~ 教職員の方はこちら ~ 教職員,先生が行ういじめ対策
はじめまして!いじめ撲滅委員会代表,公認心理師の栗本顕です。
私は学生時代、そうぜつないじめを体験して、大学院でいじめの研究をしてきました。
現在はいじめの問題を撲滅するべく、研修やカウンセリング活動を行っています。
今回のテーマは
「学校・教育現場のいじめ対策一覧」
です。
当コラムは、新任の先生向けに作成されています。いざいじめが起こると
「どうすればいいんだろう」
「何をすればいいのかな」
「参考になるものはないかな?」
と考えてしまうものです。でも大丈夫!たくさんの方法があります。当コラムでは、複雑化したいじめ対策について詳しく解説していきます。目次は以下の通りです。
1.いじめの事前対応
2.いじめ発生時の対応
3.いじめの事後対応
4.いじめの事件
いじめ対応の一連の流れを理解できる内容となっています。ぜひ、最後までご一読ください。
いじめの事前対応
主ないじめ事前対応としては、以下の6つが挙げられます。
①事前に決まりを作る
②ホームルームでの授業
③アンケートの実施
④相談箱の設置
⑤対策について話し合い
⑥対策グループ作り
それぞれ詳しく見ていきましょう。
①事前に決まりを作る
まず初めにやることは全体像を教師の間で考えておくことが大事です。具体的には、いじめが起きた時にどのような流れで対応するのか、フローチャートを作っておきましょう。
フローチャートを作っておくと、迅速な対応を取ることができます。以下に実際に用いられているフローチャートを掲載しました[1]。
下記をクリックして展開してみてください。
②ホームルームでの授業
いじめは呼ぼうが大事になります。この時、ホームルームを積極的に活用することが大事です。ホームルームでは、
・何がいじめに該当するか
・いじめられた人はどんな気持ちになるか
・誰に報告するか
・スクールカウンセラーの紹介
などを教育をしていきます。
ちなみに、筆者の栗本と湯浅は「いじめ授業書」というワークを行っています。
具体的には、PTSDの原因が、戦争などの「人為的」なものか、震災などの「非人為的」なものかによって、深刻さが異なることを教えます。特に非人為的ないじめは、心に深く傷になることを理解する構成になっています。
③アンケートの実施
いじめの早期発見・早期解決のためには、いじめアンケートを実施し回答を有効に活用していくことが必要です。
具体的には、以下のようなアンケートを作成します。
自分のことについて
1 学校や友達のことで、気になることや悩んでいることがある。
2 家族や家庭のことで、気になることや悩んでいることがある。
3学校に行きたくないと思う。
4 生きているのがつらいと思う。
いじめについて
1冷やかされたり、からかわれたり、悪口やいやなことを言われたりする。
2 仲間外れにされたり、無視されたりする。
3 軽くぶつかられたり、遊ぶふりして叩かれたり、蹴られたりする。
4 ひどくぶつかられたり、叩かれたり、蹴られたりする。
(東京都教育員会 いじめ発見のための質問項目例より一部引用して掲載[2])
④相談箱の設置
場合によっては、相談箱を設置することも有効です。生徒のプライバシーを保護しながら、相談できるようにすることも大切です。相談箱はいじめの抑止力にもつながります。
賛否両論はありますが、いじめの深刻度を考えると積極的に設置しておくことも検討してみてください。
⑤対策について話し合い
いじめの対策について、教師間でディスカッションを重ねることも大切です。過去のいじめ事例から、どのような対策をが有効だったかを話し合い、ケーススタディを集めます。
例えば、以下のような事例を話し、いじめの深刻さを伝えるとともに対策を検討していくのです。
⑥チーム学校の意識向上
いじめには、数人の援助チームを作り、多種多様な角度からどのような解決策があるかを検討していく必要があります。
具体的には、チーム学校といったものになります。チーム学校とは、以下の3つの視点に沿って学校の混じネジメントしていくものです。
・チーム体制の構築
・マネジメント機能の強化
・教員が力を発揮できる環境整備
の3つの視点に沿って、学校のマネジメントモデルを転換するものです。このように対策への環境づくり、あらかじめ行うことが大切です。
いじめ発生時の対応
いじめ発生時の主な対応としては、以下の5つが挙げられます。
①訴えを受け止める
②意思を尊重する
③双方の話を聞く
④一人で抱え込まない
⑤スクールカウンセラーに相談する
⑥新しい知識を学ぶ
それぞれ詳しく見ていきましょう。
①訴えを受け止める
まずは訴えを受け止めることが大切です。いじめの相談や目撃情報を受けた時に、生徒の主張をしっかりと傾聴していきます。訴えを受け止める時は、より具体的にいじめの状況をヒアリングしていきましょう。
基本的には、以下の3つは最低限質問するようにしましょう。
・いついじめがあったのか
・どんないじめだったのか
・誰が誰にいじめられていたか
上記の3つのを把握することで、いじめの全体像をハッキリさせることができます。まずは、しっかりと訴えを受け止めて、具体的な状況をヒアリングしていきましょう。
その際共感的に聞いていくことが大事です。共感するのは苦手な方は下記のトレーニングも参考にしてみてください。
②意思を尊重する
生徒の意思を尊重することは大切です。基本的には、いじめ受けた生徒が「どうしたいのか」を尊重していきます。先生自身が、勝手に判断すると強制になってしまうことがあります。
例えば、先生はすぐに仲直りさせようとするかもしれません。しかし、いじめられた生徒は、相手とすぐに向き合うのは抵抗があると感じる場合があります。
