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いじめによる事件>愛知県名古屋市中学生5000万円恐喝事件

いじめ撲滅

~ いじめによる事件 ~ いじめによる事件⑦愛知県名古屋市中学生5000万円恐喝事件

はじめまして!
いじめ撲滅委員会代表の栗本顕です。

私は学生時代、そうぜつないじめを体験してきました。
その後この問題を世界からなくすことを決意し、心理学の大学院でいじめの防止策を研究してきました。

現在は公認心理師として、いじめの解決策や、教育相談を行っています。

全国の小~高校生・保護者のかた、先生方にカウンセリングや教育相談を行っています。

大学生の頃から、とりわけ「いじめ」をテーマに研究を続けており、もうすぐで10年になろうとしています。
私自身がいじめが原因で不登校になった経験を大いに活かし、今後のいじめ対策に貢献ができればと思います。

今回は、いじめによる事件の中で、愛知県名古屋市中学生5000万円恐喝事件を取り上げます。
いじめは事件にも発展する危険のあるものです。
今まで起きてしまった悲しき事件の全容を理解し、二度と起こらないようにしていかなくてはなりません。
その責任が、我々教育関係者にはあります。

いじめによる事件⑦愛知県名古屋市中学生5000万円恐喝事件

目次

事件の概要

愛知県名古屋市中学生5000万円恐喝事件(なごやしちゅうがくせいごせんまんえんきょうかつじけん)とは、2000年4月に発覚した少年犯罪です。
中学生がいじめの概念を通り越して5000万円という膨大な被害金額を一人の中学生から恐喝で脅し取っていたこと、
加害者の少年たちが口止めのために、被害少年殺害計画すら立てていたことが世間から注目されました。

愛知県名古屋市中学生5000万円恐喝事件

場所:    愛知県名古屋市
被害者:   男子中学生(当時)
日付:    1999年6月頃から
手段:    暴行、恐喝等々
加害者側人数:同級生A、他10数名の少年

いじめによる事件⑦愛知県名古屋市中学生5000万円恐喝事件

事件の流れ

1999年6月頃、名古屋市緑区の名古屋市立扇台中学校に通う被害生徒は、同級生のAから帽子にジュースのシミをつけたことに因縁をつけられて金を要求されます。
怖くなった被害生徒は自分の預金19万円を引き出してAに渡しました。

その後、Aと同級生のBは1999年6月から2000年1月までの8ヶ月間にわたって被害生徒から金を脅し取っていました。
恐喝された回数は130回にも及び、多いときには1回の恐喝金額が500万になることもあり、被害総額は5207万円にもなりました。

約5000万円という大金を支払うことのできる被害生徒の家庭は、決して裕福ではありませんでした。
恐喝されていた被害生徒は母親に金を要求して暴れたため、耐えかねた母親が事故死した父親の生命保険や預貯金を取り崩したり親類に借りるなどして金を工面していました。

Aらは被害者生徒をタレントに似ていることになぞらえて「○○○金融」と馬鹿にして預金口座から金を引き出すような感覚で金を脅し取っていました。
Aらは被害者生徒から恐喝した約5000万円の殆どを遊興費に浪費しました。

オメガの腕時計やアルマーニのスーツなどブランド品を買い漁ったり、交際相手の女生徒に『被害者生徒から恐喝した金』と大金を見せびらかし、
その女生徒にも数万円単位で『お小遣い』として現金を与え、パチンコやゲームセンターやカラオケや風俗店などに使われていました。

学校への登校やゲームセンター等への移動などには、タクシーを運転手付きの車のような感覚で電話で呼びだし、頻繁に移動手段として利用していました。

1999年10月には「食い倒れ旅行」と称して、大阪府でフグやカニなどの高級料理を食べた後にブランド品を買い漁り、大阪と名古屋の往復にタクシーを利用をしました。

被害者生徒の中学校近辺のタクシー運転手の間ではAらの豪遊ぶりはよく知られていました。
また、Aらは恐喝だけではなく、理由もなく鼻が骨折するほど殴ったり、タバコの火を押しつけるといった暴力行為も行っていました。

