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共感力を高めるトレーニング方法

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共感力を高めるトレーニング方法

皆さんこんにちは。人間関係講座を開催している公認心理師、カウンセラーの川島達史です。今回のお悩み相談は「共感力のトレーニング法」です。

共感力を鍛える

 

相談者
33歳 女性

お悩みの内容
先日転職をして、福祉職としてはじめて働くことになりました。仕事柄、共感力が非常に大事なのですが、実際どうやってトレーニングすれば良いかわかりません。プライベートでも悩みの相談がうまくなりたいと考えています。専門家の方にやり方を教えて欲しいです。よろしくお願いします。

仕事でもプライベートでも共感力をつけていきたいと考えているのですね。本コラムでは、カウンセラーが学ぶ共感スキルの基礎を一通り学ぶことができます。

入門①共感の3つの心構え
入門②3つのオウム返し
入門③質問の作り方
入門④間とテンポ

しっかり解説したので、ブックマークをしてマイペースで読み進めてくださいね。

入門①共感の3つの心構え

共感についての第一人者はカールロジャーズです。ロジャーズはカウンセラーの態度を体系化した人物で、最も影響力のある心理療法家の10人に選ばれています。

ロジャーズは3つの心構えがカウンセラーには必要であると主張しています。共感の土台になる心構えになので、しっかりおさえましょう。

共感的理解

相手の私的な世界を想像するよう努力する
ただし「あたかも」という感覚を失わないようにする

共感の基本は、相手の立場にたって、充分理解しようと努めることです。相手が話す内容の主人公になったような感覚で、しっかりと想像しながら傾聴しましょう。

ただし、完全に相手になる必要はありません。あくまで「あたかも」という感覚を持ちながら、自分と相手の境界線は保つように心がけます。

 

無条件の肯定

自分の価値観で判断するのではなく、相手の話を尊重し、肯定的に聞くこと

共感をする際は、相手に敬意を払い、それぞれの人生を尊重する意識を持ちましょう。価値観や悩みは人間の数だけあります。一般的におかしな悩みでも、本人にとっては大問題なのです。

頭ごなしに否定するのではなく、まずは相手が大変な思いをしていることをしっかりと受け止めましょう。

自己一致

素直な自分で傾聴する、演技的にならないようにする、純粋な自分で聴く

自己一致はもっとも難しい概念です。

例えば、「共感的理解」「無条件の肯定」をしようと思ったとしても、当然うまく行かないことがあります。その時は、理解しているふり、肯定できないのに無理に肯定することはしません。

理解できるまで話を聴いて、(そうかあ~本当に大変だったんだなあ)と肯定できると感じたときに、「それは大変でしたね…」と声に出すのです。演技的で、場当たり的な態度はNGです。純粋な気持ちで理解するように努めましょう。

その他、共感については様々な理論があります。トラベルビーの共感的理解も有名なので、折りたたんで記載しました。福祉関係、医療関係の方はご一読ください。専門的な話なので、一般の方は飛ばしてOKです。

アメリカの女性看護学者であるTravelbeeは共感は5つの段階からなると主張しています。

1.初期の出会いの位相
看護師と患者が初めて対面する時、お互いを「患者、看護師」といたカテゴリーで相手を認識します。そして、「第一印象」や「雰囲気」を感じ取り、対人関係の手がかりをさぐります。

2.同一性の出現の位相
相手を「患者」「看護師」といったカテゴリーで認識するのではなく、1人1人異なる物語を持つ人間として感じ取るようになります。

3.共感の位相
それぞれの独自の存在として距離を保った上で、お互いを理解しあっているような感覚になります。相手の独自性や個性をより明確に知覚されるようになります。

4.同感の位相
同感とは、相手の感情に心を動かされ参加し、自分のことのように相手の気持ちを感じるプロセスを意味します。「同感」には距離がなくお互いに感情移入し合っている状態であると言えます。強い信頼関係を生み出す一方で、相手の感情に巻き込まれて傷つくこともあります。

5.ラポートの位相
最終段階に「ラポートの位相」があります。お互いに「人間対人間(interpersonal)」とよればる関係を経験します。初対面の時のような「看護師」「患者」といった枠組みは存在せず、相手をひとりの人間として認識しあい、距離を取らずに触れ合うようになります。

