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いじめで慰謝料は請求できる?民事訴訟の流れと金額相場

いじめ撲滅

~ いじめ防止対策推進法 ~ いじめで慰謝料は請求できる?民事訴訟の流れと金額相場を解説

はじめまして!いじめ撲滅委員会代表、公認心理師の栗本顕です。私の専門は「いじめ」です。心理学の大学院で研究もしてきました。現在はいじめの問題を撲滅するべく、研修やカウンセリング活動を行っています。

いじめ撲滅委員会代表栗本顕

今回のテーマは「いじめで慰謝料は請求できる?民事訴訟の流れと相場」です。お子さんがいじめの被害に遭い、心も体も傷ついている姿を見るのは、親として本当につらいことです。

加害者や学校に責任を取ってもらいたいと考えるのは当然のことです。本記事では、いじめの慰謝料請求の方法、金額の相場、民事訴訟の具体的な流れについて解説していきます。

目次は以下の通りです。

いじめで慰謝料請求できるケース
請求できる金額の相場
慰謝料以外に請求できるお金
証拠収集の具体的な方法
内容証明郵便の送り方
示談交渉の進め方
民事訴訟の手続きと流れ
民事訴訟にかかる費用
学校の責任を問う方法
弁護士に依頼するメリット
実際の判例から学ぶ
よくある失敗と注意点

いじめは決して許されない行為です。被害を受けたお子さんと家族の権利を守るために、正しい知識を持つことが大切です。ぜひ最後までご一読ください。

いじめで慰謝料請求できるケース

いじめは法律上の「不法行為」にあたる場合があり、加害者や学校に対して慰謝料を請求できます。ここでは、どのような場合に請求できるのかを見ていきましょう。

不法行為として認められる条件

いじめが慰謝料請求の対象になるには、民法という法律で定められた「不法行為」に当てはまる必要があります。民法第709条では、故意や過失によって他人の権利を侵害した場合、損害を賠償する責任があると定めています。

いじめは、殴る蹴るなどの暴力、悪口や無視などの精神的な攻撃、物を壊す行為などが該当します。これらの行為によって、お子さんが精神的な苦痛を受けたり、怪我をしたりした場合、その苦痛や損害に対する賠償として慰謝料を請求できるのです。

大切なのは、いじめと損害の間に因果関係があることです。つまり、いじめが原因で被害が生じたことを証明する必要があります。

請求できる相手は誰か

慰謝料を請求できる相手は、いじめた本人だけではありません。請求できる相手は以下になります。

いじめた本人
加害者の親
学校や設置者

まず、いじめた本人に請求できます。ただし、小学生以下の子どもは責任能力がないと判断される場合が多いため、その場合は加害者の親に請求します。親には子どもを監督する義務があるためです。

また、学校がいじめを知っていたのに適切な対応をしなかった場合、学校にも責任を問えます。公立学校なら国や自治体、私立学校なら学校法人が相手になります。このように、複数の相手に対して請求できる可能性があるのです。

いじめ慰謝料を請求できるケース

請求できる金額の相場

慰謝料の金額は、いじめの内容や被害の程度によって大きく変わります。ここでは、実際の裁判例を基にした相場を見ていきましょう。

被害の程度別の相場

慰謝料の金額は、いじめの軽さや重さによって変わります。被害の程度別の相場は以下になります。

軽度:0~20万円
中程度:数十万円
重度:数百万円
死亡:数千万円

軽いいじめで被害が少ない場合、慰謝料は0円から20万円程度になることが多いです。悪口を言われた程度であれば、この範囲になります。怪我を負ったり、転校を余儀なくされたりした場合は、数十万円から数百万円になります。

実際の裁判では、半年間不登校になった事例で100万円から200万円が認められています。最も重いケースとして、いじめが原因で自殺した場合は、1500万円から2000万円、場合によっては数千万円の慰謝料が認められることもあります。

金額を決める要素

慰謝料の金額を決める要素は以下になります。

いじめの期間
いじめの頻度
被害の内容
後遺症の有無

裁判所は、いじめがどれくらいの期間続いたのか、どのくらいの頻度で行われたのかを重視します。毎日のように続いたいじめは、単発のものより高額になります。また、暴力の程度や精神的苦痛の大きさも考慮されます。