ここで仲直りを強要すると、形だけの和解になってしまい、いじめが再発することがあります。いじめ発生時は、必ずいじめられた生徒の意思を確認し、尊重するようにしましょう。
③双方の話を聞く
先生が極端にいじめられっ子の肩を持つと、いじめっ子は、
「なんであいつばかり特別扱いするんだ…」
「なんで自分だけ責められなきゃいけないんだ…」
と思う可能性があります。
これが原因で、いじめが悪化してしまうことがあります。
そのため、まずは双方の意見をしっかりと聞くことが大切です。2人の意見を踏まえた上で、明らかにいじめっ子が悪ければ、納得できるように説明して行きます。いじめっ子が自分のしたことは悪いことだという自覚を持ってもらうことが大事です。
④一人で抱え込まない
生徒からの訴えを受けた時に、先生一人で抱え込むのはNGです。一人で抱え込んでしまうと、
・仕事で手一杯になる
・対策法の視野が狭まる
などのデメリットがあります。いじめは多方面からの視点で偏りなくとらえることが大切です。事前対応のところで結成した対策チームで連携をしながら、いじめに対応していきましょう。
⑤スクールカウンセラーに相談する
何らかの理由で教職員で相談がしにくい場合はスクールカウンセラーに相談することも有効です。教職員は抱えているタスクが膨大でキャパシティーオーバーになってしまうことも多々あります。
自分の力量を超えていると感じる場合は、無理せず専門家の力も借りるようにしましょう。
⑥新しい知識を学ぶ
先生方は常に最新の情報に敏感になることが大切です。いじめの内容は時代によって変化します。現代では、SNSを使ったいじめがあり、LINEやTwitterといった無料アプリ内で起こることがあります。
その中には、教師や親が対応できないといったものがあります。
こうした児童生徒の使うツールに理解のないまま対応するのでは、不十分な対応になってしまいます。常に新しい知識を学び、いじめ対策に活かすことが大切です。
いじめの事後対応
いじめの事後対応のとしては、以下の5つが挙げられます。
①無理に仲良くさせない
②慎重に取り扱う
③加害者にならないようにする
④記録しておく
⑤チーム内で共有する
それぞれ詳しく見ていきましょう。
①無理に仲良くさせない
いじめ事後は、無理に仲良くさせないことが大切です。先生方は、全員と仲良くすることを理想としますが、実際には難しいです。生徒はそれぞれ違う存在であり、多様な人間関係を育んでいきます。
そのため、無理やりグループに入れたり、いじめっ子と仲良くさせるのはNGです。常に生徒目線で人間関係を見て、本人の意思を尊重することが大切です。
②慎重に取り扱う
いじめの話題にセンシティブになることが大切です。いじめ再発防止のために、ホームルームで「○○さんがいじめに遭っていました」などと安易に話題にするのは、とても危険です。
いじめられた本人は、話題にしてほしくないと思っている可能性があります。もし、教訓として話題を出すにしても、何度も本人と話し合いを重ね、承諾をしっかりと得たうえで行うことが大切です。
③加害者にならないように注意
いじめ事後も被害者へのケアが大切です。いじめは水面下で続いていたり、いじめ被害者は心に深い傷を負っていることが考えられます。そして、残念なことに被害者が加害者へと変化してしまう場合もあります。
こうした場合、被害者が、
・周りからの不完全なケア
・周りに受け入れられなかった
・やり返すことを促す
などの対応をしたことが原因として挙げられます。いじめ被害者が加害者に変わってしまう仕組みを、より深く知りたい方は以下をご覧ください。
④いじめ発生時を記録する
まずは、いじめ発生時の状況を記録しましょう。
具体的には、
どんな対応が有効だったか
どんな対応が効果的でなかったか
を報告書としてまとめます。このようにケーススタディとして残しておくことで、今後同じようないじめがあった場合に迅速に適切に対応することができます。
⑤チーム内で共有する
今回のいじめ事例を「チーム学校」に共有します。チーム内で共有することで、クラス単位ではなく学校全体の教訓として、活かすことができます。繰り返しになりますが、いじめ対応はチームの連携が鍵になります。
そのため、学年、クラス関係なく、いじめは学校全体の問題として捉えることが大切です。
いじめの事件
最後にいじめ発生時・事後に起きた事件についてご紹介していきます。より理解を深めたい方は、以下をクリックして展開してみてください。
YouTube動画
執筆者
いじめ撲滅委員会代表:栗本 顕
学校心理士・応用心理士として、いじめの解決策や、教育相談を行っています。全国の小~高校生・保護者のかた、先生方にカウンセリングや教育相談を行っています。
大学生の頃から、とりわけ「いじめ」をテーマに研究を続けており、もうすぐで10年になろうとしています。私自身がいじめが原因で不登校になった経験を大いに活かし、今後のいじめ対策に貢献ができればと思います。
お知らせ
当サイトでは、いじめのない社会を実現するべく、以下のような取り組みを行っています。
・いじめコンサルテーション
・学校関係者への研修
・いじめについての講演会
いじめのないクリーンな学校は、児童生徒・教職員とも居心地がよいものです。ぜひ、興味がある教育関係者の方は下記ページをご覧ください。
相談をご希望の方へ
いじめ撲滅委員会では、全国の小~高校生・保護者のかた、先生方にカウンセリングや教育相談を行っています。カウンセラーの栗本は、「いじめ」をテーマに研究を続けており、もうすぐで10年になろうとしています。
・いじめにあって苦しい
・いじめの記憶が辛い
・学校が動いてくれない
・子供がいじめにあっている
など、いじめについてお困りのことがありましたらご相談ください。詳しくは以下の看板からお待ちしています。