~ 被害者の方はこちら ~ いじめ被害者の方へ,8つの対策
はじめまして!いじめ撲滅委員会代表,公認心理師の栗本顕です。私の専門は「いじめ」です。心理学の大学院で研究もしてきました。
現在はいじめの問題を撲滅するべく、研修やカウンセリング活動を行っています。
今回のテーマは
「いじめ被害者,8つの解決法」
です。
はじめに
実は私自身も学生時代いじめにあってきました。いじめにあってるときは、
「人生つらいことばかりだ」
「学校が怖くて仕方がない」
「誰も助けてくれない」
「消えてなくなりたい」
と考えてしまうものです。でも大丈夫!私たちには、いじめを改善するための対策や、助けてくれる人がたくさんいるのです。是非当コラムを活かしてみてくださいね。
目次は以下の通りです。
① いじめは許されない事
② 堂々と生きる権利がある
③ 恥ずかしい…を見直す
④ 記録をする
⑤ 助けを求める
⑥ 安全地帯を持つ
⑦ 転校する
⑧ 何かに打ち込む
状況によって使えるもの使えないものがあると思いますが、活用できそうなものを是非組み合わせてみてください。
①いじめは許されない事
まず始めにいじめはけっして、許されないことだと認識しましょう。
いじめられるには原因がある?
いじめをする人はこんなことを言うかもしれません。
「いじめられる方にも原因があるんだよ!」
でも、これは間違いです。
例えば、声が小さい人がいたとしましょう。だからといって、その子を殴るのはよいことでしょうか?その子を仲間外れにするのはよいことでしょうか?もちろん、そんなことはありません。なぐったり、からかったり、無視したり…これらのいじめは○○だからやっていい、ということはないのです。
いじめはなにがあっても許されない事!
これを皆さんにはっきり意識してほしいのです。
いじめは心への暴力
いじめは心への暴力です。体のケガは病院に行けば1か月くらいで治りますが、いじめで傷ついた心はなかなか元に戻りません。
自分は価値がない人間なんだ
友だちと関わるのが怖い
学校にいきたくない
など、その傷がずっと残ってしまうことがあります。とくに酷いいじめの場合は、大人になってもトラウマとして残り続けることもあります。
だから、どんな理由があっても、いじめをしていい理由にはならないのです。
②堂々と生きる権利がある
たとえいじめられていたとしても、あなた自身も一人の人間として堂々と生きる権利があります。
自分らしく生きる権利がある
人権は誰も奪うことができません。いじめる人の言葉や行動によって、自分の価値が下がることはないのです。あなたには幸せになる権利があります。
自分らしく過ごす権利
友達と楽しく遊ぶ権利
誰かに助けを求める権利
これらの権利は、生まれた時からあなたが持っているものです。いじめがあっても、それを忘れないでください。あなたは一人ではありません。この権利を守るために、周りの大人に助けを求めることも大切です。
ガマンすればいい?そんなことない
いじめられると「自分が我慢すればいい」と思うかもしれません。
なぐられるのは仕方のないこと
ハブられるのは自分に価値がないから
悪口を言われるのは自信がないから
このように、いじめっ子にたち向かう恐怖から、自分がガマンすればいいんだ・・・と解決をあきらめてしまってはいませんか?しかし、いじめは絶対に許されないことです。けっして我慢すべきことではありません。
あなたが我慢することで解決するなら、いじめはとっくになくなっているはずです。あなたには堂々と自分らしく生きる権利があり、それを守るために行動することは正しいことなのです。
③はずかしい…を見直す
いじめにあっている人は、はずかしくて相談できないことも多いです。その結果、状況が深刻になるまで周りが気づかないケースも少なくありません。
相談できない理由
いじめ被害にあっている人の多くは、さまざまな理由から被害を告白することを躊躇する傾向があります。
負けを認めることになる
先生の力を借りるのは情けない
エスカレートする
親に心配をかけたくない
親を悲しませると思った
などがあります。
いじめを受けている…と打ちあけるのは、自分の弱さをさらけだすこと。恥ずかしい気持ちになるのもわかります。しかし、お店が商品を盗まれたら警察に相談します。めいわく行為を受けたら、弁護士に相談します。これは社会ではいたって普通のことなのです。
そのため、被害を相談することは恥ずかしいことではありません。社会では悪いことをされて黙っている方が、恥ずかしいことだったりもします。正々堂々と毅然とした態度で訴えればいいのです。