心の病気になったり、体に障害が残ったりした場合は、その分が上乗せされます。不登校の期間が長いほど、金額も高くなる傾向にあります。これらの要素を総合的に判断して、最終的な金額が決まるのです。

慰謝料以外に請求できるお金

いじめの被害では、慰謝料以外にもさまざまな費用を請求できます。実際にかかった費用をしっかり請求しましょう。

治療費と通院費

いじめによって怪我をしたり、心の病気になったりした場合、病院での治療にかかった費用を請求できます。治療費には、診察代、薬代、検査代などが含まれます。また、病院に通うための交通費も請求できます。

バスや電車の運賃、車で通った場合のガソリン代も対象です。お子さんが一人で通院できない場合、親が付き添うための費用も認められます。親が仕事を休んで付き添った場合の休業損害も請求できる可能性があります。

これらの費用を請求するには、病院の領収書や診断書を必ず保管しておくことが大切です。日付と金額がわかる記録を残しましょう。

転校・転居費用

転校や引っ越しにかかった費用を請求できる条件は以下になります。

いじめとの因果関係
転校の必要性
転居の必要性

いじめが原因で転校したり、引っ越しをしたりした場合、その費用も請求できる可能性があります。ただし、これが認められるには、いじめと転校・転居の間に因果関係があることを証明する必要があります。

つまり、いじめがあったから転校や引っ越しをせざるを得なかったという事実を示すのです。引っ越し代、新しい制服代、教科書代などが対象になります。

ただし、加害者側はこの請求に対して争うことが多く、認められるハードルは高いのが現実です。転校の必要性を示す証拠をしっかり集めることが重要になります。

逸失利益の請求

逸失利益とは、いじめがなければ得られたはずの利益のことです。たとえば、いじめが原因で不登校になり、勉強が遅れて進学できなかった場合、将来の収入が減る可能性があります。この減った分の収入を逸失利益として請求できます。また、いじめによって障害が残った場合、本来働いて得られたはずの収入が減ります。

この場合も逸失利益の請求が認められます。最も深刻なケースとして、いじめが原因で亡くなった場合、その子が将来働いて得られたはずの収入を計算して請求できます。逸失利益の計算は複雑なので、弁護士に相談することをお勧めします。

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証拠収集の具体的な方法

いじめの慰謝料を請求するには、証拠が何よりも重要です。ここでは、どのような証拠を集めればよいのか、具体的な方法を紹介します。

日記やメモの作成

日記やメモに記録すべき内容は以下になります。

いつ起きたか
どこで起きたか
誰にされたか
何をされたか
どう感じたか

日記やメモは、いじめの証拠として非常に有効です。お子さんに、いじめられたことを毎日記録するよう勧めてください。記録する際は、日付と時間を必ず書きます。場所も具体的に書きましょう。「教室で」ではなく「3年2組の教室の自分の席で」というように詳しく書くことが大切です。誰にされたのか、名前をはっきり書きます。

どんなことをされたのか、どんな言葉を言われたのかも具体的に記録します。そのとき、どう感じたのか、心の状態も書いておくとよいでしょう。日記帳やノートに手書きで書くと、より信用性が高くなります。

写真と動画の撮影

写真や動画は、いじめがあったことを示す強力な証拠になります。お子さんが怪我をした場合、すぐに写真を撮りましょう。あざや傷がはっきり写るように撮影します。日付が入るカメラやスマートフォンを使うとよいでしょう。

物を壊されたり、汚されたりした場合も、その状態を写真に残します。可能であれば、いじめの現場を動画で撮影できれば最高です。ただし、無理に撮ろうとして、いじめがひどくなる危険もあるので注意が必要です。

SNSで悪口を書かれた場合は、スクリーンショットを撮って保存します。画面全体が写るように撮影し、日付と時刻がわかるようにしましょう。削除される前にすぐに保存することが大切です。

