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精神分析入門①わかりやすく解説,フロイト

精神分析入門①わかりやすく解説,フロイト

みなさんこんにちは。公認心理師の川島です。私はこちらの心理学講座を開催しています。今回のテーマは「精神分析的心理療法」です。

精神分析的心理療法

精神分析療法は三大心理療法と呼ばれ、源流と言って良い心理療法です。目次は以下の通りです。

1.精神分析と局所論,構造論
2.自我防衛機制の基礎
3.カタルシス効果
4.投影の意味とは
5.無意識の発展

当コラムでは、初回として精神分析の局所論,構造論について解説していきます。読み進めていくと、基本的な知識と活かし方を抑えることができると思います。是非最後までご一読ください。

精神分析療法の歴史,フロイト

精神分析学はフロイトによって提唱された心の理論を体系的に理解していこうとする学問です。精神分析的心理療法は、精神分析学の理論を使いながら、心の中の葛藤や課題などを治療に役立てていくものとなります。まずはこれらの歴史から概観し、全体像をつかんでいきましょう。

提唱者

主な理論をつくったのは、ジークムント・フロイトです。以下の動画は生前の様子です。

創始者であるフロイトは、はじめ「催眠」という方法を使ってヒステリーの研究や治療を行いました。「催眠」という治療方法は神経科医のシャルコーやブロイラーから学びました。

そのうちに、催眠を使っての治療は患者の依存を強くすると考え、それらを踏襲しつつ、独自の手法を確立していきます。

精神分析の誕生

フロイトは、まず催眠を用いない「前額法」を採用しました。ひたいに手を当て促すことで、患者が過去のことについて思い出し語るという方法でした。

その後、フロイトは、前額法を辞め、「心に浮かんだ内容やイメージを思うままに語る」という「自由連想法」を確立します。これが精神分析の基礎となりました。

精神分析が治療法として確立していくうちに、学問としての理論も成り立っていきます。フロイトは

原因不明な体の症状
なぜか他人にイライラする
意図しないミス  

これらの症状や行動は「無意識」が関係していると考えました。フロイトは、心には人間には意識できる部分と、自分でもよくわからない無意識の部分があると考え、無意識を紐解くことで患者の心を理解しようとしたのです。

多くの弟子が生まれる

フロイトには多くの共同研究者や弟子がいましたが、彼らはこれまでの方法を改良したり、弟子独自の形で広めました。

例えば、フロイトの精神分析学の基礎を忠実に継承した学派を『自我心理学』と呼びます。この学派で有名な学者は、アンナ・フロイト(Freud,A)です。

彼女はフロイトの娘でイギリスで活躍しました。アンナ・フロイトはフロイトの理論を継承しつつ、人間の自我についての理論を深めていきます。子どもの世代に適用させようと遊戯療法(プレイセラピー)の基礎も創りました。

その他、アドラー心理学ユングの分析心理学家族療法など多様は心理療法に影響を与えました。

精神分析療法と現代

現在は精神分析療法を本格的に行っている心理療法家は少なくなってきています。ただ精神分析を極めた方は、ある意味で神がかったカウンセリングの成果を残す方もいます。同業としてもすごいな…と感じます。

精神分析療法で生まれてきた、防衛機制の考え方や無意識の思想は現代でも重要な概念として、臨床心理士や公認心理師は必ず学ぶ概念となっています。

 

理論体系,局所論

心は3つの層からなる

フロイトは人間の心が
「意識」「前意識」「無意識」
の3つの層から成り立ち、心を構成していると唱えました。これを局所論と言います。この理論は、人の心をちょうど氷山のように例えることができます。誰しもが見える氷山の上部分を意識、水面下にある部分を前意識、そしてその更に奥底の部分が無意識です。

精神分析の全体図

意識

意識は自分の考えや感情を直接操作できる領域を指します。経験や感情などが「これは自分のものだ」と主体的に感じられるものです。例えば、

嫌いなタイプを教えて下さい

という質問を受け

50代の眼鏡をかけた男性

と答えた女性がいたとします。これは「50代男性」「眼鏡」と明確に回答ができていて、自分でも自覚しているので、「意識」の階層にあると言えます。 

前意識

これに対して、普段は考えていないけど、「思い出そう」と思えば簡単に思い出すことができる領域を前意識と言います。先先程の例では、質問を受けるまでは特に意識をしていませんでした。この状態では前意識にあると考えます。