早めに相談をしよう
いじめられていると、「誰にも言えない」「恥ずかしい」と思うかもしれません。でも、一人で抱え込むより、早めに誰かに相談することが解決への第一歩です。大人はいじめに気づきにくいので、あなたから伝えることが大切です。例えば、
先生に休み時間や放課後に相談する
保健室の先生に相談する
家族に学校でつらいことがあると切り出す
手紙やメールで状況を説明する
などが挙げられます。最初に相談した人が理解してくれなかったとしても、あきらめないでください。別の人に話してみましょう。必ずあなたの味方になってくれる大人がいます。小さな勇気が、大きな変化を生み出すのです。あなたは一人ではありません。
④記録をする
いじめと闘うためには証拠が必要です。あなたの言葉だけでなく、具体的な記録があれば、問題解決がずっと早くなります。記録は「これが起きた」という事実を示す大切な証拠になるのです。
被害記録は重要な証拠
いじめを解決するには、いつ、どこで、どんないじめがあったのかを記録することが大切です。記録は先生やカウンセラーに説明するときの大事な情報になります。また、外部の相談機関に話すときにも役立ちます。
具体的には、
専用のノートを用意する
真や動画で証拠を残す
受け取ったメッセージを保存する
ボイスレコーダーを使う
傷やあざがあれば写真に撮る
などが挙げられます。
記録することで、「いつから」「どのくらいの期間」「どんな頻度で」いじめがあったのかがはっきりします。また、記録することで自分の気持ちを整理することもできます。複製を作っておくことも忘れないでください。
6項目で事実を記録
記録は簡単なメモでも構いませんが、いくつかの基本項目を含めると効果的です。大切なのは、事実をそのまま書くことです。感情や推測は別の場所に書きましょう。
①曜日,時間帯
②場所
③いじめをした人の名前
④その時に一緒にいた人の名前
⑤どのようないじめを受けたか
⑥いじめで体調や心理がどう変化したか
以上6項目です。
できれば被害を受けた日はすべて記録しましょう。最初は些細なことに思えても、記録することで「これはいじめだ」と気づくきっかけになることもあります。記録は自分を守る大切な武器です。
⑤助けを求める
いじめと闘うのに、一人で悩む必要はありません。あなたを助けたいと思っている人は必ずいます。でも、その人たちはあなたが困っていることに気づいていないかもしれません。勇気を出して助けを求めましょう。
家族への相談がきほん
具体的には誰に助けを求めればいいのでしょうか。
お父さん、お母さん
兄弟姉妹
おじいちゃん、おばあちゃん
親戚のおじさん、おばさん
あなたを近くで見守っている大人の力は、いじめ被害を解決する大きな力になるはずです。大人から学校に相談してもらうこともできます。
学校で頼れる人
学校内で信頼できる人も、あなたを守ってくれる大きな力になるでしょう。
話しやすい先生
信頼できる先輩、後輩
信頼できる友人
直接話がしずらいようなら、手紙や電話を使って伝えることもできます。匿名にすれば、間接的にいじめ被害の状況を伝えることができます。
また先生への相談は、担任以外の先生でも構いません。安心できる人、伝えやすい方法を選んでいじめの状況をまずは伝えましょう。
外部の機関
身近な人や学校に相談しずらい場合は、専門の相談機関の利用を考えてみてください。代表的な相談機関は以下の通りです。
スクールカウンセラー
電話相談
SNS相談(メールやライン等)
教育委員会
警察(*悪質な場合)
児童相談所(*虐待等の場合)
法律事務所(*法が絡む場合)
相談機関によって特徴があるので、自分に合ったものを選んで相談してみてください。相談の形態も多種多様です。登録制のもの、無料のものなど、その種類も特徴もさまざまです。
まずは自分の住んでいる地域と相談機関で検索をしてみると身近な相談先が実感しやすいと思います。学校や家族以外にも、あなたの力になってくれる人は多くいます。一人で抱え込まないで、ドンドン相談していきましょう。
⑥安全地帯を持つ
いじめから身を守るためには、「安全な場所」を確保することが大切です。いじめから距離を取ることは、あなたの心と体を守る重要な方法なのです。
逃げるではなく避ける
いじめから身を守るために、いじめが起きる場所や時間を避けることはかしこい選択です。「逃げている」と思わずに、「自分を守っている」と考えましょう。例えば、