講師の視点
私もカウンセリングをしていく中で、同じような体験をすることがよくあります。最初は性格分析やプロフィールでカテゴライズされた相談者として認識します。しかし、カウンセリングが進んで行くと、そういった立場やカテゴリは吹き飛び、人と人として対話している感覚になります。そうすると、相談者の方と深い部分で共感できるのです。


共感とは何か

入門②3つのオウム返し

共感力をつけるには、「心構え」と「技術」の両面が必要になります。もっとも基本的な「技術」は、オウム返しです。オウムとは相手が言ったことを繰り返す技術です。厳密には6種類ほどあるのですが、初学者は、

・事実
・感情
・言い換え

の3つを練習していきましょう。

事実のオウム返し

事実のオウム返しとは、相手が言った事実だけをそのまま返す傾聴スキルです。例えば、

昨日、京都に行ってきたんだ。清水寺に初めて行ってきたよ!

と友人が言ったとします。事実のオウム返しをすると、こんな感じです。

京都に行ってきたんだねー
清水寺かあ~
初めての清水寺だったんだ

このように、事実のオウム返しでは、相手の発話から事実の部分だけを切り取って返します。相手の言葉をそのまま返すだけでOKです。自分の気持ちを入れる必要はありません。簡単ですね。

 

感情のオウム返し

感情のオウム返しとは、相手が言った言葉の中から感情の部分を中心に返す傾聴スキルです。例えば、

昨日、幼なじみと偶然あうことができてうれしかった。また会う約束もできたんだ!

と友人が言ったとします。感情のオウム返しをすると、こんな感じです。

偶然の再会かぁ。うれしいよね~

このように相手の感情を中心に切り取って返します。前回ご紹介した事実のオウム返しよりも、相手の心情を受け取った印象になります。

言い換えのオウム返し

言い換えのオウム返しとは、相手が言った言葉を少し変えて返す傾聴スキルです。

楽しみにしていたコンサートだったのに、台風のせいで中止になってしまったんだよね…。すごく残念だった。

と友人が言ったとします。言い換えのオウム返しをすると、こんな感じです。

台風で開かれなかったんだ~、悔しいよね。


言葉が言い換えられているのがわかりますか。

・中止→開かれなかった
・残念→悔しい

言い換える言葉は、相手が言った言葉の意味とおおむね似ていればOKです。

言い換えのオウム返しは、相手の言葉を使ってオウム返しをしているだけですが、とても自然な印象になります。

使用頻度

実践的な使用頻度としては、

 事実のオウム返し10%
 感情のオウム返し15%
 言い換えが75%

ぐらいになります。初学者の方は事実と感情をまずはしっかり練習して、慣れてきたら言い換えるようにしましょう。それぞれ300回ぐらいは練習が必要です。ゆっくりマスターしてください。

以下練習問題を作成しました。是非ご活用ください。

相手のセリフに対してオウム返しを考えてみましょう。

問題①

最近金欠気味で・・・カツカツだよ。。

事実のオウム返し

感情のオウム返し

言いかえのオウム返し

 

問題②

最近ちょっとふとちゃってね。ダイエットしないと・・・焦るなあ…

事実のオウム返し

感情のオウム返し

言いかえのオウム返し

 

問題③

先日の合コンで知り合った異性から・・・返信がなくて・・・寂しいです

事実のオウム返し

感情のオウム返し

言いかえのオウム返し

 

問題① 解答例

最近金欠気味で・・・カツカツだよ。。

事実のオウム返し
⇒え…金欠なの

感情のオウム返し
⇒カツカツなのかあ…

言いかえのオウム返し
⇒お金ないと、しんどいよね。。

 

問題② 解答例

最近ちょっとふとちゃってね。ダイエットしないと・・・焦るなあ…

事実のオウム返し
⇒少し太ったんだね…

感情のオウム返し
⇒焦ってるのかあ…

言いかえのオウム返し
⇒体重増えると
 痩せなきゃ!と思うよね。。 

 

問題③ 解答例

先日の合コンで知り合った異性から・・・返信がなくて・・・寂しいです

事実のオウム返し
⇒返信がないのかあ…

感情のオウム返し
⇒ええ!それは寂しいね。

言いかえのオウム返し
⇒返事がこないんだ、そういう時って焦るよね…


 