診断書の取得方法

診断書を取る際のポイントは以下になります。

目的を伝える
詳細を説明する
原因を明記する

病院で診断書を取る際は、医師に目的をはっきり伝えましょう。「いじめの証拠として使いたい」と最初に言うことが大切です。お子さんの症状が、いじめによるものだと医師に詳しく説明してください。

いつからどんないじめを受けているのか、その結果どんな症状が出ているのかを伝えます。診断書には、「いじめによるストレスが原因」というように、原因を明記してもらうようお願いしましょう。

ただ「うつ病」と書かれているだけでは不十分です。原因が書かれていない診断書をもらった場合は、別の病院でセカンドオピニオンを受けることも検討してください。領収書も必ず保管しておきましょう。

録音データの保存

録音は、暴言や脅しの証拠として非常に有効です。小型のボイスレコーダーをお子さんに持たせて、いじめの現場を録音できるとよいでしょう。スマートフォンでも録音できますが、大きいので見つかりやすいという欠点があります。

小型のボイスレコーダーなら、ポケットやカバンに入れて目立たずに録音できます。録音する際は、周りの雑音が入らないよう注意します。雑音が多いと、何を言っているのか聞き取れず、証拠として使えなくなる可能性があるからです。録音したデータは、必ずコピーを取って保存しましょう。

元のデータが消えてしまっても、コピーがあれば安心です。日付と内容がわかるようにファイル名を付けて管理してください。

証拠を残す方法について詳しく知りたい方は以下をご覧ください。

いじめの証拠になるものは?メモ・録音・録画などの集め方

内容証明郵便の送り方

証拠が集まったら、まず相手に内容証明郵便を送ります。これは、正式に慰謝料を請求する最初のステップです。

内容証明とは何か

内容証明郵便とは、いつ、誰が、誰に、どんな内容の手紙を送ったのかを、郵便局が証明してくれる特別な郵便です。普通の手紙と違い、「送った・送っていない」という争いを防げます。

内容証明には法的な強制力はありませんが、送ることで相手にプレッシャーを与えられます。特に弁護士の名前で送ると、「本気で訴えるつもりだ」という意思が伝わり、相手が早く対応する可能性が高まります。

送るタイミングは、証拠が十分に集まってからです。証拠が不十分なまま送ると、相手に否定されて終わってしまいます。いじめの事実を否定できないくらいの証拠を集めてから送りましょう。

記載すべき内容

内容証明郵便に書く内容は以下になります。

いじめの事実
停止の要求
損害額の提示
回答期限

内容証明には、まずいじめの事実を具体的に書きます。いつ、どこで、誰が、何をしたのかを明確に記載します。次に、いじめをすぐに止めるよう求めます。そして、受けた損害に対する慰謝料の金額を提示します。

計算の根拠も簡単に説明しましょう。最後に、回答の期限を設定します。「この手紙が届いてから2週間以内に回答してください」というように書きます。証拠のコピーを添付すると、より効果的です。文章は、感情的にならず、冷静に事実を書くことが大切です。書き方がわからない場合は、弁護士に相談して作成してもらいましょう。

弁護士名義で送るメリット

内容証明を弁護士の名義で送ると、相手に与える心理的なプレッシャーが大きくなります。弁護士から手紙が来たということは、本気で法的措置を取る準備ができているというメッセージになるからです。加害者の親は「このままではまずい」と感じ、早く対応しようとする可能性が高まります。

また、弁護士が書いた内容証明は、法律的に正確で漏れがありません。素人が書くよりも、説得力があります。実際、弁護士名義の内容証明を送っただけで、いじめが止まったり、示談が成立したりするケースも多いのです。費用はかかりますが、早期解決につながる可能性があるため、検討する価値は十分にあります。

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示談交渉の進め方

内容証明郵便に相手が応じれば、示談交渉が始まります。裁判をせずに、話し合いで解決を目指すステップです。

交渉開始の流れ

示談交渉は、加害者側と被害者側が直接、または弁護士を通じて話し合いをすることです。まず、お互いに会う日時と場所を決めます。学校や中立的な場所で行うことが多いです。