2000年2月に被害者生徒はAに無理やり連れて行かされたスキー旅行でAらに暴行を受けて、名古屋市の病院に入院しました。
この時の旅行代金や旅先での滞在費は全員分被害者生徒に負担させていました。

被害者生徒は、顔がボコボコに腫れ、肋骨が折れるなど、ひどい怪我を負っていた。
同じ病室には暴力団組長を父親に持つ、Yという男性がいました。
Yさんが被害者生徒に怪我の理由を聞くと、「タイマンで喧嘩して負けた」と答えたそうです。

しかし、Yさんには被害者生徒が喧嘩ではなく、一方的に激しい暴行を受けたように見えました。
腕や胸のあたりにタバコを押しつけた跡があり、大人しい被害者生徒が喧嘩をするようには見えなかったからです。

その後、Yさんは他の同室の男性2人と相談し、被害者生徒に積極的に話しかけたりしました。
しかし、被害者生徒は「恐喝されているんじゃないか」と聞かれても、頑なに否定し続けました。

入院初日、同室の3人は被害者生徒の母親に「〇〇君、暴行されて、お金をとられてるんじゃないですか?」と声をかけました。
しかし、母親はやつれた様子で「構わないでください」という態度でした。

明らかにひどい暴行を受けた跡があったのですが、母親は病院にも「警察には言わないで下さい」と頼んでいたそうです。
2月中旬に、Yさんらは病院の屋上で、被害者生徒が2人の少年といるのを見つけました。

同室の男性が「お前ら、いい加減にせえよ!」と怒鳴ってにらむと、少年たちはオドオドして「友達なんです。見舞にきただけです」と答えたそうです。
Yさんは少年らに被害者生徒が誰に殴られたのかを尋ねました。

彼らは「別の中学の生徒」と言いましたが、それが嘘あることはYさんには容易にわかりました。
Yさんは2人の携帯電話の番号を聞き、追い返しました。
この一件を境に、被害者生徒は同室の男性たちに心を開き始めるようになりました。

翌日、同室の男性たちは被害者生徒の母親に闘うように説得をし、ようやく立ち向かえるようになりました。
母親がお金を渡したり、警察に相談したりしなかったのは、子どもが殴られて帰ってくるのがたまらないからだったらしい。
Yさんは学校にも電話を入れましたが、「そんな事実は把握していない」という返答だったようです。

一方、少年達はAの家に集まり、被害者生徒と同室の男性から怒鳴られたことから、「このままでは警察に知られる。殺すしかない」と話し合い、
遺書を書かせて、自殺に見せかける計画を立てていました。

3月始め、Yさんは被害者生徒と母親とともに加害者宅を回りました。
加害者の親達の多くは「弁護士に相談する」と言ったり、「金を出す方がおかしい」と話したそうです。
Aは両親の前で、恐喝を認めました。

3月中旬、被害者生徒と母親は預金通帳などの証拠をそろえ、愛知県警・中署に被害届を提出しました。
その後、4月、5月にかけて事件に関わったとされる少年達が続々と逮捕されました。

いじめによる事件⑦愛知県名古屋市中学生5000万円恐喝事件

学校の対応

被害者生徒が通っていた学校は、事件当時は生徒数1300人で市内で一番大きい学校でした。
事件当時の中学校では生徒同士のトラブルが頻発していたそうです。
事件発覚当初はマスコミの取材に対し、教頭は「入院したことは知っているが、いじめや暴行を受けてのものかは把握していない」と答えていました。

また、校長は記者会見の席で、「ちょっとわからない」「把握していない」等を発言しましたが、被害者生徒へのいじめについてはなかったとキッパリと答えました。
しかし、学年主任は恐喝については修学旅行の一件でいじめに関して薄々気づいていたことを述べたものの、その後の指導については「キチンとやっていた」「精一杯やった」と述べていました。

2000年6月13日、名古屋市教育委員会は、休職中の前校長(事件による過労のため入院中)が減俸、教頭に戒告の懲戒処分、
教員4人と市教委事務局長らも文書訓告や口頭訓告となりました。
また、被害届が出されて捜査が進む最中に2000年3月末に被害者生徒の元担任だった女性教諭が一身上の都合で退職しています。