無意識

無意識は記憶や考えを見つけられない領域を意味します。例えば先程の女性に

なぜ50代後半の男性で眼鏡をかけていると嫌なのですか

とさらに聞いたとしましょう。これに対して

う~ん…わからないです…でもなぜか嫌いなのです。50代の男性でも眼鏡をかけていると嫌なのです。

と答えたとします。このような自分でもよくわからない領域にあるものは無意識にあると考えます。そして、精神分析を活用する心理療法家は、その理由が無意識に隠れているかも?と考えて行きます。

無意識には、過去の苦痛、嫌な思い出、反道徳的な記憶、などが存在することがあります。私たちはそれを思い出してしまうと心が傷つくので、心の底に押しとどめて自分を守ろうとするのです。

例えば、この女性は小さいことに50代の眼鏡をかけた男性に、酷い暴言を吐かれたことがあり、それが恐怖心の原因になっているかもしれません。精神分析的心理療法ではそのような無意識にあるわだかまりを整理し、心の根底にある悩みを改善していこうとします。

 

理論体系,構造論

フロイトは「局所論」と関連する「構造論」を提唱しました。構造論は心が「自我」、「イド(エス)」、「超自我」という3つの層形成されると唱えられた理論です。以下の図が全体像です。

精神分析の全体図

イド(エス)

「〜したい」という欲望を表します。フロイトは、欲望はもともと本能的な性の欲動と捉えています。そしてその性衝動がよく部分をイド(エス)と呼びました。エスは本能的で動物的な部分なので、非現実的な考え、反道徳的な行動を引き起こすこともあります。

超自我

 超自我は良心や道徳的価値観、それに則りイドを禁止する機能を指します。「〜であるべきだ」「〜してはいけない」など考え行動することです。

良心や道徳的な価値観は、親のしつけ、先生の教えにより形成されていきます。それを、「親と同じになろう(同一視)」と自分の中に取り込んでいくのです。超自我はイドを監視し、本能的に振る舞い、罪を犯すことを抑える機能があります。

自我

自我はイド(エス)と超自我のバランスをとる機能です。イドと超自我がぶつかると人の心の中に葛藤が起きます。これを「現実原則」に従って現実的な考え方、対処方法へと調整するのです。自我の機能が適切で、イド、自我、超自我のバランスがとれていれば心が健康であると考えられています。

治療の指針

古典的手法

精神分析では無意識を非常に重視します。自由連想という形で無意識の領域を知り、解釈を行うことで、心の病気を治療します。

古典的には、カウチソファーという足を延ばせる椅子に座り、目をつぶりながら自由に話していきます。

フロイトのソファ、ロンドン、2004(2).jpeg
画像出典

これを週6回繰り返します。カウンセラーと繰り返し話していくうちに、過去に眠っていた記憶などを呼び起こし、普段の生活では見過ごしていた無意識の世界と向き合い、そして悩みの原因と改善を目指します。

精神分析では比較的過去の記憶を取り扱うことが多いです。幼い頃からどんな人生を送ってきたか、どんな心の成長をしてきたかということをじっくりと振り返ります。

実際の治療には、無意識の領域や自我防衛機制などについて明確化すること、それをわかりやすくクライエントへ解釈し、クライエントが意識的に直面化する必要があります。

心の問題に効果的

 精神分析は、心理学発症当時の「神経症」に効果があると言われてきました。神経症とはざっくりと言うと、「心の問題が引き起こす強い悩み」です。

現代でいうと不安障害やうつ病、強迫性障害などが当てはまります。これ以外にもパーソナリティ障害などさまざまな心の病気の治療に用いられてきました。

充分な訓練が必要

この一連の行程は非常に高度な技術が必要になります。治療中はクライエントの心、そして治療者の心、つまり自我が揺れ動くのです。

そのためにクライエントの心の調子が悪くなることもおおいにあり得ることなのです。実際の治療場面では治療者の十分な訓練が必要なのです。

 

まとめ

ここまで精神分析の基礎について学習してきました。ここまで解説をしてきた局所論や構造論は日常生活で直接活かせるかと言うと少し難しいかもしれません。ただしこれから解説する、防衛機制、投影、カタルシスといった考え方は、きっと皆さんの心のあり方にプラスになると思います。引き続きコラムをご参照ください。

1.精神分析と局所論,構造論
2.自我防衛の基礎
3.カタルシス効果
4.投影の意味とは
5.無意識の発展

 

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