共感する

 

入門③質問力をつける

共感力がうまい人は3つの質問を使い分けることができます。

・5Wの質問
・プラスの感情質問
・不安を聞くよ質問

それぞれ詳しく見ていきましょう。

5Wの質問

相手の話をより具体的に掘り下げる質問テクニックです。5Wとは、以下5つの質問の頭文字をとって名付けられています。

いつ(When)
誰と(Who)
どこで(Where)
きっかけ(Why)
詳しく,何を(What)

これらの質問を使うことで話の状況を理解することができます。カウンセリングなどでは比較的序盤に使うことが多いです。

例えば、「先日、横浜にいきました。楽しかったです!」と言われたとします。これだけでは話が表面的過ぎて、共感するポイントがわかりません。そこで、

横浜のどの辺ですか(Where)?
何を(What)しに行ったんですか?
きっかけはありますか(Why)?

と質問をして会話の基本的な情報を集めていきます。すると、楽しさを感じたポイントが具体的になり、深く理解することができます。

②プラスの感情質問

プラスの感情質問とは、相手のポジティブな感情を深く理解するための質問です。ポイントとしては、プラスの感情を入れながら質問するのが原則になります。具体的には、

楽しい、嬉しい、わくわくする、勉強になる、興味が湧く、気持ち良い、美しい、元気が出る、テンションが上がる、リフレッシュできる

上記のような言葉を使いながら質問するように心がけていきましょう。

その場所に行って楽しかったことは?
その活動は充実していましたか?
○○さんの地元の楽しいところは?
何か嬉しいことでもあった?
それはすごく面白いんじゃない?

相手が前向きな会話をしたそうなときは特に有効です。

③不安を聞くよ質問

不安を聞くよ質問は、プラスの感情質問とは逆です。相手のネガティブな感情を深く理解するための質問になります。マイナスの感情を入れながら質問するのが原則です。具体的には、

つらい、悲しい、しんどい、疲れている、元気がない、やる気がでない、めんどくさい、つまらない、興味がない、イライラする

これらの言葉を使いながら質問するように心がけていきましょう。

どれくらいの長さつらい状況が続いているの?
いつから厳しく感じるようになってきたの?
いつも落ち込んじゃう感じ?
結構いましんどいの?
いま孤独な感じが続いているのかな?

 

使用頻度

実践的な使用頻度としては、

 5Wの質問 60%
 プラスの感情 40%
 マイナスの感情 40%

ぐらいになります。話の序盤は5Wで傾聴し、ある程度理解した、プラスと、マイナスをそれぞれ使い分けて傾聴していきます。注意点として質問は多くても1分に1回ぐらいでOkです。質問攻めにはならないように気をつけましょう。


以下の相手のセリフに対して、質問を作ってみてください。

①問題 

「昨日、沖縄に旅行に行ってきたんだ」

5W1Hの質問

 

プラスの感情質問

 

②問題

「昨日友人から自分がやっている仕事をバカにされてしまって、
かなりイライラしちゃってるんだ。あんなこと言われる筋合いはないよ・・・」

5W1Hの質問

 

不安を聞くよ質問

 

 

問題① 解答例

「沖縄に旅行に行ってきたんだ」

5W1Hの質問
⇒沖縄のどこに(Where)行ったの?
 どれぐらいの期間(When)行ってきたの?
 何を(What)してきたの?

プラスの感情質問
⇒沖縄の楽しかったところは?
 海すごく綺麗だったでしょ?
 一番オススメのスポットは?


問題② 解答例

「昨日、自分がやっている仕事をバカにされてしまって、かなりイライラしちゃってるんだ。あんなこと言われる筋合いはないよ・・・」

5W1Hの質問
⇒誰に(Who)バカにされたの?
 なんで(Why)バカにされたの?
 仕事の何を(What)言われちゃったの?

不安を聞くよ質問
⇒すごく頭に来ているの?
 結構傷ついているのかな?
 じゃあ今困惑している状態なの?