最初の話し合いでは、いじめの事実を確認します。相手がいじめを認めるかどうかが大きなポイントです。認めた場合は、次に損害額の交渉に進みます。

こちらが提示した金額に対して、相手が「高すぎる」と言ってくることもあります。その場合は、証拠を示しながら、なぜその金額が妥当なのかを説明します。お互いに譲歩しながら、落としどころを探っていきます。感情的にならず、冷静に話し合うことが成功の鍵です。

示談成立の条件

示談が成立する条件は以下になります。

事実の認定
謝罪の実施
金額の合意
書面の作成

示談が成立するには、まず加害者側がいじめの事実を認める必要があります。次に、被害者と家族に対して謝罪が行われます。口頭だけでなく、書面での謝罪を求めることもできます。そして、損害賠償の金額について合意します。支払い方法や支払い期限も決めます。一括で払うのか、分割で払うのかも話し合います。

合意ができたら、必ず示談書を作成します。示談書には、合意した内容をすべて書き込みます。「今後、いじめのことを外部に口外しない」という守秘義務の条項を入れることもあります。双方が署名・押印して、示談が正式に成立します。コピーを取って、それぞれが保管します。

交渉が決裂した場合

示談交渉がうまくいかない場合もあります。相手がいじめの事実を否定したり、金額で折り合いがつかなかったりするケースです。その場合は、次のステップに進みます。一つの選択肢は、民事調停を申し立てることです。民事調停とは、裁判所で調停委員という第三者が間に入って話し合いをする手続きです。

裁判よりも時間と費用がかからず、柔軟な解決が期待できます。それでも解決しない場合は、最終手段として民事訴訟を起こします。裁判は時間もお金もかかりますが証拠がしっかりあれば、裁判所が公正な判断を下してくれます。どのステップに進むかは、弁護士と相談して決めましょう。

民事訴訟の手続きと流れ

示談や調停でも解決しない場合、最終的に民事訴訟を起こすことになります。ここでは裁判の具体的な流れを見ていきましょう。

訴状の作成と提出

訴状に書く内容は以下になります。

当事者の情報
請求の内容
いじめの事実
証拠の一覧

民事訴訟を始めるには、まず訴状という書類を作成します。訴状には、原告(訴える側)と被告(訴えられる側)の名前と住所を書きます。

次に、何を請求するのかを明確に書きます。「被告は原告に対して○○万円を支払え」というように具体的に記載します。そして、いじめの事実を時系列に沿って詳しく説明します。

いつ、どこで、誰が、何をしたのか、その結果どんな被害を受けたのかを書きます。証拠の一覧も添付します。訴状ができたら、裁判所に提出します。提出先は、相手の住所地を管轄する地方裁判所または簡易裁判所です。請求額が140万円以下なら簡易裁判所、それを超える場合は地方裁判所に提出します。

裁判の進行過程

訴状を提出すると、裁判所から第1回の口頭弁論の日程が通知されます。口頭弁論とは、原告と被告が裁判官の前で、お互いの主張を述べる場です。通常、月に1回のペースで開かれます。

原告側は、いじめがあったこと、それによって損害を受けたことを主張します。被告側は、いじめの事実を否定したり、損害の額が高すぎると反論したりします。

証拠を提出し合い、必要があれば証人尋問も行います。お子さん本人や、いじめを見ていた友達が証人として話すこともあります。裁判官は、双方の主張と証拠を聞いて、判断の材料にします。この過程を何回か繰り返しながら、裁判は進んでいきます。

判決または和解

裁判の終わり方には2つあります。一つは判決で、もう一つは和解です。判決は、裁判官が最終的な判断を下すことです。いじめがあったと認められれば、被告に対して損害賠償の支払いを命じる判決が出ます。

逆に、証拠が不十分だと判断されれば、請求が棄却されることもあります。和解は、裁判の途中で、裁判官の勧めによって当事者が話し合い、合意に達することです。

実際の裁判では、判決まで行かずに和解で終わるケースも多いです。和解の内容は、判決よりも柔軟に決められます。金額を少し下げる代わりに、早く解決できるというメリットがあります。どちらを選ぶかは、状況に応じて判断します。

強制執行の手続き

判決が確定しても、相手が自主的に支払わない場合があります。その場合は、強制執行という手続きを取ります。強制執行とは、裁判所の力を借りて、相手の財産から強制的にお金を回収することです。