いじめによる事件⑦愛知県名古屋市中学生5000万円恐喝事件

その後

4月5日、主犯のA、B、Cの3人が逮捕されました。
4月12日、4人目Dが逮捕、その後、5月までにAの先輩や、別の中学校の遊び仲間など10人が逮捕されました。

4月24日、田中節夫警察庁長官は、衆院予算委員会で、「被害少年や母親から相談があったものの、継続的に少年や学校から連絡を取らず、迅速に本格的な捜査を開始しなかった」と陳謝しました。
5月18日には、審判が開かれ、100万円を恐喝していたKの中等少年院送致が決定します。
Kの両親は謝罪とともに、520万円を支払うことで示談が成立しました。

6月8には、名古屋家裁で主犯のAとBに「矯正機関での長期の教育を施すのが妥当」と少年院送致を決定しました。
6月9日、愛知県警は緑署長ら5人に対して、訓戒、注意などの処分をしました。
結局、この5000万円恐喝事件で、9人が中等少年院送致、6人が保護観察処分となった。

加害少年たちは、少年院退院後、主犯格だったAとBは2006年2月13日に名古屋市のパチンコ店駐車場で
約1200万円を強奪する事件を起こし、同年11月22日に逮捕されました(逮捕時の2人の年齢は22歳)。
2007年3月30日、名古屋地方裁判所はAに懲役7年6ヶ月、Bに懲役5年6ヶ月の判決を下しました。

加害少年たち

事件に関わっていた少年は以下の通りです。
()内の数字は脅し取ったとされる金額です。

・A (1600万円) 同級生 中心人物
・B (1300万円) 卒業生
・C (930万円)  同級生
・D (170万円) 同級生
・E (80万円) 同級生
・F (50万円) 同級生
・G (400万円)
・H (160万円)
・I (25万円)
・J (250万円)
・K (100万円)
・L 暴行のみ(被害者生徒を用水路に突き落とそうとした)。発覚当時17歳。
・M (10万円 ※Cから分け前をもらう)
・N
・O (140万円 ※Aから恐喝)

いじめによる事件⑦愛知県名古屋市中学生5000万円恐喝事件

メッセージ

残念ながら、児童生徒による恐喝事件は後を絶ちません。
今回ご紹介した事件の前にも、大きな事件になった恐喝事件もあります。
また、近年にも大きな恐喝事件が起きました。

いじめ事件は繰り返してはならないことです。
事件があったことで、反省点や改善点など、見直すことができたと思います。
しかし、実際には繰り返されてしまっています。
だからこそ、以前起きた事件を見直していくことが必要です。

決して忘れてはいけない、軽んじてはいけないことです。
現在起きている問題に目を向けることは大前提ですが、過去に起きた問題にも目を向けて、前に進んでいかなくてはなりません。

愛知県名古屋市中学生5000万円恐喝事件は、被害少年が入院した病院での出会いが解決へのキッカケになりました。
このようなキッカケは、どんなところにもあるわけではなく、本当に、奇跡的な出会いだと思います。

教育関係者、ならびに地域としても児童生徒を見守っていき、「何か変だな」と思ったら動けるようにしていくことができれば、
被害も事件の大きさも、小さい内に介入できるのではないかと考えます。

チーム学校、チーム地域として、児童生徒を見守る機会を作れたらと思います。



≪参考文献≫

二木 啓孝・和田 秀樹 2000 殺人心理「人はなぜ、人を殺すのか」 アスキー.
佐木 隆三・永守 良孝 2000 事件1999-2000 葦書房.
武田さち子 2004 あなたは子どもの心と命を守れますかーいじめ白書 WAVE出版.
産経新聞大阪社会部 2002 誰か僕を止めてください~少年犯罪の病理~ 角川書店.
黒木昭雄 2000 警察はなぜ堕落したのか 草思社.
柿沼昌芳・永野恒夫 編著 2002 学校の中の事件と犯罪2 批評社.

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