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いじめ撲滅

~ これまでのいじめ研究 ~ これまでのいじめ研究③中国・台湾・日本でのいじめ対策

中国・台湾・日本の認識や対策を知る!

はじめまして!
いじめ撲滅委員会代表の栗本顕です。

私は学生時代、そうぜつないじめを体験してきました。
その後この問題を世界からなくすことを決意し、心理学の大学院でいじめの防止策を研究してきました。

現在は公認心理師として、いじめの解決策や、教育相談を行っています。

全国の小~高校生・保護者のかた先生方にカウンセリングや教育相談を行っています。

大学生の頃から、とりわけ「いじめ」をテーマに研究を続けており、もうすぐで10年になろうとしています。
私自身がいじめが原因で不登校になった経験を大いに活かし、今後のいじめ対策に貢献ができればと思います。

今回は、日本だけではなく、その周りの国でのいじめについてご紹介します。
日本で起きているいじめ問題やその対策を知っていくことは、教育現場ですぐに役立つものになります。
しかし、教育現場も国際的になってきた今日、日本だけではなく、その他の国の事についても知っておくと応用ができるものもあると考えられます。
2020年にはオリンピックもありますので、国際的な視点も大切にしていきたいものです。

いじめ撲滅委員会代表栗本顕

中国の対策と学校の役割

中国においては、2000年代以降、身体的または心理的な攻撃を受けた生徒が自殺した事件、および仕返し殺人事件がしばしばメディアで報道されました。
それによって、学校におけるいじめ問題が大きな社会問題として認識されるようになり、メディアや研究者たちから注目を集めてきました。

近年ではスマートフォンやインターネットなどが普及したことで、加害者やその目撃者である傍観者などが撮影した映像などが
SNSといったインターネット上に流出し、メディアに大きく取り上げられることとなった事件もあります。

例えば、2009年に発生した「上海熊姐事件」は、いじめの過程が撮影されて、その動画が後に動画投稿サイトにアップロードされたことで、大きな関心を集めた事件です。
その後、加害者の行為に憤った200人以上のネットユーザーが加害生徒の在籍する学校の校門前に集まり、校長の謝罪を求めたのです。

このことは、いじめ問題が公衆のパニックを招くというリスクが政府に重視され、教育だけでなく行政機関の介入を要請しました。
中国では、2007年に全国の小中学校に配布された『中小学公共安全教育指導綱要』(小中学校における公共安全の学習指導要領のことです)で、
中国教育部ははじめていじめ問題に言及し、学校の安全教育の重要な課題であると規定しました。

また、いじめの危険性と予防の必要性を認めたものの、当時の中国教育部は行為を明確に規定していませんでしたが、
2015年に発行された教育部の研究機構の研究報告ではじめて、いじめが定義されるようになりました。

中国教育部は「学校の教育活動を妨害し、被害生徒の心身的な傷害を与える行為」と認識し、対策の目標を「学校を最も明るく、最も安全な場所にさせる」と定めました。
つまり、「いじめは単に子ども同士、あるいは生徒に関連する攻撃行為だけでなく、学校の教育秩序と安全をおびやかす行為でもある。」ということです。

そのため、対策の目的は加害者に対する懲戒に止まらず、生徒全体の安全意識の向上および学校安全の実現も含んでいます。

以上のような「安全」を中心とした対策は、未然防止と事件処理という2つの目的で国に浸透しています。

まず、予防教育および予防システムによって構成された未然防止の目的では、予防教育が主に安全をめぐり、「じめの危険性を理解し、対応の方法を学び、自分と他人の安全を守る
という方針で展開されてきました。

一方、学校の安全管理体制を充実するために、中国教育部は「学校安全条例」の制定を計画し、関与者の責任を明確にすることで、事件への緊急措置を制定しようとしています。
さらに、学校内部の安全体制に限らず、学校周辺の地域治安を向上することも重視されています。

また、事件の事後処理として、加害者に対する懲戒が強化されました。
とりわけ、『刑法』、『未成年人保護法』、『予防未成年人犯罪法』など、生徒と教職員の安全を守る法律の操作性を強めると同時に、
責任や処罰に関わる内容を具体的に規定しています。