目の前に車が来たら避ける
台風のときは家にいる
不審者にはちかづかない
など自分を守るために、避難したり、人と距離を置くのは全く恥ずかしいことではありません。あなたの安全と健康を守るためのかしこい選択です。一度距離を取ることで、冷静に対策を考えることもできます。
身の守り方
私が関わった事例と上記の事を踏まえ、効率のよい身の守り方をまとめました。
身の守り方 | 効率 |
学校を休む |
身を守れる。家族が気にかける |
病院に行く |
強力な証拠になる。心の悪化をさけることができる |
登校時に公民館や図書館へ行く |
職員が学校や家に連絡する。いじめを知ってもらうきっかけになる |
教室ではなく保健室に登校 |
保健室の先生から先生へ報告。いじめを知ってもらえる |
登下校の時間変更 |
物理的に距離を置ける。周囲が異変に気付く |
休み時間は図書室等へ |
物理的に距離を置ける。身を守れる |
いかがでしょうか。この中で、自分にできるようなことがあったらぜひ試してください。
⑦転校する
いじめを解決する方法はいろいろありますが、環境を変えることも大切な選択肢の一つです。転校は「新しい一歩」と考えましょう。
転校も解決方法になる
「転校」は、いじめ解決の有効な方法のひとつです。転校は「逃げているのでは」と躊躇してしまうかもしれません。しかしいじめがある状況では、逃げることが必要な場合もあります。
いじめ被害は、加害者が被害者に謝罪をし、いじめがなくなることで解決するのが一般的です。しかし、
学校に相談をしてもいじめを解決してもらえない
学校に不信感があるといった場合には、いじめられている環境から離れることが解決となるのです。
いじめのない学校に通うことで、身の安全を第一に安心して学校生活を送れるようになったケースはたくさんあります。転校をためらう必要はありません。
引っ越さなくても転校できます
学区の公立学校でも、いじめ被害が原因の場合には、引っ越しをしなくても転校ができます。
詳しい内容は、文部科学省の通知(平成19年3月30日付)に記載されています。転校に関して、学校や教育委員会が難色を示す場合には、こちらの「文部科学省の通知」を示してみてください。
⑧何かに打ち込む
いじめの加害者は、実に可哀そうな人だと私は思います。いじめでしか物事の解決ができない、そして何より人生の時間を無駄遣いしているのですから。
いじめをする人は無関係にあなたは、大事な人生のために時間を使うことに集中していきましょう。
例えば、
・将来に向けて勉強する
・今いる友人を大事にする
・スポーツに打ち込む
・好きな本を歩む
何かに打ち込み集中することで、自己実現へと意識が変わり成長することができるでしょう。
まとめ
ここで私から、今いじめられているあなたへメッセージです。
私は以下の言葉が気に入っています。いじめから逃げることに、もしもためらいがあるのなら読んでほしいです。
もしも、逃げるという言葉のイメージが気になっているであれば、『違う景色を見るために、少しだけ回り道をしよう』と思えばいいのです。もしかしたら、周り道をしたぶん、あなたの人生に深みが増すことだって考えられます。(長野,2017)
いじめは避けていいのです。自分の身を一番大切にして、安全基地となる場所で冷静になれるようにすることです。
そうして、さまざまな視点から解決の糸口を見つけていければ、身が傷つくよりもずっと良いです。
今いじめられているあなたへ
知識は武器となります。
解決への糸口を見つけるために、さまざまな方法を調べてください。
相談をご希望の方へ
いじめ撲滅委員会では、全国の小~高校生・保護者のかた、先生方にカウンセリングや教育相談を行っています。カウンセラーの栗本は、「いじめ」をテーマに研究を続けており、もうすぐで10年になろうとしています。
・いじめにあって苦しい
・いじめの記憶が辛い
・学校が動いてくれない
・子供がいじめにあっている
など、いじめについてお困りのことがありましたらご相談ください。詳しくは以下の看板からお待ちしています。
<参考・引用文献>
深谷 和子 1996 「いじめ世界」の子どもたちー教室の深淵 金子書房.
福井 義一・小山 聡子 2015 いじめられる側にも問題があるって本当ですか?その3-いじめ被害者への 有責性認知判断における「理由の分析― 日本教育心理学会第57回総会,351.
辻川 和彦 2017 現場発!失敗しないいじめ対応の基礎・基本 日本標準.