まず、相手の財産を調べます。銀行口座、給料、不動産などが対象になります。財産が見つかったら、裁判所に強制執行の申し立てをします。裁判所が認めれば、銀行口座からお金を差し押さえたり、給料から天引きしたりできます。

ただし、相手に財産がない場合は、回収できないこともあります。未成年の子どもが加害者の場合、本人には財産がないことが多いので、親の財産を狙うことになります。

 

民事訴訟にかかる費用

裁判を起こすには、お金がかかります。どのくらいの費用が必要なのか、事前に知っておきましょう。

裁判所への費用

裁判所に支払う費用は以下になります。

収入印紙代
郵便切手代
その他実費

裁判所に訴状を提出する際、収入印紙を貼る必要があります。収入印紙の金額は、請求する金額によって決まります。たとえば、100万円を請求する場合、収入印紙代は1万円です。200万円なら1万5000円、300万円なら2万円です。

金額が大きくなるほど、収入印紙代も高くなります。また、裁判所が相手に書類を送るための郵便切手代も必要です。金額は裁判所によって異なりますが、数千円程度です。

その他、証人の交通費や、書類のコピー代などの実費もかかります。これらを合わせても、数万円程度で済むことが多いです。裁判所への費用は、弁護士費用に比べれば、それほど高くありません。

弁護士費用の相場

弁護士に依頼する場合、着手金と報酬金がかかります。着手金は、裁判を始める時に支払うお金です。結果に関係なく支払います。報酬金は、裁判に勝った時に支払うお金です。

一般的な相場として、請求額の8%が着手金、16%が報酬金になることが多いです。たとえば、300万円を請求する場合、着手金が24万円、報酬金が48万円で、合計72万円の弁護士費用がかかります。

ただし、勝訴すれば、認められた金額の約1割を弁護士費用として相手に請求できます。つまり、300万円が認められれば、約30万円を相手に負担させられるので、実質的な負担は減ります。弁護士によって料金体系は異なるので、事前によく確認しましょう。

いじめ慰謝料

学校の責任を問う方法

いじめた子どもだけでなく、適切に対応しなかった学校の責任も問える場合があります。

安全配慮義務違反

学校には、生徒の安全を守る義務があります。これを安全配慮義務といいます。いじめ防止対策推進法という法律でも、学校はいじめを防止し、早期に発見し、適切に対処する責任があると定められています。

もし学校が、いじめがあることを知っていたのに、何も対応しなかった場合、安全配慮義務違反になります。また、対応が不十分だった場合も同様です。

たとえば、親がいじめの相談をしたのに、学校が「様子を見ましょう」と言って放置した場合などです。このような場合、学校に対して損害賠償を請求できます。ただし、学校の責任を認めさせるには、学校がいじめを知っていたことを証明する必要があります。相談した記録を残しておくことが大切です。

国公立と私立の違い

学校の責任を問う場合の違いは以下になります。

公立:国や自治体
私立:学校法人
根拠法の違い

学校の責任を問う方法は、公立学校と私立学校で異なります。公立学校の場合、学校そのものを訴えることはできません。訴える相手は、学校を設置している国や自治体になります。

市立の学校なら市、県立の学校なら県に対して訴えます。根拠となる法律は、国家賠償法です。一方、私立学校の場合は、学校を運営している学校法人を訴えます。根拠となる法律は、民法です。

また、私立学校では、いじめに関わった教師個人の責任も問えます。しかし、公立学校の教師は公務員なので、個人の責任は問えません。このように、公立と私立では、訴える相手と法律が違うので、注意が必要です。

弁護士に依頼するメリット

いじめの慰謝料請求は、法律の専門知識が必要です。弁護士に依頼することで、多くのメリットがあります。

専門的なサポート内容

弁護士に依頼すると、まず証拠集めのアドバイスをもらえます。どんな証拠が有効なのか、どうやって集めればいいのかを教えてくれます。内容証明郵便の作成も任せられます。法律的に正確で、効果的な内容にしてくれます。

示談交渉では、弁護士が代理人として相手と話し合ってくれます。感情的にならずに、冷静に交渉を進められます。訴訟になった場合も、訴状の作成から口頭弁論まで、すべてを任せられます。