いじめ対策の具体的な内容から見ると、中国教育部のいじめ対策のもとで、「安全事件」特に「安全を妨害した責任事件」として取り扱われています。
防止に関する政府の施策も主に「責任範囲の明確化」という方針を採用しており、いじめ問題の予防および対処における加害者の責任、学校の責任、警察の責任範囲をはっきり規定しました。

具体的には、学校の内部および教育活動において発生した事件が学校の責任範囲に含まれ、学校周辺および校外に起こった事件は、治安管理機関の責任範囲に入っています。

つまり、中国のいじめ対策が公的機関の介入および対策を要請したものの、学校と治安機関の介入が最小限に限られ、安全保護のレベルに抑えられているということです。
この方針のもとで、教育部はいじめ問題を「安全責任に関する事件」と見なしていて、事件の責任者への責任追及を重要視しています。

そのため、安全と法律に関する教育は主に学校によって実行されるが、安全管理の方は場所によって、学校と地域の治安機関によって分担されています。

これまでのいじめ研究③中国・台湾・日本でのいじめ対策

台湾の対策と学校の役割

台湾社会において、学校で起きた生徒間の暴力などの問題行動は、1990年代から徐々に社会的関心を集めてきました。

そして、2005年に台湾教育部はいじめ問題に注目し、学校治安改善プロジェクトを施行し、学校における暴力、いじめ、シンナー濫用、および非行グループなどの問題に取り組んできました。

しかし、2010年に桃園県八徳中学校で発生した集団いじめ事件とその事件を学校側が隠ぺいした事実がメディアで報道されました。

このことについて、台湾教育部は一連のいじめ防止対策を実施し、体制を充実させました。
具体的には、「生徒の厳重な逸脱行為であり、加害者、被害者および傍観者に非常に大きな悪影響を与える行為」と認識し、加害者と被害者への介入と指導に注目をしました。

そして、2005年に施行した「学校治安改善プロジェクト」では、教員および生徒指導の専任教員の指導スキルの向上を重要な目標として規定をしました。
八徳中学校集団いじめ事件の影響で、2010年以降の教育指導はいっそう充実されるようになり、道徳、人権、法治をめぐって総合的に展開をしていきました。

さらに、生徒の行為規範だけでなく、いわゆるメンタルヘルスが教育と指導の重要な内容として認識され、この点においても充実されるようになりました。
教育人材を確保するために、大学院で心理学の専門的な教育を受け、教員免許と修士号をともに取得した生徒指導の専任教員が各小中学校および教育局に配置されたのです。

2012年には、台湾教育部は「校園覇凌防制準則」を制定し、問題の予防と処理の プロセスについて専門的な法令を通してより明確に規定しました。
「防制準則」とは問題が起こった後の対処の責任を、問題の加害者が在籍する学校に任せ、学校の管理職員の処理および補導教員の補導を求めています。

つまり、学校の管理の範囲外、または他の学校で発生した問題が、被害者、部外者、メディア、医療機関、福祉機関の検挙によって発覚した場合には、
全て加害者の在籍する学校の「いじめ対処グループ」によって処理されるということです。

台湾の対策は中国の「安全と責任」を強調する方針と異なり、学校の「教育と指導」の機能を活用することを重視していることがわかります。
台湾のいじめ対策体制のもとで、学校は単に空間的な概念ではなく、いじめ防止教育および事後の矯正と救済の主要な実施者であるといえます。

これまでのいじめ研究③中国・台湾・日本でのいじめ対策

日本の対策と学校の役割

日本では、1980年代以降、一連のいじめ仕返し殺人事件およびいじめに関する生徒自殺事件をキッカケに、学校における問題が大きな社会問題として認識されてきました。

1986年から、文部科学省は児童生徒の問題行動に関する全国調査を毎年実施し、いじめの発生率および形態を把握しています。
また、日本では対策はすでに30年以上を経て、いじめ対策の方針や定義も幾度となく変化してきました。

1980年代まで、文部科学省の対策は主に生徒指導、とりわけ「友人集団の正しい作り方」に関する指導に置かれていました。
そして、1990年代の半ば、日本におけるいじめ対策の方針が大きく変化し、原因についての認識も次第に変化しました。

従来の子どもの行為規範としつけの悪さを責め、規範教育を通して防止する方針から、子どもの「心の豊かさ」を求め、子どものメンタルヘルスを育てる方針へと転換をしました。

