさせる方法を使って、不安を軽減させていくものです。

生月・田上(2003)は、自己視線恐怖の対象者に対して、脱感作を用いた治療法を行いました。その結果、恐怖時に利き手の開閉運動をすることで、恐怖を軽減させていく方法に効果があったとしています。脇見恐怖症に関する治療論文は残念ながら現在はありませんが、緊張を緩める効果が期待できます。

④森田療法

森田療法とは、森田正馬という人が神経症に対して開発した心理療法です。その方法とは、まず症状を取り除こうとせずに、あるがままに受け入れて不安や恐怖を軽減していくものです。

脇見恐怖症の場合、他人を見てしまい不快にさせる恐怖のために、電車に乗れなかったり、人の接触を避けてしまいがちです。森田療法によると、「恐怖はそのままにして、とにかく行動する」という姿勢を取ります。

×相手を不快にさせてしまわないか心配で買い物に行けない
×カンニングを疑われてないか不安でテストに集中できない

〇不快への恐怖はあるが、とりあえず店の前までは行こう
〇疑われる不安はそのままにして、まずはテストに集中

森田療法では気分や感情は自然のようにうつろいやすいものだと考えます。刻々と変化する気分に左右されるのではなく、目の前のやるべきことをしっかり実行することが重要だとします。森田療法の詳しい解説はこちらをご覧ください。

森田療法入門,あるがまま,精神交互作用

 

コミュニケーション講座のお知らせ

公認心理師,精神保健福祉士など専門家の元で、心理療法や健康的な人間関係の築き方を学んでみたい方は、私たちが開催している講座をオススメしています。講座では

・認知療法の基礎
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など練習していきます。筆者も講師をしています♪皆様のご来場をお待ちしています。↓興味がある方は下記のお知らせをクリックして頂けると幸いです↓

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監修

名前

川島達史


経歴

  • 公認心理師
  • 精神保健福祉士
  • 目白大学大学院心理学研究科 修了

取材執筆活動など

  • NHKあさイチ出演
  • NHK天才テレビ君出演
  • マイナビ出版 「嫌われる覚悟」岡山理科大 入試問題採用
  • サンマーク出版「結局どうすればいい感じに雑談できる?」


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元専修大学教授 長田洋和

名前

長田洋和


経歴

  • 元専修大学人間科学部教授
  • 東京大学 博士 (保健学) 取得
  • 臨床心理士
  • 精神保健福祉士

取材執筆活動など

  • 知的能力障害. 精神科臨床評価マニュアル
  • うつ病と予防学的介入プログラム
  • 日本版CU特性スクリーニング尺度開発

臨床心理士 亀井幹子

名前

亀井幹子


経歴

  • 臨床心理士
  • 公認心理師
  • 早稲田大学大学院人間科学研究科 修了
  • 精神科クリニック勤務

取材執筆活動など

  • メディア・研究活動
  • NHK偉人達の健康診断出演
  • マインドフルネスと不眠症状の関連

*出典・引用文献

生月誠,田上不二夫(2003) 視線恐怖の治療メカニズム 教育心理学研究 51,425-430

川上憲(2016) 精神疾患の有病率等に関する大規模疫学調査研究:世界精神保健日本調査セカンド 国立研究開発法人日本医療研究開発機構 障害者対策総合研究開発事業(精神障害分野)