法廷でのやり取りは専門知識が必要なので、弁護士がいると安心です。また、相手からの連絡も弁護士が受けてくれるので、精神的な負担が大きく減ります。わからないことがあれば、いつでも相談できるのも心強いです。

依頼のタイミング

弁護士に相談するタイミングは以下になります。

いじめ発覚時
証拠集め前
学校対応前

弁護士への相談は、早ければ早いほどよいです。理想的なのは、いじめが発覚した直後です。証拠集めの段階から弁護士のアドバイスを受けることで、有効な証拠を集められます。後から「この証拠が足りない」と言われて困ることがありません。

学校に相談する前に弁護士に相談すれば、どう対応すればいいのかアドバイスをもらえます。学校との話し合いの記録の取り方なども教えてくれます。多くの弁護士事務所が、初回の相談を無料にしています。

「弁護士に頼むのは大げさかな」と思わずに、まずは相談してみることをお勧めします。早い段階で専門家の力を借りることが、問題解決への近道です。

よくある失敗と注意点

慰謝料請求をする際、注意すべき点があります。失敗しないために、事前に知っておきましょう。

証拠不足での請求

最も多い失敗は、証拠が不十分なまま請求してしまうことです。「うちの子がいじめられていると言っているから、間違いない」と思っても、客観的な証拠がなければ、裁判所は認めてくれません。

相手が「いじめていない」と否定した場合、証拠がなければ「言った・言わない」の水掛け論になってしまいます。日記、写真、診断書、録音など、複数の証拠を集めることが大切です。

証拠が一つだけでは弱いので、できるだけ多くの証拠を用意しましょう。また、証拠は事実を客観的に示すものである必要があります。「いじめられた気がする」という曖昧な記録ではなく、「○月○日、○○君に蹴られた」という具体的な記録が重要です。証拠集めに不安がある場合は、弁護士に相談しましょう。

時効の問題

損害賠償請求の時効は以下になります。

被害を知った日
3年で時効
最長20年

損害賠償の請求には、時効があります。いじめの被害を知った時から3年以内に請求しないと、時効で請求できなくなります。また、いじめが起きた時から20年が経過しても、時効になります。

「いつか訴えよう」と思っているうちに、時効が来てしまうことがあるので注意が必要です。特に、お子さんが成人してから訴えようと考えている場合、気づいたら時効になっていることがあります。

いじめが発覚したら、早めに行動を起こすことが大切です。時効が迫っている場合は、急いで弁護士に相談しましょう。内容証明郵便を送るなどして、時効を止める手続きを取る必要があります。

加害者に支払い能力がない場合

いじめた子どもが未成年で、働いていない場合、本人にはお金を払う能力がありません。判決で慰謝料の支払いが認められても、実際には回収できないことがあります。このような場合は、加害者の親に請求することになります。

親には子どもを監督する義務があるので、その義務を怠ったとして責任を問えます。ただし、親の責任を認めさせるのは簡単ではありません。親が適切に子どもを監督していたことを証明されると、責任が認められないこともあります。

また、親にも財産がない場合は、判決が出ても回収できません。このリスクを理解した上で、訴訟を起こすかどうかを判断する必要があります。弁護士と相談して現実的な見通しを立てましょう。

まとめ

お子さんがいじめの被害に遭い、深く傷ついている姿を見るのは、親として何よりもつらいことです。しかし、泣き寝入りする必要はありません。いじめは法律で禁じられた不法行為であり、加害者や学校に責任を取らせることができます。慰謝料の請求には、証拠集め、内容証明郵便の送付、示談交渉、そして必要であれば民事訴訟という流れがあります。

一人で抱え込まず、早い段階で弁護士に相談することをお勧めします。専門家の力を借りることで、お子さんと家族の権利を守り、正当な賠償を受けることができます。時効もあるので、行動は早めに起こしましょう。この記事が、いじめに苦しむ家族の助けになれば幸いです。お子さんの未来を守るために、一歩を踏み出してください。

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出典
[1] 文部科学省. (2023). 令和4年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果について.

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