 


共感力のトレーニング

 

入門④間とテンポ

入門編の最後に、間とテンポについて解説していきます。

間を十分とる

共感が下手な方は、まくし立てるように話し、しみじみ感じ取る間が不足しています。共感はじっくり味わうような間が重要です。すぐに質問をするのではなく、少し長いかな…と思えるぐらい間を取って、じっくり傾聴していきましょう。

テンポを合わせる

共感をする上では、相手の話すスピードを合わせることが大事です。私自身は、相手の話す速度より20%ぐらいゆったり話すイメージで傾聴することを心がけています。特に早口な方は、せわしない傾聴になりがちなので気をつけましょう。

なお、ロジャーズの生前のカウンセリングの様子はこちらです。ゆったりとしたテンポを参考にしてみてください。13分前後に相談者の方の手を握っています!これはびっくりしました。日本ではちょっと難しいですね。。

 

入門編まとめ

共感力トレーニング入門編はここまです。おつかれさまでした。

①共感の3つの心構え
②3つのオウム返し
③質問の作り方
④間とテンポ

この4点を意識するだけで充分共感的な聞き方ができるはずです。是非、日常の会話やビジネスまで共通して使うことができるので、是非研鑽してみてください。

なお、公認心理師による実際の傾聴練習に興味がある方は、こちらの人間関係講座でも練習できます。良かったらいらっしゃってください。

共感力トレーニング,人間関係講座

 

共感力を高める方法

発展編-共感力トレーニング

ここからは共感力をアップさせる発展編です。

感情の明確化

感情の明確化とは、相手が言語化できない気持ちを、代わりに言葉にして個々の整理を手伝う技法です。オウム返しや質問の後に練習してみてください。

感情の明確化練習

 

相槌の打ち方

共感が得意な方は、相槌をしっかり打ちながら話を聴いていきます。以下のコラムで相槌力をつけていきましょう。

相槌上手になる方法

 

非言語の読み取りスキル

相手の表情、声の抑揚など、非言語を読み取ることは共感の基本になります。特に注意が必要です。非言語の読み取りのポイントは以下のコラムで解説しています。参考にしてみてください。

共感力を伸ばそう!「非言語の読み取り」

 

励ます力をつける

相手の話を傾聴するだけが共感力ではありません。時に相手を積極的に励ますことも大事です。励ます言葉の引き出しを増やしたい方は以下のコラムを参照ください。

励ます力をつける

 

来談者中心法を学ぶ

専門的な共感力を学びたい方はロジャーズの来談者中心法がおすすめです。特に福祉職、医療職の方はご一読ください。

来談者中心法とは

 

人間関係講座のお知らせ

共感力を公認心理師,精神保健福祉士など専門家の元でしっかりトレーニングしたい方は、私たちが開催している人間関係講座をおすすめします。講座では

・共感力トレーニング
・悩みをほぐす言葉の練習
・悩みを抱える人への質問法
・温かい雰囲気を出すコツ

など練習していきます。筆者の川島も講師をしています♪ぜひお待ちしています。↓詳しくは下記の看板をクリック♪↓

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コラム監修

名前

川島達史


経歴

  • 公認心理師
  • 精神保健福祉士
  • 目白大学大学院心理学研究科修士

取材執筆活動など

  • AERA 「飲み会での会話術」
  • マイナビ出版 「嫌われる覚悟」岡山理科大 入試問題採用
  • サンマーク出版「結局どうすればいい感じに雑談できる?」
  • TOKYOガルリ テレビ東京出演


ブログ→
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*出典・参考文献
・よくわかる臨床心理学 山口 創著 川島書店 共感性尺度の再構成
・多次元共感測定尺度の構造と性格特性との関係 桜井 茂男 奈良教育大学紀要(1994)
・『パーソナリティ障害とむきあう―社会・文化現象と精神科臨床』林 直樹,日本評論社(2007)
・ADHDと自閉症の関連がわかる本 ダイアン・M・ケネディ著,田中康雄監修,海輪由香子訳 明石出版
・谷伊織・天谷祐子(2009)「性格特性の5因子と共感性および孤独感の関連」
・J.Travelbee(1974)人間対人間の看護 長谷川 浩  藤枝 知子 訳 医学書院
・傾聴とフォーカシングの臨床心理学 池見陽 岡山大学教育学部臨床心理学講座
聴能言語学研究 1996 日本コミュニケーション障害学会