1995年より、全国の小中学校では学校臨床心理士、いわゆる「スクールカウンセラー事業」が試験的に導入され、
スクールカウンセラーに児童・生徒の不登校といじめ対策の専門家として大きな期待が寄せられていました。
また、台湾の補導教師と異なり、日本のスクールカウンセラーは学校の正式な職員ではなく、社会または他の教育機関、保健機関から雇った臨時職員でした。

2000年代に入り、スクールカウンセラー事業は継続的に拡充され、日本の対策に大きく活躍していきました。
しかし、2005年に発生した北海道滝川市小6女子いじめ自殺事件、および2006年に起こった福岡県筑前町中2男子のいじめ自殺事件をはじめ、
関連する児童生徒の自死事件が連続して起こってしまいました。特にこの2つの事件は、加害者に対する介入が不十分であると強く批判されました。

そのため、内閣府に主催された教育再生会議は「いじめ問題への緊急提言」を発表し、加害者に対する懲戒、および保護者、教員、学校などの関連者の責任追及を行いました。
さらに、2007年に提出された第一次報告は、加害者に対する懲戒を強化するために「出席停止措置」を使用すること、および学校、児童相談所や警察などの機関の連携を強調しました。

いじめを防止するために、教育、行政、福祉、司法などの機関の連携を強化する措置として、2008年より、学校社会福祉士、いわゆる「スクールソーシャルワーカー事業」が導入されました。
これにより、加害者と被害者の規範や心理などの個人的要因だけでなく、家庭や地域といった環境的要因も対策も視野に入れることができました。

2012年には、滋賀県大津市中2男子生徒がいじめにより自殺した事件をキッカケに、問題が再度世論の焦点となりました。
大津中2いじめ自殺事件は、行為の手口の悪質さだけでなく、発見、対処、そして自殺の調査それぞれの段階で、学校と教育委員会の隠ぺい体制が強く批判されました。

その批判に応えるために、文科省は事件の関連者への責任追及をさらに強調し、教育現場における行政機関の介入体制を充実させました。
とりわけ、文科省は学校と教育委員会の権限を削減し、一方で、学校に対する自治体の行政長官による管理の権限を強めてきました。

翌年には、「いじめの防止等のための対策に関し、基本理念を定め、国及び地方公共団体等の責務を明らかにする」ことを趣旨とした「いじめ防止対策推進法」が施行されました。

日本社会における現行のいじめ対策のもとで、学校という組織は対策システムのひとつの構成要素にすぎません。
中国のような責任範囲がハッキリ区分された「安全と責任」のモデルと異なり、日本のいじめ対策システムは互いに繋がっているネットワークの形式で働き、
いじめ問題対策連絡協議会とスクールソーシャルワーカーによって連携されたものです。
それゆえに、 2008年以降、日本のいじめ対策における学校の役割と範囲は学校と外部の境界がなくなり、それぞれの連携化・ 共同化の対策システムの一部として働いています。

これまでのいじめ研究③中国・台湾・日本でのいじめ対策



<参考文献>

教育再生会議 2007 社会総がかり教育再生をー公教育生成への第一歩―第一次報告.
宮之原 弘 2014 日本におけるスクールソーシャルワークの誕生と展開 名古屋大学院教育発達科学研究科 2014年度博士論文.
文部科学省 1996 いじめ問題への緊急対応についてーかけがえのない子どもの命を守るためにー 文部時報 1431.
文部科学省初等中等教育局中学校課 1986 いじめの問題に関する生徒指導推進会議開催 文部時報 1305.
文部科学省初等中等教育局中学校課 1995 いじめ問題への対応についてー初等中等教育局長説明概要 文部時報 1417.
姚 逸葦 いじめの対策と「学校の境界」中国大陸、台湾、日本のいじめ対策をめぐる比較研究 21世紀東アジア社会学 2018,9,185-199.

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1件の相談

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    • 相 談
    • いぬとりぃ。
    • 2021年8月21日 3:51 PM

    相談じゃないんだけど、、、
    俺はいじめ防止対策推進法が出てくるの遅かったんじゃないかなって思う。
    あとシカトとかって犯罪にはならないじゃん。でもクラス中から無視されて傷ついたりしてるコもいるわけだし。(俺とか?)そこ、なんとかならないのかな(´;ω;`)

    1+
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